偶には兵器ネタでもいいよね!(割とこのブログ、兵器ネタが多いのだけれど)
世界初! 自衛隊向け「レールガン」洋上射撃に成功 SFの世界が近づいた?
2023.10.17
防衛装備庁は2023年10月17日(火)、海上自衛隊と連携し、世界で初めて艦艇にレールガンを搭載して洋上射撃試験を実施したと発表しました。
乗り物ニュースより
とある科学の……、いや、まあ、レールガンを実物として運用できる道筋が付けられるとは。
日本の技術は何処まで改題を解決出来たか
レールガンの単純な構造
レールガンの概念は古くからあって、さほど「耳慣れない言葉」というわけでもない。SFなんかでも時々出てくるしね。
簡単に言うと、レールガンは物体をローレンツ力で加速して撃ち出す装置のことだ。通常の砲は火薬で加速するんだけど、レールガンは電磁気力(ローレンツ力)で加速するんだよね。それだけの話である。

構造的には2本のレール(電極棒)の間に弾丸となる導電物質(金属片)を置き、レールに通電することでレールの周囲に電界が発生。弾丸にフレミングの法則に基づいてはローレンツ力が作用して、加速することになる。

こちらは防衛装備庁の説明図で、こちらの場合は弾丸は金属片に限らないで良いようだし、加速されるのは電機子で、電機子が弾丸を押し出す方式を採用しているようだ。
実に単純な構造である。
アメリカは開発断念
構造が単純なので、各国で開発が検討され、実際に開発を行ったのが、知られる限りはアメリカと支那である。
が、アメリカは「ダメだコレ」と匙を投げてしまった。
レールガンは役立たず?米国ですでに失敗作の烙印
2016.8.24(水)
米軍による対中軍事戦略、いわゆる「第3の相殺(オフセット)戦略」(新技術に基づく新たな作戦構想と戦力によって、相手の優位性を無効化する戦略)において、今後レーザー兵器や3Dプリンタなどとともに主要な役割を果たす兵器の1つとされるのが「レールガン」である。これは火薬ではなく電磁誘導で金属弾頭を加速し、撃ち出す兵器だ。従来の火薬式の砲塔に比べて威力・コストともに抜群の効果を発揮するとされている。
~~略~~
「当初、レールガンこそが、我々が本当に欲している兵器だと思っていた。しかし試験を進めていく中で、在来の砲塔で発射可能な超高速発射弾(HVP)でも、開発や試験を行わずに同様の効果が得られることが判明した。次期政権にはどちらも選択肢とするように提案したい」
JB Pressより
かなり頑張って開発していたのだが、「開発を続けるメリット無し」という烙印を押してしまったのだ。
ここまで出来上がってたのに!
記事で出てくるHVP(Hyper Velocity Projectile)だが、超高速弾と呼ばれるラムジェット推進型の弾体を用いるタイプが有力のようだ。コレまで使ってきた兵器で使用が出来る所がポイントが高いのだとか。空力設計により弾体の形状を工夫して高速に弾体を射出できるところが良いのだろう。
アメリカがレールガン開発よりもHVP開発に注力するということは、HVPの方が実現が早くレールガンは開発メリットが薄いと判断されたわけだ。

形になって、弾体発射試験にも成功しているのに、何が気に入らないのだろう。
なお、支那もレールガンの開発に「成功した」と報道している。
中国が今月、艦船搭載レールガンの試験 2025年に実戦配備へ 米報道
2019/1/31 09:56
米CNBCテレビは30日、中国が火薬を使わずに電磁エネルギーで砲弾を超高速で発射する、艦船搭載型のレールガンの発射試験を今月実施し、2025年までに実戦配備できる見通しとなったと伝えた。
産経新聞より
ただ、支那の場合には、開発に成功したと喧伝されても実際にどうなっているのか不明な事が多いので、実際にお披露目されてからしか情報の確からしさを確認できない。
この報道が本当だったとしたら、日本の「世界初」は嘘だってことになるね。
メリットは多いがデメリットも大きい
さて、アメリカが開発中止をしてしまい、支那の開発を疑問視する理由は、レールガンのその構造に起因する話にある。
レールガンは、これまでの兵器では対処が難しい「極超音速誘導弾」などに対する防空や、艦艇や地上目標に対して回避が困難な打撃手段として使われる見通しです。まずは小口径のレールガンでデータを取得した後、中口径レールガンの開発が想定されています。
乗り物ニュースより
日本は乗り気になっているようだけど、レールガン運用にあたっては極めて大きな問題が残っているのだ。
だが、先ずはメリットの方から。
<想定されるメリット>
- 超音速で弾丸を発射できる為に破壊力が期待できる
- 電気のエネルギーで加速できる為に、弾丸初速を任意に変えられる
- 火薬を用いる必要が無いので、安全に運用出来る
- 火薬を用いないので弾丸のコストが下げられる
- 誘導弾に比べて弾丸サイズを小さくでき、探知されにくくなる
- 弾丸サイズが小さくなり高速で飛翔するので、迎撃されにくい
レールガンを用いる上でのメリットは結構多く、運用可能となれば強力な武器となるだろうことは容易に想像ができる。が、大きなデメリットがあるんだよね。
<想定されるデメリット>
- 1発の弾丸を発射する度に大電力を必要とする
- レールと弾丸または電機子が常に接触していなければならず、摩擦が発生するために、接触による損耗を考慮する必要がある
- 損耗があるために連射が困難
デメリットは少ないように見えて、1つ1つの問題が大きい。
それでも、試射は成功したようで何よりである。
使い捨ての電機子を工夫したか
当初から言われていたのは大電力の確保が難しいという話だ。
アメリカ軍は搭載が検討されたズムウォルト級ミサイル駆逐艦で大電力を生み出せる目処があるにもかかわらず、レールガンの採用は見送っている。
まあ、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦は、目玉だったAGS 155mm砲を搭載する予定だったんだけど開発に失敗。1発あたりのコストが高すぎるという批判(当初は1発3万5,000ドルの予定だったのに、最大で1発100万ドルにもなってしまえば、ミサイルの方がマシという話になろうものである)で、レールガン搭載を検討したが、最終的には30mm機関砲に変更されてしまった。
ただ、日本の場合はエネルギー効率化の技術が高い水準にあって、アメリカ軍ほど電力の問題を気にしなくて良いとい評価であるらしく、どちらかというとレールの摩耗の方に焦点が当てられて研究が進められているようだ。

ここをどうやって解決したのかは明言されていないのだけれど、レールを摩耗させるくらいなら電機子の方を摩耗させる方向性なんだと思う。
動画も面白いので是非確認頂きたい。

弾丸の発射のプロセスはこんな感じ。
砲口から4.5mの段階でこんな感じになっている。

どれくらいの威力になるのかは良く分からないのだが、実現するとすればなかなか面白いものになりそうである。動画で見る限りは、アメリカのほうが高威力のものにたどり着いていた感じがする。
ともあれ、高速飛翔体の迎撃にレールガンを使うというのは面白い発想なんだけど、道のりは長そうだなぁ。それでも頑張って欲しい。
追記
大砲の原理
えーと、原理についてしっかり説明しなかったので、多少誤解を招いた気がする。僕が完全に理解をしているかというと怪しい部分はあるんだけれども、話を交通整理しておかないとちょっと混乱を招く気がするので、お付き合い頂きたい。

原始的な大砲の構造は、砲弾と装薬を砲身に詰め込み、装薬を炸裂させることで砲弾を撃ち出すというシンプルな理解で良いと思う。開発当初は閉鎖機が無かったので、前装式といって、砲身の先端から装薬・砲弾の順に詰め込んで発射していた。でも、それだと燃えかすが砲身の中に残ってしまうので都合が悪い。だから、閉鎖機の形状や方式を延々と開発する歴史が始まるんだけど、そこは今回は割愛する。
つまり、原理的には装薬(火薬)が炸裂することで爆風が発生し、この圧力で砲弾が飛ばされるということになり、砲弾と砲身の隙間が狭い方が、圧力の逃げが少なくて威力があがるんだけど、狭すぎると摩擦によって砲弾が上手いこと飛ばないとか、砲身が過熱するとか、砲身内面が削れるとか色々なトラブルを生じる。
滑空砲とライフル砲
あと、装薬の手間を考えて、火薬が缶に詰まったカートリッジ式になり、撃針を使って雷管を叩き、着火する方法になると、砲弾も円錐形になって非商事の安定性を求めるようになって、砲身の内筒にライフリングとよばれる溝を付けて砲弾を回転させる方法が主流になっていく。ライフリングが刻まれた砲をライフル砲と呼ぶ。


一方、ライフリングの刻まれない滑空砲も、一部戦車などに用いる用途で生き残る。車両に積むという理由で重量制限がある反面、威力を高める為に開発されたHEAT弾やAPDS弾ではライフリングがあると弾体の回転が不安定方向や威力低下方向に作用するためである。
「何」で加速するか
さて、ここまでの話は装薬(火薬)を使った話だったが、戦場において火薬の扱いは色々とトラブルを招くことも多い。その不安定さ故に容易に大きな力を得られるが、その不安定さ故に取り扱いが危険なのである。
で、砲弾をどうやって加速するのか?ということを突き詰めた人達が出てきた。
一般的には砲身が長い方が精度は高くなる。

燃焼ガスの速度が飛翔体となる砲弾に十分に伝わるためには、砲身が長い方が都合が良く(長すぎると摩擦によって速度が落ちるが)、砲内圧を如何に砲弾に伝えるかが問題となる。
コレを逆手に取ったのがムカデ砲(多薬室砲)である。


次々とタイミング良く薬室の火薬に火を付ければ、どんどん加速するんじゃね?という大変雑な発想だが、これはなんと実用化されている。色々テストレベルでやられたのだが、僕の中で有名なのはHARPだ。
HARP(High Altitude Research Project)とよばれるトンでも計画を立ち上げたジェラルド・ブルその人によって、ロマン兵器の開発が行われたのだ。色々と画策しつつ、HARP砲の実現は阻まれたが、最後にイラクのサダム・フセインに接触したブルは、バビロン計画を立ち上げる事に成功。推定射程700kmの350mm口径砲(全長約50m)という途方もない兵器は、スカッドミサイルをホワイトハウスに撃ち込む能力があったと言われている。が、この計画もブルが暗殺されてしまったために日の目を見ることは無かった。
ベイビー・バビロン(口径350mm、砲身長46m、重さ102t)と呼ばれる試作品はある程度の成果を残していたんだけどね。
話は逸れたが、要は火薬を用いて加速するなら、薬室を増やせば良いんじゃないの?という発想は面白い。が、これを電磁力で成し遂げようという発想があり、それがコイルガンである。空気で成し遂げようとするのがエアガンだね。ここでは余り関係がないけど。
コイルガン
コイルガンは、砲身の周囲にコイルを巻いて電流を流し、砲弾が通過する時に電磁力を加えて砲弾を加速させようという発想である。

ムカデ砲は複数の薬室を用いたけど、コイルガンは薬室の代わりにコイルを使って加速しようという発想である。コイルは電力を流すと中心部に磁界が構成される。この磁界を通過する際に砲弾が磁性体であれば、磁界の力を得て砲弾を加速することが可能である。
ただこれ、原理的に可能というということだけであって、強力な磁界を発生させることが困難であるために、オモチャの範囲に留まり、兵器として使うところにまでは至っていない。製品として売り出しているところもあるが。
ロマン兵器ではあるんだけど、メリットがイマイチなんだよね。
理由は、弾丸が電磁石の位置にきたら電磁石を停止させなければならない。これを行わないと弾丸を加速したのと同じ力で弾丸は引き戻されるため、発射されないという原理上の問題を抱えている。また、弾丸通過にあわせて電磁石のスイッチを切断する機構を必要とする。速度が上がれば上がるほどコントロールが難しく、結局、加速に向かないってことになる。
レールガン
とまあ、大雑把にはこんな感じの話があって、次に説明するのが上で説明するレールガンということになる。

レールガンの最大の特徴は、電源から流す電力が第一レール・電機子・第二レールを伝わって行く過程で、電界を発生して飛翔体(弾丸)を加速して撃ち出すことができると言うことだね。ここで重要なのは、大電流を流すと、高い初速が得られるという点だ。
装薬(火薬)に点火して推進力として使う場合と比べてこの程度の差が出来る。

理屈の上で、だが電磁力の早い立ち上がりの特性があるため、砲弾の初速を高めることが可能なのだ。更に持続的に加速していく為に、砲口から離脱する際には初速2,000m/sの速度を得る事が可能である。戦車砲の初速は約1,750m/s(APFSDSなど、高い初速を得られる砲弾)なので、コレと比べても格段に早い。速度は破壊力を生み出すので、初速を稼ぐことが出来ることは大きな意味がある。
ただ、砲弾が砲身の中を移動している間、レールと電機子は常に接触している必要がある。原理的に接触が必須なので、接触時における摩擦が様々な悪影響を及ぼす。
で、BOOKさんがコメントでおそらく正解を言い当てているのだけれども、日本は電機子を工夫(C型電機子)してレールとの接触を確保しつつ、おそらく大口径は諦めて40mm口径程度の近接迎撃用のアイテムを用意するコンセプトにしたので、「実現可能だ」と判定しているのだと思う。それでもハードルは高いんだと思うけれども頑張って欲しい。
追記2
ちょっと面白い資料を見つけたので追記しておく。

これが当時アメリカが開発していたシステムで、2列目のレールガンとの比較がなされている。飛ばすのはM107榴弾などの、155mm口径の榴弾が想定されていたようだ。重量にして95ポンド(43.2kg)なので、そりゃ消費電力も半端ではない。
日本の自衛隊が目指しているのは40mm口径だからねぇ……。
コメント
こんにちは。やぁ厨二病心を誘う記事ですねぇ。実は「木霊様が解説してくれないかなぁ……????」と物欲し気光線を発していたところなのですね。嬉しい!
レールガンならバイオハザードRe3でラスボス戦に使った事があります(笑)
んで、今回は先ず「電磁砲の前に撮影技術に驚いた」です。これフィルム式ではムリっすよね?
んでんで、艦載レーザー砲は米国はすでに実験成功してますけど、アレって低気圧で湿度高くて霧が出てたら役立たなくね?という疑問ある。…んなような事を木霊様や読者諸兄が仰っていた記憶が。
したらもうレールガンでしょう!
日本近海は湿度高いし。なにより火薬の代わりに電気という超シンプルなところが良いではないですか。
米軍が完成手前で撤退したのは何故か?
難しいんですが、照準とのタイムラグなのではないですかね?
ほりゃ極超音速弾だとしても、光速ビームにゃ負ける。それに実体弾だと重量の影響を受ける。射撃の経験者なら解ると思うすけど、ゼロインって言って、銃口の延長線と弾道が交差するのは二点に過ぎません。放物線で弾は飛びますから。
つまり照準器の✛の真ん中を狙えば当たるというものではない!
それは装薬式でもレールガンでも同じでせう。目標物に対する距離と風速、大気圧、重力、放物線の弾道と標的の交差点を 計算しなきゃならない!
標的が音速とかなると最低限にスパコン搭載は必要では??
レーザーだと一直線で行きますから、限りなく直接照準に近いかと。
その辺りが米軍撤退の理由と思うすが、
だからって防衛省が、河太郎の思いつく程度の事を考えてないはずはなく、実はもう小型の量子コンピュータとか持ってるんじゃないかとか疑います。
でもChatGPTとか、いやスマホの文章入力の「先読み能力」を見ると、イージス艦くらいの電子頭脳(笑)あれば、当てられるのかもしれませんね。
ところで日本が持つと何でも欲しがるお隣さん(ガキかお前らは)は、レールガンは欲しがってる様子はないすね?
やはり日本の持ってるハイブリッド車みたいな技術がなくて、自信ないのかな?
何にせよ成功させて欲しいものです。
ふと想うんですが……火炎放射器みたく背中に強力バッテリーを背負うたら、個人携帯型のレールライフルって出来ませんかね?
それならば千メートル先の標的を撃てるマークスマンなら、10km先の……いや、まて、地球って丸いんだっけ??
じゃあ……遠矢は諦めて破壊力。弾芯に劣化ウランを使った弾を込めて、
「対戦車レール小銃」とかムリすかね?
SF兵器になっちゃいますが、2例ほど。。。ネット小説だったか、作品名忘れました。
1.2千年後ぐらいが舞台
常温核融合バックパックを電源とし、直径数ミクロン、長さ数mmのナノマシンロボットをレールガンの原理で打ち出すライフル。 標的の脳・毛細血管を破壊して脳卒中に至らせる暗殺兵器。
2.5万年後ぐらいが舞台
弾丸は、原子核サイズ(1万分の1ナノメーター)ぐらいのフェムトマシン。衛星人工知能制御で、地面に向けて撃ち、地球の反対側の標的の脳内フェムトマシンを、不意打ちで乗っ取る。(正面からだと破壊困難)。結局これも暗殺兵器
個人携帯用のレールライフルはネットを探すと自作している方がいます。
結構な威力は出るようですが。
連射の効かないオモチャ程度であれば、自作可能な程度には簡単な構造ですからね。
まさに厨二病心を擽られて書いてしまいました。
ロマンが広がりますね。
資料に無いので、米軍が「何故か」撤退してしまった理由については推測になりますが、おそらくはレールの摩耗のコストを解消できなかったのだと思います。
何というか、原理的にレールと電機子の接触は必須でして、削れてギャップが出来てしまうともう通電が維持できなくなります。しかし、接触していると摩擦は発生するわけで、摩擦は容易に熱に変換されます。熱による膨張は電機子とレールの距離の管理を困難にするという、「ぼくのかんがえたさいきょうのへいき」を地で行く厄介なシロモノなのです。とうぜん、熱膨張によって照準が狂うとか、そういう話もついて回りますが、それは火薬を用いた一般の砲も一緒なので。
何をどうやって解決したのかは非常に興味がありますが、今のところは開示されていません。
アメリカは最初から大電力をバーンと流して、大きめの弾をドカンと撃つ発想ですから、おそらく数発で使い物にならなくなるという仕様なのか、あるいはアホほど高コストになるのか何れかでしょう。だから、「別の兵器を開発しよう」ということになったのかと。
そうそう砲身でなく、弾の方を削る前提で…って話しは、やはり日本だな!想うですね。ボルボとか外車ってやたらとゴツくて丈夫だけど、それが中にいる人の安全性を保証はしませんね。
日本車は車体を潰す事で、クラッシュの衝撃を殺す方向に進化したでないですか。その変の着想は日本人的と想うです。西洋人は、道具から使用する人間の個性を抜く事で、誰でも同じ効果を出せる普遍的な機械を作るのですが。
日本人は零戦みたく、そこに、そう…使う者側の練度を✕算できるよな機械つくる。
それ故に人材が枯渇するとアウトなんてすが、この西欧の「押しの発想」に対する「受け身の発想」は、石が浮いて葉が沈む時代には有用かもしれませんね。
こんばんわ、
最後の映像に発射直後の弾丸がみえますが、その弾丸の打ち出し方がAPFSDSのそれとよく似ていますね。本質的にレールガンは、APFSDSの発射機とみていいのでしょうか。(口径が合い、射出時の耐久性があれば、なんでもOKなのかもしれませんが。)
なるほど。卵と鶏問題で、レールガンの場合は「砲身より砲弾」て事ですね。
双方で汎用性が高ければ、生産コストが下げられるし、現場もとっさの使用ができる。
ネックになるのは、砲身の内側を削る代わりに、砲弾の外側を削るというスタイルですかね。
滑空砲ならば少ないとは想うですが、砲身内で削れる砲弾屑は、累積するとメンテ問題が出そうな……
因みに自衛隊のレールガン砲弾に観る、側面の翼みたいのは、遠隔操作で角度を変えられるのかな?
可変翼ならば、飛翔中に遠隔操作して、精密砲撃で対地&対艦攻撃に使えそうな気がするのですね。
ちなみにそのアスペルガーみたいな弾は、木霊様の申されるラムジェット式HVP弾とは違うんですか?
ラムジェットって事は自己推進型の砲弾てすよね?
おそらくRGPみたく、装薬で点火されて発砲。空中で砲弾内の推進薬に次点火して加速するというか。
昔、米国のガンマニアにロケット弾拳銃の発射を見せてもらったんですが、初速がトップスピードでないので、風などの影響を受け易く、弾が流れるきらいがあると申してました。たしかにロケランの弱点はそこにありますしね。ジャベリンとかになっちうとミサイルと変わらないので影響なさそうてすが。
あくまで砲と考えると、その辺りの事はどうなのですかね?
>本質的にレールガンは、APFSDSの発射機とみていいのでしょうか。
そう思います。
米国製のレールガンも同じくAPFSDSに見えますね。
https://qph.cf2.quoracdn.net/main-qimg-6ed31b6745132a76bedf2f9507cb166e
色々な解説を見るとレールガンの純技術的な一番の課題は「瞬時・超大電力」による、電流経路の
①過大発熱→②気化→③プラズマ化
の③で、プラズマは「電流を流す気体」ですから、そちらに電力が逃げて砲弾の加速い寄与しなくなり&砲弾の一部が気化して一部が損傷してしまう。ことのようです
そこでAPFDSに似た「犠牲サヤ」を設けて、サヤによるプラズマ形状の制御と弾丸形状の崩壊防止をしているのと思います。
ただ、BOOKはミリオタ駆け出しなので「兵器として」の過大や利点は上手く解釈できていないことをご容赦
APFSDSと似ているのは当たり前と言えば当たり前です。
何故ならば、飛翔体は重く小型であれば破壊力が増します。それ故破壊力を増すためには重くて硬い弾体を使う必要があるわけです。APFSDSは発射時の初速は概して1,500m/s以上と早く、装弾筒(セイボー)と呼ばれる鞘体を使いその周囲にスリッピングバンドと呼ばれる樹脂製の帯が設けられています。APFSDSは物体を破壊する際には細く鋭い部分が物体表面から侵入する必要がありますが、砲から射出する時には内筒表面との隙間は小さくないと火薬の圧力を受けて上手く射出できません。ですから、砲から射出された後に、装弾筒が分離して飛翔体から離れる必要がある。スリッピングバンドはライフリングから受ける影響(射出速度が上がるとライフリングによって高速回転させられるのは飛翔の安定化を損なう)を抑える機能を持っていますね。
というわけで、形状は必然的にAPFSDSと同じ形状になっているのですが、役割はちょっと違うようですよ。
木霊様、皆様、こんばんは
レールガンの原理の説明がありましたが、要はリニアモーターを作ればいいのですよね。
ならば、いろんなタイプのレールガンを考えられるのではないか、と思いますが・・・
あっ! それは考えてませんでした。
だとすると、超電導技術と組み合わせると、連続発射したり、次弾発射までのリロード間隔をショートカットできるのかも知れませんね。
マシンガン型のレールガンを開発して、
イージスシステムと組み合わせたら、かなり凄いのかも?
>要はリニアモーターを作ればいいのですよね
>いろんなタイプのレールガンを
コイルガンとか色々構想はあるようです。が コイル≒インダクタンスは本質的に自己誘導効果で瞬時大電流を流すのが困難→小電流となるため、レールガンが必要とする弾速に加速するには、数100mの砲筒が必要、等々あって
イチバンコイル巻き数が少なく、構造の単純な木霊さん解説の方法に収束しているようです。
リニアモーターですか。
リニアガン(或いはコイルガン)という概念は別にあるのですよ。
似ている技術でもありますしね。有名なのはムカデ砲ですかね。
レールガンは接触必須なのでリニアとはちょっと違うんですよね。
レールガンの凄いのは、「大砲」の概念をかなり逸脱するからと想うんです。
初速がかなりですよね?
てことは重力の影響下でも、照準とのズレは装薬式よりも少なく思える。
装薬式の大砲って、当たらないものなんです。だから迫撃砲あるんですが。
直接照準で当てるのでなく、一発を撃ち込んで、その座標から着弾点を目標物へと寄せてゆく。んで何発目かにクリンヒットを狙うのが野戦特科(砲兵)のセオリーだと思います。
それは変わらないのでしょうが、弾速が桁外れなので、砲術士官の計算が早ければ(とうぜん電子的な計算ですが)、
かなり直接照準に近くなると想うんです。
色々とBOOK様が検証解説してくれて面白い。薬理狂室編纂の「アリエナイ理科の教科書」や「アリエナクナイ科学の教科書」に読後感が似てる。前著の方は和歌山県の教育委員会が有害図書指定しやがったもので、絶版になってしまったが。
秘密兵器などの厨二病の興味を使う事が、若者の科学への好奇心を育てる事が解ってない。オタク心ない科学なんか面白くない!!
たから日本は理系が衰退するんてすよ!
BOOK様ありがとう。正しいオタク心ある解説でした。しかしレールガン難しいなぁ。好きなのだけどなぁ。
プラズマの言葉で「じゃプラズマ兵器を」と考える男なので、とても面白かったです。ナノテクロボット放出はエゲツない発想でしたけれど。
こんにちは。
結局のところ、米軍は、
・大電流の供給
・砲身の摩耗
の二つがネックになったんじゃないかなって思ってます。
で、本邦は、
・大電流→キャパシタで何とかしる!
・砲身の摩耗→根性で何とかしる!
で何とかしているのかと(嘘
アレだ、新幹線とかの架線摩耗対応技術で……とか。(大嘘
※パリ砲とかは、撃つ度に砲身が削れるから、砲弾が少しずつ大きく(太く)なるんでしたっけ?
※砲身が許容限界に達したら、スパッとその場で秒で交換出来るシステムも開発中とかだと夢が広がります。こんな感じで。(動画の18秒以降あたり)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=21&v=y1KIzNawZgg&embeds_referring_euri=https%3A%2F%2Fdic.pixiv.net%2F&source_ve_path=MzY4NDIsMjg2NjY&feature=emb_logo
※ネタですから、ビーム砲で砲身交換って何だよ、とか突っ込みはナシで(笑)
※とはいえ、
・動画公開した事で、相当に自信がある&情報しか出してない(正否が不明)の中華に対しプレッシャーかける
・摩耗に一定の目処がついた、どう考えても電機子側をすり減らすのでしょうけれど……
のは、間違いの無いところかと。
こんにちは。
日本の場合は、デカイ砲弾は諦めたのでは?というのが僕の想像です。
弾体がデカくなれば必要電力も相対的に増えます。小さな弾体で何処まで効果を出すのか?という方向性になっている気がしますよ。
厄介なのは、弾速が上がると、レールや弾体の表面が蒸発してプラズマ化することで、コレを逆手にとってプラズマを駆動体に用いる方法もあるようです。動画を見ると何れも派手な火花が飛び散っていますが、あれはプラズマ化したレールや弾体表面のカスなんでしょうね。で、こういった問題を解消する方法として、弾体の周囲に鞘を設けて弾体を非導電性とする方法があるらしいです。日本の技術は電機子を使ってレールを繋いでる感じですから、プラズマ駆動体を使っている感じとは違いそうです。
表皮効果(周波数が高くなるほど電流が表面へ集中するので、導体の交流抵抗は高くなる)をどう解決しているのか?という話でもあるんですが、実射テストをしている以上は目処は付いているんだろうと思います。
>デカイ砲弾は諦めた
これです、ここがミソだと思ってます。
・大前提として、徹甲弾は運動エネルギーが威力を支配する(凄くおおざっぱな言い方、炸薬とか考えない)
・旧来の火薬砲では、弾速の向上は限度があった(火薬増やすと砲が保たない)
・対策は大きく二つ、口径デカくして弾頭質量増やす、サボスラッグ弾で弾速を上げる
・前者が大和の46cm、後者が戦車のAPFSDS。どちらも運動エネルギーはデカくなる。
・それでも火砲故の限界に達する。
・電磁砲なら、砲腔圧の問題からは解放され、初速を上げられる。
・初速が上がれば口径は小さくしても貫通力は変わらない。
・やったねパパ!明日はホームラン王だ!
軽量小径極超高速弾なら、射程も稼げるし弾着までの時間も短縮出来るし、超高速弾は被弾経始とか無視して侵徹するし、いいことずくめ。
砲身側の摩耗とかクリーニングとかが解決出来れば(発電問題はさておいて)実体弾としては夢の砲が完成するのでしょう。
※榴弾砲とかに関しては、初速はあまり重要でないし、口径が効く分野でもあるので、火薬砲がまだまだ生き残る、棲み分けるでしょう。
※レーザーと違って、煙や霧でも威力が下がらないし。
こんばんは!
木霊さんの追記と、防衛装備庁の詳細資料見つけて、結構わかった気がします。
まず
>レールや弾体の表面が蒸発してプラズマ化すること
これの対策が
https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2020/slide02_railgun.html
の4ページ目「過去のレールガン研究成果」
①C型電機子
左の「過去の課題」とあるころの「アーク放電」ってのが上記で問題にしている「プラズマ」でレールと電機子に微小隙間が出来ると放電が起こって発生します。
対策:右の写真と図。写真の金属部分が電機子、青色部分が(本来は)弾丸です。電機子をCの形にしてぐるりと電流を流すことで、弾丸を右側に押すと同時に、電機子を広げるような反発力でレールに押し付ける。
ことで電機子が高速に移動する間でも、微小な隙間ができることを防止してます。
②砲口アーク防止器、、、BOOKにはこの図じゃよくわからない。上手く放電経路逃げてるって説明だけど(笑)
だけど結果として米国レールガン
https://qph.cf2.quoracdn.net/main-qimg-6ed31b6745132a76bedf2f9507cb166e
が壮大に炎(プラズマの残骸)吹いてるのに対し、自衛隊レールガンは煙しか吐いてないのでしょうね。
【なぜアメリカは諦めたか】
上記資料の7ページ目「弾丸初速及び加速特性」
グラフ、横軸 加速時間(単位が[m/s]となってるけど恐らく[msec]の誤植)赤の曲線が加速度で値は右縦軸。
すると起動から1msec目【約10万G越え】砲長が同等ならGはアメリカでも似たようなもののはずだし、
自衛隊弾体 約300グラムだから0.3kg×10万=約30トン。米国弾 約30kgだから約3000トン!弾体にかかるわけで、まあ精密なメカを積むのは絶望的なのでほぼ無誘導弾となるのかな?
米国のレールガン採用目的は超・長射程を活かし、短・中距離ミサイル、ハープーンやトマホークを置き換えて激安にするぜ!
がモチベーションだったようですが。。。。
無誘導となるけど代わりにレールガンの弾速(マッハ6~8)でカバーと思っていたところに、中・露の極超音速兵器マッハ5~6。。。じゃあ極超音速兵器の対応の迎撃兵器でレールガン結局落とされちゃうじゃん!
で、止めたのでは?と。
【自衛隊は何を目指してるのか】
上記米国シタゴコロは要するに、地上要塞等を責めるオフェンス兵器用途ですが、自衛隊は
ディフェンスがメインですよね? なら?
同資料p.11「試作レールガンの概要」「口径40mm飛翔体約300g」てスペックは海上自衛隊採用のボフォース40mm機関砲に近い。
有効射程約10km 初速約1000m/sec、、他の流体力学諸元をスケール合わせすると、有効射程はおおよそ初速の2乗に比例するからボフォースをレーガンに置き換えると10km×(2230/1000)^2 ≒ 49.72km、 このレールガンの射程は約50km 初速2230m/sec
ウン。射程・弾速とも、極調音速ミサイルを20~30kmまで引き付けてからでも5~8秒の余裕があって迎撃には十分と言うか最適。 ハマスみたいな5千発は無理だけど、
沖縄・九州の航空基地向けくるシナ・韓国・飽和ミサイル攻撃は、弾道ミサイルか極超音速な精密ミサイルのはずで、これを迎撃する場合。パトリオットは弾数が足りなくて不安だけど、それを補うには、有る意味最強の兵器かもしれない。
欲を言えばもう少し連射性能が欲しいけど、そこはタンデム化とかすれば。。。
長々とお粗末さまでした。
こんばんは。
苦心の追記を読んで頂きありがとうございます。
実は結論を書き忘れていて、ご指摘いただいた感じの結論を書き加えていますが、僕もBOOKさんと結論は同じです。迎撃用にするのかなぁ、という話。
速射性能は演算などの関係で難しいでしょうから、タンデム化するんじゃないですかね。それと、おそらく砲身に仕込むレール交換を容易にできるような仕組みを考えている気がしています。砲身、長方形ですからねぇ。
「日本は大口径をあきらめた」と言うのは、ある意味正しいかもしれません。
小生が先日開催された防衛関係の講演会/展示会で担当者から聞いたのですが、
今後、大口径化を目指すのですか? と言う質問に対して、
その通りだが、むしろ小口径化も考えていると言っていました。
それで、なるほど狙いは対空機関砲か…と思った次第です。
また、砲身はコーティングしてますね?との質問にはニヤっと笑って答えませんでしたw
(写真の色から推定)
小口径でも十分に意味があると判断したのでしょうね。
大口径の弾を代替できる方が経済性は高そうですが、小口径の弾をバラ撒くことを考えたら、小口径でもコストが下がれば使用弾数を鑑みるに元が取れるのではないかという判断かもしれません。
レールの負荷も小口径の方が軽く済みそうだし、技術的なハードルが下がるのかも?
コーティングは当然やっているのでしょうが、おそらくは日本お得意のセラミック系のコーティングじゃないのかなと。