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アメリカ大統領選挙でバイデン氏撤退表明、更に混沌とする選挙戦

北米ニュース
この記事は約7分で読めます。

金曜日に「バイデン氏撤退確定」という記事を書き始めたのだけれど、途中で挫折。理由は、次の候補が見当たらないから。

【速報】バイデン氏 大統領選 撤退表明 後任候補 ハリス氏支持

2024年7月22日 7時25

アメリカのバイデン大統領は、21日午後、声明を出し、秋の大統領選挙での再選を断念し、選挙戦から撤退する考えを表明しました。

NHKニュースより

だって、「撤退は確定的」「でも次の候補は不明」では、1行で記事が終わってしまうからね。

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候補者擁立に苦戦する民主党

カマラ・ハリス氏を支持

さておき、バイデン氏は次期候補としてカマラ・ハリス氏を指名した。これはチョット予想外だった。通常であれば副大統領を候補に指名するのはさほどおかしな話ではないのだが、何しろ、ハリス氏は仕事ができない。

このなかでバイデン大統領は「民主党や国にとっては私が選挙戦から退き、大統領としての残りの任期のまっとうに集中することが最良だと信じている」として、秋の大統領選挙での再選を断念し、選挙戦から撤退する考えを明らかにしました。

NHKニュース「【速報】バイデン氏 大統領選 撤退表明」より

だからこそ、バイデン氏が倒れたら大変だ、という話がなされていた。

ハリス氏の仕事の出来なさっぷりはなかなかのものだが、NHKにもこんな指摘が書かれている。

一方、バイデン政権で、移民対策を任されたにも関わらず、就任から5か月あまり、メキシコ国境の現場に足を運ばず、共和党から批判されるなど、目立った実績はないとの厳しい評価もあります。

政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のまとめによりますと、7月20日までの各種世論調査の平均では、ハリス氏を支持するとした人は38.1%、支持しないとした人は52.3%となっています。

NHKニュース「【速報】バイデン氏 大統領選 撤退表明」より

もっと正確に書けば、副大統領としてどんな仕事をしたのかさっぱり不明なのだ。

ハリス氏の出馬表明

とはいえ、本人はやる気らしい。

ハリス氏、米大統領選への立候補表明 トランプ氏を破るため「全力を尽くす」

2024/7/22 05:53

11月の米大統領選への出馬辞退を決めた民主党のバイデン大統領(81)から後継の指名候補者として支持を受けたハリス副大統領(59)は21日、声明を発表し「指名を勝ち取る」と述べ、立候補を表明した。

産経新聞より

現時点で民主党としては、バイデン氏が撤退した場合に誰を推すか決められていない。そもそも、バイデン氏が次期候補として立たざるを得なかった理由は、他にまともな候補者がいなかったからである。

実績のあるバイデン氏に比べ、他候補はあまりに小粒だ。

アメリカメディアによりますと今回の民主党の候補者選びではバイデン大統領が予備選挙などを通じて代議員のほとんどを固めていたということです。

ただ予備選挙などはすでに実施されたあとのため、バイデン大統領の撤退によって代議員たちは自分たちの判断で誰に投票するかを決めることになるということです。

NHKニュース「【速報】バイデン氏 大統領選 撤退表明」より

民主党としては候補者一本化に尽力する他ないが、このままハリス氏が候補に残っても勝ち目は薄い。

トランプ氏には4年間の実績があるが、ハリス氏には「実績を作れなかった4年間」と属性に武器がない。

クリントン元大統領と、妻のヒラリー・クリントン元国務長官はSNSに声明を発表し「アメリカ国民とともにバイデン大統領の功績に感謝する」と述べるとともに「ハリス副大統領を推薦し、彼女のためにできるかぎりの支援をする」として大統領候補としてハリス氏を支持する考えを示しました。

NHKニュース「【速報】バイデン氏 大統領選 撤退表明」より

候補者の一人と言われてきたヒラリー・クリントン氏だが、彼女ではトランプ氏に勝てないことは明白である。

他の候補者

現時点では既に支持票の票固めが終了していて、バイデン氏がハリス氏支持を表明したことで、バイデン氏の票がそっくりハリス氏に行けばスムーズではあるのだが、そうはなるまい。

【米大統領選2024】 民主党候補、バイデン氏と交代するとしたら誰か

2024年7月3日

先週の米大統領選討論会で精彩を欠いたジョー・バイデン米大統領の姿は、民主党全体に衝撃を与え、大統領が民主党候補の指名を辞退した場合、その座を誰が引き継ぐのかという疑問が浮上した。

BBCより

これは7月3日の記事なので、現在は情勢の変化があるが、現在候補者たりうるのは以下の6名だとされている。

  • カマラ・ハリス:副大統領だが支持率は低迷
  • グレッチェン・ウィトマー:ミシガン州知事で2028年の大統領選挙に出馬が予想されていた人物
  • ャヴィン・ニューサム:カリフォルニア州知事でバイデン氏の後釜を狙う
  • ピート・ブティジェッジ:運輸長官で、イースト・パレスティーンでの鉄道脱線事故や、メリーランド州ボルティモアでの橋崩落事故、米サウスウエスト航空のスケジュール危機などで、連邦政府の対応を指揮
  • ジョシュ・シャピロ:ペンシルベニア州知事でフィラデルフィアの主要幹線道路で崩落した橋を迅速に再建した実績あり
  • J・B・プリツカー:イリノイ州知事でハイアット・ホテル・チェーンの後継者でもある

殆どが州知事というのが何とも不思議な光景だが、それだけ有力者がいないという意味でもある。大都市を擁する州の知事であれば、政治経験もそれなりにあるために「候補者」として名前が挙がってくるのは分かる。

だが、これだけ名前が挙がってくる状態であるということは、本命と目されているハリス氏の目がないという意味でもある。

バイデン氏に代わる候補擁立を急げ、民主党献金者が求める危険な賭け

2024年7月20日 4:15 JST

バイデン米大統領に選挙戦からの撤退を求める民主党献金者たちは、代替候補を探すためのオープンな選考プロセスを求めている。ただ、それは実際には政治的リスクをはらむ賭けとなる。

~~略~~

しかし、約1カ月後に民主党全国大会を控える中、時間はなくなりつつある。同大会は8月19日にシカゴで開幕する予定で、それ以降に候補者を変更すれば、各州の投票用紙に候補者名を記載する期限に間に合わない恐れがある。

Bloombergより

タイムリミットは8月19日だが、民主党議員たちにしてみれば、バイデン氏に「撤退するならなぜもっと早くに決断できなかったのか」と恨みに思っているだろう。

正直、この事件があったせいで、今回の選挙の流れは大きく変わった。バイデン氏がタフネスを前面に打ち出したトランプ氏に劣勢となるのも無理からぬ話。

そういう意味でも、歴史を変えた一発の凶弾と呼べるかもしれないが、逆に銃を使えば歴史が変えられるという認識を再確認させてしまった、テロリストたちにとっては重要な、民主主義国家にとっては不幸な出来事である。

方向性としてはハリス氏で一本化しそうだが、正直、勝てるのかねぇ。資金的には他の民主党候補と比べて有利(バイデン氏の集めた資金が使える)だが、実績がしょんぼりな彼女がトランプ氏の前に立って何を主張して戦うのか。

追記

SSのトップが辞任か。まあ、しゃーなしなんだけど。

トランプ氏銃撃、大統領警護隊トップが辞任 「最大の失敗」と認める 米メディア

2024/7/23 23:49

米下院監視・説明責任委員会は22日、東部ペンシルベニア州で13日に起きた共和党のトランプ前大統領(78)に対する銃撃事件に関する公聴会を開催した。証人喚問を受けた大統領警護隊(シークレットサービス)トップのチートル長官は「トランプ氏に対する暗殺未遂を阻止できなかったことは警護隊にとって過去数十年で最大の失敗だった」と認めた。米メディアは23日、チートル氏が辞任したと伝えた。

産経新聞より

一歩間違えばトランプ氏の暗殺は成功していたからね。あれは誰も擁護できる余地はないし、SSとしても責任を採らざるを得なかったとは思う。

公聴会では、共和、民主両党の議員からチートル氏の辞任を求める声が相次いでいた。

産経新聞より

そして、議会としても辞めて貰うしかなかったとは思う。

ハリス氏、世論調査でトランプ氏に2ポイントリード 米大統領選でロイター

2024/7/24 06:50

ロイター通信は23日、民主党ハリス副大統領の全米での支持率は44%で、共和党のトランプ前大統領を2ポイントリードしたと報じた。

産経新聞より

そして、こんなニュースも。

ハリス氏を支持ねぇ。調査結果には疑問もあるけれども、全く箸にも棒にもかからない相手というわけではなさそうだ。

コメント

  1. 河太郎 より:

    よりによって……ハリスが大統領になるのは蓮舫が都知事になるより難しい。
    ヒラリー・クリントンでダメなものが、コイツで勝てる訳が無い。やはりバイデンはアルツハイマーなのでせうか?
    つか、撤退し議席縮小しながら氷河期をコツコツと次の大統領選まで準備する方が建設的では? 下院の中間選挙も2年後だし。しかしトランプ氏もそうだけど、
    バイデンが撃たれてもヤバかったのとちゃきますか? ハリスならバイデンが射殺されたら、そくざに戒厳令を敷いて大統領選を延期したでせう。そして怒り狂った保守派が武装蜂起と。どっちにしてもヤバかった。しかしシークレットサービスのトップといい副大統領といい、どういう基準で選んでいるんすかね?

    • 木霊 木霊 より:

      バイデン氏の判断能力はまだまともだと思いますよ。
      ただ、判断が遅くなっているだけで。
      バイデン氏のネックは選挙資金の扱いで、現状、バイデン氏が候補に立たないとなると、その選挙資金にアクセスできるのはハリス氏だけなのだそうで。ハリス氏単独では資金集めも覚束ないようですから、まさに棚からぼた餅ですな。ただ、選挙戦の継続にはまだ足らないようで、ソレを集める能力があるのかどうか。

      副大統領にカマラ・ハリス氏を選ぶ理由は、前回の選挙ではあったのですよ。民主党としては多属性を登用してリベラル色を強く打ち出す必要がありましたから。だからといってハリス氏はないだろうと思いますが、黒人でなおかつ女性というインパクト勝負でして、それはある意味当たったのです。
      バイデン氏が暗殺されたら……、地獄のような事態に陥るでしょうね。判断力のあるブレーンはつくのでしょうけれど、ハリス氏を表舞台に出すのも憚られる状態ですから。シークレット・サービスとトランプ氏の不協和音も聞こえていますから、スムーズに選挙に至るかどうかはまだ余談を許しませんね。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >ハリス氏の仕事の出来なさっぷり
    何聞かれても薄ら笑いしてるだけ、って、どっかに書かれてた気がします。
    初の女性大統領を狙うとか、黒人かつアジア系の出自とか、意識高い系が好きそうなオプションには事欠かないみたいですけど、肝心の中身が、386積んでる韓国海軍並みに仕事出来ないのでは……

    トランプ氏の応援にハルク・ホーガンが出張ってきてましたし、この流れを変えるのは相当に難しいのでは……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      その薄ら笑いがかなり反感を買うようですね。
      ハリス氏主軸に戦うんでしょうかね?本当に。

      ハルク・ホーガンは見ました。アホっぽい応援演説していましたが、効果は絶大ですね。

  3. 砂漠の男 より:

    バイデン氏が大統領選からの撤退を表明したので、もう後戻りはできません。
    一部界隈の人々が、カマラ・ハリス氏をバイデン氏の後継候補に推薦していますが、それを決めるのは民主党全国大会の選挙人たちで、民主主義プロセスに則った候補者選定を経ない限り、ハリス氏は正式に民主党の大統領選候補者になれません。
    ところで、今年の大統領選と同時に、米上院の1/3議席も改選されるのですが、現在の米上院は共和党49議席、民主党ほか51議席になっており、上院選も共和党が制するとの見方が強いようです。もし共和党が上院多数派になると、連邦議会の主導権も共和党に握られてしまうため、民主党議員たちは、「もしトラ」の段階で、「(バイデンだから)大統領選を諦めて上院多数を死守する方針」と聞いていました。
    ところが、バイデン氏がとつぜん大統領選撤退を表明し、しかもハリス氏を後継候補に指名したことで、寝耳に水だった民主党議員たちは、「今更なに言ってやがる」と怒気を放っているそうです。ハリス氏の不人気ぶりは党派を超えており、トランプ氏に勝ち目がないだけでなく、上院選にも悪影響することを酷く心配しているそうです。そういうことなので、民主党の上院総務シュマー氏や下院総務ジェフリーズ氏たちは沈黙しています。
    11月3日まで3か月ちょっとしかありません。それまでに民主党は新たな大統領選候補者を立てなくてはなりませんし、その人物はトランプ氏との討論会もやらなければならないでしょう。
    しかし、それは誰になるのか? これから民主党内がドタバタ劇を始めそうで、みんなウンザリしているようです。

    • 木霊 木霊 より:

      実際のところ、カマラ・ハリス氏の登場は民主党側にとっても共和党側にとっても想定外のようです。
      民主党側としては、やはりバイデン氏が戦うのが最善で、ハリス氏などとんでもないという人が多いようで。
      ただ、今回の交代劇で募金が随分と集まったようですから、継戦能力的な不安は解消できそうですね。
      共和党側としては、バイデン氏を想定して選挙戦略を組んでいましたから、これから対ハリス氏戦略を練るのか、それとも他の候補が出てくるのか?という点で方針の決定をしかねていることと、暗殺未遂事件があったことで支持率のピークを迎えてしまったため、今後、この支持を維持できていくかどうかという点で、戦略の練り直しが必要なようですね。

      あと、想定外の話として、どうにもSSの警備体制にはやはり意図的に不備が作られた可能性が出てきそうなので、これが選挙戦にどう絡むかは不確定要因になります。

      • 砂漠の男 より:

        なるほど、大統領選に出馬表明したハリス氏はどちらにとってもダークホースでしたか。
        シークレット・サービスについては、今週月曜日にキンバリー・チートル長官(チアトルではありませんでした)が、下院監視・説明責任委員会(国土安全委員会ではありませんでした)の公聴会で吊し上げになり、火曜日に辞職したようです。
        https://news.yahoo.co.jp/articles/5b19344264c7122fe97da3413c917c5927bb8ee9
        (日本時間で火曜深夜に公聴会をライブで観ていましたが、その長官はとにかく鉄面皮という印象でした。あっけなく白旗を揚げたことは意外という印象です。)

        今回のトランプ氏暗殺未遂事件は、とにかく不穏な様相を呈していますね。
        つべには、こんな指摘もありました。怖くて最後まで聴いていられませんでした(結局聴きましたけど。)
        https://www.youtube.com/watch?v=NaW8MzocIuE

        • 木霊 木霊 より:

          紹介頂いた動画、なかなか興味深かったです。
          ただまあ、アレも可能性の話に留まるので、今後の期待したいところです。解明されたら良いんですが。

  4. 河太郎 より:

    パラレルエコノミーてんですかね、もうポリコレにウンザリの保守思想の人達が、基本理念を共有できる企業を後押しして、独自の経済圏を作りつつあると。
    経済圏というのだから、それなりの市場規模と人口が参加しつつあるって事ですね。まぁ解る。「もう対話するのもゴメンだ」という気持ちは。スーパーやモールで買い物してる時まで虹色マークで「多様性がぁ」とか説教されたかないでないですか。売店で売ってるスーパーマンのコミックはスーパーマンが男同士でキスしてる。それを責めはしないが、押し付けられるのは真っ平という人達が、多様性大好き人種と社会を分とうとしてる。
    も、いっそ南部同盟と連邦とで離縁したら? と想うくらいらしい。
    たぶん加速するし、一歩まちがえるとホントに内戦になるかもです。迷惑な話だが、両者に対話する気などないなら仕方ない。

    • 木霊 木霊 より:

      奴ら「多様性」と言いつつ、多様性を認めない人々の主張を認めないというダブスタな連中なので、どうしようもありません。
      いわば宗教みたいなものですから。
      当然、一緒にやっていくのはなかなか難しいのでしょう。