久々のロケット関連の記事だ!と思って、喜んで読んでみたのだが……。書いてあることがいまいち良くわからない。
韓国、ヌリ号打ち上げに軍用火薬…「違法は仕方ない、法改正しなければ」
2024.10.07 10:15
韓国型ロケット「ヌリ号」を打ち上げに民間用ではなく軍需用火薬が使われたことが確認された。打ち上げ需要が不足し民間用火薬製造施設を別に設けることができずに起きたことだが、現行の銃砲火薬法によると違法だ。
中央日報より
違法なことをやっちゃった、ということは伝わったのだけれども。
違法打ち上げ?!
ヌリ号というロケット
このブログでは、韓国の宇宙開発ネタに関しても追いかけている。まあまあ興味深い展開になることが多いからね。え?「いつもの展開だ」って?うんまあ、それは否定できない。
ヌリ号は、韓国国民の夢を乗せたロケットの名前だ。
KRE-075というロケットエンジンを開発し韓国は、これを4基クラスタリングして大出力のロケットエンジンとして機能させ、低軌道(上空300km)に2.6tの物体を投入できるロケットを完成させた。
これがどの程度の能力かと言うと、例えば、日本のH2ロケットであれば、低軌道に10tの物体を投入でき、H2Aロケットであれば低軌道に最大15tの物体を投入できる。H1ロケット(1975年に打ち上げ成功)が低軌道に2.2tの物体を投入できたので、能力的には1990年代に日本が達成できていた程度のシロモノであると言える。
単純に技術レベルは比較できないが、概ね日本の技術の20年前くらいの位置づけであるとして差し支えないと思う。
……いや、気象衛星ひまわり2号(質量296kg)をH2ロケット2号機で打ち上げ成功し精鋭衛星軌道に投入したのが1981年のことなので、もうちょっと年代を遡る必要があるかもしれない。
軍用火薬を使う?!
で、今回のニュースなのだが、イマイチ意味が良くわからないのは「軍用火薬を使った」というところだ。
与党「国民の力」の崔秀珍議員が公開した韓国航空宇宙研究院の資料によると、2021~2023年のヌリ号の1~3回目の打ち上げで軍用火薬が使われた。ヌリ号は打ち上げ台分離、段切り離し、エンジン始動など宇宙で行われる過程と、有事の際の強制爆発による飛行終了装置にも火薬類が必要だ。これまで使われた火薬は韓国製11種類、輸入1種類の12種類だった。
韓国のメーカーはハンファエアロスペースと三洋化学工業だ。両社は軍需用火薬を供給した。宇宙探査、気候観測用人工衛星など民間領域では打ち上げ回数が極めて少なく、民間用火薬を別に作らないためだ。
中央日報「韓国、ヌリ号打ち上げに軍用火薬」より
どうやら、火薬法なる法律があり、軍で使う軍用火薬は民間用火薬よりも高性能らしい。そのため、法律で使用区分を区別しているようだ。
そういえば、日本でも高校生が興味本位で作った過酸化アセトンが見つかったとか、過去にも何度かあった気がするけど。
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この手の少しの衝撃で大きな爆発力を得られる火薬は、民間用に使うことを許可されていない模様。火薬法の条文にざっと目を通したが、火薬の種類によって取り扱い可能な種類が決められていて、高性能な火薬の使用は消防法などにも関わってくるようだね。
韓国では防衛事業法なる法律に、その辺りが定められているようだね。
航空宇宙研究院は3月に法律検討を経てハンファエアロスペースと三洋化学工業は軍需事業所であるためヌリ号に使われる火薬は軍需品と同一に防衛事業法の適用を受けられるようにする法律改正が必要だという意見を出した。崔議員は「宇宙ロケットは軍需用火薬を例外的に使えるよう規制改善が必要だ」と話した。
中央日報「韓国、ヌリ号打ち上げに軍用火薬」より
なるほど。
使用許可の問題
要は、民間用火薬の使用許可の範囲では、軍用の火薬の使用が許可されないにも関わらず、ヌリ号打ち上げの時にはソレを使っちゃったと。
えぇ。
今まで3回打ち上げをやっているんだけど、全部が違法だったということだな。それを、黙って使っていたということらしい。
なぜそれが明るみに出たかはイマイチ良くわからないのだが、必要な許可であれば政府に訴えれば法改正くらいしてくれただろうに。なぜ、黙って使ってしまったのか。
宇宙探査、気候観測用人工衛星など民間領域では打ち上げ回数が極めて少なく、民間用火薬を別に作らないためだ。
中央日報「韓国、ヌリ号打ち上げに軍用火薬」より
事情はわかるけれども、やる前に許可を取るべきではないか。
そんなことも理解していなかったとは少々驚きなのだが、これは韓国特有の事案なんだろうか?火薬に求められる能力について、仕様を満たす火薬を納入する会社はきっちり把握していたはずだし、それを伝え忘れたということも考えにくい。
分かっていて許可を取らなかったということでもないのかなぁ。まあ、把握されたのであれば、改めればいい話なんだけれども。それよりも、次の打ち上げはいつ?予定だと2025年だっけ?
打ち上げられる余裕があるといいね。
コメント
こんにちは。
>必要な許可であれば政府に訴えれば法改正くらいしてくれた
本件、楽韓さんの所でも話題になってましたが、
「目的が正しいなら手段(≒法制度)に瑕疵があっても許される」
の国ですから。
法を整備することなどアウトオブ眼中でしょう。
「国内法は国際法に優先する」
とか真顔で言っちゃう国ですから……ホント、隣国で居るの止めて欲しい。
※彼らが法を整備するのは、自分の身柄を拘束されないようにするときだけでしょう。
こんにちは。
楽韓さんのところの論調では、「ロケット打ち上げという目的に正統性があるので問題ない」という話でしたね。
どうしてアノ国は正当性に拘るのか……。
確か、ロケット技術を得るためにロシアからスパイ行為をして情報を引き出したとか、アメリカから技術を貰ったとか、そういう話もありましたっけ。
目的のために手段を選ばない国の面目躍如ですわ。
>どうしてアノ国は正当性に拘るのか
そりゃ、
「自分達には基本的に正当性がない」
からでしょう。
なので、正当性正当性と常に言っていないと、正当性がないことが公になってしまう、明らかになってしまう、それは許されない、と。
建国から何から、全てを嘘で塗り固めてる国は大変ですよね。
なるほど、歴史を忘れた民族だから未来がないと。
火薬……すごいなヒトラーやサダム・フセインの「ムカデ砲」ですな。
しかし何の火薬を用いたのだらう?
遅燃性の爆薬はないとは想うすが。散弾やクレイモアじゃないんだから。すると速燃性の推進火薬と想うけれど、でも爆薬のなかにも燃焼速度が音速を超えるものがあるから、使いようでは打ち上げに利用てきるかもしれない。
しかし火薬で打ち上げ……ジュール・ベルヌの「月世界旅行」すね。小学校の図書室にあるやつ(笑)
途中の引用部分に出ていますが、1段目と2段目、2段目と3段目、コレを切り離すために爆発ボルトを搭載していて、それ用の火薬と、緊急時の本体破壊用の火薬みたいですね。どれに使ったのかは分かりませんが。故にムカデ砲とはちょっと違いますな。
民間用の火薬を作っていないのも、ちょっと意味が良く分からないんですが。何が本当なのでしょうかねぇ。