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【現場猫案件】KF-16誤爆事件は誤入力後もチェックされず

韓国空軍
この記事は約8分で読めます。

セウォル号案件ですかね。

座標’5’を’0’で入力して誤爆… 3回のターゲット確認手順もパス

入力2025.03.10. 午前 11:35 修正2025.03.10. 午後 9:03

空軍が10日に発表した「京畿道抱川民家誤爆中間調査」によると、今月6日、京畿道抱川地域で民家誤爆事故を起こしたKF-16戦闘機のパイロットは、最初の爆撃座標を誤って入力した後、3回にわたって目標を確認する手続きも行わなかったことが分かった。

朝鮮日報より

死者が出なくて本当に良かったよ。

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誤爆は防げなかったのか

事故の整理

さて、先日の誤爆事件なのだが、ようやく話が出揃ってきたようだ。

前回は、事件発生直後ということもあって、はっきりした状況は整理できていなかった。なので、少し整理しながら書いていきたいと思う。

  • 3/6 米韓合同射撃訓練が開催される
  • 3/6 10:5頃 韓国空軍所属のKF-16戦闘機2機が合計8発のMk.82通常爆弾を誤って投下
    • 複数の民家と教会、1tトラックなどが破損
    • 被害者は4人が重症、3人が軽傷、その他、22名が何らかの症状を訴えて病院へ
    • 誤爆原因は1号機のパイロットが誤って座標入力したためと判明

こうやって並べてみると、いくつか不審な点がある。コメントにも頂いたが、データを手入力するのか?ということとか、2号機はなぜ誤爆したのか?とか。

データの流し込みは手動

さて、KF-16戦闘機だが、韓国空軍が1999年から2002年にかけて採用した戦闘機で、それより先に採用したF-16Cも近代化改修して使う予定になっているそうな。

F-16Cの近代化はIFF(Identification Friend or Foe:敵味方識別)モード5とTDL(Tactical Datalink:戦術的データリンク)リンク16の搭載で、関連機器を含めて1億9400万ドルの予算を組んだのだとか。

今年3~9月には先行研究で事業の妥当性などを調べ、国内で発注する方針を固めた。これはF-16Cが韓国軍に導入されて時間がたつため、国内で関連技術をカバーでき、部品確保も可能だからだという。

そして防衛事業庁は先月26日に開いた委員会でF-16C寿命延長を国内事業として進めるための基本戦略案を議決した。

今後予算を編成し、2025年から本格的に着手する計画。機体の補強や搭載装備の更新によってF-16Cの寿命は10年以上延長されて2040年以降となる見通しだ。

AFPより

2025年からの改修事業開始で、韓国国内の技術で国内事業として改修を進めるのだとか。

色々「マジか」と思う部分はあるのだけれど、報道によれば、F-16PB(初期に導入したF-16C/Dのこと)は2014年にまでに搭載レーダーをAN/APG-68(v)7へ換装、戦術データリンク「Link-16」、中距離空対空ミサイル「AIM-120」、短距離空対空ミサイル「AIM-9M」、精密誘導爆弾「JDAM」などを統合するアップグレードされていて、韓国国内でさらなるバージョンアップをしようという話であった。

一方のKF-16の方は、KF-16は2020年から2025年までにF-16V仕様へアップグレードが行われる予定だったが、当初、BAEシステムズと契約していたのにそれを破棄、ロッキード・マーティン社と契約し直したのが2016年11月のこと。

しかし、2020年になっても初号機の改修が終わったという話を聞かない。そのうち報道はあるのだろうと思って待っているのだが、見かけないのは単に報道されていないだけなのか。

パイロットは地上で飛行準備をしながら、ノートパソコン的な「飛行任務計画装置(JMPS)」に座標など飛行に必要なデータを入力した後、これをUSB的な「飛行データ伝送装置(DTC)」という記憶装置に入れ、戦闘機のコックピット内のスロットに差し込むと、これらのデータが戦闘機の任務コンピュータに入力される。

朝鮮日報「座標’5’を’0’で入力して誤爆」より

KF-16が近代化改修済みのものだったかどうかは不明だが、JMPS自体は今も使っているシステムらしい。

Ukraine – F-16 Sustainment Services | Defense Security Cooperation Agency

ウクライナに送ったF-16セット(ブロック50相当)にも含まれているしね。いや、よく考えたらKF-16って最初からブロック52だったっけ。

誤入力

何れにしても、パイロットが手動で入力したのは間違いなさそうである。

中間調査結果によると、誤爆事故を起こしたKF-16のパイロット2人は5日、飛行準備を行い、翌日の練習場射撃のための目標座標を入力した。1機目のパイロットが目標を含む経路座標を呼び出し、2機目のパイロットがJMPSに入力したが、この過程で目標座標が誤入力された。

朝鮮日報「座標’5’を’0’で入力して誤爆」より

そして、1号機と2号機ともに座標が誤っていた理由は、2人が協力して目標座標入力をしていたからだった模様。

緯度座標’XX 05.XXX’を’XX 00.XXX’に誤って入力したのだ。1号機の操縦士が座標を間違えたのか、2号機の操縦士が誤って入力したのかは、供述が食い違っており調査中だ。この日、昇進訓練場の爆撃地点まで15桁の数字座標14個をキーボードで入力したが、14番目の爆撃地点の座標だけが間違っていたという。

朝鮮日報「座標’5’を’0’で入力して誤爆」より

うーん、キーボード入力ですか。キーボード入力が悪いという話ではないんだけど、逐次データを手入力というのは、ミスを生じやすい気はする。

そして、その後も救いがない。

彼らは座標入力が正しく行われたかどうかを「飛行任務計画装置」で確認すべきだったが、そうしなかったため、最初の確認機会を逃した。第二に、離陸前に戦闘機にアップロードされた情報が正しいかどうかを確認すべきだったが、1号機のパイロットは任務カードに書かれた座標と戦闘機にアップロードされた座標を照合しなかったという。2号機はDTCエラーで戦闘機から座標を入力し、正確な値が入力された。しかし、1号機のパイロットと2号機のパイロットが相互に座標を離陸前に再確認する手続きがなく、目標座標が異なることは確認できなかったという。

朝鮮日報「座標’5’を’0’で入力して誤爆」より

2号機は入力時にエラーを吐いたので、戦闘機に直接座標入力したらしい。だから、正しい座標が入力されていたとのこと。

誤ミッション遂行

そして、更に困った話に。

離陸後、飛行中に1号機のパイロットは、飛行経路と目標地域の地形が事前訓練時と少し違うと感じたが、航空機のHUDに表示された飛行情報を信じて任務を強行した。誤った情報値が入力された機械を信じたのだ。1号機のパイロットは、ターゲットを正確に肉眼で確認できなかったにもかかわらず、地上の最終攻撃管制官(JTAC)に「ターゲット確認」と通知し、爆弾を投下した。今回の任務は、目視確認後に投下する手順に従うべきだったが、虚偽の報告をしたことになる。2号機は密集大形の維持に集中していたため、目標座標を外れたことに気づかず、1号機の指示に従って同時に爆弾を投下した。

朝鮮日報「座標’5’を’0’で入力して誤爆」より

おおぅ。

f:id:okatat:20200210132940j:plain

こんな感じだったらしい。

韓国の場合は、手続きが正式化されてもケンチャナヨ精神を発揮しちゃうんだよね。

空軍は「最終攻撃段階に入る前に編隊間の目標座標を相互に確認する手続きと、MCRCに実務場専任統制士を指定し、任務編隊と目標座標を確認する手続きを追加する」とした。 また、「主要実務場任務の際、部隊指揮官に飛行計画と任務結果を対面報告し、大隊長(飛行隊長)がブリーフィングに直接参加して任務準備状態及び遂行能力を点検する」とした。

朝鮮日報「座標’5’を’0’で入力して誤爆」より

軍はそうならないと信じたいところだけれども。

追記

これで事件幕引きにするつもりかな。

戦闘機誤爆 原因は「操縦士の座標入力ミス」=韓国空軍

2025.03.06 16:20

韓国空軍は6日、ソウル北方の京畿道抱川市で韓米合同の実弾射撃訓練中に発生した戦闘機の誤爆事故は、操縦士の座標入力ミスが原因だったと発表した。

聯合ニュースより

この話でまだ不明な点が幾つかのこっているのだけれど、それは明らかにしないで良いのだろうか。

誤爆事故は2機のKF16が空対地爆弾「MK82」をそれぞれ4発投下する過程で発生した。爆弾は民家のある地域に落ち、民間人と軍人計15人以上が重軽傷を負った。

聯合ニュースより

1つは、爆弾8つ投下した割には被害が少ないこと。

Mk.82は建物や橋梁の破壊などに使われる高威力の爆弾だが、1発でサッカー場ほどの広さにまで威力が及ぶとされている。それが8つ投下された割には、被害はさほどではないようなのだ。

空軍関係者は「事故原因は現在までは操縦士の座標入力ミスと把握される」とし「(投下された)8発すべて弾着点を確認し不発弾はなかった」と話した。 誤って投下された爆弾8発はすべて標的から南に約8キロ離れた民家地域に落ちた。

空軍は「非正常投下事故で民間被害が発生したことに対して申し訳なく思い、負傷者の早急な回復を祈る」とし「被害賠償などすべての必要な措置を積極的に施行する」と謝った。 今回の事故で13人が軽傷を負い、重傷者2人が発生したが、生命には支障がないことが分かった。 民間人10人のほか、軍人5人も該当地域にいたが、被害を受けた。 また、住宅5棟、聖堂·倉庫·ビニールハウスそれぞれ1棟など建物8棟が壊れた。

毎日経済より

不発弾はなかったと説明しているが、ちょっと「本当かな?」と疑っている。ネットの噂では8発中7発が不発だったという発言を見かけるのだが、その根拠が見当たらないので全部破裂したのだとしている。

そうすると、被害はこんなものだったのか?という疑問は出てしまう。

あと、被害者数も謎だ。「民間人10人のほか、軍人5人も該当地域にいた」と書かれているのだから、被害者は15人以上増えるはずもないのに、他の報道を見ると29人になっている。

一方、軍は今回の誤爆事故の負傷者が民間人15人、軍人14人の計29人と発表した。近くにある第6師団に所属する部隊にも爆弾が3発落ち、将兵が負傷した。当初負傷者は15人とされていた。

聯合ニュースより

……自陣にも誤爆してたのか。

この3発は8発に含まれるのか、そうではないのか。

報道が混乱しているのもあるのだろうし、事実を詳らかにするというのが軍の士気に関わる部分はあるという判断もあるかも知れないけれども、それにしても不可解な部分の残る話である。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >ターゲットを正確に肉眼で確認できなかったにもかかわらず、地上の最終攻撃管制官(JTAC)に「ターゲット確認」と通知し

    最後の最後の安全装置が無視されましたか……
    完璧な「韓国型事故」ですね。

    これ以上に言うことないです、はい。
    ※そこに至るまでのミス自体は、起こりえるミスだけど、最後のこれは「故意の虚偽報告」ですから。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      何というか、色々な状況が重なって不幸な事故を招くケースはあって、これもそれの一例なんでしょうけれど。
      それにしたって杜撰としか。