韓国の近海で空母を伴う演習が行われた。
日米韓、済州島沖で海上訓練 トランプ政権初、空母が参加
2025年03月20日20時56分配信
海上自衛隊と米韓海軍は17~20日、済州島南方の公海上で共同訓練を実施した。海自の護衛艦「いかづち」のほか、米空母「カール・ビンソン」などが参加した。韓国国防省が20日、発表した。1月に第2次トランプ米政権が発足した後、日米韓の海上共同訓練は初めて。
時事通信より
久々の日米韓の共同訓練である。
空母取得計画の変遷
共同訓練と参加メンバー
さて、最近記事の方向性にやや悩むこともあって、初心に戻るためにも少し韓国軍絡みの記事のメンテナンスをやっていきたい思い立った。とはいえ、本格的にメンテナンスをする前に、ぼちぼち情報の集積をしていく感じでやっていこうと思っている。つまり、簡単な纏めの記事だ。最初の題材に選んだのは、空母の話だ。
で、冒頭に取り上げた日米韓の共同訓練ではあるが、アメリカの立場を考えると、今後、この枠組みがどうなっていくか?という点は非常に気になっていたところ。
訓練には、韓国海軍のイージス駆逐艦「世宗大王」を含む計7隻が参加した。
時事通信「日米韓、済州島沖で海上訓練」より
今回の共同訓練では、アメリカが空母「カール・ビンソン」を持ち出した。具体的な言及は海上自衛隊がやっていたので紹介しておこう。
- 海上自衛隊
- 護衛艦「いかづち」 :むらさめ型護衛艦7番艦 6,100t
- 米海軍
- 空母「カール・ヴィンソン」:ミニッツ級航空母艦 101,264t
- 巡洋艦「プリンストン」:ミサイル巡洋艦 9,460t
- 駆逐艦「スタレット」:ミサイル巡洋艦 9,648t
- 駆逐艦「ウィリアム・P・ローレンス」 ミサイル駆逐艦 9,648t
- 韓国海軍
- 駆逐艦「セジョン・デワン」:世宗大王級駆逐艦1番艦 10,290t
- 駆逐艦「テ・ジョヨン」:李舜臣級駆逐艦の3番艦 5,500t
うーん、日本のやる気の無さが見える気がするんだが、気のせいかな?多分、潜水艦に関して派言及されていないけれど随伴していただろうから、これだけということではないかもしれない。
……まあいいや、今回は韓国海軍の話なのだから。
で、韓国はイージス艦である世宗大王級駆逐艦1番艦「セジョン・デワン」を持ち出してきた。これに李舜臣級駆逐艦の3番艦「テ・ジョヨン」のコンビなので、韓国ではある意味最高戦力である。
韓国は空母が欲しい
で、韓国の近海で共同訓練ということなのだけれど、仮想敵国は北朝鮮だったということだと思う。
5 訓練項目
各種戦術訓練(捜索救難訓練、対水上戦、対空戦、対潜戦等)及び PHOTOEX
海上自衛隊のサイトより
ただし、この手の訓練をアメリカといつまでやれるのか?という不安を韓国軍は持っているだろうと思う。トランプ氏の登場によって、これまで以上にそういった不安を持っているのではないだろうか。
そうなると、またぞろ「空母が欲しい」と言い出すのではないだろう。少なくとも「アメリカがあてにならない」というケースは想定しなければなるまい。
韓国海軍、定期的に「空母が欲しい」という病気を発症する。別に増やして貰って全然構わないのだけれど、しかし戦略としては悪手だろう。だって、空母作っても何処で運用するのさ。
韓国近海で運用するには使用できる海域が限定されてしまうので、正直持て余すと思うんだけどねぇ。潜水艦は大型化させて長期潜水能力を高める方向性になっているのだけれど、まだまだ数が少ない。空母のお供に連れて行ってしまうと、数が足りなくなってしまう。

それ故に、空母の建造をするなら駆逐艦やら潜水艦を増やさねばならない。
ただ、彼らのロジックは良く解らないものの、「どうしても欲しい」のが韓国海軍の本音らしい。

この辺り、東洋経済がソウル新聞から転載した記事を紹介しているので参考になる。いや、ならないというべきか。読んでもなかなか合理的な理由が見つけられないのである。
韓国のF15K戦闘機の作戦時間は、竹島(韓国名・独島)の上空まで30分、中韓で所有権を争う離於(イオ)島(中国名・蘇岩礁)で20分だ。KF16戦闘機の場合、それぞれ10分と5分にすぎない。空中給油機を導入した場合、F15Kであれば竹島上空での作戦時間が90分程度に増え、最新戦闘機となるF35Aの導入も決定されているが、これ以上の空中戦力の追加は限界がある。これを補うことができる未来の戦力が空母なのだと海軍は主張した。
~~略~~
一方で、韓国の国力に軽空母は浪費と反対する声もある。しかし、韓国より軍事力や経済力が低いとされるイタリアやブラジル、タイなどがすでに軽空母を保有している。海軍は合同参謀本部に「空母建造には10年以上かかる。建造費を分散させれば、国防予算内で十分に支援できる」と積極的に説明しているようだ。
東洋経済より
恐らくこの辺りが韓国海軍が空母を欲しがる理由だと思うのだが、空母を国力の象徴か何かだと思っている辺りが救い難い。
韓国の強襲揚陸艦
さて、そんな感じで「欲しい」「でも無駄だ」という葛藤に長年苛まれてきたのが韓国海軍の空母論争なんだけれども、似たような話で強襲揚陸艦の話がある。
このブログでも、強襲揚陸艦の話と空母の話を纏めた記事を紹介している。
韓国海軍にとって、強襲揚陸艦というのはスレッジハンマー作戦を採用した仁川上陸戦(1950年9月15日)で劇的な勝利を収めたという意味でも、導入する意味のある艦船である。
なので、作れば良いと思っていたのだが、結局、韓国は手に入れなかった。
- 独島級揚陸艦 1番艦「独島」 19,000 t
- 独島級揚陸艦 2番艦「馬羅島」 19,000 t
え?あるじゃないかって?この独島級なんだけど、強襲揚陸艦として計画されているが、時々で輸送揚陸艦とか、輸送艦とか、様々な呼び方がなされる不思議な艦である。そもそも強襲揚陸艦を作るのなら、もっと数を作らないと。独島級揚陸艦1隻で6両の戦車を運べるのだが、2隻動かしても12両しか運べないんだよね。だから、せめて3倍は欲しい。
独島級揚陸艦は、輸送揚陸機能と機動部隊指揮所の機能を持った、ちょっと贅沢な艦になっているので、多目的揚陸艦という呼ばれ方をすることもあるらしいけど、それは本当に必要なの?と、疑問を覚える。
そして、現在漂流中なのが、これの3番艦相当となる軽空母である。
韓国軍「KF21N搭載」空母研究に着手…「軽空母→重空母」の可能性
2023年3月14日 12:00
韓国軍当局が韓国型戦闘機KF21の海軍用モデルKF21Nを搭載できる中型空母(重空母)開発の研究に着手する。国防省が明らかにした。
国防省は「今回の研究は不足技術確保など技術的分野に重点を置き、暫定的に今年3~12月に実施する予定」と説明した。このため海軍の軽空母事業が今回の研究を受けて重空母に転換されるのではないかという観測も提起されている。
AFPより
で、予算が付いたり、予算が消えたりと忙しい計画が進む訳なんだけれども、弾劾されるだろう大統領のユンユンは、この計画に反対していたため、この空母計画も再び漂流してしまった。
今度こそ空母を
李在明氏が大統領になった場合にどうなるのか?というのは気になるところだが、残念ながら李在明氏は空母の取得に関して、特にコメントを出してはいない。
今回の訓練は、日米韓の国防・防衛当局が2024年12月に合意した計画に基づいて行われた。韓国国防省は「3カ国の共同訓練を通じて北朝鮮抑止のための連携を緊密にしていく」と強調した。
時事通信「日米韓、済州島沖で海上訓練」より
今回の訓練、各国の防衛担当の大臣が「緊密な連携」をするというアナウンスを出してはいるが、政権が変わればこれは軽く覆される。
そして、前大統領のユンユンが「空母を手に入れる!」とぶち上げていたので、その弟子である李在明氏もおそらくは空母取得路線を踏襲するのではないかと、個人的には見ている。
ただ、しばらくはこの問題、棚上げになるのだろうと思う。
というわけで、過去の話をなんとなく纏めたような記事になったのだけれど、続報が出てくるのは当分先だろうね。
コメント
最近イランが軽空母を建造し公表しましたね。ご存じの方も多いのでは。
「イラン初の空母」ついに就役へ
スキージャンプ式の飛行甲板付きの“商船改造艦” 艦載機は!?(2/8 乗りものニュース)
https://trafficnews.jp/post/518972
韓国は、イランが先んじて空母を造った現実を見よ!(ペルシャ人、優秀。)
しかも、船体はヒュンダイ製のコンテナ船というオチで、アレステイングワイヤーを付ければ、未来のKF-21Nも運用できるのでは?(甲板が狭いけど。)
コレなら何隻でも低予算で造れるでしょうね。(韓国、こういうのでいいんだよw)
必要は発明の母とは言いますが、イランはなかなかやりますね。