近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。
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支那の工作船が今度は台湾の海底ケーブルを損傷させる

台湾ニュース
この記事は約7分で読めます。

工作船の本領発揮。台湾の海底ケーブルは執拗に狙われているね。

中国の貨物船、台湾の海底ケーブルを損傷させた疑い…意図的にいかりを引いて航行か

2025/01/06 19:09

台湾の海巡署(海上保安庁)は6日、読売新聞の取材に対し、中国の貨物船が台湾北部の海底ケーブルを損傷させた疑いがあるとして、貨物船の寄港先の韓国に捜査協力を依頼したと明らかにした。同署によると、台湾の通信会社から3日、ケーブルが損傷したと連絡があった。

讀賣新聞より

世界各地で、海底ケーブルを切断する工作を行っているのが、支那の貨物船である。

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敷設と破壊

犯人は支那工作船

バルト海でやらかしたニュースは去年末に紹介したが、犯人は直ぐに分かった。

最近は、インターネットが重要インフラの位置づけになっているため、海外と接続するための海底ケーブルは、各国にとって非常に重要な設備である。

ところが、これを世界各国で切断して回る工作船がある。記事では「貨物船」と書かれているが、偽装しているだけだろう。

英紙フィナンシャル・タイムズは5日、関与が疑われる貨物船は、中国人が取締役を務める香港の会社の所有と報じた。

讀賣新聞「中国の貨物船、台湾の海底ケーブルを損傷させた疑い」より

そして、過去にも台湾の海底ケーブルを支那の工作船が破壊していった事案があったことを触れている。

こういった、支那による工作は日常茶飯事で、彼らにとっては十八番なのである。

海底ケーブル切断で電話やネット遮断、中国船関与か…台湾本島で同様の事態懸念

2023/03/03 07:51

台湾が実効支配する馬祖列島と台湾本島を結ぶ通信用の海底ケーブル2本が2月上旬に相次いで切断され、島民の生活に支障が出た。中国の船舶が関与したとみられ、台湾有事となれば本島が同様の事態に陥る懸念が強まっている。

讀賣新聞より

2023年2月にも2箇所のケーブルが切断されて騒ぎになったが、それ以前にも海底ケーブルは狙われていたようだ。

クリーン・ネットワーク構想

そもそも、この海底ケーブルの話は、数年前に遡る。

「情報が筒抜けに」 海底ケーブルでも「中国排除」鮮明にしたアメリカ

更新日:2020.11.01 公開日:2020.11.01

1850年代に初めて英仏間に敷かれて以来、大西洋や太平洋などの海の底に張り巡らされてきた海底ケーブル。海の情報ハイウェーとも称され、総延長は地球30周分の長さに達する。サイバー空間を構成する要素として重要で、今夏、米中が激しい火花を散らした。サイバー空間を巡っては、日米欧と中国、ロシアで管理の立場が異なり、国際的なルール作りは進まない。

GLOBE+より

こちらの記事で紹介されているが、海底ケーブル敷設を巡って、アメリカと支那とで攻防が激化していた時代があった。というか、今もかなり大きな問題となっている。

今年8月、海底ケーブルがにわかに脚光をあびた。ポンペオ米国務長官がクリーン・ネットワーク構想を明らかにして、スマホアプリや通信キャリア、海底ケーブルなど5分野で中国企業を排除し、同盟国やその国の企業だけでネットワークをつくると宣言した。背景には中国企業の台頭がある。

米サブコムとNEC、フランスのアルカテル・サブマリン・ネットワークスの日米欧3社で世界シェアの9割を占めてきた。割って入ろうとしたのが中国「華為技術(ファーウェイ)」の関連会社だった。

GLOBE+「情報が筒抜けに」より

情報通信の世界でファーウェイ排除は合い言葉のようになっていて、支那はダンピングのようなやり方で、海底ケーブルのシェア拡大を図っている。

そりゃ、政府の後押しもあって圧倒的に価格が安いのだ。

しかし、支那に海底ケーブルインフラを握られると、その情報は支那当局に筒抜けになる可能性が高いと、アメリカは考えた。だからこそ、5Gや海底ケーブルのネットワークから、支那を排除したいと考えたわけである。

NEC、太平洋島しょ国の海底ケーブル受注 日米豪が支援

2023年6月6日 17:39

NECは6日、太平洋の島しょ国を結ぶ光海底ケーブルの敷設を受注したと発表した。受注額は非公表。日本、米国、オーストラリアの政府が支援し、ミクロネシア連邦、キリバス、ナウルの3カ国で4つの島を結ぶ。これらの地域では、中国企業によって海底ケーブルを敷設する計画があったが、米国などが懸念を示し頓挫していた。

日本経済新聞より

実際に、ミクロネシア周辺の海底ケーブル受注にも、アメリカを中心とした資本が動いた結果、日本が受注することになった。

敷設できないなら破壊する

とまあ、こういった事情があるので、海底ケーブルのシェア争いは熾烈を極めているし、支那に敷設を任せるとなると、大きな問題が幾つも浮上してしまう。

なお、この話は洋上風力発電も同じなので、注意して欲しい。

新記録!中国で26メガワット級洋上風力発電ユニットがラインオフ

2024年10月24日 14:00

中国東方電気集団が開発し、完全に独自の知的財産権を有する26メガワット級洋上風力発電ユニットがこのほど、中国南東部福建省福州市の福建三峡洋上風力発電国際産業パークでラインオフしました。

AFPより

去年の10月にこんなニュースがあったが、支那では洋上風力発電にもかなり力を入れている。

風力発電機、中国勢のシェア6割に 米欧抑え一極集中

2023年8月18日 19:00

再生可能エネルギーの切り札である風力発電機で、中国勢のシェアが急激に伸びている。国際団体の世界風力会議(GWEC)の調査で、2022年に導入された風力発電機のうち6割弱を中国勢が占めたことが分かった。太陽光パネルも中国勢が世界首位で、再生エネ産業で中国の一極集中が一段と強まっている。

日本経済新聞より

二酸化炭素悪玉論を世界中にバラ撒いて、再エネ発電を加速し、その中核を担う太陽光発電設備と風力発電設備のシェアを奪う。これが何を意味するのかと言えば、エネルギーインフラを支那が抑えるということを意味する。

今や、風力発電機のシェアは世界の6割。太陽光発電パネルのシェアは原料ベースなら9割という状況である。誰が再エネ発電を加速させたいかは良く分かる話だ。

そして、洋上風力発電もその延長線上にあるわけだが、ここに力を入れる理由は別にある。洋上風力発電を設置するにあたって、周辺海域の調査を支那企業の手によって行うということになる。

海底ケーブル敷設の話も、通信インフラを抑えるという意味以上に、海底調査を行うという意味の意義は大きい。

そして、マーケットを奪えなくとも、見積もりするために海洋調査を行っておけば、破壊する為の地図が手に入れられるということになる。

実際に戦争を起こすかどうかという点はともかくとして、そういった工作活動に勤しむのが彼らのやり方なのである。

更に言えば、支那はこういった破壊活動を平気で行うが、発想を転換すれば、日本だって同じ事は可能であるし、アメリカだってそうした工作をやってくる可能性があることは念頭におくべきだろう。国家安全保障のデザインは、様々なリスクを想定して行う必要がある。軍事によらない世界への影響力行使ということだって、経済安全保障という観点からいえば重要なポイントである。

追記

追加情報があったので、紹介していく。

台湾海域 ケーブル損傷 “中国の嫌がらせの可能性排除できず”

2025年1月7日 4時51分

台湾の沿岸警備当局は、中国人が乗船した貨物船が台湾北部の海域で海底ケーブルを損傷させた疑いがあると発表し、中国による嫌がらせの可能性を排除できないとしています。

台湾の沿岸警備を担当する海巡署は6日、カメルーン船籍の貨物船が今月3日に台湾北部の海域で海底ケーブルを損傷させた疑いがあり、捜査していると発表しました。

NHKニュースより

NHKニュースも触れているが、「カメルーン船籍の貨物船」という表現を使っていて、これ、便宜置籍船の疑いが強い。

便宜置籍船とは、その船の事実上の船主の所在国とは異なる国家に船籍を置く船をいう。実質的な所有主の国籍国の船旗ではなく、便宜的に船籍を置いた他国の旗を付けて運航されている。要は、船籍偽装がなされているんだよね。

船主は所有船を国家に登録しなければならず、本質的には船主の所属国に登録する必要があるのだが、現在そうした規制はない。有名なのはパナマ船籍だが、モンゴルやボリビアなど海岸線を持たない国家も船籍割り当てがあるので、こういった国家の船籍を名乗る船も少なくない。

そして、今回は便宜置籍船であり、かつサブスタンダード船である疑いが強いと言われている。サブスタンダード船は、SOLAS条約などの国際条約に定められた基準を満たしていない船のことで、老朽化した装備の不十分な船であることが多い。

サムネイルにも使ったが、こんな感じの貨物船である。現役の船であるかも疑わしい老朽化っぷりだが、世界ではこういった船舶を利用して犯罪を行っている組織も少なくない。

より一層、工作船の疑いが強くなったね。

コメント

  1. BOOK より:

    ボーっと外から眺めてる立場からすると

    「海底ケーブルってこんなに脆弱、簡単に切断できるんだ」と言う驚きと これだけ多方面、多数だと こんなの誰得? と言う疑問が湧く。

    詳細背景を解説頂いた後だとシナ得なのかな?とは思えますが、

    素朴論に無理矢理たち還ると
    そう簡単に切れない「SpaceX」の評価 爆上がりだよな。

    と 心の曇った邪推が(苦笑)

    • 木霊 木霊 より:

      海底ケーブルの「有効な破壊の仕方」をしっかりご存じだからこそ、容易に切断したように見えるのでしょうね。
      噂によると台湾海峡周辺だけで、過去30回近く切断事件が起こっているようで。

      通信手段としてSpeaceXが優秀というのは、なかなか皮肉な話ですね。イーロン・マスク氏の高笑いが聞こえてきそうですよ。

  2. 砂漠の男 より:

    支那による海底ケーブル破壊工作は確定なので、対策(お仕置き)として、
    それが自分たちに跳ね返った時のダメージを教えてやればいいでしょう。
    手始めに、日・支間の海底光通信ケーブルを米国に壊してもらいましょう。
    石破政権が支那寄り過ぎることは、米国の利益にならないでしょうし、
    イーロン・マスク氏も、StarLinkの顧客が増えるなら反対しないでしょう。
    支那は自分もやられる立場であって、海底送電線もそのうちやられるかも
    と知れば、牽制くらいにはなるでしょう。
    日本は支那や再エネに頼らず、全原発の再稼働を目指しましょう。

    • 木霊 木霊 より:

      海底ケーブルの切断は、支那にとってもメリットばかりでは無いと思うんですがねぇ。
      とはいえ、言論統制をするお国柄ですから、自分の思い通りにならないモノは破壊してしまえというのは分かり易いというか。

      発電の方も、日本独自の政策をお願いしたいところですが、去年末に出たエネルギー基本政策の骨子は、まあ酷かったですよ。

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    日本の場合、電信用のケーブルだけでなく、SOSUS用のケーブルも狙われてるんじゃないでしょうかね。
    地震観測用のケーブルも。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      SOSUS用のケーブルも間違いなく狙われているようですし、過去に切断事件もあったとか。
      他の方法も模索している感じですけれどね。