コメントを頂いたので、少し触れておきたい。
Hanwha to showcase cutting-edge aerospace solutions at Farnborough Airshow 2024
Jul 18, 2024, 04:20 ET
SEOUL, South Korea, July 18, 2024 /PRNewswire/ — Hanwha Aerospace will join the 2024 Farnborough International Airshow with a strong presence, offering a range of advanced solutions in the aviation and space domains.
~~対訳~~
ハンファ、ファーンボロー・エアショー2024に最先端の航空宇宙ソリューションを出展
ハンファ・エアロスペース(Hanwha Aerospace)は、2024年ファーンバラ国際航空ショー(Farnborough International Airshow)に強力なプレゼンスで参加し、航空および宇宙領域でさまざまな先進的ソリューションを提供する。
PR Newswireより
この記事の中で、ハンファ・エアロスペース社が、新型エンジンの試作品を公開するという内容があった。
本当に自国開発!?
もう試作品が?!
これについて、航空万能論さんのところでも触れられていた。もちろん、この記事は読んでいる。

航空万能論さんのところは比較的公平な視点から記事を書かれるので、いつも参考にさせてもらってはいるのだが、この件に関しては情報が出てからにしようかと考えていたんだよね。この頃、韓国の兵器に関してはジャッジが甘めな気がするし。
そう、僕が考える理由は幾つかあるのだけれど、1つはこちら。
今年の3月に突如、「国産エンジンを開発するぜ!」とか言い出したのである。いや、多分唐突にではなく、以前から計画していたのだと思う。しかしそれにしたって、新開発の戦闘機がまだ完成してもいないのに、それに搭載する新型エンジンの話をし始めたら、誰だって面食らう。
それが、既にエンジンの試作品が存在するという。マジで?
At the biennial event taking place from July 22-26, Hanwha Aerospace will showcase the prototype of a homegrown 15,000lb.-thrust-class turbofan engine on par with GE’s F414. This will be the first unveiling of the Korean aviation engine concept, as the engine is expected to power South Korea’s KF-21 jet fighters in a future tranche and uncrewed combat aircraft as well.
~~対訳~~
7月22日から26日まで開催される2年に一度のイベントで、ハンファ・エアロスペースはGEのF414と同等の推力15,000ポンド級の国産ターボファンエンジンの試作品を展示する。このエンジンは将来的に韓国のKF-21ジェット戦闘機や無人戦闘機にも搭載される予定であり、韓国の航空エンジンコンセプトの初公開となる。
PR Newswireより
記事では、確かに「試作品(the prototype of a homegrown 15,000lb.-thrust-class turbofan engine)を展示」と書かれてはいる。けれど、多分モックアップが出てくるだけなんだろうな、と。
エンジン契約は6月に
6月にも似たような話はあった。
ハンファエアロスペース、5562億ウォン規模のKF-21エンジン供給契約
登録 : 2024-06-26 11:46:03 修正 : 2024-06-26 11:46:03
ハンファエアロスペースが国産超音速戦闘機「KF-21」のエンジンを供給するため、防衛事業庁と5562億ウォン規模の契約を締結したと25日、明らかにした。
契約期間は2024年6月から2027年12月までだ。 ハンファエアロスペースはこの期間、KF-21に搭載されるF414エンジン40台余りと予備モジュールなどを納品し、エンジン整備の教範と現場技術支援など、後続軍需支援も提供する。 今回の契約を通じて納品されるエンジンは、KF-21初の量産1次分に搭載される。
~~略~~
ハンファエアロスペースは、KF-21の量産終了時までエンジンを供給する予定だ。 ハンファエアロスペースは45年間蓄積された航空エンジン技術を基に、自主国防に貢献する一方、今後、韓国独自の航空エンジン開発のための基盤を確保できるものと期待した。
亜州日報より
この記事だ。
この記事が出た時期に、僕も別の記事を引用してハンファ・エアロスペース社がエンジン契約をゲットした旨の話に触れた。
20機の双発機を作るのに、40基のエンジンを契約?!と驚いた事を覚えているのだが、ハンファ・エアロスペースは、「今後、韓国独自の航空エンジン開発のための基盤を確保できる」と鼻息を荒くしていたんだね。
普通、この文脈で記事を書かれたら、「ああ、これから開発するんだ」と思うよね?ところが、既に試作品があるというのだから、その存在を疑うのも無理はない。
1万基目の航空エンジン出荷
更に、4月にもこんな話はあった。
韓国ハンファエアロスペース、1万基目の航空エンジン出荷…「これからは独自エンジンに挑戦」
2024.04.16 14:28
12日、慶尚南道昌原市のハンファエアロスペース昌原第1事業所のエンジン試運転室。同社が生産した1万基目のエンジン「F404」が出庫前最後の燃焼試験を控えていた。カウントダウンの末に試運転レバーが引かれると、轟音とともにF404エンジンが点火された。エンジン後方から青い炎が力強く吹き出た。「試運転成功」という叫びが試運転室に鳴り響いた。
中央日報より
航空機エンジンメーカーとして、ハンファ・エアロスペース社が努力してきた結果、1万基ものエンジンを出荷したとのこと。ライセンス生産を続けてきたので、エンジンの構造自体は理解しているのだろうし、それなりのノウハウの蓄積もあるはずだ。
ソレは良いんだが、しれっと嘘を書かれてしまっている。
航空ジェットエンジンは圧縮機、燃焼機、タービンなど核心部品を含め少ないものは数千点、多くて数万点の部品を組み立てて完成する。それだけ精密機械技術力が重要だ。現在独自でエンジン設計技術を持つ国は、米国、英国、フランス・ロシア、ウクライナ、中国の6カ国だけだ。民間企業では米国ゼネラルモーターズとプラット・アンド・ホイットニー、英国のロールスロイスの3社が寡占する。これらはミサイル拡散防止条約(MTCR)、米国政府の国際武器取引規定(ITAR)と輸出管理規定(EAR)など各種規制を通じて市場支配力を維持してきた。
中央日報より
いや、日本のIHIも自主開発エンジン持っているんだが?
まあ、最近のエンジンとしてはこの記事にあるXF-9の他にX-2実験用航空機に採用されたXF5-1くらいだが、T-4練習機に搭載されているF3-30という実用エンジンが存在する。いや、忘れてはいけないF7エンジンがあった。P1哨戒機に搭載されているエンジンで、もちろん自国開発である。
……思わず話がそれてしまったが、ともかくハンファ・エアロスペース社はやる気だということである。
この日同社は2030年中後半までに韓国政府とともに1万5000ポンド級先端航空エンジンを独自開発するというビジョンを発表した。KF21戦闘機に搭載されたF414と同級エンジンを開発するということだ。現在F414エンジンはハンファエアロスペースがGEのライセンスを受けて生産し韓国航空宇宙産業(KAI)に納品している。ハンファエアロスペースはさらに次世代戦闘機である第6世代戦闘機のエンジン開発も推進するという。
中央日報より
やっぱり、モックアップ展示じゃないのかな?
「開発するということだ」「次世代戦闘機である第6世代戦闘機のエンジン開発も推進する」とある。今年の4月時点の話だよ、これ。
KF-21の開発に成功した!
というわけで、なんとなく納得はいかないのだが、ともかく元記事にはエンジンの試作品を展示するというから、ワクワクしながら待っていたいと思う。
ただ、この記事は他にも不可解な記述が幾つかある。この部分もそう。
The homegrown engine initiative came after decades of engine manufacturing and production achievements through technical cooperation with global top engine makers. Hanwha Aerospace is the only manufacturer of aero gas turbine engines in South Korea, achieving a major milestone of producing over 10,000 engines in April 2024.
“Leveraging our decades of accumulated experience and exceptional expertise in aircraft engine manufacturing, we’re fully committed to developing an aero turbofan engine of our own technology,” said Executive Vice President Mr. Kim Won-wook, Head of Advanced Aero Engine Business Unit. “With the successful development of K-21 fighter jets, and growing defense industry capabilities in Korea, we are confident in the success of our endeavor.”
~~対訳~~
この国産エンジン構想は、世界トップクラスのエンジンメーカーとの技術協力による数十年にわたるエンジン製造・生産実績の後に実現した。ハンファ・エアロスペースは、韓国で唯一の航空ガスタービンエンジンメーカーであり、2024年4月には10,000基を超えるエンジンを生産するという大きな節目を達成する。
「航空機エンジン製造における数十年にわたる蓄積された経験と卓越した専門知識を活用し、当社は独自技術の航空ターボファンエンジンの開発に全力で取り組んでいます。「K-21戦闘機の開発に成功し、韓国の防衛産業の能力が高まっていることから、私たちはこの試みの成功を確信しています。
PR Newswireより
既に、KF-21の開発は成功したことになっているんだよね。
まあ、確かにテスト機は順調に飛行しているけれどもさ。鼻息が荒くて実に韓国らしいといえば、韓国らしいのだが、研究開発は謙虚にやろうね。
コメント
エンジン開発予算を獲得するためにこういった記事が出ているのでは、と推測。なんか空母の時も同じような感じでしたよね
エンジン開発予算の獲得のために強気になっていると。
なるほどそういう考え方もありですかね。
空母の話は……、どこかいっちゃいましたねぇ。
韓国発のニュースで”そうなんだろうな”と一応受け止めるのは、事故・事件のニュースだけ
まあ、とりあえず様子見ということで。
こんにちは。
頭をよぎるは、K2戦車のパワーパック騒動ばかりかな。
うれしくもあり、うれしくもなし。
まあ、ネタには困らないですよね。
こんにちは。
K2戦車のパワーパック、「完成した」と言われたり、「トルコで搭載が始まった」と言われたり、いい感じのニュースは時々耳にするんですが、どうしてもパワーパックの国産化にたどり着けないようで。
K1戦車のパワーパックも海外に頼っていますから、仕方がありませんが。
今日は。
先発メーカーの知財回避が出来るのか、素材、部品の開発は大丈夫だろうかなど、課題は多いと思いますが、お手並み拝見というところでしょうか。ロケット開発もそうでしたが、小型エンジンの開発から地道にやっていったほうがよいと思いますが。
ハンファエアロスペースはGEのKF-21向けF414-GE-400Kを製造しているけど割合は50%で多分いつも通り重要構成部品はGE製だろうからいきなりF414クラスのエンジンを100%韓国で製造できるというのはどうなんだろうね。
F414を参考にしただけなのにGEに特許侵害やF414-GE-400Kの製造時に結んだ契約違反で訴えられたとかになったりして・・・
こんにちは。
知財回避以前に、完全にコピーするならともかく、果たして違うエンジンとして設計できるかは疑問です。素直にライセンス料を支払ってエンジン作ったほうが良いように思いますよ。
ロケットエンジンも拡大設計したらしく、理論がわかっているかどうか疑わしい部分も。未だにヌリ号4号機の打ち上げの話を聞きませんし。
4号機でしたら、1・2号機の試験と3号機の実用打ち上げの結果を反映して、来年11月に打ち上げ予定ですよ。その後は1年毎に打ち上げ。
https://ja.namu.wiki/w/%EB%88%84%EB%A6%AC%ED%98%B8/%EB%B0%9C%EC%82%AC%20%EA%B8%B0%EB%A1%9D%20%EB%B0%8F%20%EA%B3%84%ED%9A%8D#s-3.2.2
確認させていただきました。
なるほど、来年末なんですね。
それはまた時間を開けるんだな、と。
予算の関係というよりは、あまり関心が高くないのでしょうか?