NHKの日本語センスは、時々どうかと思う時があるんだけど、多分わざとなんだろうね。
韓国とレーダー照射で再発防止策確認 交流再開へ 理解求める
2024年6月2日 5時34分
1日行われた日韓防衛相会談で、6年前の自衛隊機へのレーダー照射問題をめぐって再発防止策を確認し、問題以降途絶えていた自衛隊と韓国軍のハイレベルの交流を再開することで一致しました。
NHKニュースより
タイトルさぁ、「韓国と」じゃなくて「韓国にレーダー照射で再発防止求めた」ってことならわかるぜ。何で、「韓国と」なんだろうね。
再発防止は図られるのか
偏向のNHKと割と正確なBloomberg
この話は、あまり蒸し返しても仕方がない部分があるのは分かっているのだが。ああ、過去のリンクを張っておこう。これは最近の記事のヤツだね。
そもそも、この事件の問題の根幹部分はここである。
ただ韓国側が認めていない事実関係については触れないままとなり、防衛省は交流を通じて連携を強化していく必要性について理解を求めていく考えです。
NHKニュース「韓国とレーダー照射で再発防止策確認」より
そう、韓国側は未だにレーダー照射の事実を認めてはいない。
起こってもいない事件なら、再発防止など出来ようはずもない。レーダー照射事件がこったから、再発防止を求めているのである。
ちなみに、ブルームバーグの記事はと言うとこんな感じになっている。
日韓の防衛交流再開へ、レーダー照射の再発防止策実施で一致
2024年6月2日 11:31 JST
木原稔防衛相は1日、韓国の申源湜国防相とシンガポールで会談し、両国の防衛当局間の交流を再開させることで合意した。2018年に発生したレーダー照射問題を巡っては、再発防止策を実施する。
Bloombergより
お分かりだろうか?
他のメディアも色々な報じ方をしているが、この件は防衛省の発表がどのようになされたかが重要である。
防衛大臣の記者会見
まず、関連の防衛大臣記者会見の該当箇所について。
Q:日韓防衛相会談について伺います。レーダー照射問題について、再発防止策では一定の合意がなされたということですけれども、一方で、この共同ステートメントなどには、事実関係の解明というのは盛り込まれておりません。今後、この問題はこれで決着して事実関係の解明というのはなされないのか、というのが1点と、そのことについて日本国内でも不満を抱く人もいて、その不満に対して大臣は今回の合意についてどう説明するのか、という2点をお伺いします。
A:まず、日本側としては、今回その事案の発生というのを重く受け止め、これまで再発防止を強く求めてきました。2018年12月からですから、もうずっと我々は、再発防止というのを強く求めてきました。日韓双方において、2018年12月に、海上自衛隊と韓国海軍の間で発生したような日韓及び日韓米の安全保障協力の停滞につながり得るような事案の再発防止策として、キューズ(CUES)の遵守、現場における意思疎通の改善、中央レベルでの意思疎通の強化を含む文書が策定されたところでありまして、これによって、部隊の安全確保及び火器管制レーダー照射事案の再発防止は図られたと判断しています。防衛当局間の懸案については、日韓間で結論が得られたところでありまして、今御質問にあったような事実関係と言いますか、我々がですね、我々の主張というのは変更したわけではありません。それに対して、国民に対してどうこれから説明していくかというのが大事だと思うのですが、この問題は2018年からずっと続いております。このまま日韓関係において放置をしておけばですね、またこれが再発することというのは考えられると思います。この事案というのは、海上自衛官の正に命に係わる問題でもありますから、これ決して再発はあってはならないということです。双方の立場に違いはあるけれどもですね、それぞれの主張というのはそのままの状態ではありますが、しかし、再発してしまったらこれは取り返しがつかないということになりますから、今回、再発防止策ができたということで、海上自衛隊の安全は守られる、担保されるというふうに認識をしております。同時に、今回この懸案が、再発防止策ができたということでまた再び2018年以前のような日韓の防衛交流というのが再開をされることが見込まれます。そのことによって、この地域の安全というのがですね、日韓関係、そして日米韓の関係というのが、より深化をし、そして様々なレベルでですね、この日韓関係、日米韓関係が深化することによって、正に様々な、この地域における安全保障上の課題の解決に向けて、促進していくのではないかなと思いますので、そのこともしっかりと説明させていただきながら、今回の成果というものをですね、丁寧に説明していき、御理解をいただきたいと、そういうふうに思っております。
防衛省のサイトより
ちょっと長いので要約すると、以下の2点のように思われる。
- これまで再発防止を強く求めてきた。
- 事案の再発防止策として、キューズ(CUES)の遵守、現場における意思疎通の改善、中央レベルでの意思疎通の強化を含む文書が策定された
実に根本的な話であるが、結局のところ防衛省が韓国側に求めたのは「基本ルールくらい守れよ」という話だ。かなり辛辣ではある。
そもそもこのCUSEというのは、海上安全を強化するための方策(海上衝突回避規範)であり、この規範には日本やアメリカだけでなく韓国ですら合意している。つまり、特別な指摘をするまでもなく、守るべきものを守ればトラブルにはならないだろう?という話を自衛隊側がしているのに等しい。
日米間の防衛相会談共同声明
そして、防衛相会談が行われた「日米韓」で「日米間」の共同声明が出されている。
日米韓防衛相会談共同声明(2024年6月2日)(仮訳)
令和6年6月2日
日本国木原稔防衛大臣、アメリカ合衆国ロイド・オースティン国防長官及び大韓民国申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官は、2024年6月2日、シンガポールにおいて日米韓防衛相会談を開催した。閣僚は、地域の安全保障に関する共通の懸念について議論するとともに、2023年8月18日の歴史的なキャンプ・デービッド首脳会合で提示された3か国安全保障協力の取組の実施状況を検討し、朝鮮半島、インド太平洋地域及びそれを超えた地域の平和と安定に貢献するための3か国安全保障協力の活動を強化・制度化する新たな取組について議論した。閣僚は、こうしたモメンタムを維持していくことが重要であることを強調し、本年以降、日米韓防衛相会談、日米韓参謀総長等会議及び日米韓防衛実務者協議を各国毎に順次開催する意図を確認した。
防衛省のサイトより
頭から読んでみたが、韓国だけの事情は含まれていない。
それどころか、韓国が嫌がる自由で開かれたインド太平洋(FIOP)のための新たなプランや「韓国による自由・平和・繁栄のインド太平洋戦略の履行」について言及がなされたようだ。
この分野において、韓国は支那の影響力があってハッキリしない態度をとっているのだが、流石にいつまでもそれでは困るというわけだ。
更に台湾に関する基本的な立場に変更がないことを認識させているところも面白い。あと、「国連海洋法条約(UNCLOS)に反映された国際法に整合的ではない行動に対する懸念を共有する」というのもちょっと面白い。実は韓国、蘇岩礁と呼ばれる暗礁を「自国の領土だ」といって憚らなかったことがあったのだ。今でも、この海域に関しては支那との争いがあるのだが。
無線通信の順位が決定される
ちょっと探し方が悪いのか公式発表では見つけられなかったが、こんな内容が含まれていたらしく、興味深い。
両側はまた、適切な通信とコミュニケーションのためにCUESの「無線通信計画」に従った周波数に基づいて相互合意された優先順位に従って呼び、応答することにした。
2014年に採択されたこのような内容のCUES規定は当初、海軍艦艇と艦艇に搭載されたヘリコプター間にのみ適用されたが、今年4月に「艦艇・航空機間の安全距離を維持しなければならない」という内容が追加され、日韓哨戒葛藤のように事案にも適用できるようになった。
Daumより
これ、韓国側に無線通信を呼びかけたが無視された話と関係していると思うのだが、「周波数に基づいて相互合意された優先順位に従って呼び、応答する」という手順が決定されたことで、通信を無視することがしにくくなる効果が期待はできるのだが。
この辺りも日本側が韓国側に呑ませた内容と見て間違いないだろう。
NHKニュースを見ていると、さも日本が韓国側に譲歩したような印象を受けるが、そうではないということが確認できるね。尤も、個人的にはもっと韓国側に譲歩させるような展開で良かったとは思うんだけどね。
とはいえ、いちばん大切なことは防衛大臣の言うように、再発しないことなのだから、韓国側のメンツを一方的に潰すようなやり方は効果的とは言えないんだろうね。
追記
コメントを頂いて、海上衝突回避規範について、もう少し詳しく書いた方が良かったと感じたので、簡単に補足しておきたい。
詳しくは防衛研究所のサイトに公開されているこちらのレポートを読んで頂くと分かり易い。
https://www.nids.mod.go.jp/event/proceedings/symposium/pdf/2017/j_07.pdf
ただ、それだけでは不親切なので、簡単に要約しておきたい。


- 支那による危険な行為が頻発したため、2014年4月22日、日米中など 21か国の海軍高官が参加した第14回西太平洋海軍シンポジウムにおいて、他国海軍艦艇と海上において予期せず遭遇した場合の行動規範を定めた「海上衝突回避規範(Code for Unplanned Encounters at Sea: CUES)」が合意された。
- 海上における衝突に関する国際規則としては、1972年 10月に国際海事機関により制定された COLREG があるが、CUESはコレに含まれない部分を補足する合意である。
- こうした合意に基づき、CUESが速やかに運用されるように、海上訓練が行われている。

おや、どういうわけか韓国軍は参加していないね?CUESの合意には参加したのに、韓国軍が積極的に参加した形跡はない。
「いやー、これを機に基本的なCUESの合意の内容を理解するために、訓練にも参加してくださいね?」というのが、今回の外交交渉の結果なんだと思うよ。
追記2
いやはや凄いな。
日韓軍事交流の足かせとなっていた哨戒機問題が解決=韓国ネットには不満の声「日本の謝罪が必要」
2024年6月3日(月) 13時0分
2024年6月1日、韓国・YTNによると、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議に出席した日韓防衛相が会談を開き、哨戒機対立の再発防止策に合意した。記事は「両国間最大の安全保障懸案が解消されたことで、日韓、日米韓の安全保障協力にも進展があるとみられる」と伝えている。
木原稔防衛相とシン・ウォンシク国防部長官は同日、18年12月に発生した哨戒機対立の再発防止策に合意した。再発防止策は、海上で偶発的に遭遇した際の多国間行動基準「海上衝突回避規範(CUES)」の遵守が柱となる。CUESは、艦艇と航空機間との安全距離を保ち、遭遇した艦艇や航空機の方向に射撃統制レーダーなどの照準を合わせて攻撃を模擬する行為を避けるよう規定している。
また、CUESに規定された周波数を基本としつつ日韓間で定めた優先順位に従って呼び掛け・応答し通信確率を高めること、日本の海上自衛隊と韓国海軍との間の通話チャンネルを活用し、平素から意思疎通を強化して信頼を構築することでも合意した。
レコードチャイナより
日本の報道よりも詳しい内容がレコードチャイナに紹介されていて、これはおそらく韓国で報道された内容に基づいたものだろう。
それにしても、「CUESに規定された周波数を基本としつつ日韓間で定めた優先順位に従って呼び掛け・応答し通信確率を高めること、日本の海上自衛隊と韓国海軍との間の通話チャンネルを活用し、平素から意思疎通を強化して信頼を構築することでも合意」って、韓国側が応答無視した話が相当響いているね。
そして、これでも日本は韓国に対して相当譲歩した形をとった。でも、韓国側の認識は違うんだなぁ。
この記事を見た韓国のネットユーザーからは「これは屈辱的な外交を超えた『降伏』レベルの外交だ」「問題を起こしたのは日本なのだから、強く抗議し、日本から謝罪を受けるべきなのに」「少なくとも謝罪は必要だよ」「尹錫悦政権は日本の望みなら何でも与えてしまう」「独島(竹島の韓国名)が日本の手に渡る前に早く政権を終わらせないと」など不満の声が多数寄せられている。
レコードチャイナより
もはや、付ける薬がないほどに混乱している。
コメント
こんにちは。
>韓国側のメンツを一方的に潰すようなやり方は効果的とは言えない
朝鮮人取り扱いの基礎ですね。
(米軍のマニュアルより抜粋)
5.身体で解らせた場合、根に持つ場合があるので、後で身辺には気をつけて行動しろ。
但し、徹底的に解らせる迄、手を抜いてはいけない。
6.相手を3才児と思い、信用したり頼りにはするな。重要な仕事は任せるな。
こんににちは。
彼らには「得をした」と思わせることこそが重要ですね。
短期的な利益を追求する習性がありますから、その事を理解して付き合うと良いですね。
>中央レベルでの意思疎通の強化を含む文書
が何処まで有効かという問題は横たわったままですが
なんせ積弊清算の国なので次期政権によって反故にされることは当たり前なので
積弊清算の風習も本当に止めて頂きたいのですが、大統領の任期もアメリカを見習って5年1期ではなく4年2期までということにして頂きたい。
何処の世界でも政権後半になるとレームダック状態になることは避けられませんが、2期目があれば未だマシになるでしょう。余り長く一人が政権を握るやり方も問題がありますが、5年のウチ3年位がポンコツになってしまう仕様は、付き合う方にとってはどうしようもないかと。
いゃぁ実はシナの軍も2010年か2011かに、自衛艦にロックオンしやがった事がありますね。腐れ根性は双璧ですね。
中国軍艦のロックオン事件で日中間の緊張が一気に高まった事もあって、
これはまずいね、もうやめましょうね、ということで合意されたのがCUESです。
2014年のこと。シナはこれ以降CUES違反はしていない、はず。ところがこれに合意したはずの韓国が2018年にやらかしてくれたので日本側は大問題視した、というわけです。
なるほど。nada様ありがとうございます。シナは違反してないと。
しかしですよ、あの獅子気取りシナが違反してないのに、どんだけキムチは腐ってるんですかね?
ユンユンは親日というよりも「現実主義者」で、下手に日本好きよりましだと想うですが、クネクネも保守だが告げ口外交しました。保守がやろうが左派がやろうが、あの国の腐った態度は変わらんでしょうねぇ。
あー、それが気になりましたか。
追記でちょっと補足しておきました。