久しぶりの韓国軍ネタだ。
ハンファオーシャン、潜水艦救助艇の引き渡し日また延期
更新日 2024.07.25. 15:01
通常、特殊船事業では納期遵守は建造能力を測る基準となる。納期に間に合わないと補償金を支払うこともある。
Chosen.bizより
確か、名前は決まっていたはずだが……、「江華島」だっけ。
予定は未定
延期、延期、再び延期
先ずは、関連記事のリンクを。
この記事の一番最後に紹介したのが、次期潜水艦救難艦「江華島」で、この時も「ちょっと心配」というような言及をしていた。
理由は、この後から韓国では大型潜水艦をバンバン作り始めたからである。
果たして、設計段階で予定されていなかった大型潜水艦の救助がスペック的に可能なのか?ということは、当然心配にはなるよね。
次期潜水艦救難艦を韓国で建造 2022年ごろ海軍に引き渡し
2017.12.15 11:23
海中で遭難した潜水艦の乗員を救助する次期潜水艦救難艦(5200トン級)が韓国で建造され、2022年ごろ海軍に引き渡される。
聯合ニュースより
設計が始まったのが2015年で、建造は2018年頃から。納入予定が2022年という感じのスケジュールだったはずだ。
次期潜水艦救難艦は先進技術を採用し、波の高さ4メートルの悪天候でも深海救難艇(DSRV)が水深500メートルの深さまで潜水して遭難した潜水艦の乗員を救助できる。海軍が現在保有する潜水艦救難艦は波の高さ2メートル以下で運用が可能だ。
聯合ニュース「次期潜水艦救難艦を韓国で建造」より
そして、船体自体は既に形になったという報道があった。
新たな潜水艦救難艦
2021.10.07 09:06
韓国の海軍と防衛事業庁は7日、南部の慶尚南道巨済市にある造船所で潜水艦救難艦「江華島」(5600トン級)の進水式を同日実施すると明らかにした。造船所に停泊している江華島。
聯合ニュースより
なんか若干大きくはなっているが、取り敢えずは予定通りに完成するとは思っていた。

実際、2021年頃にはこんな写真が出回っていたからね。
深海救助潜水艇の性能テストが遅れる
ところが、2024年になっても未だ完成していない。
業界は、最大数百億ウォンの遅延損害金(納期遅延による補償金)を、原子力庁がハンファオーシャンに課す可能性があると見ている。ハンファオーシャンは2014年に潜水艦3隻の性能改善事業を受注したが、2018年10月に予定された納期に間に合わず、45億ウォンの遅滞償金を課された。ハンファオーシャンは納期遅延に対する責任が大きくないとして減額訴訟を提起したが、裁判所はハンファオーシャンの主張を認めなかった。
ハンファオションの関係者は「現在、納期遅延に関する帰責事由及び遅滞償金関連事項を把握する段階ではない」とし、「防衛事業法上、参政引渡し後に遅滞償金を確定することになっている」と話した。
Chosen.bizより
ハンファオーシャンには納期遅延に関する前科があって、減額訴訟までやらかしていた。
が、今回は一体……?
ハンファオーシャンは納期の遅れについて、艦艇自体の問題ではなく、強化島艦に装備される深海救助潜水艇(DVRV)の性能テストが遅れたためだと明らかにした。この潜水艇は英国企業が製作して供給しているが、現在、海軍の要求に合わせて開発中で、追加試験のための期間が必要だというのがハンファオーシャンの説明だ。
Chosen.bizより
どうやら、深海救助潜水艇の性能テストが終わっていないらしい。
……そういえば、新型を投入するとかいう話があったな。
大宇造船、4400億ウォン規模の海軍新型潜水艦救難艦を受注
2018.12.07 16:15
大宇造船海洋が新型潜水艦救難艦(ASR-II)1隻を受注したと7日、明らかにした。契約金額は計4435億ウォン(約447億円)で、2022年末までに製作して海軍に引き渡す予定だ。
今回受注した潜水艦救難艦には潜水士が最大300メートルまで深海潜水任務を遂行できる装備が搭載される。また、潜水士の作戦遂行が難しい最大500メートルの海底でも遭難潜水艦の乗務員を救助できる新型深海救難艇(DSRV)、海底1000メートルで運用できる水中無人探査機(ROV)も含まれる予定だ。
中央日報より
ふーむ。確か、潜水艦救難艦「清海鎮」には、イギリス製のLR5潜水救助システムを採用していて、最大運用深度は400mだったはず。
こんな奴なのだが、これを新型に変える計画があったのだとか。……あれ?イギリスは別システムを使う計画だったような??
調べて見たら、NATO構成国と共同で北大西洋条約機構潜水艦救助システムの運用を始めていた。
大丈夫なのかな?
「テストをしている最中」ということだから、モノは完成しているのかも知れないけれど。本件は救難艇だから、しっかり作る必要がある。万が一にも、現場に到着して「何も出来ません」というわけには行かないよね。多少延期してでも、しっかり作るべきだ。え?延期は6回目??
まあ、この件もワクワクしながら待つしかなさそうである。
コメント
前に深海ツアー潜水艇の記事を木霊様にねだって書いて頂きました。あん時を思い出しましても……
そもそも
「沈む事はできるが浮かぶ事の出来ない潜水艦」や
「ろくに外洋航行できない潜水艦」
などの「価値スクラップ」を「開発」する国に、深海で事故した潜水艦クルー救出艇の運用などできますかね??
潜水艦もの大好きなので、ドキュメンタリーも読んていて、米海軍の救出ドキュメンタリーを観たり読んだりしてます。
はっきし言って英米仏の海軍でも難儀!
アクアラングの開発者であるジャック.イブ.クストー氏がフランス海軍のオブザーバーとして救出活動のマニュアル(こっちは深海ではない)作成に参加してるそうですが、浅海でも相当に難儀だったらしい。ましてや500m以上の深度となると。米海軍の救出作戦でも死者が出てますからね。はっきり言って海自や海上保安庁の救出部隊の練度でも難しいと想うんですよ。
難しいでしょうねぇ。
韓国軍にこのオペレーションを成功させて欲しいとは思っていますが、成功した事例を知りません。
性能が残念だったから活躍できなかったという話もありましたが、例のセウォル号事件の時も、ね。
とはいえ、道具を手に入れて訓練してこその話なので、頑張って頂くのが宜しいのかと。
今晩は。
確かに、水中での作業は視野も極端に狭くなりますし、照明も近場しか届かないので、危険な作業ですよね。潜水病の懸念もありますし。
日本の潜水技術については、
>自衛隊は、海上自衛隊潜水医学実験隊を中心として、飽和潜水を含む各種潜水技法の研究開発を進めており、1997年には400メートルで40日間の潜水を達成し、2008年5月21日には、潜水艦救難艦「ちはや」 (ASR-403) の潜水員が450メートルという日本新記録・世界第2位(当時)を達成している。(wikipedia 飽和潜水 より)
という実績もあるようですので、日々、研鑽されているのではないでしょうか。
こんにちは。
この話、確か、前級の「統栄」は、ソナーの代わりに魚探積んでるんですよね。
今度のも、DVRVがどうこう以前の問題じゃないかって気がするんですが、どうなんでしょうね。
※ポッド推進がマブチの水中モータだとか(今はバンダイ?)、ポッケナイナイでそもそもドンガラしか出来てないとか……
こんにちは。
「統栄」は水上救難艦ですので、潜水艦救難艦「江華島」の前級は「清海鎮」ですね。
ソナーに魚群探知機を積んでいた水上救難艦「統栄」は随分ポンコツでしたが、それでも原液で頑張ってはいるようですね。
そして、今回の話の原因は新型深海救難艇(DSRV)という事らしいのですが……、僕自身も怪しい話だと思っています。
ガワは既にできているんですがねぇ。