アメリカ軍は随分無人機の計画を色々と実現し、無人攻撃機も複数所有する時代になっている。
当然、世界各国でこの手の研究は進められているが、そろそろ実戦投入によってその優位性を示される様になってきている。日本の自衛隊ではアメリカ製品が良く運用されるが、世界ではトルコが随分と頑張っている印象が強いな。
え?韓国?そりゃ、やってますよー。
北朝鮮の無人機に触発されて開発を急ぐ
無人戦闘機が欲しい!
そもそも、無人戦闘機の開発を進める韓国だが、開発開始はそれほど早くは無かったようだ。2012年にはこんな記事が出ている。
無人戦闘機 韓国軍が開発推進か
Write: 2012-08-07 14:55:58/Update: 2012-08-07 14:56:33
韓国軍がおよそ5000億ウォンを投入して、無人戦闘機の開発に着手する計画を進めていると、東亜日報が7日報道しました。
「KBS」より
それによりますと、軍の消息筋は、韓国軍は、無人戦闘機の開発を進めており、2021年には実戦配備が可能になると述べたということです。
開発開始時期はさほど早くなかった理由はよく分からないが、開発はなかなか難航した模様。
シンガポール航空ショー2014:KAIは海上兵器としてDevil Killer UAVを発表
2014年2月17日
韓国航空宇宙産業(KAI)は海上の船舶から展開可能な小型の無人偵察機(UAV)を発表しました。
リンク切れ
従来、UAVはロケットブースターにより船から射出されます。
しかしこの「悪魔殺し(Devil killer)」と呼ばれるUAVは推進力として圧縮空気を含むキャニスターを搭載しており、
また飛行時は2機の電動ダクテッドファンが駆動します。
なんか、ニュースだけ見ると上手くいっている感じがするのだけれど、あっちこっちで不協和音が。
“悪魔殺し”は「戦術的な自爆」を行うUAVとしての特徴も備えています。
リンク切れ
データリンクシステムを使用して目標に誘導することも可能であり、突入時には翼に積まれた2kgの炸薬を爆発させることも可能です。
”悪魔殺し”は40kmの作戦範囲を持ち、最大で400km/hで飛行することも可能だとのことです。
このニュースの続きにはこんな衝撃的な事が書かれているのだけれど、40kmの作戦範囲で最大で400km/hで飛行って、全力で飛行したら6分ほどで作戦範囲外に飛び出す予感だな。もうちょっと作戦範囲広げられないのかね?
公開された無人機
韓国が保有する無人機計画は、一応、「ソンゴルメ(隼)」と「Remoeye」という2種類が進行中らしい。ただしこれ、陸軍が運用している機体のようだが。


この2つっぽい。
どことなく何処かのパクリっぽいデザインだ。ゾンゴルメの方はアメリカとイスラエルが共同開発していたRQ-2パイオニアに似ているし、Remoeyeの方はRQ-11 レイヴンにちょっと似ている。でもまあ、きっとたまたまだよ。
ところで、なぜ2012年に開発開始して2014年にその情報を開示したのか?だが、この時期に北朝鮮製の無人機が韓国の領空を幾度となく侵犯する事件が起こっているからである。
だが、墜落する無人偵察機
そして墜落。ま、予想通りというか。
韓国陸軍の偵察用無人機 ソウル近郊で墜落
2014/05/01 15:40
韓国北部、ソウル近郊の京畿道・楊州にある山に1日午前11時44分ごろ、陸軍の無人機1機が墜落した。
「総合ニュース」より
韓国陸軍の偵察用無人機が墜落=原因調査中
2014/06/06 14:21
6日午前10時48分ごろ、任務遂行中だった韓国陸軍の無人航空機1機が江原道襄陽郡に墜落した。軍関係者が明らかにした。原因は不明という。
「総合ニュース」より
墜落の話が出てくる出てくる。この時は、まだまだ技術的に未熟だったって事らしいな。
実はこの墜落事故の発生前に北朝鮮からの無人機飛来事件があって、韓国は大騒ぎになっていた。
北朝鮮からとみられる無人機、韓国大統領府の上空を飛行
2014年4月3日4:32 午後
先週北朝鮮との軍事境界線付近で発見された無人機は、韓国大統領府の上空を飛行していたことがわかった。韓国国防省のスポークスマンが明らかにした。無人機は、北朝鮮に戻る途中に墜落したとみられている。
韓国では無人機の墜落が過去1週間で2件確認されており、今週31日には北朝鮮の砲撃訓練直後に付近の韓国領の島で発見された。
ロイターより
なんと、大統領府の上空を飛行されてしまったのである。この時期の無人機はラジコンに毛が生えた程度の物だったが、それでも予定されたコースを飛行して北朝鮮へと帰っていった模様。墜落した無人機を発見して大騒ぎになった。
それで、慌てて「韓国にも無人機があるんだぞ」と飛ばして見せたのだが、相次いで落下してしまうという醜態を晒したんだよね。
ゾンゴルメは配備されていた!
ただ、めげずに開発は続けたらしく、どうやらゾンゴルメの方は部隊に配備されていたようだ。
先月26日に北朝鮮の無人機が韓国の首都圏領空を侵犯したことに対抗し、陸軍軍団級無人機「ソンゴルメ(はやぶさ)」2機が軍事境界線の北側5キロメートル上空まで越えて偵察飛行を行った。保守系メディアは北朝鮮の無人機による領空侵犯の事実の報告を受けた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「(北朝鮮の無人機より)2~3倍深く韓国のドローンを北朝鮮側に飛ばせ」という指針を下したと報道した。
~~略~~
先月26日、北朝鮮側に送られた無人偵察機のソンゴルメは、運用半径が80キロメートル、滞空時間が6時間ほどだ。ソンゴルメは戦時に戦闘状況と敵移動標的監視、砲兵射撃時の弾着調整および被害の評価を行う。ソンゴルメの性能と任務からして、平時に偵察目的で北朝鮮に送る必要はない。2014年4月の北朝鮮無人機事件の際も、朴槿恵(パク・クネ)政権が北朝鮮に無人機を送る案を検討したという。しかし、北朝鮮地域に墜落した場合の停戦協定違反の負担や無人機技術の流出などを懸念し、実行に移さなかったという。
2023/1/9付けハンギョレより
どのような運用のされ方がなされているのかは不明だが、運用半径は80㎞程度しかないことを考えると、偵察で運用というよりは軍事境界線の監視活動に使う感じなのかもしれない。
グローバルホークも買うニダ!
慌てて購入したグローバルホーク
そうしたことがあった影響かどうかは知らないが、韓国空軍はというとアメリカ製のグローバルホークも買うことに。
無駄な開発止めてアメリカから買った方がお得なのだが、何故か無人機開発を目指すことになった1年後にはグローバルホークを買う話になっていた。きっと同時期に日本の自衛隊がグローバルホーク導入を検討し始めたこととは全く無関係である。だから多分無人機の自主開発自体は続けているんだろうな。
韓国軍、RQ-4Bグローバルホーク4機を導入
2013/11/05 16:30
韓国は、RQ-4BグローバルホークBlock 30を4機導入することを決定したもようです。韓国聯合ニュースが2013年11月1日付けで報じています。
「ALY Team」
韓国では北朝鮮のミサイル攻撃を事前に察知して先制攻撃するシステムを構築中で、この中核としてRQ-4Bの導入を決定し、年明けにアメリカから購買受諾書(LOA)が届くのを待って正式決定します。2017年には運用が開始されます。
……ただ、予定の2017年になっても韓国にグローバルホークが販売されたというニュースは聞かない。あれ?どうなってるの??
そう思っていたら2019年になってこんなニュースが。
再度延期されたグローバルホーク導入…焦り深まる韓国軍
2019年03月31日11時55分
今年上半期に予定されていた高高度無人偵察機グローバルホーク1号機の導入が3カ月近く延期されたことが確認された。昨年に予定されていた導入日程は年をまたいでいたがさらに延期されたのだ。戦時作戦統制権転換検証を目前に控えグローバルホークの保有が急がれる韓国軍当局は焦りが深まっている。
「中央日報」より
米国、韓国へのグローバルホーク販売計画を承認
記事入力 : 2019/08/01 10:00
米国防省国防安全保障協力局(DSCA)は30日(現地時間)、韓国に最先端無人偵察機「グローバルホーク」を9億5000万ドル(約1030億円)で販売する計画を米国務省が承認したことを明らかにした。
「朝鮮日報」より
何というか、どうして韓国軍はアメリカが承認する前に「導入決定」とか言ってしまうのだろうか。
買ったら故障する、それが当たり前の事ニダ
なお、グローバルホークに関しては2019年から2020年にかけて無事に4機が韓国に到着したようだ。韓国国内でどのように運用されるかは報じられていないが、明らかになると国際問題に発展しかねないので、秘匿している可能性はある。

……とは思っていたんだけど、何故か故障。
導入10カ月のグローバルホーク、4機のうち2機が故障=韓国
2020.10.22 09:31
昨年12月から米国から次々と導入された高高度無人偵察機グローバルホークの一部で部品の故障が発生していることが確認された。
軍当局などによると、現在運用中のグローバルホーク1-4号機のうち、昨年12月に導入した1号機のランディングギア(着陸装置)から油が漏れる問題が見つかった。4月に導入された2号機では核心制御センサー関連の異常が発見された。1機あたりの価格が2000億ウォン(約185億円)近い最先端資産2機が戦力化の段階でストップしたのだ。軍当局は来年下半期の作戦配備を目標に、現在、飛行および装備性能の検証など戦力化段階を進めている。
「中央日報」より
武漢ウイルスのせいニダ!」とお怒りだが、共食い整備で何とか凌いだ模様。
日程に余裕がない戦力化段階でこうした状況が発生し、空軍は正常機体の部品を故障機体に使用する、いわゆる「同類転換」方式でこの状況に対応しているという。グローバルホーク1機を放棄し、正常部品を異常機体2機に供給すれば4機のうち3機を稼働できるからだ。
「中央日報”導入10カ月のグローバルホーク、4機のうち2機が故障=韓国”」より
韓国軍の得意技なので、「同類転換」方式等と言わずに共食い整備だといえばいいのに。1機は部品取り機になる予感はあったしね。
韓国空軍 グローバルホーク運用する偵察飛行団創設
2020.11.03 10:43
韓国空軍は、米国から4機を導入した大型高高度無人偵察機グローバルホーク、戦術偵察機RF16、韓国の技術で開発している中高度無人偵察機など5機種の航空監視・偵察戦力を運用する第39偵察飛行団を創設し、3日に中部、忠清北道・忠州の基地で創設式を開催した。
「聯合ニュース」より
そして、無事に偵察飛行団が創設される運びになった。
この素早さは見習いたいところだね!日本が買おうとしているグローバルホークは2021年に導入予定だったけれども、2020年8月に廃止検討が。実はアメリカで旧型RQ-4の退役が進んでいて、この情報を待つために配備がストップしてしまう騒ぎに。結局は購入する方針になっているようだけれど。
韓国がソレを聞いてどう思うかは知らないが……、メンテナンスには苦労させられそうではある。実際に、日本と韓国以外でグローバルホークRQ-4を導入したのはアメリカとNATOで、実質どちらもアメリカ軍が運用する形になっている。
そして、アメリカ軍はブロック40という最新版以外は退役させてしまったんだよね。
日本と韓国だけが高価な無人機を運用する格好となって、恐らく運用コストは跳ね上がる結果になるだろう。特にメンテナンスが苦手な韓国はどうするんだろうね。
ステルス無人機を作るニダ!
そうこうしているうちに、更にこんな話まで持ち上がる始末。
韓国軍がステルス無人機の独自開発に着手=韓国ネット「自主国防の道に進もう」
2019年9月3日 08:20
2019年9月2日、韓国・ソウル新聞によると、韓国軍が最近、敵のレーダー探知を避けて密かに偵察ができる「ステルス無人機」の独自開発に本格的に乗り出したことが分かった。
「レコードチャイナ」より
この話、まさか開発までステルスなのか?と疑っていたが、実際に開発はしていたようで、翌年、その姿が明らかに。

……アメリカ軍が開発しているX-47ペガサスに似た形状だが、いつも「ベンチマーク」してしまうのが韓国である。この実験機が成功したのか失敗したのかは不明だが、更に翌年にはこんな構想図が。

どうやら、開発中のKF-21とチーミングして編隊飛行させる気らしい。
国際情勢的にも、無人機を戦場で運用することで有利に戦いを進めることが出来ることが分かってきているため、韓国軍としても積極的に運用したいと考えているはずだ。開発には随分急いでいるようだけどね。
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