ふーん。日本維新の会の政策を、立憲民主、日本維新の会、国民民主の野党3党出だす流れか。
給食無償化法案を提出=公立小中が対象―立維国
2024-12-23 17:06
立憲民主、日本維新の会、国民民主の野党3党は23日、公立小・中学校の給食費を無償化する学校給食法改正案を衆院に共同提出した。野党が一致しやすいテーマで連携し、政府・与党に実現を迫る。
時事通信より
分かり易い身近なテーマだとは思うんだけど、これは今すぐやる必要のある制度なのかな。
無償化にする手法を考え直して欲しい
経済効果は薄いバラマキ政策
個人的に、給食無償化に反対するつもりはないんだけど、財源はどうすんのさ。
必要な費用は年間約4900億円で、2025年度予算案に反映させ、同年4月からの実施を目指す。立民の長妻昭代表代行は国会内で記者団に、野党が結束する重要性を指摘し「野党をまとめて与党にぶつけていく」と語った。
時事通信「給食無償化法案を提出」より
財源の話を持ち出した時に、「あれ、103万円の壁の時にはそんな話をしなかったよね」という疑問を持たれる方もいるとは思う。
この給食無償化の話と103万円の壁の話は似ているが、期待できる経済効果としてはややショボい。
もちろん、子供がいる家庭が負担している子供1人あたりの給食費は、公立小学校で年間4万円程度。これが手取りとして増えることを考えれば、子育て世帯はありがたいと思う。我が家も然りである。
一方、103万円の壁を178万円まで引き上げた場合の年収500万円程度の家庭では、年間13万円程度の手取りの増加ということなので、多くの家庭が歓迎するだろう。
そして、給食無償化に必要な年間予算は4900億円であるのに対し、103万円の壁を178万円まで引き上げた際の減税額は7兆円相当と、必要とされる予算額は大きく違う。これをこのまま鵜呑みにするのは宜しくないが、仮にこれだけの手取りが増えるとした場合の乗数効果は雲泥の差ということに。
つまり、国民民主党案を否定して給食無償化というのはやや筋が通らないというか、筋が悪いといわざるを得ない。
良くも悪くも国民民主党案は、所得税を支払う納税者に広く普く効果がある。
政策としてみた場合の給食無償化
とすると、給食無償化というのは子育て世帯に対するバラマキだということになる。まあ、それが悪いとは言わないが……。
一応、全国PTA連絡協議会が論点を纏めていたので、参考にしていこう。
<メリット>
- 給食費の集金事務や滞納対応の解消
- 学校給食費などの公会計化
- 貧困世帯の経済的負担の軽減
<デメリット>
- 自治体の財政負担
- 資源の配分
- 給食の質や量の低下リスク
この話の前提として、現在行われている給食無償化は地方自治体が各自負担しているという制度になっている。したがって、デメリットの方はやや理解しにくいモノが並んでいるのだが、一番下の「質や量の低下リスク」も含めて政府が地方自治体に交付金を出す形で政府負担にすれば、挙げられているデメリットは解消する。
そうすると、事務手続きが減るというメリットが一番大きいのだろうと思う。国税を投入する価値があるかといえば、教育にかける投資が一番効果が高いことを鑑みても悪くはないだろうと思う。
ただ……、この話は別の方向の解決方法もある。それは、子供手当から給食費を天引きする方法である。この手法はやや乱暴ではあるが、一律無償化にしてしまった場合に、何らかの事情で給食が食べられない子供達や私立の小中学校に通う子供達に対する公平性は担保される。例えば、食品アレルギーであったり、宗教上の理由であったり、だ。こうした子達からは現在、お弁当を持たせる代わりに給食費を取らないというような形になっている。
私立はどうなっているかは詳しく知らないのだが、文科省の調査によれば私立小学校の完全給食率は40.1%。つまり、お弁当にしているところもあるって事だよね。
税金で全額負担というのは、そういう意味では違うように思うわけだ。何だったら、子供手当を若干増額した上で、公立の小中学生は給食費をそこから天引きにすれば、保護者からの理解も得やすいハズだ。
では、今回提出の案はどうかというと……。
法案では、学校給食に必要な経費は小中学校などの設置者が支払うとした上で、このうち、公立の小中学校については原則、その費用を国が負担するとしています。
一方、私立などについては、給食に関する実態把握が十分ではないとして、当分の間、保護者の負担とするとしています。
NHKニュースより
これなんだよなぁ。
政治的駆け引きの材料
とまあ、給食無償化の方向性自体は、やや異論はあるものの反対する気はないんだが、現在、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の連合で法案提出した話には物申したい。
それはつまり、政策を政治のオモチャにしているだけでは?
維新の青柳仁士政調会長も記者団に「こういう動きをすれば、自公にもしっかり考えてもらえる」と表明。教育無償化に関する自民、公明、維新の3党協議の進展に期待を示した。
時事通信「給食無償化法案を提出」より
基本的なところは、教育無償化という看板を掲げた日本維新の会の政策なのだが、
が、ここでいう「協議の進展」と言うことの意味は、ちょっと違うのだと思う。
自公、維新呼び込む教育無償化 予算成立へ協力模索
2024年12月19日 19:45
自民、公明両党は19日、日本維新の会と教育無償化に向けた実務者協議を始めた。高校授業料や小中学校の給食費を無料にする維新の主張を聞き、2025年度予算案への賛成を期待する。国民民主党との協議は難航しており、協力を模索する野党を広げる。
日本経済新聞より
何というか、政治的意味合いが強いのである。
維新が予算案賛成へ 「うちだけ成果ない」→教育無償化で自公と協議
2024年12月12日 10時17分
日本維新の会は12日午前の両院議員総会で、看板政策の「教育無償化」をめぐり自民、公明両党が3党による協議体の立ち上げに応じたとして、今年度補正予算案に賛成する方針を決めた。総会後、前原誠司共同代表は「教育無償化の3党協議の枠組みの設置を含めて政治的な判断をした」と述べた。
~~略~~
これに対し、維新は補正予算案と自民の修正案の両方に賛成する方針。維新内には「国民民主と立憲が成果を得ているのにうちだけ何もないわけにはいかない」(幹部)との危機感が出ていた。
朝日新聞より
いやまあ、何というか、コレって本当に国政のことを考えてのことかは、凄く疑問を持つ話だよね。
もちろん、政策が良いかどうか?という議論をすべきなのであるから、どのような動機であれ、良い政策であれば歓迎したいところだ。だが、そうであるならば、僕の提唱する天引き案の方が優れていると思うんだ。
え?違う?
何にせよ、しっかりとした政策議論をしていただきたいところである。
コメント
こんにちは。
この手の問題が出てくるとすぐに「ここでしか食事を得られない子供が居る!」とか騒ぐ人達が居ますよね。
正直「知らねーよ」です。
少なくとも、学校がどうこうする話ではない。
それは、家庭の話。
同じ理由で、子供食堂とかにも七面鳥は否定的です。
※飢えている子供に食事を与える事自体はむしろ絶賛します。
※あくまで「末端」ではなく「根本」をなんとかしろ、と言う意味で。
大体からして、給食費を無償化する前に、給食費を払わない毒親を何とかした方が、世間には受けがいいような気もしますが、どうでしょうね?
※親から追徴金込みで差し押さえに行くとか。ただし、子供に少しでもデメリットが出る(ネグレイトが酷くなるなど)事は避けたいので、毒親根絶の実施は難しいですが……
こんにちは。
> 大体からして、給食費を無償化する前に、給食費を払わない毒親を何とかした方が、世間には受けがいいような気もしますが、どうでしょうね?
そこで子供手当から天引きですよ。
というか、この手の毒親を相手にしないといけない行政コストの削減の方が、お役所的には喜ばれます。毒親根絶は不幸の連鎖でもあるので、どうもならんと思いますし。
正直、本文にも書きましたが、給食無償化自体は特に問題ないと思っております。「他にやることがあるだろう」「今それ提案することに理解が得られるの?」といった疑問はありますが。
>給食無償化自体は特に問題ない
総論賛成、であります。
疑問はお説の通りですし、「声のデカい」対象者「だけが」得するような事が無ければ、ですが。
天引きについて、現状でも「生活保護の保護費支給の際に、子供の給食費を『代理納付』する」という制度があるので、児童手当の支給時に給食費を天引き(代理納付)は、既存制度の流用でいける気がしますね。
それにしても、103万の壁で財源論とかシステム改修とかを持ち出した連中は、今後のあらゆる政策に「財源は?」「システム改修大変じゃん」と突っ込まれることを考えていなかったのでしょうか?
そういえば、給食費の代理納付ってのがありましたね。
https://www.mext.go.jp/content/20230821-mxt_kenshoku-100003364_4.pdf
ただこれ、「保護者の同意」と「口座を聞く」というハードルがありますから、なかなか有効活用できていない模様。
そしてこのペーパーを読むと、設計として「子供手当から自動的に引き落としにする」というのは、なかなか大変そうですね。できるのであれば、さっさとやっているのでしょう。
小学校や中学校への進学手続きをやる時に、上手いこと誘導して同意を貰う形にできれば、やれる気はしますが。