近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。
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美保基地に空中給油機の追加配備

安全保障
この記事は約5分で読めます。

あー、KC-46ね。うん、まあ、ちょっとあれはねぇ。

空中給油機4機追加配備 防衛局が境港市議会に説明

03月04日 17時26分

中国四国防衛局は航空自衛隊美保基地に、新たに4機の空中給油機を追加配備する計画について、地元の境港市議会に今後のスケジュールなどを説明しました。

NHKニュースより

防衛省が導入を進めている空中給油機KC-46Aなのだが、ちょっと選択を誤ったんじゃないかな。追加で買うのは止めたほうが……。

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空中給油機を増やすなら

なぜ、A330 MRTTを選ばないのか

この件に関しては韓国空軍の選択が正しかったと思っている。韓国空軍はそれほど配備の必要性のない空中給油機を欲しがり、エアバス社製のA330 MRTTを導入した。

当初、ボーイング社製のKC-46も候補に上がってはいたが、性能面でエアバス社製のA330 MRTTを選択。4機を購入しちゃった。

なお、追加購入は懸命にも諦めた。

一方の航空自衛隊は、従来通りボーイング社製の空中給油機を選択した。いやまあ、お付き合いもあるのだけれど、それでも評判はかなり悪いぞ。だって、選択した時点でKC-46はまだ出来上がっていなかったし、何ならまだ不具合を抱えているんだ。

防衛省、KC-46AとF-35Aの空中給油トラブルで再発防止策 ブーム格納できず着陸

2024年12月3日 12:50 JST

防衛省は12月2日、北海道奥尻島南西の日本海上で今年8月に発生した航空自衛隊のKC-46A空中給油・輸送機の空中給油ブームが給油中のF-35A戦闘機から突然分離し、KC-46Aの機体後部胴体とブームが損壊した問題で、事故原因と再発防止策を公表した。F-35Aには損傷はなかったという。

Aviation Wireより

先日もこんなトラブルが。

img

そして、この状態で米子空港に着陸。

その後、ブームはF-35Aの空中給油口から外れるとともに急激に上昇。KC-46Aは後部胴体とブームが損壊したため、正常な位置にブームを格納できずに垂れ下がったままの状態になり、美保基地へ午後7時8分に着陸した。美保基地は民間航空機が利用する米子空港と官民共用空港となっている。

Aviation Wireより

国内でもトラブルがあったが、本国アメリカでもいい噂は聞かない。

抱える持病

例えばこんな話がある。

空中給油の肝・遠隔視認システム改善は2026年か 特集・KC-46Aが抱える”持病”のいま

2024年9月17日 23:45 JST

ボーイングが製造する空中給油・輸送機KC-46A「ペガサス」を、米国が日本へFMS(対外有償軍事援助)により最大9機売却することを承認した。しかし、KC-46Aは日本での運用には直接影響しないものも含め、品質問題などのトラブルを抱えている。

~~略~~

また、KC-46Aは米空軍が「カテゴリー1」と定義する重篤な問題を複数抱えており、解決までに時間がかかるとみられる点も気になるところだ。

Aviation Wireより

この記事は会員向けの有料記事なので、詳しい情報は読めないのだが……、給油装置に問題を抱えている他、要のリモートビジョンシステムの不具合やフライングブームの不具合、燃料マニホールドドシステムの欠陥、その他にもフレームに亀裂が入ったという話もある。

Cracks In KC-46 Tankers Halt All Deliveries

Updated on Mar 1, 2025

The Air Force will inspect its entire fleet of 89 KC-46A Pegasus aerial refueling tankers after cracks were found on two of the four new planes set to be sent to the Military Delivery Center, the Air Force told The War Zone exclusively. The issue was discovered by Boeing, which makes the jets, the Air Force said.

TWZ.comより

このネタは、航空万能論さんのところでもおなじみのネタになっているんだけどね。

いやはや、それにしても最近のボーイングさんは、ダメダメだねぇ。T-7A高等練習機のスケジュールも随分と遅れているし。

10機体制に

しかし、日本の防衛省はそれをわかっていて、導入を進めるんだとか。

美保基地には現在、4機の「KC−46A」が配備されているほか、令和7年度じゅうにさらに2機が配備される予定で、計画通りに進むと最終的に10機の空中給油機が配備されることになります。

NHKニュース「空中給油機4機追加配備」より

そりゃね、縦に長い日本列島の防衛のために、空中給油機があったほうが作戦遂行能力が上がるという判断はわかるよ。

でも、持病を抱えた機体を増やしても仕方がないだろうに。

こっちの話は、「オスプレイは欠陥機」というガセネタとは次元の違う話で、作戦に支障が出るようなことだって考えられるのである。

増やすなら、A330 MRTTの方を真剣に検討しようぜ。

そもそも、昨今はドローンとか無人偵察機とか色々なバリエーションが出てきているので、必ずしも空中給油機を増やす戦略が正しいとは言いにくくなっている。もちろん、戦闘機が不要になるとか、だから空中給油機も使わなくて良いという判断にはならない。

だけど、アメリカとの関係を考えたとしても、出来の宜しくないKC-46Aを選ばずともよろしいのに。コレだけは本当に理解しがたいね。

……まあ、KC-46Aの持病が完治すれば問題はないのかもしれないけれども。

コメント

  1. 匿名 より:

    FMSによる購入なんぞやめたらいいと思う
    アメリカ装備品の不具合に対してモノ申せない全ての元凶

    • 木霊 木霊 より:

      FMSもイイ面はあるんですよ。
      政府が1枚噛むので、機密性の高い装備を含む装備を買うことも可能になります。FMSだと価格は高騰しがちだし、手続きが面倒になるしで厄介なんですけど、その分、米政府のお墨付きを貰った取引が可能となる面は有利でしょう。不具合に対して直接メーカーに言えないというのは、デメリットですね。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    個人的には「性能面や信頼性で」A330 MRTTを推すのですが……
    確か、滑走路が耐えられないんじゃなかったでしたっけ。接地圧の関係で。

    とはいえ、KC-46Aは、つい最近主要構造物にクラックが入ってるのが発見されたとかで。
    もう、本当にどうしょうも無い状態に……

    KC-767をいっぱい買っておけばよかったのですが……(耐用年数的にダメか?)
    ※KC-767とKC-46Aは基本、同じフレームのはずなのに……中身が違うとこうもダメになるか……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      A330 MRTTはベースのA330がB-767より1クラス上の大型機ですから、空港に要求する滑走路のスペックもそれなりになりますよね。
      ただ、ボーイング747辺りは日本の空港で受け入れていますから、A330が利用出来ないという話ではないと思います。地方空港には着陸できないところも多そうですが。

  3. 匿名 より:

    機体の善し悪しもあるけどボーイング社の今の状態が、赤字→リストラの悪循環で工場には新米工員しか居ないという
    https://forbesjapan.com/articles/detail/69248

    日本の軍事機もF15改修 に KC-46A、T-7A とか 沢山発注してるけど、
    KC-46A、T-7A はキャンセルしてボーイングに一息つかせるぐらいじゃないと、F15改修さえ まともに納品されるか心配。

    https://grandfleet.info/us-related/boeing-defense-unit-set-to-report-biggest-quarterly-loss-on-record-4-9-billion/

    • 木霊 木霊 より:

      そうでしたか。
      大量にリストラしたのは知っていましたが、熟練工の獲得に失敗していたとは。
      KC-46Aの改修はまだまだ時間がかかりそうですね。