引っ越し前のサイトで人気があったシリーズ 「ヤバイ韓国建築物」第六弾である。第六弾は、シンクホール絡みの話の続報だ。
第四弾はこちら。
なお、データのサルベージをしている関係で更新日付が随分と前後しているのだが、そのあたりの矛盾はご容赦願いたい。
建物が傾いたのは地下鉄工事のせい?
前提として、韓国の建物には基礎杭を使わないケースがあることは、以前にもお伝えした。だからというわけでは無いのかもしれないが、とにかく建物がよく傾くのである。
蚕室洞9号線の工事現場近くの建物傾いた
登録:2014.11.10 22:18修正:2014.11.10 23:42
ソウル松坡区地下鉄9号線の工事現場近くの建物が相次いで傾く現象が現れ、ソウル市が調査に乗り出した。
韓国メディアより
相次いで5つの建物が傾いたそうな。

傾いたかどうかはこの写真ではハッキリと分からないが、記事ではこうある。
傾き現象が現れた建物は、地下鉄工事現場で約50 m離れたところにある。
住民は昨年末から壁にひびが入り飲料缶が一方の方向に転がっていくなどの異常が現れたと主張しているという。
3週間前から補強工事が進行中の5階集合住宅は、建物一方が30㎝や沈み住民が不安を訴えている。
韓国メディアより
建物の一方が30cmも沈み込んだら、そりゃ、床の上を丸いものが転がっていくような事態になるし、壁にひびも入るだろう。
石村地下車道では、8月に深さが80mに達する「巨大洞窟」をはじめ、すべての7つの洞窟が発見 された事があり、地下鉄9号線工事掘削作業が主な理由で指摘された。
韓国メディアより
なかなか凄い話だね。

地図だとこんな感じで、 問題の地下鉄9号線は黄土色で示された部分の沿線である。松坡区というと、松坡小学校のある周辺ではないかと思われる。
なるほど、地理的には地下鉄工事の影響は確かに考えられる。が、問題の第2ロッテワールド建設地域の近くでもあるんだな、これが。 地下鉄以上に地下を掘削しているのが、第2ロッテワールドの建設工事現場で、更に石村湖が近くにあることを考えると、地下鉄だけが悪者ではないだろう。
ソウルで突然の地盤沈下
幼稚園が倒壊
さて、こちらは比較的新しい2018年になってからの話だ。
韓国ソウルで突然の地盤沈下…建物が崩壊危機 「ドンという音がして傾いた」
2018年09月07日07時36分
7日午前1時、ソウル市銅雀区の上道小学校併設幼稚園建物は断崖の危険に辛うじて踏ん張っていた。明らかに傾いた建物の下は、共同住宅工事の現場(総面積4758平方メートル)だった。幼稚園の建物1階は2・3階の重さに耐えきれず、柱がぺしゃんこにつぶれていた。建物全体にもところどころに亀裂が入っていた。建物を支えていた下の厚いコンクリートの擁壁も10メートル下に押し流された。擁壁があった場所には赤色の土がむき出しになり、建物から飛び出した窓のフレームは無残な姿をさらしていた。
中央日報より
幼稚園の建物が夜間に突然崩れたというのである。


凄い話だね。
なんじゃこりゃ。地震の後、といわれても信じるような写真なのだけれど、幼稚園は無残な感じだな。写真から見る限り、ただ崖側の土砂が無くなった、ということだけではなさそうである。
シンクホール絡みかどうかは不明だが、地下にも問題があったということかもしれないね。
韓国ではこんなことは日常茶飯事と言うことらしい。
韓国では日常茶飯事
3日に2件
どのくらい日常茶飯事かというと……。
韓国、3日に2件の割合でシンクホール発生…「地下空間地図」の構築が急務
2022.08.08 07:48
3日に江原道襄陽郡の洛山海水浴場の近くで横12メートル、縦8メートル、深さ5メートルのシンクホールが発生した。シンクホールは一定規模以上の地面が陥没する現象をいう。幸い人命被害はなかったが、シンクホール近くのコンビニエンスストアの建物の半分ほどが地中に落ち込み真っ二つになった。
~~略~~
国会立法調査処が1月に発表した「都心地の地盤沈下の原因と対策」と題する報告書によると、2017~2021年の5年間に全国で発生した地盤沈下は1176件に達した。3日に2回以上発生したことになるが、最近ではソウルと釜山、光州など複数の大都市で地盤沈下現象が急増したことがわかった。
中央日報より
なんと、3日に2件はシンクホールが発生しているというのである。ちょっと意味不明なくらいシンクホールが出てきているな。

この程度のシンクホールであれば、未だかわいい方だ。記事に出てきている、洛山海水浴場の近くのコンビニエンスストアはこんな状況である。

……。
韓国・襄陽の洛山海水浴場近くで大規模地盤沈下…コンビニが真っ二つに
2022.08.03 11:16
3日午前6時40分ごろ、江原道襄陽郡の洛山海水浴場近くの工事現場で大規模な地盤沈下が発生した。
大きさは横12メートル、縦8メートル、深さ5メートルという。
中央日報より
唖然とするよりほかないな。
原因はよく分からない
しかし、ここまでシンクホールの発生が多発するのであれば、何か対策を打てば良いのにと思うのだが、どうにも有効な対策がない模様。
シンクホールの具体的原因としては、▽土地が十分に固まっていない▽地下水の流れが変わった▽上下水管の損傷で漏水が発生した――というケースが多い。最初のケースは主に埋立地に作られたニュータウンで確認される。
地下水の流れが変わってできる陥没は主に鉄道と道路、商店街、駐車場など大規模施設を地下に作る際に現れる。特に大都市であるほど地上空間が不足して地下に多くの施設を建設するが、地下水の流れが変わることになれば、地下に空洞が生じて陥没の発生につながりかねない。
このほか都心の地下に設置された上下水管で漏水が発生する場合も地盤沈下が起きることがある。特に老朽化した水道管の漏水は長期間かけて水道管に沿ってさまざまな所で発生し、住宅・商店街・工場などと隣接しているケースが多くて被害が大きい。
中央日報より
こうやって並べられている原因を見る限り、日本でも似たようなケースは偶に見かける。ニュースにもなっているしね。そうした事案に関して、避けることは難しいだろう。ただ、韓国のコンビニのようなとんでもないことになった話はそうそうない。
被害を防ぐために、なにやら資料を作っているようなのだが、これがなかなか進まないらしい。
専門家らはシンクホールをより効果的に防ぐためには「地下空間基礎資料」を構築すべきと指摘する。
2015年に始めた地下空間統合地図構築事業は依然として進行中だ。地下情報活用支援センターによると、地下空間統合地図構築事業は地下に埋設されたガス管、上下水道管、通信線など15種類の情報を3次元立体地図にする事業だ。2015年から5年間に290億ウォンを投じたがまだ完了していない。
中央日報より
こうした事業は外国でも取り組まれていて、日本でも行われている。だから、原因の発見も対策も実はそんなに難しいことではない。日本の事例で行くと8割くらいは原因の特定ができるらしい。原因が分かれば対策も容易だ。
ただ、再発防止というのは難しいんだよね。対策としてあげられた地下空間の地図作成も日本では行われてはいるのだけれど、色々な業者が工事を行う関係で常に情報が更新できるようにする必要がある。ちょこっと予算をつけたらOKという類いのものではないんだ。そして、シンクホールが出来たときに、原因の特定の一助になるだけで、再発の防止には繋がりにくい。
韓国の場合は、ここからポッケナイナイが始まって、事業は自然消滅してしまうケースがあるので、そもそも基礎資料が完成するかは分からないんだけどね。
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