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多少健全になった税制の議論と「103万円の壁」の話

政治
この記事は約9分で読めます。

いい加減ウンザリしてきたのだが、お金の話は揉めるよね。

頭越しに重要方針決定され…不満噴出の自民税調、落日ぶりが鮮明

2024/12/12 20:06(最終更新 12/12 21:12)

大詰めを迎える「年収103万円の壁」引き上げ議論は、「少数与党」である自民、公明両党の政権運営そのものに大きく影響する。それゆえ、11日にはこれまで協議を続けてきた自民、公明、国民民主3党の税制調査会を超えて、3党幹事長の「トップダウン」で「178万円を目指して、来年から引き上げる」という大方針が決まった。自民税調からは不満も噴出するが、その落日も一層鮮明になっている。

毎日新聞より

正直、経済の記事は他の方にお願いしたいところなので、この話は余り突っ込まなかったんだけど、毎日新聞の書き方が面白かったので紹介したい。

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議論の中身が見えるようになった

ダブスタクソヤロウ

ええと、幾つか記事は書いたね。

この話は随分揉めている印象だけれども、何がやりたいのかサッパリ分からない。これに関して自民党支持しているポストも色々いるんだけど、もうどうしようもない。

引用すると角が立ちそうなので止めておくが、彼らは壊れたラジオの様に国民民主党に対して「財源が-」とか言うのだ。

自民 公明 与党税制改正大綱を決定 控除額123万円に引き上げ

2024年12月20日 19時17分

来年度の税制改正をめぐり、自民・公明両党は「年収103万円の壁」を見直し、控除額を123万円に引き上げるなどとした与党税制改正大綱を決定しました。

NHKニュースより

ところが、自民党のこの方針に対して「財源がー」というのを見たことがない。彼らのロジック通りなら、2兆円ほどの財源が必要なのに、ねぇ。

何故なら、政府が7~8兆円の減税になると主張する根拠はこちらだからだ。

画像は別途引用しておこう。

なかなかのガバガバっぷりであるが、この計算式を用いると所得税の方は約500億円×20=約1兆円程度、住民税の方は約550億円×20=約2兆円程度(?!1兆100億円という計算なんだけど、ペーパー通りなら2500億円を繰り上げて1兆円にしているから)となる。

あれ?2~3兆円の減収になるのでは??

特段の財源確保を要しない

ところがそうではないようだ。

基礎控除などの123万円までの引き上げ案について大綱は、「特段の財政確保を要しないものと整理する」としている。基礎控除などの123万円までの引き上げは、過去30年にわたる生活必需品を多く含む基礎的支出項目の消費者物価上昇に見合った必要な措置である一方、税収減の規模がそれほど大きくならないことから、特段に恒久財源を確保する必要がない、という意味と考えられる。

他方で、「仮に今後、これを超える恒久的な見直しが行われる場合の財政影響分については、歳入・歳出両面の取り組みにより、必要な安定財源を追加的に確保するための措置を講じるものとする」としている。123万円までの引き上げであれば、特段に恒久財源を確保する必要はないが、国民民主党が求めるそれ以上の水準への引き上げとなれば、恒久財源の確保が必要となる、つまりハードルは上がると主張しているのである。

NRIより

なんと、123万円までであれば「特段の財源確保を要しない」としているのである。意味不明である。

じゃあ、178万円まで引き上げた場合の財源は7~8兆円ではなく、5~6兆円にならなければおかしい。

論理矛盾を感じるのは僕だけではないはずだが。

他にも、乗数効果を無視しているとか、色々不適切な部分が見え隠れするのだが、それを一切論じないのが自民党のスタンスのようだ。詳しくは、新宿会計士様のサイトを読んで頂ければと思う。

根拠薄弱…ペラペラの「7~8兆円の税収減」説明資料 | 新宿会計士の政治経済評論
やっぱり、「7~8兆円の減収」とする政府の試算は、誤りだったようです。国民民主党の玉木雄一郎氏(※代表としての役職停止中)は6日、「年収の壁」引き上げによる税収減の試算値を与党側から示されたとし、その内容をXにポストしたのですが、これは浜田...

この辺りを気にしないというか、理解出来ない方がこんな発言を。

年収103万円の壁問題 自民・小野寺氏「財源の議論を」

2024年12月22日 12:05

与野党の政策責任者らは22日のNHK番組で、所得税の課税対象になる「年収103万円の壁」の問題などを議論した。非課税枠の拡大について、自民党の小野寺五典政調会長は「どういう形で財源を得ていくかをしっかり議論していく必要がある」と主張した。

日本経済新聞より

小野寺氏は防衛面には明るくとも、税制面ではこんな調子である。

103万円の壁見直し「おかしい」 自民・小野寺政調会長

2024年12月15日 23:10

自民党の小野寺五典政調会長は15日、札幌市で開かれた党セミナーで講演し、アルバイトをしている大学生らを扶養する親の税負担に関する「年収103万円の壁」見直しに疑問を呈した。小野寺氏は「野党各党は壁を取っ払えと話しているが、根本、おかしいと思う。なぜ学生が103万円まで働かなければいけないのか」と指摘した。

日本経済新聞より

小野寺さーん!おーい。

ひろゆきさん、「『日本で働いたら負け』は正解でした」 103万円の壁を巡る自民・政調会長の発言に強烈な皮肉

12/22(日) 15:10配信

「ひろゆき」こと実業家の西村博之さん(47)が22日、X(旧ツイッター)を更新。いわゆる「103万円の壁」を巡って自民党の小野寺五典政調会長が、所得税を払っていない国民の6割こそ優遇すべきだと受け止められかねない発言をしたのに対し、「『日本で働いたら負け』は正解でした」と強烈な皮肉を込めて非難した。

Yahooニュースより

ダメだ、早く何とかしないと。

頭越しに

とまあ、こんな混乱っぷりで酷いモノなのだが、冒頭のニュースを取り上げた理由は、「ちょっとはマシになったのかな」という感想を持ったからだ。

自民税調からは不満も噴出するが、その落日も一層鮮明になっている。

毎日新聞「頭越しに重要方針決定され」より

タイトルは意味不明で、中身もかなりアレなのだが、「落日も一層鮮明に」と書かれていることに対しては、安堵した次第。

何が言いたいかというと、これまでの増税議論は全て自民党税制調査会が決定しており、その内情は殆ど詳らかにされることはなかった。

「成長型経済」へ移行する税制を税制調査会が本格論議スタート | お知らせ | ニュース | 自由民主党
党税制調査会(会長・宮沢洋一参院議員)は11月25日、総会を開き来年度税制改正に向けた論議を本格的にスタートさせました。

税調内で話が決まり、大抵の場合増税の方向で手を打ってきたのである。そして、時々バラマキを行うと。

取って配る方式は、財務省の影響力を維持する上では非常に重視される構造である。だが、本来は税として徴収しない方が手間がかからなくて良い。

そして、そういった税の議論はオープンで行うべきところ、これまでは税調一任だったのである。落日というよりは異常事態だった。これが「自民税調からは不満も噴出」というが、国民民主党が明らかにしたことで国民から不満噴出というのが実情なのである。

実質10万円

この下らない条件闘争は未だ未だ続きそうだが、103万円の壁を123万円にするという話は、誤魔化された形なので断じて許容すべきではない。

何故かというと、馬鹿にされているからである。

玉木氏は「与党が今日にも決定する『123万円案』は・基礎控除48万→58万(+10万)・給与所得控除55万→65万(+10万)と合計20万円控除を拡大する内容です」と説明。そのうえで「しかし、2020年から給与所得控除は65万→55万に引き下げられていたので、それを55万→65万へと元に戻すだけの話です。しかも、2020年から引き下げられた上限額195万円はそのままなので、完全に元に戻すわけではありません」と指摘。

Yahooニュース

数字だけ見ると、103万円→123万円で20万円分増えているように見えるけれども、実態は異なる。

  • 基礎控除:48万円 → 58万円(+10万円)
  • 給与所得控除:55万円 → 65万円(+10万円)ただし、これは2020年の引き下げ分を元に戻しただけ

コレがどういう意味になるかというと、年収190万円以上になると+10万円分の効果しかなくなるってことになる。年間5000円分手取りが増えるかどうかと言うレベルの人も。

与党案(123万円)の収入別の年間あたりの減税額

(概算)
200万円 0.5万円
300万円 0.5万円
500万円  1万円
600万円  1万円
800万円  2万円
1000万円  2万円

玉木氏のポストより

酷い話だ。

基礎控除とともに、2020年から給与所得控除も改正されました。 給与所得控除とは、会社員や公務員の給料から一定額を必要経費とみなして「給与等の収入金額」から差し引くもので、収入金額に応じて設定されます。

今回の改正で、控除額の最低額は改正前より10万円引き下げられ、55万円になりました。控除額が減れば増税になります。

また、給与所得控除額には上限額が設定されており、これまでの税制改正で少しずつ下げられてきました。 2017年~2019年までは、1,000万円超の所得者の上限額は220万円でしたが、2020年以降は850万円超の所得者の上限額は195万円へと下がりました。

SMBCのサイトより

なんとも馬鹿らしい話である。

議論の内容が見えるようになった

だが、こうした話が報道され、或いは政治家自身によってポストされることによって国民の目に触れるようになっただけ、随分とマシになったとも言える。

「103万の壁」引き上げ財源に「地価税」を提案 国民民主・古川氏

2024年12月22日 12時30分

国民民主党の古川元久代表代行は22日のフジテレビの番組で、所得税がかかる最低ライン「103万円の壁」を引き上げる財源として、土地の資産価値に応じて課税される「地価税」を検討していることを明らかにした。自民・公明両党にも提案しているという。

朝日新聞より

お陰で、しょーもない発言をしてしまった古川氏の愚行も明かされる流れとなった。いや、地価税って……。

これのダメコンはしっかりしなければ、国民民主党はコレから埋没してしまうことになりかねない。財源の話は空虚な話である。ブラケットクリープ是正というのが、本来の議論なのだから。

そして、財源の話の根拠となるのが上に紹介した2枚の計算式なんだけれども、国税と地方税でそれぞれ約2.5兆円程度の減収となる根拠は、明かされていない。

減収となる根拠が薄弱な上に、増収になる可能性は一切排除されているのだから、一体何をベースに議論しているのか?という。

議論するなら根拠のある数字で議論するべきで、そこを追求していくのが国民民主党などの野党の責任となる。そして、是非とも国民にその根拠を明かして欲しいものである。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ウチのガキが、真面目にバイトすると(バイト先の要請どおりにシフト組むと)軽く103万の壁越えそうだって悩んでます。
    ちなみに大1。

    現実って、そんなもんでっせ>小野寺さん

    ※やんごとなき人は、下々の苦労がワカランのですな。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      僕らの時代でも、年間103万円なんて結構簡単に超えたのですから、今の時代なら尚更ですよね。
      夏休みなどの長期休暇で、2~30万円稼げてしまうので、月7万円ペースで稼いでしまうとかなり危なかったです。土日で日当1万円程度のバイトを入れていましたので、なかなか。

      今だと、時給1000円を余裕で超えていますから、きっと更に余裕ですよね。娘(大1)も奨学金を頂いている関係もあって、余裕で超えてしまいます(注:奨学金分は非課税ですが)。

  2. 砂漠の男 より:

    ザイムショウ内では、増税を「勝ち」、減税を「負け」というそうです。
    ナ二言ってんでしょうね。自分らだって、減税されれば可処分所得が増えるでしょうに。
    それとも、ザイムショウ職員には、庶民の知らないご優待とか、ご招待とか、ご褒美とか、
    見えない増税補償制度でもあるんでしょうか。
    砂漠の男の住む地方都市には、ザイムショウ御一行様の集合住宅がドンドンとあるんですが、
    これがまた大層ご立派なものです。一戸あたり3LDKの間取りが100戸くらいかな。
    同じ地区にある同じ国家公務員の某病院職員の皆さまがお住まいの集合住宅とは雲泥の差なんですね。写真を見て頂きたいくらいですわ。
    省の関連先や天下り先ばかりに税金を乱費して潤っている-とは某高橋洋一氏の暴露話です。
    https://www.youtube.com/watch?v=_KIksWwr4wI
    全国にあるザイムショウ保養施設も特級クラスだそうですよ。イイナー。
    ザイムショウがいくらガメテいるかハッキリさせてから、財政の話をしましょうよ、と。

    • 木霊 木霊 より:

      高橋洋一氏の話ですか。
      氏の話は分かり易いので好きなんですが、やや誇張がある様な気はしています。
      とはいえ、財務省が増税しか頭にないのは事実でしょう。国富を増やす意味で、経済を発展させることは自分たちの仕事だとは思っていないのでしょうね。