答え合わせの記事が出てきたので、少し言及しておきたい。
GS建設再施工費用負担どれくらいになるか… 「1兆ウォン肉迫予想度」
入力2023. 7. 5. 18:49
GS建設が地下駐車場崩壊事故が発生した仁川検団新都市アパート団地全体を全面再施工する計画を発表し、GS建設が負担しなければならない費用に関心が集まっている。
Daumより
記事自体は、色々これまでに触れてきたニュースの関わる話なのだけれど、今回は、建設部門に限定した話として纏めていきたい。
資金調達と構造上の問題
崩れたのは地下駐車場の屋根
まずは、関連記事を2つ。
今年の5月の記事2つなのだが、掻い摘まんで説明すると、以下のような話である。
- 建設中のマンションの地下駐車場の天井が崩落
- 既に買い手が付いた物件であり、建て替え要求がでる
- アパート団地全体を全面再施工 ← New!
とまあ、こんな感じだ。
で、韓国のビルと言えば、こちらに紹介したように、色々と問題がある。
よくある話が、外壁材が燃えて大変なことになるパターンと、崩れ落ちるパターンだね。
予算の調達はかなり大変
で、予算調達が必要になるという話である。ここも長々と引用すると読みにくいので要点だけ抽出しておこう。
- 2010年11月に、LH(住宅公社)より2,773億ウォンで受注
- 工事費全体は1,600億ウォン規模
- 大部分は工事済みなので、資金の大半は投入済み
- 撤去作業費用+高騰した人件費+工事費+原材料費で、工事費だけでも1.5倍以上かかるだろうと予想される
とまあ、そういった話と共に、先日書いた「韓国電力問題」と「セマウル金庫問題」があって、主な資金調達手段であった不動産PFが使えない可能性が高いという点が問題となる。
「韓国電力問題」の方は、電気を売るだけで赤字の状態で電気料金を上げられない韓国電力が、債権を乱発しているせいでクラウディングアウトが発生しているという話。
「セマウル金庫問題」の方は、セマウル金庫が現金不足で潰れそうって話なんだけど、セマウル金庫は積極的に不動産PFに関与していて、不動産融資規模は2023年4月の時点で56兆ウォン規模に膨れあがっているのだとか。
セマウル金庫事態「PF雷管」に触れる… 建設・2金融圏緊張高調
入力2023.07.09 午前6時01分 修正2023.07.09 午前10時29分
マウル金庫事態の触発地点の一つとして不動産プロジェクトファイナンシング(PF)融資不良が挙げられ、建設・金融圏に潜在したPFリスクに注目が集まっている。
最近、崩壊事故でPF借り換え遅延の懸念が浮かび上がったGS建設をはじめ、主要建設会社PF支払保証額の60%以上は比較的危険度の高い未着工事業場に対するものとみられ、建設業界の懸念が深い。
~~略~~
現代建設とGS建設・DLイアン氏・HDC現代産業開発・ロッテ建設は昨年末、大宇建設とテヨン建設は昨年第3四半期末を基準にしたものだ。
このうち未着工PF支給保証額が8兆8千464億ウォンで全体の61.4%を占めた。
NAVERより
そして、建設業界全体でも大手が「未着工PF」を抱えているので、新たな不動産PFで資金調達できるの?という点が問題となるんだよね。
GS建設が身銭を切る形でやれれば良いんだろうけれど、そんなに資金繰りが良くない。どーすんのこれ?という話なんだな。
鉄筋が不要な柱
で、資金的な話はさておき、構造的に問題だったという話もあって、そちらの方が衝撃が強かった。
[社説] まだこんなにしてるなんて… LHとGS建設の総体的不良工事
入力2023. 7. 6. 04:03
去る4月仁川検団新都市アパート新築現場の駐車場崩壊は総体的不良が生んだ典型的な後進国型事故だったことが明らかになった。
Daumより
韓国で不祥事があると「後進国型」という言葉を使う。しかし、未だに韓国は後進国だと言うことを認めた方が良い。
何故ならば、構造的におかしな話が散見されるからだ。
- 構造計算の時点では32本全ての柱に剪断応力に耐えるための鉄筋を必要とされていた
- 設計図面の時点で、32本の柱のうち15本は鉄筋が不要な柱だとされた
- 鉄筋が必要とされる柱の半数に鉄筋が入れられなかった
- コンクリート強度も設計基準より30%低かった
- 駐車場上部の土を設計より2倍高く積み上げた
つまり、32本→15本→その半分という感じで鉄筋の入れられた柱が減らされたらしい。採用されていた工法がフラットスラブ構造であったことを考えると、狂気の沙汰だ。
フラットスラブ構造は無梁版構造とも呼ばれ、天井から梁を無くす比較的新しい発想の工法(構造自体は古くからあったが、耐震性に問題があって日本での採用例は少ない。

図の左側が梁があるパターンで、右側がフラットスラブ構造を採用したものだ。
デザイン性を求めて、床スラブの厚みを厚くし配筋を工夫したり、外周に耐力壁を用いるなどの工夫を重ねることで、最近は採用例が増えてきているらしい。
そういう意味では韓国の建設業界の方が、流行に敏感なのかもしれない。が、韓国では更にここから発展させて、柱に鉄筋を入れなくてもOKという新発想が!
だって、等間隔に並べられた柱の「一部は鉄筋で補強しなくても良い」って、そこは構造耐力に寄与しなくなるわけで、そりゃリスキーでしょうよ。
更にディスカウント
で、鉄筋の問題だけで無く、コンクリートの強度にも問題があって、有り体に言えばシャビコンと呼ばれる水分を多めにしたコンクリートが使われたという印象での報道がなされている。
コンクリートの強度も設計基準より30%低く、駐車場上部の土も設計より2倍高く積み上げ、柱に大きな荷重が加わるようにした。
Daumより
「コンクリートの強度」が「設計基準より30%低く」という事の意味が、床の厚みを削った結果、コンクリートの強度が低下したという意味なのか、水分の調整を適切にやらなかったので、コンクリートの強度が低下したという意味なのか、で話は随分と変わる。
ただ、そうであればスラブの厚みを設計よりも減らしたという意味で書かれるハズなので、これは後者の可能性が高いと言うわけだ。
シャビコン使った上に鉄筋による補強は無し。だとしたら、そりゃ、天井も抜けるわ。
コメント
こんにちは。
ああ、やっぱシャブコンが……
そもそも、鉄筋の入ってないコンクリって、耐久性皆無なんですが……
※コンクリ・セメントは圧縮には強いが引っ張りには弱いなんてもんじゃない。
※曲げは、片側圧縮片側引っ張りだから……
「ここ、ポッケナイナイできるんじゃね?」「ここもいけるんじゃね?」から「ここまでやってもバレないんじゃね?」になって「これ、(中抜き的にではなく、建築物として)ヤバいんじゃね?」って誰も思わない(としか思えない)のがあの国の宿痾ですよね……
流石に、柱に鉄筋が入っていないとはいっても、鉄骨はあったんだと思いたいんですが。
その辺り、詳しいことはさっぱりですね。
それにしたって、酷い。
答え合わせというか、ここまで酷いとは。
凄いですね。この物をキチンと作ろうとしない強い意志…いかにピンはねが出来るかだけを考えている。俗に言う後進国型なんでしょうけど、国内だけなら問題ないのですがw国外でもやらかしてますからね…
ケンチャナヨ!
住みたくない国ですね。