こんなところにも貿易戦争の影響が。
中国航空会社がボーイング機受け取り停止か、米国に戻る機体確認
2025年4月18日午後 1:37
中国の最終仕上げ工場に到着していた米ボーイングのジェット機1機が米国に戻りつつあることが、18日の飛行追跡データで明らかになった。米関税に伴い、中国航空会社の少なくとも1社が受け取りを停止している可能性を示している。
ロイターより
受け取り拒否なのだろうね。
チキンレースの様相
経営不振なボーイング社に打撃
ボーイング社が業績的に苦戦している話は、今年はじめにも伝えられていた。
ボーイング最終赤字1.8兆円 24年12月期、ストが打撃
2025年1月28日 22:13
航空機大手の米ボーイングが28日公表した2024年12月期通期の最終損益は118億2900万ドル(約1兆8000億円)の赤字となった。最終赤字は6年連続。大型ストライキで航空機の出荷が大幅に減少したことが響いた。
最終赤字額は過去2番目に大きかった。過去最大の赤字を記録したのは20年12月期で、小型機「737MAX」の墜落事故・運航停止に絡む費用を計上したほか、新型コロナウイルス禍が直撃した。
日本経済新聞より
経営判断的なミスが大きかったと思うのだが、ある程度仕方のない面はある。実はボーイング社、武漢ウイルス感染症の世界的な蔓延でかなり大掛かりなリストラを行っている。
ボーイング787生産半減 新型コロナ、日本に打撃
2020年4月30日 08時14分
米航空機大手ボーイングは29日、中型機「787」の生産を2022年までに現在の月14機から7機に半減させると発表した。
~~略~~
カルフーン最高経営責任者(CEO)は「需要回復まで数年かかる」と表明。従業員の1割に当たる約1万6千人の削減も決めた。解雇も排除しない。
東京新聞より
そして、去年末もだ。
ボーイングが解雇対象者に通知開始 1.7万人の削減計画で
2024年11月14日午前 7:36
米航空機大手ボーイングは13日、全世界の従業員の10%に相当する1万7000人を削減する計画を巡り、今週から対象者に解雇通知を始めていると明らかにした。
ロイターより
今回のこの航空機受け取り拒否も、結構経営に悪影響を与えるのではないだろうか。
現場の熟練工が激減
こういった不味い経営判断が何をもたらしたかというと、熟練工の激減である。
労働者たちの年齢構成の変化は、シアトル地域のボーイング工場労働者を代表する3万1000人の組合員にも現れている。組合幹部がバンク・オブ・アメリカのアナリストに語ったところによると、コロナ禍以前は半数以上が6年以上の経験を持っていたが、現在は、同様のキャリアを持つメンバーの比率は25%以下であるという。
ボーイングは2020年に、コロナ禍の影響で新型機の需要がほぼ完全に崩壊したことを受け、2万8000人の労働者を解雇した。しかし、その後は工場が再び軌道に乗ったことで、2021年から2023年にかけて5万5800人を新たに雇用した。
アーンスト・アンド・ヤング(EY)で航空宇宙・防衛関連企業のコンサルタントを務めるラマン・ラムは、航空業界全体で、書き留めることができない専門知識を持つ年配の労働者たちが職場を去ったと述べている。その結果、工場におけるトラブルが増加したと彼は言う。「工場内の新入社員の割合が増えれば、3カ月後には品質問題が発生する確率が高い」とラムは指摘した。
Forbesより
航空機の製造は、自動車などの大量生産品と異なり、基本的に人手によって行われているのである。自動化が難しい分野なのだ。
それ故に、熟練工の激減は即時航空機の品質に大きな影響をもたらす。
部品の供給ストップ
そして、支那との貿易はボーイング社にとって頭の痛い話となるだろう。
中国航空会社、米製航空機の維持課題に-ボーイング機・部品禁止で
2025年4月17日 1:14
米国との貿易戦争が過熱する中、中国は米国製の航空機や航空機部品抜きで、厳しい時を乗り切ろうとしている。
ブルームバーグ・ニュースは15日、トランプ大統領の関税に対する報復措置の一環として、中国が国内航空会社に、米ボーイングの航空機の使用を禁止したと報じた。中国の航空会社は、保有する数百機の米国製航空機の修理、維持管理の問題に直面している。
Bloombergより
ボーイング社の実情をしっかり分析しているのか、支那がボーイング社を狙い撃ちにし始めているのだ。
確かにこの攻撃はボーイング社に大きな打撃を与える可能性が高いが、一方で支那としても無傷では済まない。
ただ、これらは応急処置に過ぎない。航空機は米国や欧米の産業技術に依然として大きく依存している分野で、中国経済のもろさがこの問題を通じ浮き彫りになっている。一部のアナリストは15日、納入受け入れの一時停止は、中国側の交渉戦術の可能性が高いと示唆した。
RBCキャピタルマーケッツのアナリストは「中国の航空機にとって米国製部品が重要であることを考えると、納入の停止が長引けば驚きだ」と述べ、既存の航空機を維持するための部品輸入についても、何らかの制限を長期間課し続けるのは難しいとの見方を示した。
Bloombergより
ここでもチキンレースやる気なんだな。
しかし、トランプ氏としてもボーイング社を失うわけにはいかないと思うんだが、どうするつもりなのだろうか。兵器産業としてもボーイング社は最近、微妙なんだよね。KC-46空中給油機兼輸送機の不具合満載感はどうにもならない感じなのだが、どうするつもりなのかなぁ。
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