去年も落ちてたよね。
韓国空軍主力戦闘機のKF16、1年もたたずにまた離陸中に墜落
2023.09.21 16:36
韓国空軍の主力戦闘機KF16が21日に墜落した。昨年11月に整備不良で事故が起きてから10カ月で再び同型機で問題が発生したのだ。韓国軍当局は今回の事故により民家と人命への被害は発生しなかったと確認し、正確な事故経緯を調査している。
中央日報より
パイロットが無事で何よりである。
これで8度目
去年の事例
このブログで扱っていなかったかな?と思ったけど、書いていたよ。
主力のKF-16が減ってしまうと、なかなか大変だな。

前回も近代化改修の話には触れたが、結局、今現在もどこまで近代化改修されたか不明である。
近代化改修の話
前回の記事でも触れているのだが、KF-16の近代化改修の話は2012年頃にはあった。だが、2016年の産経新聞の記事では、「頓挫した」ということになっていた。
韓国「主力戦闘機」の改良巡り米韓が泥沼金銭トラブル…米側の追加負担要求に韓国がキレた
2016/1/2 11:00
韓国で主力戦闘機KF-16(米国製F-16の韓国版)の性能アップ計画が米側との契約トラブルから頓挫し、旧式機を飛ばし続ける事態となっている。レーダーを最新鋭に交換する計画だったが、当初契約の10億5千万ドルに加え、米側から突然7億5千万ドルの追加費用を求められたことで韓国が怒って契約を破棄したためだ。
産経新聞より
この話は僕のブログでも多少言及していたが、最終的にどうなったかはよく分かっていない。簡単に経緯をまとめるとこうだ。
- 2012年頃にKF-16の近代化改修によりAESAレーダーを搭載する案が持ち上がる。
- 2012年7月に、ロッキード・マーティン社とBAEシステムズ社2社が入札に応じた。
- 入札の結果、BAEシステムズ社が10億500万ドルで落札
- 2014年11月、BAEシステムズ社が、事業遅延に関する追加費用として2億8200万ドル請求。また、アメリカ政府は事業リスク管理費として4億7千ドルを請求。
- 実は韓国側はFMS(対外有償軍事援助)を通じて入札をしたが、何故か直接BAEシステムズ社に発注してしまった。そして、10億500万ドルで改修が完了すると思い込んでいたのだが、現実手にはFMSを通じて適切に管理されるために、政府側で管理費が、BAEシステムズ社としても見積もり通りではない部分の追加費用が発生したので、コレを請求したのである。
- アメリカ側の認識ではあくまでもFMSを通じての入札だったのだから、当然ながら管理費の支払いや、適切な追加費用の支払いを求める必要があるわけだが、韓国側の認識は直接依頼したのだから、入札価格でメンテナンス完了しろということだったらしい。
- しかし、韓国のKF-16が予想以上に酷い状態だったらしく、追加費用(7億5千万ドル)が発生。
- おそらく、部分的に故障したまま運用しており、それを「ついでに修理しろ」というようなふざけた話があったのだと推測されるが、事実は不明。
- 韓国側はBAEシステムズ社との契約を破棄。ロッキード・マーティン社に改修を依頼する運びとなった。
韓国、KF-16戦闘機改良事業でロッキード・マーティン社と契約締結
2016.11.24 09:32
米国の航空機・戦闘機メーカーのロッキード・マーティンが韓国のKF-16戦闘機130機余りの性能改良事業を12億420万ドル(約1355億円)で契約したと21日(現地時間)、発表した。最新鋭のアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーおよび航空電子装備を装着する「性能アップグレード」事業だ。KF-16は韓国空軍の主力戦闘機。
中央日報より
なお、BAEシステムズ社とは訴訟に発展した模様。
その後が不明
ところが、この後の報道が見当たらない。130機程度の近代化改修にはそれなりに時間がかかるが、それでも2016年に契約を交わしてその後1機も手を付けていないなんてことはなかろう。
産経新聞で記事が報じられた際に、既にロッキード・マーティン社に依頼すると発表はあったが修理はなされていなかったはずだ。そして、2016年11月には契約がなされた。
韓国空軍のKF-16戦闘機が米空軍のマークをつけて飛行、一体なぜ?
2021年4月28日(水) 22時20分
2021年4月27日、韓国・ソウル新聞は、韓国空軍のKF-16戦闘機が米空軍のマークをつけて飛行する姿が捉えられたとし、その理由について報じた。
今年2月26日、米エドワーズ空軍基地のホームページに掲載された写真の中に、米空軍のマークをつけて砂漠を飛行するKF-16戦闘機が写っていた。記事によると、このKF-16は性能改良のために米国へ送られたものだったという。
記事は「米空軍第412飛行試験大隊に派遣された機体は、韓国空軍ではKF-16で使用しないGBU-39 SDB(Small Diameter Bomb)スマート爆弾を装着して投下する実験を行った」と説明。
レコードチャイナより
続報として確認できるのはこの記事で、一部の性能改良が終わってテストが行われていることが示唆される。
追記:コメントで教えて頂いた韓国メディアの記事で、2021年時点で10機弱の近代化が完了している旨の記載があり、当初2025年プロジェクト完了予定であって、記事の時点で2~3年分の遅れが確認されているとのこと。詳細は下記にて。
そして、去年墜落した機体は、改修前であったと示唆される記載があった。
今回事故が起きたKF16は1991年から導入し始めた戦闘機で、ロッキード・マーチンのF16戦闘機を韓国でライセンス生産した機種だ。
中央日報より
明言されないものの、近代化改修後の機体であったのであれば、その旨触れられていてもおかしくない。
KF16の直近の墜落事故は昨年11月20日に江原道原州で発生した。哨戒任務中だったKF16にエンジン異常が発生したが、事故原因として整備不良が指摘された。
中央日報より
なお、この機体は後に整備不良だったということになっている。
今回の原因はまだ不明
で、今回は、ということなんだけど、21日墜落で今日では流石にまだ調査は出来ていないだろう。
事故が起きたKF16は米F16を国産化し部品で組み立てる方式により1990年代中盤から2000年代中盤まで韓国で生産され、約140機が韓国軍に配備された。この日墜落したKF16は1990年代後半に生産された機体で老朽化とは距離が遠いというのが軍当局の説明だ。一部では事故原因として鳥類との衝突の可能性を排除できないという話も出ている。
中央日報より
実際に、記事にも触れられてはいない。ただ、「後の方で生産された奴だから、老朽化したというほどでもない」という訳のわからないことが書かれている。
だがおそらく、韓国のことだから墜落機体が近代化改修済だったならその事を揶揄するような一文を入れてくる。原因を近代化改修に求めて、訴訟に持ち込もうという動きがあるだろう。
そんなわけで、おそらくは未改修機のトラブル。そして、本当にそうかどうかは分からないが、おそらくは「整備不良」が事故原因として報じられるだろう。
僕としては、近代化改修が現時点でどこまで進んでいるのかがかなり気になるのだけれど。
追記
スケジュールの遅れ
コメントで教えて頂いて、近代化改修の進行状況がある程度確認出来たので追記しておきたい。
空軍KF-16の爆弾投下試験、アメリカまで行ってきた理由
入力:2021.05.09 12:35
「私たち空軍KF-16がなぜアメリカまで行って爆弾投下テストをしているの?」
先月、米カリフォルニア州エドワーズ空軍基地SNSチャンネルに韓国空軍KF-16が砂漠上空を飛行しながらGBU-39 SDB(Small Diameter Bomb)スマート爆弾を投下する試験映像が公開されると一部のネチズンらがこのような反応を見せた。
~~略~~
KF-16の性能改良は2019年に本格着手され、国内空軍某整備窓口で進行中だという。今回のSDB投下試験のように各種テストを米本土で実施した後、その結果を受けて改良作業に活用している。これまで10機未満のKF-16性能改良が完了し、もとの基地に再配置された。現在、いくつかの基地から借り出されたKF-16 10機余りの性能改良が進行中だと伝えられた。
当初来る2025年ごろ性能改良事業が完了する予定だったが、2028年ごろに3,4年ごろ遅くなるという。
朝鮮日報より
この記事では色々な事が指摘されていて実に参考になった。
先ずは、近代化改修スケジュールについてだが、2019年スタートで、2021年の時点で10機弱のKF-16の近代化改修が完了して受領している模様。
そして、計133機の近代化改修対象となったKF-16の事業完了予定は、この記事の時点では2028年頃。ただし、台湾向けのF-16Vの近代化改修も順調に遅れているので、恐らく箱のスケジュールより更に遅れると思われる。
あ、前回と今回の墜落によって、131機になったのかな。
台湾空軍「旧式機で耐えるかも」米国の新型F-16納入遅れで中国への対応が急務に
2023.08.07
台湾空軍(中華民国空軍)司令部は2023年7月31日、アメリカからのF-16V(ブロック70)戦闘機の納入の遅れに対応するために、旧式化した一部のミラージュ2000戦闘機の延命を検討していると発表しました。
台湾は2019年に、アメリカのロッキード・マーチンから66機のF-16Vを80億ドル(約1兆1300億円)で購入する契約を結んでおり、最初の機体は2023年の冬頃までには納入される予定でした。しかし2023年5月、新型コロナウイルスによりパンデミックの影響などによる遅れで、最短でも2024年夏まで機体が届かないことが明らかとなりました。
乗り物ニュースより
この記事では武漢ウイルス感染症の影響で作業が遅れているとしているが、F-15向けの部品、F-16V向けの部品(電子戦装置及びレーダー関係)が不足している旨のニュースがあって、一部は重複していると思われるので、遅れの原因は部品の枯渇だろう。
そもそもアメリカ軍向けのF-15、F-16の延命プログラムも遅れが出ているのである。確かに武漢ウイルス感染症の影響はあるのだろうが、どちらかというとあっちこっちで戦闘機の改修事業が立ち上がったために部品が足りていないという可能性の方が高い。
F-16V相当に改修
KF-16のスペックに関して、近代化改修によってF-16V相当に能力を引き上げられるらしい。
KF-16 2台が直接米本土まで行ったのは、性能改良が大々的に行われ、米製作会社(ロッキードマーティン社)で直接作業をして様々な現地試験を進める必要性があるからだ。現在、KF-16は機械式レーダーが装備されているが、性能改良によりノースロップ・グラマン社の新型AESAレーダー(アクティブ型位相配列レーダー)SABRに置き換えられる。
また、新型ミッションコンピュータ、先端電子戦装備及びピア識別装備(AIFF)など各種航空電子機器もアップグレードされる。第4世代戦闘機でAESAレーダーなどを装着した4.5世代戦闘機「F-16V」に変貌するのだ。
朝鮮日報より
うーん、F-16V相当ねぇ。これが本当なら、KF-21は性能的にKF-16改よりも劣るということになるのかもしれない。まあ、KF-21は気長にやるしかないよね。
性能改良の他に、基骨補強など一部寿命延長事業が追加されたためだ。これにより総事業費用も1兆4000億ウォンから2兆ウォンに増えたという。
朝鮮日報よ
なお、気になるのは「基骨補強」をやるという話。
寿命を延ばすためにフレームの強化をやるのは定番なんだけど、当初の予定ではこれ、やらない予定だったんだよね。総事業費用2兆ウォン(15億ドル)になっているが、10億500万ドルでBAEシステムズ社が落札した時点よりも随分とお金がかかっているね。ちなみに、12億420万ドルでロッキード・マーティン社が改良事業を受けているが、BAEシステムズ社への支払金額はここに載っていないので、おそらくは、事業全体では20億ドルは下らないだろうと思われる。
随分高い勉強代だったと思うけれど、それでも防空防衛網に穴を開けるわけにはいかないし、KF-21の開発は未だ未だ時間を要する。仕方ないと諦めるしかないだろうね。
コメント
どこが整備したのだろう、
軍で共食い整備もままならない状態なんだろか?
それとも民間企業にエア整備されたのか?
「そんなバカな」と言えないのが韓国軍の整備でして、列挙していただいたのは全て過去にやらかした事例ですね。
韓国のnamu.wikiのKF-16のページでは「2028年までに132ユニットのKF-16改造が完了する予定です。」とあり参照先の朝鮮日報2021/5/9の記事ではKF-16Uについては「性能向上プロジェクトは2025年頃に完了する予定でしたが、2028年と3、4年ほど遅れると言われています。」となっています。(namu.wikiのKF-16をチェックしておくと改修についても更新されてたりするのでここをチェックして参照元の記事を読むのが楽です)
実機の方は遅れがちのようですがプラモデルの方は11月にキネティック社から 1/48 KF-16U が無事発売されそうです。(日本のモデラーで買う人がどれくらいいるだろうか?)
韓国のWikiにこんなのがあったんですね。
コレは便利かも。
Wikipedhiaは以前はかなり詳細に情報とソースが出ていたんですが、最近、かなり情報がカットされてしまってほとんど参考にならなくなったページが増えています。
今後参考にさせていただきますね。
しかし、2025年完了予定で、2021年には1個大隊分のおそらく18機が近代化改修完了ですか。そして、遅れに関しては予算の関係で遅れているという噂と、そもそもF-16関連の部品が足りない問題があって遅れているという噂がありますね。
こんばんわ、
あくまで一例ですが、KF-16の過去歴には、エンジンメーカーのP&Wが2007年に墜落したKF-16の搭載エンジンに問題パーツがあったことを指摘し、当時韓国空軍に部品交換を推奨していた(対象が推定60機)が、整備記録にはその部品交換記録がない、という話があるそうです。https://w.atwiki.jp/namacha/pages/154.html
今回KF-16は離陸からわずか数分で墜落したそうなので、事故原因はやはりエンジントラブルだろうと思われますが、果たして事実は何だったんでしょう。
韓国の戦闘機の墜落原因は、かなりの確率で整備不良で、KF-16に関して言うと、エンジントラブルで落ちている話が結構あります。
今回も多分、その可能性が高そうですね。
米国のFMS(対外有償軍事援助)を通じた入札、、って&米国戦闘機F-16の近代化改修に英国BAEが入札。私含めたニワカには分かりにくい制度ですね。
ちょっと調べてみました。以下のような認識であってるでしょうか?
・FMS(対外有償軍事援助) は米国製兵器の入手窓口を、企業じゃなく、米国政府(の相当機関:DSCA)とする制度
米国側:勝手に軍事技術が流出しないよう等。 購入側:そのかわり教育・訓練の提供を受けられる等
・米国戦闘機F-16の近代化改修に英国BAEが入札
うまく調べられなかったので上記事項から類推
これはF1レースマシンに例えると(例えになってる?笑)
マクラーレン・ホンダF1マシンの、改良・パワーアップをレッドブル・ホンダが行うみたいな。。。
対比しているのは
ホンダ :米国ロッキード・マーティン(元マシン:F16メーカー)
マクラーレン:米国ロッキード・マーティン + DSCA(米FMS執行機関)
レッドブル :英国BSE(兵器・世界的超一流コーディネータ:英国策企業)
・レッドブルは一流の「ワークス・マシン」サプライヤーだからエンジン供給元のホンダとも緊密な連携の元、マシンを開発する。
・これが「プライベーター」(その辺の草レースのチューンナップ・ショップ)なら車の供給元メーカーと、まず連携まではしない。
FMSからの入札ってことでも明らかなように「BSE」は「ワークス」なのでBSEに応札すると言うことは、DSCAにも費用払うってことがデフォ
だけど韓国政府はなぜかBSEをチューンナップ・ショップと勘違いして、BSEだけにお金払うことにした。決裂・裁判中
ロッキード・マーティンと再契約:現在実行中らしい? ←今ここ
うぅ~ん! 国際的な武器・兵器取引に関して、、、日本より遥かに経験豊富なはずの韓国にしてコレ。 我が国:GCAP:大丈夫か? 防衛大臣を自衛隊か防衛装備庁OBにしてくれ~!
FMSをF1で例えられると、僕としては適切なお返しができるかちょっと心配です。F1に関してはあまり知見を得ていませんから。
が、おそらくはご指摘の流れであっていると思います。
対外有償援助(FMS)は、決定は国務省が担当し、実行は国防省が担当し、管理はDSCAが担当します。政府間の取引のため価格面での揉め事が基本的にはなく(韓国は例外的に出ましたが)、調達した製品についてのオプション的なサービス保証も受けられるというメリットの多い取引です。ただ、価格がアメリカ側の言いなりになるという点はデメリットですかね。オプション的なサービスというのは、教育や訓練の提供の他に、FMSで調達をするので他の製品も取り扱ってくれ、技術を提供してくれ、といったバーター取引的なサービスまで含みます。
で、今回の件の細かい経緯までは調べられませんでしたが、本来、FMSを通じて近代化改修をするにあたっては、アメリカ政府を通じて(決定は国務省)企業に依頼され、その費用を韓国政府が支払うというスタイルになるところ、韓国側が勝手に入札を行ってBAEを選定。おそらくここでアメリカ政府側はBAEと韓国と直接の話だというふうに理解して介入しなかったところ、BAEで対応しきれないような機体が韓国軍から来ちゃった。で、BAEが追加費用をという話になり、FMSでやるならDSCAが管理を行わねばならず、管理費を支払えって事になった。で、ご破算に。
https://n.news.naver.com/mnews/article/003/0007294839?sid=100
僕の想像がだいぶ入っていますが、おそらくはそう外れてはいないでしょう。