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韓国は上陸攻撃ヘリMAHを開発

韓国陸軍
この記事は約5分で読めます。

コメントで教えて貰ってはいたんだけど、なかなか記事を書くに至らなかった。情報が少なすぎて書くことがあまりなかったからね。

韓国航空宇宙産業、上陸攻撃ヘリ試作機飛行に成功

2025年1月17日 8:00 

韓国の防衛関連企業「韓国航空宇宙産業」(KAI)は15日、慶尚南道晋州に新設された回転翼飛行センターで、上陸攻撃ヘリコプター(MAH)の試作機初飛行の成功を祝う式典を開催した。MAHは昨年12月17日に初飛行に成功していた。

AFPより

韓国陸軍の新兵器が初飛行したという1月の記事で、陸上攻撃ヘリコプター(MAH)などという名前がついている(記事では「上陸」になっているが……)が、これ、スリオンを武装しただけである。いや、記事によればマリンオンの武装版という事らしい。

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予定通り開発中

開発難航の労作

スリオン関連のニュースは久しぶりだな。

韓国陸軍が満を持して開発した中型ヘリコプターは、KMH計画と呼ばれる2001年に検討が始まった攻撃ヘリと汎用ヘリを一部共用のフレームで同時開発する計画に基づくものだ。

が、予算の関係で、輸送ヘリコプターのみの開発をするKHP計画として修正されて2005年に開発が始められている。

ただし、韓国にとってヘリコプターの開発はゼロからであり、流石に外国技術を導入するしか選択肢がなかったため、ユーロコプター社にお願いして技術移転ありきでの開発が進んだ。なかなか上手くやったと思う。

ところが出来上がってから色々とトラブルがあって、技術移転もなかなか進まなかったという問題作となってしまった。まあ、兵器の新開発ともなれば、これくらいのことはトラブルのうちにも入らないかもしれないが。

  • 機体フレームに亀裂が入る → フレームに補強材を入れて対応
  • 高空飛行時の低温環境に耐えられずウインドシールドに亀裂が入る → 強化フィルムを貼り付ける対応
  • 機体凍結試験101項目中29項目で不合格 → 多分修正済み
  • メインローター作動機(MRA)連結部に亀裂発見 → フランスから納入する部品の不具合だとして交換
  • 派生型のマリンオンが墜落(2018年7月17日) → フランス製ローターマストの不具合だと確認

尤も、これらの問題は何とか解決したようだ。ユーロコプター社からの技術移転は、残念ながら失敗に終わったようだが。

初輸出

とはいえ、苦労しただけあって、近代的な輸送ヘリコプターの国産化()に成功し、輸出するところまで漕ぎ着けた。

韓国国産ヘリ「スリオン」 初輸出へ=イラクと約150億円で契約締結

2024/12/23 20:07

韓国の防衛産業大手、韓国航空宇宙産業(KAI)は23日、同社が開発した機動ヘリコプター「スリオン(KUH)」の輸出販売・供給契約をイラク政府と締結したと発表した。スリオンの輸出は初めてとなる。

契約費用は1358億ウォン(約150億円)で、契約期間は2025年3月31日から29年3月31日まで。

朝鮮日報より

記事によれば、韓国内で約300機が運用されており、派生型の機種も増えていく予定である。また、医療や消防、警察用の機体も開発されて運用中であり、報道によれば医療用には8機、警察用は8機、消防用には2機納入され、運用中であるという。

そんな感じで国内でそれなりに実証された機体を、イランへの輸出に成功したという。輸出できる機体を保有しているというのは素晴らしいことで、契約期間を見る限り2029年の納入ということになるのだろうか。

この辺り不明な点が多いのだが、多分、4月以降には続報も出てくるだろう。

攻撃型を作った

で、冒頭のニュースに戻って、攻撃機MAHは2024年12月17日に初飛行を確認したことを祝う式典をおこなったとのこと。

輸出することになった輸送ヘリ「スリオン」の派生機マリンオンをベースにした攻撃ヘリの話である。

試作機は地上滑走で移動した後に離陸し、約15メートルの高度でホバリング(空中での停止飛行)や旋回飛行を実施した。また、前後左右への飛行、S字旋回飛行、最大高度約30メートルでの水平飛行など、約20分間にわたりデモンストレーションを披露した。

カン・グヨン社長は「成功的な開発に向けた重要な転換点を迎えた。より公正で信頼性の高い飛行試験評価を通じ、我が軍と国民に信頼される航空機を作る」と述べた。

KAIは今後、上陸攻撃ヘリの飛行性能と武装運用能力を証明するため、主要任務重量の状態で飛行速度、上昇高度、ホバリング高度などを検証する試験を実施する。

今後、機関銃やロケット弾、空対地誘導弾、敵航空機への対抗手段としての空対空誘導弾などの武装運用能力を証明する試験評価を経て、2026年8月までに体系開発を完了する方針だ。

AFP「韓国航空宇宙産業、上陸攻撃ヘリ試作機飛行に成功」より

イマイチどんな性能かは伝わってこないのだが、開発完了の予定は2026年後半ということになっている。

テストはまだ始まったばかりだけれども、武装に関しては既に他の機体でテストをしているので、さほど問題はあるまい。

上陸攻撃ヘリは、海兵隊向けに開発された「マリオン」に、国内開発の小型武装ヘリ「ミルオン」の武装システム統合技術を適用し、海兵隊の要求性能を満たすよう開発された。

AFP「韓国航空宇宙産業、上陸攻撃ヘリ試作機飛行に成功」より

あるまい?

まあ、韓国ですから、どんな斜め上のアクシデントが起きるかは分からないが、恐らくは何とかなるだろう。このブログにもネタを提供してくれることを期待したい。

コメント

  1. 匿名 より:

    エンジン排気の赤外線対策が一世代古いような気がします
    吸気側は何もしていないし

    • 木霊 木霊 より:

      詳細が分からないので何とも言えませんが、輸送機ベースで作っていますからその辺甘い可能性はありますね。

  2. きたやまひと より:

    今日は。
     上陸攻撃ヘリと聞いて、防錆措置はと一瞬思いましたが、陸上攻撃ヘリなのでしょうね。
     陸上自衛隊は有人攻撃ヘリを用途廃止にして無人機に向かう様ですが、世界ではまだ新規開発の攻撃ヘリも登場しており、防衛基盤の維持等も考慮すると判断が難しいですね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      そこ、気になったんですが他に情報がないんですよね。
      ただ、マリンオンベースで作っていますから、防錆措置はやられているはずです。

      そして、この話は韓国の防衛力増強に寄与するという話ではなくて、輸出用アイテムを増やしたという意味合いで考えれば、それほど悪くはないかも知れません。

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    攻撃ヘリがオワコンと言われるこのご時世に……いや、使いどころ間違わなければ充分まだまだ行けるんですが。
    ※つい最近、ハインドが機銃でドローン相手に無双してましたっけ。

    確か、マリンオンは搭載能力が低くて……だったと思ったので、攻撃型と言ってもどれだけ積んでどこまで進出出来るのか、レーダは積んでるのか、興味は尽きませんね。
    ※機首の黒いのは、赤外のようで、レーダではないみたいですね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      輸送ヘリコプターを作ったってことで良かったはずなのに、当初のコンセプトに戻って攻撃機も兼用するという意味の分からない展開になりつつありますね。
      韓国はドローンも一生懸命作っていますから、多分、大丈夫じゃないですかね?ほら、輸送ヘリコプターは必要ですから。
      え?攻撃ヘリ?それは要らないかも?(苦笑