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イラン大統領の死に「暗殺された」という陰謀論が渦巻く

中東
この記事は約17分で読めます。

イラン大統領が事故で亡くなった話は、世界的なニュースとなってしまった。

イラン大統領と外相が死亡、ヘリ墜落で 周辺諸国が弔意

2024年5月20日午後 6:27

イランのライシ大統領(63)とアブドラヒアン外相が搭乗していたヘリコプターが19日、アゼルバイジャンとの国境近くの山岳地帯に墜落し、両氏とも死亡した。イラン国営メディアが20日に伝えた。

吹雪の中、夜を徹して捜索した結果、20日未明に炎上して燃え尽きた残骸が発見された。

ロイターより

二次被害が起きそうな状況での捜索活動をしたようだが、結果的には残念なことになってしまった。今回の件、概ね事故であったという結論になってはいるが、一部では暗殺された説も出ている。もちろんその線がなかったとは言わないが、現段階においてその結論に至るにはちょっと無理があるだろうと思う。

そして、暗殺説が出るだけの理由はあったので、その辺りは少し触れておきたい。

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後継者問題は噴出する

ハメネイ氏の後継者だったライシ

今回のこの事故で、イランの大統領と外務大臣が同時に亡くなっている。

前回の記事では事故のあらましを紹介しているが、人物については焦点を当てていなかったので、今回はその辺りも少し触れておく。

コラム:イランの不確実性さらに高まる、ハメネイ師「後継者」誰に

2024年5月21日午前 11:11

中東に大きな不安定要素をもたらしてきた国は、その行動がさらに読みにくくなった。

~~略~~

こうした状況から、イランが生産する日量160万バレルの原油の大半を購入している中国という特筆すべき例外を除けば、外国人投資家のイランに対する関心は非常に限定されている。しかしながら、85歳になったハメネイ師の最有力後継者候補とみなされていたライシ氏が死亡したことは大きな意味がある。

ロイターより

イランの最高指導者はハメネイ氏であり、大統領であったアブラハム・ライシはNo.2という位置づけであったということになる。

御年84歳の最高指導者がイランの実権を握っていて、第8代イラン大統領であったアブラハム・ライシはハメネイ氏(報道ではハメネイ師と表記されている)の後継者と目されていた。

イランで大統領はあくまでナンバー2の立場に過ぎない。4年ごとに選出され、ハッサン・ロウハニ氏のような改革志向の穏健派と、ライシ氏のような保守強硬派のどちらの人物も就任している。

ロイター「イランの不確実性さらに高まる」より

イランの大統領としては第7代のロウハニ氏もそこそこ知名度があったと思うのだが、穏健派のロウハニ氏に比べてライシは保守強硬派として知られ、ハメネイ氏の後継者と目されていた。というか、現在のイランでは穏健派は最高指導者になれないらしい。イランはどんどん先鋭化が進むね。

最高指導者は88人のメンバーで構成する「専門家会議」で選出され、3月にはメンバー自体の選挙が行われたばかり。投票率は過去最低の41%にとどまり、ロウハニ氏などの穏健派は立候補を禁じられたことで、専門家会議は保守強硬化がさらに進んだ。その結果、次期最高指導者にもハメネイ師の息子のモジタバ師か、あるいは革命防衛隊に極めて近い別の人物が選ばれる可能性がある。いずれも多くのイラン国民には不人気だろう。

ロイター「イランの不確実性さらに高まる」より

イランの最高指導者になるためには、イスラム法学者の資格を持っていて、かつ実務経験を必要とするそうで。そういう意味では前大統領のロウハニ氏も最高指導者の資格はあったんだけど、ハメネイ氏はライシを後継者だと目していたようだ。

外務大臣は革命防衛隊とのパイプ役

一方で、余り報道を見かけないが、アブドラヒアンの方もかなり重要なポストにいた人物であった。

イラン国会、閣僚候補ほぼ承認 外相は反西欧のアブドラヒアン氏

2021年8月26日午前 8:16

イラン国会は25日、ライシ大統領が提出した閣僚候補について教育相を除き承認した。教育相候補は、専門分野の経験不足を理由に却下された。

外相となるのは、反西欧姿勢のホセイン・アブドラヒアン氏。精鋭軍事組織「革命防衛隊」やレバノンのイスラム主義組織ヒズボラなどに近いとされるアブドラヒアン氏は、駐バーレーン大使などを務め、2011-16年まで外務次官だった。

ロイターより

外務大臣になった際には、革命防衛隊やヒズボラとの交渉が出来る人物であったことが評価されていた。

実際に今年の4月の安保理への言及にも、革命防衛隊の意志を踏まえて外交交渉をやっている。イランにおいて革命防衛隊とのパイプを持っていることは要職に就く上で必要なことのようで。

イラン外相、イスラエルのさらなる軍事行動を警告 「断固対応」

2024年4月19日午前 5:53

イランのアブドラヒアン外相は18日、国連安全保障理事会に対し、イスラエルは「われわれの利益に対するこれ以上の軍事的冒険主義の中止を余儀なくさせられる必要がある」と述べた。

「イスラエル政権が武力を行使し、わが国の主権を侵害した場合、イランはイラン固有の権利を主張し、断固とした適切な対応をとり、政権にその行為を後悔させることを躊躇しない」とした。

イラン革命防衛隊の核安全保障担当幹部は同日、イスラエルの脅威を受け、核を巡る原則を見直す可能性があると述べた。

ロイターより

が、この人物も亡くなってしまった。

次の外務大臣のポストを誰にするのか?ということもコレから権力闘争という形で騒ぎになるだろうと思われる。おそらくは強硬派からの選出になるだろうと予想されているんだけど。

次期大統領はモフベル氏に

現状では、大統領代行として第1副大統領であるモフベル氏が就任し、この人物がおそらく大統領になるだろうといわれている。外務大臣の候補は報道を今のところ見かけないが、アリ・バゲリ外務次官が代行に就任しているので、この人物がそのまま外務大臣にスライドするんじゃないかな。

ハメネイ師に近い強硬派 大統領代行のモフベル氏―イラン

2024年05月20日19時50分配信

イランのライシ大統領の事故死に伴い、大統領代行に就いたモハンマド・モフベル第1副大統領は、反米の最高指導者ハメネイ師に近い保守強硬派だ。

~~略~~

1955年、南西部フゼスタン州生まれ。米国の非政府組織によると、イスラム法学者の父を持ち、国際法を学んだ後、精鋭軍事組織・革命防衛隊の一員としてイラン・イラク戦争に従軍した。

時事通信より

モフベル氏は革命防衛隊出身なので、アブドラヒアンの役割も果たす可能性は高いのだが、大統領の職務も果たすだろうと目されている。

ただ、モフベル氏はイスラム法学者の資格を持っていないので、ハメネイ氏の後継者と言うことではないようだ。

バゲリ氏の方はというと……。

イラン、核協議交渉トップに強硬派バゲリ氏 アラグチ氏の後任

2021年9月15日午前 8:06

イランは14日、核合意の再建に向けた協議でイラン交渉団のトップを努めてきたアラグチ外務次官の後任に、強硬派の上級外交官アリ・バゲリ・カーニ氏を指名した。

バゲリ氏は2007─13年、強硬派のアフマディネジャド元大統領の下で欧米諸国との核協議の上級交渉官を務めた経歴を持つ。また、最高指導者ハメネイ氏の親族でもある。

ロイターより

ハメネイ氏の親族かぁ。

この人、イスラエルでの戦争について、「ガザ攻撃は大量虐殺(ジェノサイド)」だと煽っていたんだよね。当初から完全にテロ組織ハマスを擁護する方針だったのだけれど、今となってはジェノサイドといわれても否定できない惨状になっているので、残念なことに違和感ない発言になってしまったけれど。

権力闘争が予想される

何れにしても、後釜は概ね決まっていてイランの国政に影響は少ないとはされている。

イラン、権力闘争も 大統領死亡で動揺回避に躍起

2024年05月20日20時31分配信

イランのライシ大統領は、革命指導体制を統括する最高指導者ハメネイ師の後継候補に挙げられた有力者だった。事故死を巡りさまざまな臆測も流れ、指導部は「国政に混乱はなく、心配は無用だ」(ハメネイ師)と動揺回避に努めている。

~~略~~

イランの行く末を左右しかねない次期最高指導者争いも不透明感を増す。任免権を持つ「専門家会議」は保守強硬派が多数を占め、会議のメンバーでもあったライシ師はハメネイ師の後継を見据えていたとされる。ライシ師亡き後はハメネイ師の息子モジタバ師が抜きんでた形だが、政治的実績に乏しく指導力も未知数で、政情の混乱と不安定化の火種になる可能性もある。

時事通信より

ただ、ライシがハメネイ氏の唯一の後継者であると目されてきただけに、それが気に入らない層というのは、確実にいた。そして、ライシが居なくなったことで次期最高指導者が見えてくる人物もいるので、そういった層が何か行動を起こしたという見方は出来るんだよね。

それが陰謀論の下地になっていることは否定できない。何故ならば、複数の候補者が居れば足の引っ張り合いをする為の情報戦は既に始まっているからね。

イランの立ち位置はハメネイ氏が健在であるうちは、大勢に影響がないと思われる。だが、後継者争いは確実に行われている。そういうドロドロした争いが今後イランを飲み込んでいくことだろう。その時に、外交方針がどうなるのか?

イスラエルとの関係もあるので、注意して見ていった方が良いポイントだと思う。

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経済状況も無関係ではない

矛先はアメリカへ?

そして、コレまでの傾向からすると、イランの指導部としては今回の件もアメリカの責任にしたいと考えているかも知れない。

米制裁がヘリ墜落に影響か イラン、新型機や部品調達が困難

2024/05/21

米紙ワシントン・ポストは20日、イランのライシ大統領らを乗せて墜落したヘリコプターが1960年代に開発された米企業製の機体だったと伝えた。イランは米国の制裁で新型航空機や部品の調達が難しく、老朽化した機体を繰り返し修理して利用。ザリフ元外相は20日、国営テレビの取材に、主な事故原因の一つとして「米国がイランへの航空機と航空部品の売却に関して制裁を科したからだ」と指摘した。

共同通信より

さっそく、「経済制裁が原因だー」とか言い出したのにはちょっと笑う。共同通信の悪意のあるタイトルの付け方には辟易とするが、言っているのは元イラン外相のザリフ氏だ。

大体、そんな危ないヘリコプターに大統領を乗せるわけないだろう……。少なくとも万全の整備体制であっただろうとは思われるし、仮に不調の予兆があれば、それなりの情報が既に出ているはずだ。

6月28日に大統領選 ライシ師死亡、ヘリ墜落の原因調査―イラン

2024年05月21日13時31分配信

イラン国営メディアは20日、ヘリコプター墜落事故でライシ大統領が死亡したことに伴う大統領選挙が6月28日に実施されると伝えた。

~~略~~

イランメディアによると、友好国ロシアのショイグ安全保障会議書記は、調査を支援する用意があると表明した。また、トルコのアナトリア通信によれば、同国のウラルオール運輸・インフラ相は、墜落ヘリから救難信号などは出されていなかったと述べた。

時事通信より

実際に墜落ヘリコプターからの救難信号は確認されていない。

事故当日、悪天候であったことは一緒に飛んだ2機が証言していた注:続報で否定説がでた模様。追記で言及した)し、そのせいで緊急着陸をしている。そして、その際に事故機が機器の故障などを察知して救難信号を出していたなんて話も出てはいない。また、トルコからも救難信号が確認できなかったとしている。つまり、ヘリコプターが老朽化していたにせよ機械の故障を事前に察知していた証拠は今のところない。

現時点で故障して墜落したというのは無理筋の主張で、視界不良が原因で山肌に激突してしまったという方が未だ説得力がある。

イランとしては西側勢力のせいで殺されたということにした方が、内紛で揉めるよりは余程良いだろうけれど。

経済の疲弊

しかし実のところ、イランは経済的にかなり困窮している。これは、ロシアンフレンズ国家に共通する課題ではあるのだが、ロシアが戦争を引き起こしたことで原油価格や取引に影響が出たことにも関係がある。そして、何より経済制裁が結構効いてしまっている。

イランの貿易と投資

2018年以降の米国による経済制裁の影響を引き続き受けながらも、2022年のイラン経済の実質GDP成長率をIMFは2.5%、世界銀行は2.7%と発表した。世界銀行はイラン経済のプラス要因として、新型コロナウイルス禍後のサービス産業の回復、石油生産の増加などを挙げている。一方で、食料品を含む多くの商品の輸入価格が大幅に上昇したこと、また、このことが食料価格に対する補助金の増加につながり政府財政に負担をもたらしていること、中国へ割安な石油を輸出するロシアとの新たな競争によって石油生産の拡大が鈍化していること、高いインフレ率が消費と投資に悪影響を与えていることなどをマイナス要因としている。さらに、イランの経済見通しに対するリスクは依然として大きいとしている。その理由として、洪水、干ばつ、砂嵐の頻発など気候変動の激化やエネルギー不足、また、核合意「包括的共同行動計画(JCPOA)」の再建に向けた、協議が失敗に終わった場合の地政学的な緊張の高まりを挙げている。一方で、JCPOA再建協議が成功裏に終わり、経済制裁が解除されれば、予測される成長見通しは大幅に高まるとしている。

JETROより

JETROのデータが良くまとまっているのだが、分かり易いのは現代ビジネスの記事の方だと思う。

イランの経済が悲惨すぎる…日本なんて比じゃない、ハイパーインフレに苦しむ「驚きの実態」

2024.5.13

~~略~~

いちばん深刻なのは、経済だ。

そもそも、どんなに抑圧的な体制でも、経済さえうまく回っているうちは、国民は多少の政治的な不自由は我慢できるものだ。しかし、イランの場合は、政治のみならず経済まで混乱を極めている。

2018年にアメリカのトランプ政権が一方的に核合意から離脱したことで、対イラン経済制裁が復活、イランは日本を含めた原油の主要輸出先を失った。

これにより政府の歳入は激減し、通貨リヤルはこの5年ほどのあいだに、対ドルで10分の1近く価値を落とし、下落に歯止めがかからない。

国内ではハイパーインフレが進行、食料品や日用品の価格は一年間で三倍くらいのペースで上がり続けている。今年、一本200円の牛乳が、来年の今ごろは600円、再来年は1800円に、と想像すればこのインフレの凄まじさが分かると思う。

現代ビジネスより

現代ビジネスの記事は大変雑なのだが、分かり易い。

インフレ率は食品で言えば直近で40%程度(2023年の消費者物価指数上昇率は年平均45.8%)だとしているので、3%弱の日本と比べれば悲惨な状態になっている事は想像ができるだろう。日本の10倍以上のスピードで食品の価格が上がっているのである。

一方で、賃金は上がらないのだからイラン国民は「やってられない」ということになる。失業率は10%弱なので、労働者の1割が失業する事態になっている。

反政府デモ

その結果、反政府デモが起こるようになっていて、先日はこんな報道も。

イランの反政府運動で死亡した10代女性、治安部隊が性暴力後に殺害か 極秘文書をBBCが入手 - BBCニュース
イランで2022年に反政府デモに参加した後に死亡した10代の少女が、イランの治安部隊に所属する男性3人に性加害を受けて殺害されたとする報告書をBBCが入手した。治安部隊がまとめたものとみられる。

この話は2022年のデモに関連する事件なので、現時点でデモが激化しているという話ではないのだが、現在でも散発的にデモは発生しているようだ。

(3)デモに関する情勢として、当地では長らく続く米国による経済制裁により、極めて厳しい経済状況が先行きの見えない状況下で継続しており、平素から食料価格の高騰、賃上げ等の待遇改善等を訴える抗議活動が全国で散発的に発生しています。

こうした中、2022年9月以降、イランにおいて、ヘジャブの着用が不適切だとして拘束された女性の死亡を発端として、長期間にわたってテヘラン他イラン各都市の主要道路・広場・大学において抗議活動が散発的に発生し、複数の死傷者や拘束者が発生しました。

同抗議活動について、抗議発生1周年となる2023年9月16日には大きな抗議活動は見られず、現在は沈静化したと評価できるものの、当局のインターネット規制によるものとされる通信障害が継続しているほか、イラン政府がヘジャブ未着用者等に対する摘発強化を掲げており、今後の動向については予断できない状況のため、不測の事態に巻き込まれないよう引き続き十分な注意が必要です。

海外安全ホームページより

外務省の評価でも、海外安全ホームページで説明されるように散発的な抗議活動がイラン全土で見られ、巻き込まれない様に注意しろということが書かれている。

大統領が事故で死亡したことは、こうした国内情勢にどのような作用をもたらすかは不明だが、イラン国民に動揺をもたらすことは避けられない。

こういった動揺を誘導するのに陰謀論というのは都合良く使われるケースがある。現状では事故について何が本当か良く分からない情勢だというのも、こういったイラン国内の内情と関係している可能性が高いのである。

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追記

僚機は天候悪化説を否定

天候悪化説が否定された模様。

イラン大統領ヘリ墜落事故 大統領府高官“天候悪化は墜落後”

2024年5月22日 20時36分

イランでライシ大統領などを乗せたヘリコプターが墜落した事故について、別のヘリコプターで近くを飛んでいた大統領府の高官が国営テレビに当時の詳細を語り、飛行中、天候に異常はなく空気は澄んでいて、霧が立ちこめ天候が悪化したのは墜落後だったと証言しました。

イラン大統領府のエスマイリ長官は21日、国営テレビの取材に対し、事故当時の状況について、ヘリコプターは3機で、大統領の機体を間に挟む形で飛行していて、エスマイリ氏らは後ろのヘリコプターに乗っていたと説明しました。

NHKニュースより

ヘリコプターを3機飛ばして、大統領警護の為に真ん中に挟むという飛び方をするのは違和感のない話。寧ろ、2機だけ先行していたとか言われた方が「何やっているんだ」ってことになる。

よって、「ヘリコプターは3機で、大統領の機体を間に挟む形で飛行」は間違いなかろうと思う。

エスマイリ氏によりますと、30分ほど飛行したところで、飛行ルートの谷間に雲が見られたため、大統領機の操縦士から高度を上げて雲を避けるよう連絡があり、そのおよそ30秒後に大統領機が見えなくなったということです。

NHKニュースより

ただ、ここの部分はちょっと状況が良く分からない話だな。

雲を突っ切ったというわけでもなさそうだし、並んで飛んでいたのであれば高度を上げれば他の2機も付いていくものではないだろうか。

電話に出たのは同乗していたイスラム法学者で「私は具合がよくない、谷に落ちてしまった」と答えたということで、何が起きたか分からず、木々の間にいると説明したほか、ほかの搭乗者の姿は見えないと話したということです。

エスマイリ氏によりますと、大統領機が見えなくなって1、2時間の間は天候は良好だったということですが、次第に曇ってきて雨が降り、霧が辺りを覆って、天候が一変したということです。

NHKニュースより

更に不可解なのは、行方不明になったヘリコプターに対して電話をかけ、大統領機の操縦士の携帯電話に繋がったという下りである。操縦士の携帯電話に電話をかけたにも関わらず、電話に出たのは同情していたイスラム法学者だったという。

……操縦士はどこに行って、「木々の間にいる」というのはどういう状況なんだろうか。

同乗者が何が起きたか分からない状況で墜落したと見るべきだろうが、では、電話に出た法学者は何故、操縦士の携帯電話に出ることが出来たのか。「他の搭乗者の姿が見えない」という下りから、一人だけ外に投げ出された木に引っかかっていた可能性は示唆されるが、では、携帯電話はどこから??

そして、電話をかけた時点では生存していたはずのこの法学者はどこに行ってしまったのか。

同乗者は数時間生存 ヘリ墜落、大統領は即死か―イラン

2024年05月22日19時58分配信

イランのライシ大統領らが搭乗したヘリコプターの墜落で、ライシ師に同行し別のヘリに乗っていた大統領側近が発生前後の様子を21日報道の国営メディアで明かした。遺体の状況からライシ師は墜落で即死したとみられるが、他の搭乗者は数時間生存していたという。

時事通信より

他の報道をみると、どうやらこのイスラム法学者も命を落としてしまったようだ。一方、ライシは即死だったと推測できる状況だった模様。

改めて、哀悼の意を表したい。

雲の中で何が起こったのか

ただ、視界は悪かったようで。

ただ、ライシ師が搭乗するヘリが突然消息を絶った。他のヘリが引き返して行方を捜し、無線で何度も連絡を試みたが発見できなかった。雲で視界が悪く高度も下げられず、結局そのまま飛行して近くの鉱山に着陸したという。

時事通信より

大統領機とは別の2機は高度を上げて雲に入らなかったとして、大統領機は雲に突っ込んでしまったと言うことだろうか?

イラン墜落、「視界ゼロ」で激突 大統領予定優先で飛行

5/22(水) 21:00配信

イランのライシ大統領が死亡したヘリコプター墜落事故で、軍と革命防衛隊の調査チームが初期段階の報告書をまとめたことが22日、分かった。パイロットが分厚い雲の中で「視界ゼロ」に陥り、雲から抜け出そうと高度を上げたが、山に激突した。事前に悪天候の予報も出ていたが、大統領の予定を優先し、一行が飛行を決断していた。事故の詳細が明らかになるのは初めて。

Yahooニュースより

捏造報道機関の共同通信ソースで申し訳ないが、こちらでは視界悪化で墜落したという話なんだよね。ちょっと何が正しいのか良く分からない。

報告書によると、事故前日18日、政府の気象予報機関は気象条件が飛行に「適していない」と指摘し、当日19日も同様だった。ライシ師がアゼルバイジャン国境地帯で行われる共同開発ダムの落成式に出席するため、ヘリはまず、北西部タブリーズからホダアファリンまで飛行した。

Yahooニュースより

こちらのソースだと、報告書が大統領が予定通りにスケジュールを熟すために、天候悪化を押して飛行し、事故を起こしてしまったという風に読める。

コメントにも書かせて頂いたが、考えられる陰謀論は未だに否定されない感じかな。

1.イスラエルによる報復で、革命防衛軍へのお礼参り的なヤツ
2.イラン国内穏健派による内紛で、ハメネイ氏後釜に強行保守派を据えたくない層の犯行
3.革命防衛隊強硬派による反抗で、弱気になっている首脳陣を刷新したい層の犯行
4.国内政治の失敗をすべてライシに押し付け、態勢の刷新を図りたい層の犯行

陰謀論なのでこの4つは何れも根拠はないことに、ご注意願いたい。

コメント

  1. 山童 より:

    駄洒落になっちまいますが、「いらん真実」という奴なのでしょうね。
    中東大戦争なんて誰も(ロシアは解らないけど)望まない。中国ですら天然ガスと石油輸入からペルシャ湾有事に至るのは止めて欲しいでしょう。そんな状況ですから、対イスラエル強硬派の大統領が消えてくれても、それがイラン内部の問題なら黙っているのが得策であろうと。
    下手につつくと藪蛇になりますから。そこは掘るべきではないと言うのが、すんなりと事故が世界に受け止められる理由なのではないですかね。
    あとはヒズボラとかイランの舎弟たちが
    暴発しないでくれれば良いかと。その辺が大人の事情と想う所以であります。

    • 木霊 木霊 より:

      陰謀論としてならば色々考えられます。
      1.イスラエルによる報復で、革命防衛軍へのお礼参り的なヤツ
      2.イラン国内穏健派による内紛で、ハメネイ氏後釜に強行保守派を据えたくない層の犯行
      3.革命防衛隊強硬派による反抗で、弱気になっている首脳陣を刷新したい層の犯行
      4.国内政治の失敗をすべてライシに押し付け、態勢の刷新を図りたい層の犯行
      どれも可能性はありますが、酷いことになりそうな順番で並べてあります。
      一番ありそうなのは3番ですが、何れも全く根拠はなし。
      対外的にはどれもヤバいのですが、1番と2番の合せ技ということも考えられますね。4番が一番マシかもしれません。
      仮にこの陰謀論の中に正解に近い話があったにせよ事故として処理し、ライシの死は無駄にしないと、国内の結束を図る方向で動いていくと思いますよ。まさに「いらん真実」になってしまいますから。

      • 山童 より:

        流石は木霊様。すっきりと解り易く、かつ信憑性が高い。どれも良いお話ではなさそうですが????‍????
        事が拗れず、イランが大人しくしていてくれれば良いけれど。ウクライナもいよいよ怪しいすから。あそこが立憲君主制でシャー朝復活してくれるとかなり良いのですけれど。
        そうは問屋が卸さないでせう。