【韓国】世界一高い木造記念塔を作るニダ

凄いな。

世宗市、高さ108mの「訓民正音記念塔」建立へ…識者から疑問の声も

記事入力 : 2025/01/22 11:05

世宗市が、訓民正音（ハングルの正式名称）の制定を記念する高さ108メートルの木造の記念塔を建立する予定であることが分かった。

朝鮮日報より

箸休め的なネタを探していたら引っかかったので、まあ、将来性を見込んで記事にしておきたい。

建設されると良いね

世界最大の木造建築物

何から大きな木造建築の構造物を作る計画だというのだが、韓国にそんな技術があったんだっけ？という疑問が浮かぶ。

記念塔は、見学者が中に入れる木造の韓屋（韓国の伝統家屋）の形にする計画だ。内部には博物館、記念館などを作る構想だという。高さという観点では、世界で最も高い木造建築物となる。現在、世界で最も高い木造の建築物は、米国ミルウォーキーにあるアセントタワー（86.6メートル）だ。

朝鮮日報「世宗市、高さ108mの「訓民正音記念塔」建立へ」より

現在、世界で最も高い木造建築物がアメリカにあるというのも驚きだし、知らなかったなぁ。

……ウィスコンシン州ミルウォーキーに位置するアセントタワーって、高層住宅（ビル）やんけ。木材は使っているのだろうけれど、最新の建築技術を駆使したってことなんだろうね。

じゃあ、韓国はどうするのか？というと。

おおう……。

世宗市と訓民正音記念事業会は13日、世宗市世宗洞の博物館団地近くに28層（高さ108メートル）の「訓民正音創制記念塔」の建立を検討していると明らかにした。

朝鮮日報「世宗市、高さ108mの「訓民正音記念塔」建立へ」より

28層の高層建築物をどのように建設するのかは非常に興味深いが、まあ、決定しちゃったから建てるんだろうね。

予算は足りていない

なお、肝心の建設予算なのだが。

記念塔の建立には約800億ウォン（約85億7000万円）ほど必要だと記念事業会では推算している。記念事業会の関係者は「現在、募金を呼び掛けているが、募金額によって記念塔の規模が若干縮小される可能性もある」と話した。世宗市は、政府の支援金を合わせて130億ウォンを補助する計画だ。

朝鮮日報「世宗市、高さ108mの「訓民正音記念塔」建立へ」より

募金によって集める予定っぽい。いやいや、市が補助するのが政府の支援金と合わせて130億ウォンで、建設に必要な費用が見積もり段階で800億ウォン。今のところ資金の１６％程度しか集まっていないと？

それで建設の決定をしてしまったとか、何処の韓国なんだ！

あ、世宗市か。

そういえば、この都市って「行政中心複合都市」に位置づけられてソウルから首都機能の一部移転（2002年にノムタン（盧武鉉）が首都移転公約として計画を推進）という話もあった（最終的には、首都機能の一部移転に落ち着いた）のだっけ。

ソウルから首都機能を一部移転するという計画は、実は結構合理的な話である。なにしろ、ソウル一極集中が進んで人口の5割（2020年時点で人口集中は50.1％に達している）がソウルに住んでいるという歪な国家である。

また、「世宗市の最大懸案である新都心商店街の空室解決案をまとめることも急務の課題だ」と明らかにした。 金会長の言葉通り、新都心の空室問題は、都市の活力を落とす悩みの種になって久しい。 韓国不動産院によると、今年第2四半期の地域別商店街空室率調査で、世宗市の中大型商店街空室率は25.7%で圧倒的な1位を記録した。 全国平均の13.8%の2倍に達する数値だ。 商店街4ヵ所のうち1ヵ所は空いていることを意味する。 小規模商店街の空室率も11.3%で全国1位だ。

毎日経済より

お陰で、世宗市では人口は増加傾向にあるモノの、経済発展を促すほどではないという状況。

中大型商店街空室率は25.7%で圧倒的な1位というのが、2024年の記事に紹介されているので、イマイチ盛り上がりに欠ける都市であると言えよう。

当然、経済が活性化しているとは言い難いので、余計なことに予算を回すことも難しい状況である。

首都機能移転

折角なので、最近の記事を探してみた。

ポストソウルは実現するか？　21世紀初の首都機能移転を目指す世宗市の今

2024年9月28日（土）19時00分

韓国の尹錫悦大統領の掲げた公約に第2大統領室の設置と国会移転というものがある。就任と同時に執務室と官邸を従来の青瓦台から龍山に移転した尹大統領は、韓国中西部の世宗市に第2執務室を建設し、国会を移転する考えを示しているのだ。

Newsweekより

ユンユン……、収監されちゃったからねぇ。

世宗市の市庁舎の構想図なんだけど、これが本当に建設されるのかは不明である。

そして尹大統領が公約にあげていた国会の移転もゆっくりとだが進みつつある。9月12日に国会に世宗議事堂建設委員会が設置され、9月27日には禹元植国会議長とともに世宗市で会議を開催した。禹議長は「首都圏への超集中、地域は消滅という問題は韓国の最も大きな社会問題になっている」と語り、議事堂建設は自身の任期が終わる2026年5月までに構想を完成させ基本設計に入るようにすると挨拶した。ここで重要なのは何かにつけ対立し国会運営に問題が起きている与野党が、国会の移転についてはともに賛成しているという点だろう。国会の世宗議事堂は、早ければ2028年、遅くても2030年中に竣工する予定だ。

Newsweek「ポストソウルは実現するか？」より

いや、予定では建設されるらしいんだけど。ただ、ユンユンは推進していたということは、次期大統領は左派なので完全にこれをひっくり返す可能性が高いと言うことだろうね、問題は。

実は、韓国第2の都市釜山ですら、消滅都市呼ばわりされる状況なのだ。

少子化で韓国第２の都市、釜山まで消滅危機　「進学はソウルへ」の偏向打破なるか

2024/7/25 15:48

日本を上回る速度で少子高齢化が進む韓国で最近、首都ソウルに次ぐ南部にある第２の都市、釜山まで消滅危機にあるとの分析が発表された。「将来、韓国がなくなる」との極論も叫ばれる中、尹錫悦政権は対策を急ぎ始めた。最も力を入れる政策の一つが、大学進学での地方回帰の促進策だ。

産経新聞より

この記事によると世宗市はセーフなのだそうだが、第2都市の釜山市がアウトで世宗市がセーフなのは、首都機能移転計画が未だ生きているからに過ぎない。

やっぱり予算が心配

そして、Newsweekの記事の中で指摘されているのだが、政治的理由によりKTXは世宗市に繋がっていない。つまり、交通の便の問題で発展するかどうか怪しい感じになっているのだ。

こうした首都機能の移転に関わる建築物に関しても、未だ議論の余地がある状況で、果たして世界一高い木造記念塔などを建設することができるのかは、予算的な観点から見ても非常に心配である。

ただし、この事業を巡っては「都市の景観を考慮しない展示性の行政」という批判が起きている。ソウル市のある建築工学科教授は「訓民正音の価値を、わざわざ高い塔を立てて示す必要があるのか疑問だ」として「世宗市にも似合わない」と指摘した。牧園大行政学科の権善必教授は「地方自治体の予算まで投入する大型事業なのだから、まずは市議会や市民のコンセンサスを得る必要がある」と話した。

朝鮮日報「世宗市、高さ108mの「訓民正音記念塔」建立へ」より

そして、何故か市民のコンセンサスが必要と主張する左派からの声も根強く、市の事業として継続することは困難な情勢である。

場合によっては縮小されるかも知れないこの木造記念塔建設事業だが、木造の建築物は維持管理にもそれなりのお金がかかることを忘れてはならない。韓国では良く火事が発生するからね。

放火で焼失した崇礼門復元は、文化保護が目的では無かった？！

引っ越し前のサイトで人気があったシリーズ 「ヤバイ韓国建築物」の第二弾だ。韓国の歴史を色々な意味で感じさせてくれる、韓国国宝第一号に関する話題だ。文化保護なんかじゃなくて、単なるパフォーマンスだったって事だな。崇礼門復元工事期限を違反すれば...

www.kodama-yomoyama.com

2023.04.15

それでも、過去の反省を踏まえて立派な木造建築物を完成させて欲しいとは思う。南大門の建設にあたっては、伝統的な建設手法を使おうとして様々なトラブルを引き起こしたが、今回の記念塔はあくまで歴史とは無関係のシロモノ。

何なら、木造に拘らなくとも良いレベルなんだが、その辺り、見直す必要はないのだろうか。或いは、高さを108mとしているところを、10.8ｍにするとかさ。

え？決めちゃったからもう作る？……いやまあ、出来上がるのを楽しみに待つ所存ではあるんだが。

追記

高層木造建築物は作ることが出来るのか

コメントに頂いた疑問に少し触れておきたいと思う。

先ず、高層建築物を木造にする話について、日本のように地震の多い国でも、木造高層建築物は建造可能だ。

日本橋に国内最高層の木造ビル 地上18階高さ84m

2024年1月11日 13:00

三井不動産は、東京都中央区日本橋で推進中の「(仮称)日本橋本町一丁目3番計画」を1月4日に着工した。設計施工は竹中工務店が実施し、竣工は2026年9月を予定。

Impress Watchより

木造と良いながら、最新技術を詰め込んだ木製素材を使うという意味なので、比強度に関しては鉄よりも優秀な素材になる。

日本国内の木造ビルは、2022年完成の大林組のビル高さ44mなどが既にあるが、ビルに限らないのであればもっと高い構造物はある。

古代の超技術

東大寺大仏殿（宝永6年：1709年に落慶した棟までの高さ49.1m、正面の幅57.5mの建築物）が知られるけれども、この大仏殿は2度にわたり焼失しており、治承4年：1181年に建設された当時は高さ約37mで、幅が約85.8mであったとされている。今の方が幅は狭く高さは高いのだね。

現存しないが、出雲大社は更に大きかったといわれ、中古（8世紀～12世紀頃：平安時代）の時代には16丈（およそ48ｍ）上古（平安以前）の時代には32丈（およそ96ｍ）の大きさだったとされている。なお、現存する出雲大社本殿は延享元年（1744年）に建てられた高さ8丈（およそ24ｍ）の建築物である。

なお、上古の時代の話は伝説であり事実ではないとされていたが、平成12年：2000年に境内で発掘された巨大な宇豆柱の発見によって、過去の本殿も巨大な建造物であったことは分かっている（ただし、同時に出土した副葬品などから宝治2年：1248年造営の本殿の柱であったとされ、現代の高さと同じである可能性が高い）。

現存する中で最も高いのは、教王護国寺（東寺）の五重塔（天長3年：826年に建設されたが、現存するのは5代目の寛永21年：1644年建設のもの）で、高さ55ｍなのだとか。ただ、五重塔は先端が長いので、構造的にはおそらく東大寺大仏殿の方が強い構造なのだと思う。五重塔といえば、世界最古の木造建造物である法隆寺の五重塔（和銅4年：711年頃の建立とされ高さ31.5m）が有名だ。

そして、現存しないが古代の七重大塔（相国寺）は応永6年：1399年に足利義満によって建立され、その高さ109m（尖塔の先を含む）だったというから、驚きである。応永10年：1403年に落雷で焼失してしまい、その後三度建設されたけれども、何れも焼失しているらしい。

近代であれば、東京の凌雲閣（明治23年：1890年竣工の高さ52m・12階建て）などが木造建築として知られるが、関東大震災で半壊したために爆破解体したのだとか。

ともあれ、日本はこんな地震の多い国でありながらも、古くから高層建築物を木材を使って作るということが行われてきた。

つまり、構造によるが100ｍ級の木造建築物は建設が可能であり、人が内部に入ることの出来る構造物も、上で紹介した竹中工務店が建設しようとしている84ｍのビルは設計上は耐震性までクリアできる。

なので、韓国だって技術とお金さえあれば高さ108ｍの木造建築物を建造は可能だろうということを言いたかった訳だ。日本は1399年に既に実現しているしね。