予算削減ねぇ。韓国海軍の軽空母は、なかなか仕様が決定出来ない状況にあるのだけれど、好意的に考えれば「一旦、計画を見直そう」と言うことなんだろう。
韓国、軽空母など兵器導入予算大幅削減…「次期政権にボール渡す」
2021.11.16 16:41
軽空母導入事業など韓国軍の大型兵器導入事業予算が国会の審査過程で大幅に削減された。国会国防委員会予算審査小委員会は16日に来年度国防予算審査結果を提出し、軽空母基本設計予算を72億ウォンから5億ウォンに大きく減らした。
中央日報より
でもねー、予算が72億ウォンから5億ウォンに大幅削減というのは、やる気が感じられない。
日本円にして5000万円程度の予算で何をしろというのか。人件費すら捻出できるか怪しいと思うんだけど。
韓国版事業仕分けは大胆に
以前もやらかした
ただ、この大幅削減の話、実は似たようなことを以前もやっていた。
韓国型次世代戦闘機事業、551億ウォン投じて中断の危機
2012.09.26 09:37
韓国型次世代戦闘機を開発するKFX事業が海外共同開発パートナーの確保に難航し中断の危機に瀕している。この事業は2021年までに5兆770億ウォン(約3523億円)を投じて空軍主力戦闘機のKF-16の性能を上回る戦闘機を韓国の国産技術で生産するために推進されてきた。
しかし国防部が25日に発表した2013年度国防部予算ではKFX事業が抜けていた。当初国防部は本格的な事業推進のため研究開発費名目で299億ウォンを要求したがこの部分が全額削減された。代わりに事業に経済性があるかどうかを再検討するための予算45億ウォンが反映された。これまでこの航空機をどのように開発するかを検討する「探索開発費」名目だけで551億ウォンが投入されたが、この事業を継続するのか中断するのかから改めて判断することになったのだ。
中央日報より
少々古い話だが、みんな大好きKF-21の旧称KFX戦闘機にも、予算削減で中止の危機が訪れたことがある。というか度々訪れていた。
この時は、予算をほぼ削除ということだったので、「ああ、KFX計画は霧散したのね」と、そう考えていた。
そして、タイミング的に2012年9月といえば、只今絶賛収監中のアキヒロくんこと李明博氏が大統領をやっていた時代である。この翌年、韓国大統領選挙が行われて、絶賛収監中のクネクネこと朴槿恵氏が韓国初の女性大統領に就任している。つまり、大統領選挙の前の年、政権がレームダックとなっている時期に新兵器の予算が削減されたことになり、今回と似たようなケースと言えそうである。
基本設計着手は遅れる
で、このような予算となった結果、韓国海軍の軽空母がどうなるかと言うと、単純に着手時期が遅れるのだとは思う。
軍関係者によると、この程度の予算では基本設計着手は不可能だ。軍関係者は「国会の最終予算決定が残ったが、事実上軽空母導入に対しては次期政権にボールを渡した格好」と話した。
中央日報より
凄い話だが、「とりあえず作ることだけ決めたから、次の人が予算配分考えて」と放り投げた格好なのだ。何というか、1から計画をやり直せレベルの話になるように思う。
結局のところ、軽空母を造る話だけが残ったワケだ。
昨年も防衛事業庁は今年度予算案に軽空母基本設計着手金名目で101億ウォンを策定したが、討論会などの開催に向けた予算1億ウォンだけ残し全額削減した。
中央日報より
なお、この軽空母計画も韓国政府の内部にも「ヤバい」という認識はあるのだろう。
だからこそ「次の政権で考えてくれ」と放り出してしまったと、そんな風にも思える。
ただしこれ、悪いことばかりでもない。韓国の場合は、新政権が始まると、積弊精算と呼ばれる前政権の完全否定をおっぱじめるのが通例である。だから、前政権が大幅に予算を削ったのであれば、新政権は予算の計上は逆にやりやすかったりする。
空母は見た目以上に金がかかる
そもそも、これは日本にも言えることだが、軽空母とはいえ戦闘機が運用できるタイプの船を用意すると見かけ以上に運用コストを要求されることになる。
日本はいずも型護衛艦1番艦「いずも」2番艦「かが」の2隻が空母化の改修をやっているが、運用となると1隻だけで運用するというわけにはいかない。尤も、この2隻は運用の仕方を研究する意図もあるだろうし、元々の運用コンセプト通りにも使えるため、直ちに問題となるというわけでは無いのだろう。
そう言う意味では韓国海軍が造ろうとしている軽空母にしても、造ってから運用方法を考えるというタイプでも良いかも知れない。お金と時間の無駄だとは思うけどね。
何故なら、例えば、軽空母とはいえ運用のためには規模は小さくとも空母打撃群は用意する必要がある。空母打撃群は、護衛するための駆逐艦や潜水艦、補給艦の類はそれなりの数を用意する必要がある。しかし韓国海軍に駆逐艦や潜水艦、補給艦が余っているかというとそんなことは無いわけで。
さらにこれ、数セットが必要となる。空母+空母打撃群のセットを少なくとも3セット用意しないと運用が難しい為、1隻作ったら大満足という韓国軍の「いつものヤツ」は通用しないのである。
軽空母は文在寅(ムン・ジェイン)政権が重点的に推進した兵器導入事業だった。それでもこの日の国防委全体会議では野党議員だけでなく与党議員も軽空母予算削減に同意した。野党「国民の力」のシン・ウォンシク議員は、「(軽空母は)まだ必要性の有無に対する共感が形成されていない。必要だとしても費用分析がまったくできていない」と話した。
中央日報より
ムン君の肝いりで始まったこの事業だったが、幕引きも結構あっけなかったね。もう、ムン君は大統領の座を退くので、作る事だけ決めておいて「もう、知らない」というわけだ。
でも、空母建造に関しては外国企業と契約を結んでしまっているので、次の大統領が「じゃあやーめた」という事はちょっと難しいだろう。違約金を支払って関係を清算するというところまでやれば良いんだろうけどね。
どうなるんでしょうねぇ。
ムン君がこの関係で法的に追及されて逮捕され、「あいつが全て悪い」という話にしてしまえば、それもアリかもしれない。
事業仕分けに似ている
そもそも今回のこの流れ、実は日本の民主党がやらかした「悪夢の事業仕分け」と構造が似ている。
この日の予算審査の結果、事業妥当性調査結果が出なかった兵器導入事業11圏のうち、大型攻撃ヘリコプター2次事業など5つの事業に対しては予算を全額または一部削減することにした。「国民の力」の韓起鎬(ハン・ギホ)議員室によると、防衛事業庁は事業妥当性調査の結果が出てもいない兵器導入事業11件で9兆9604億ウォンの予算を編成し議論を呼んだ。
中央日報より
事業の継続妥当性を判断して、バッサリと予算をカットするのである。
国政においてしっかり点検がなされているという意味で歓迎すべき流れのようにも見えるが、しかしそうであれば最初から「作ります」なんて言わなけりゃ良いのだ。
ここで出てきている大型攻撃ヘリコプターの話がどうつながるかもなかなか興味深いが、この記事の中ではさておこう。
韓国型軽空母の行く末、それが分かるのは新大統領が選出される来年の5月以降となる。
追記
貼れと言われた気がしたので。

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妄想が捗る!
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