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【インドネシア】汚職と切り離せない経済事情

インドネシアニュース
この記事は約8分で読めます。

KF-21戦闘機の話を書いていて、インドネシアの経済状況ってどうなのよ?と、疑問に思って少し調べていた。

アイルランガ調整大臣は、インドネシア経済が8%成長したと小売起業家を楽観的に呼んだ

17 Maret 2025, 20:29

ジャカルタ – アイルランガ・ハルタルト経済調整大臣は、小売起業家はインドネシアが8%の経済成長を達成できると非常に楽観的であると述べた。

彼は、サンポエルナ小売コミュニティ(SRC)のメンバーである小売起業家も、零細・中小企業の進歩を奨励するなど、ビジネス環境の発展に貢献していると述べた。

VOIより

インドネシアはアジアの成長株で注目されているというような話だった気がしていたんだが、KF-21戦闘機開発の費用は支払っていないんだよね。でも、概ね好調な様子。

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好調なインドネシア経済?

経済は堅調

えーと、取り敢えず分析しているところを引用しておくか。

インドネシアの24年成長率は+5.03%と堅調な推移が続く

2025.02.05

  • インドネシアで昨年10月に誕生したプラボウォ政権の滑り出しは上々で推移している。足下のインフレは鈍化するなど家計部門を取り巻く環境は改善するとともに、政策運営への期待も政権支持率を押し上げている。また、中銀は米ドル高に伴うルピア安を警戒して高金利政策を維持してきたが、景気下支えに向けて利下げに舵を切る動きをみせる。ただし、足下のルピア相場は昨年後半の底入れの動きが一巡し、先行きも米ドル高が懸念される状況に鑑みれば、政策運営は物価とルピア相場の動向に左右される展開が続こう。
  • 足下のインフレ鈍化と利下げの動きは経済成長のけん引役である内需を押し上げることが期待される。昨年10-12月の実質GDP成長率は前年比+5.02%と底打ちしており、前期比年率ベースでも同様に底打ちしている。しかし、足下の景気は財輸出や政府消費の堅調さが下支え役となる一方、家計消費や企業部門の設備投資など民間需要は勢いを欠くなど対照的な動きをみせる。分野ごとの生産動向も農林漁業や鉱業、一部のサービスで好調な一方、製造業や建設業は力強さを欠くなどバラつきが生じる動きもみられる。
  • 昨年通年の経済成長率は+5.03%と前年(+5.05%)からわずかに鈍化するも3年連続で5%を上回った。他方、プラボウォ氏は任期中に成長率を平均8%に押し上げる目標を掲げており、その実現には3pt程度押し上げる必要がある。家計消費の拡大余地は大きいが直ちに押し上げることのハードルは高く、雇用機会の拡大に向けた投資受け入れなどに着実に取り組む必要がある。他方、公的部門への依存を強めれば非効率さが増す懸念もある。内需の厚みを如何に増やすかがプラボウォ政権に課された課題と言えよう。
第一生命経済研究所より

日本からすると羨ましい限りだね。

図表3

堅調な感じなんだけれども、現状少し不安な要素もあるのだとか。

こうした状況ながら、上述のように中銀は再利下げに動くとともに、同行のペリー総裁は先行きの追加利下げ余地に言及するなど景気を重視している様子がうかがえる。確かに足下のインフレ率は目標を下回る伸びに鈍化するなど落ち着いた動きをみせる一方、コアインフレ率は目標域で推移するも昨年初めを境に緩やかに加速しており、徐々にインフレ圧力が強まっている様子がうかがえる。

第一生命経済研究所より

インフレ圧力の高まりを懸念して、利下げの方向に舵を切るという判断をしているらしい。

とはいえ、全体的に見て成長が続いているわけで、アジア経済の中での成長株だと言っても間違いはなかろう。

中央銀行の不祥事

そんな中で、お金に纏わるトラブルを見かけたことを思い出した。去年の年末のニュースだ。

インドネシア中銀本部を家宅捜索、CSR不正疑惑

2024年12月17日午後 9:33

インドネシアの捜査機関、汚職撲滅委員会は16日、企業の社会的責任(CSR)プログラムの不正処理疑惑を巡る捜査に関連してジャカルタにある中央銀行本部を家宅捜索した。汚職撲滅委員会と中銀が明らかにした。

中銀は捜査を尊重し汚職撲滅委に協力する方針を示した。

副主任捜査官は記者団に、中銀のペリー・ワルジヨ総裁の事務所も捜索し、関連する書類や電子機器を押収したと述べた。

ロイターより

中央銀行が汚職関連で家宅捜索を受けるなんて、なかなか凄い話である。まあ、インドネシアの汚職がなかなか凄惨な状態である事は、今に始まったことでは無い。

インドネシア中銀総裁の解任検討、一部国会議員 地元誌報道

2025年2月17日午後 3:05

インドネシア国会の一部議員が、中央銀行総裁が政府の政策を適切に支持していないと考え、大統領に総裁の解任を提案する予定だと、調査雑誌「テンポ」が匿名の関係筋の話を引用する形で17日に報じた。

ロイターより

解任されるという噂まで出ていたのだが、今のところは大丈夫っぽい。

ただ、インドネシアの中央銀行は過去にも汚職事件で捜査を受けているんだよね。調べて見ると幾つか出てきた。

アジアBiz・インドネシア、元中銀ナンバー2に贈賄容疑 2004年の汚職事件 - 日本経済新聞
【ジャカルタ=野沢康二】インドネシアの捜査機関、汚職撲滅委員会は26日、2004年の中央銀行人事を巡る汚職事件で、ミランダ・グルトム元中銀筆頭副総裁(62)を汚職の疑いで容疑者に指定した。今後捜査を進め、起訴するか判断する。ミランダ容疑者は...

2012年の事件では、逮捕者が出たかどうか調べられなかったのだが、No.2が拘束されるところまではいったようだ。

汚職とKPK

巨大なお金が動くので、汚職事件も起きる。それはなんとなく理解できるのだが、政治家も随分と逮捕されているんだよね。

インドネシア「汚職疑惑で政界大物逮捕」が手放しで喜べない理由

2021.10.6(水)

インドネシアの「汚職撲滅委員会(KPK)」は9月25日、与党ゴルカル党所属のアジス・シャムスディン国会副議長を汚職容疑で逮捕した。

地元紙は、KPKにより汚職犯罪の容疑者として逮捕された場合に着用させられたオレンジ色のベスト姿で手錠をかけられ連行されるアジス容疑者の写真を大きく掲載し、久々の「大物汚職容疑者逮捕」を派手に伝えた。

~~略~~

以前からアジス容疑者については、自らの選挙区への予算配分に関して、国会議員で予算委員長という立場を利用して特段の配慮を求め、その見返りとして、地方への特別割り当て基金配分で2017年以降8%の賄賂を要求した疑いがもたれていたのだが、今回の逮捕は、この件について捜査に乗り出そうとしたKPK捜査員に対し、捜査中止を求めて賄賂を渡した贈賄容疑によるものだ。

JB Pressより

これなんか、なかなか興味深い事件だが、汚職がバレそうになったから汚職捜査をしているKPKの捜査員を買収しようとして、賄賂を渡したことで逮捕された模様。

こちらの記事はなかなか興味深くて、歴代汚職事件のランキングを作ってあった。

繰り返される巨額汚職事件 損害額トップ10をリストアップ 変わらない癒着構造
インドネシアが国営石油・ガス企業の巨額汚職事件に揺れている。今回は石油に関わる事件だが、インドネシアでは、スズやパーム油など天然資源だけでなく、金融、保険、通信インフラといった…

なかなか凄い。

損害額トップは「ティマ」の汚職事件である。ティマは政府系錫生産大手企業で、現在も「他の容疑者がいる」と捜査が行われているらしい。

AGOは、300兆ルピアのスズ汚職事件に新しい容疑者がいる可能性を開きます

10 Agustus 2024, 07:15

ジャカルタ – 司法長官事務所(AGO)は、2015年から2022年の期間のPT Timah Tbkの鉱業事業ライセンス(IUP)エリアにおけるスズ商品取引における汚職疑惑の事件を処理する際に、新しい容疑者の可能性を排除していません。

VOIより

300兆ルピア(約2.8兆円)相当の損失が出たとのことなんだけど、なかなかにダイナミックである。

このように汚職があちらこちらに存在する状況であるので、例の高速鉄道受注失敗の際にも「袖の下がなかったからでは」と噂された。支那のやり方であれば、間違いなく金銭絡みのトラブルはあっただろうし、文化圏も近い部分がある。架橋がたくさん入っているしね。

経済的不安要素

そんなわけで、成長著しいインドネシアではあるが、汚職問題とは切っても切り離さない社会情勢である。

その結果、投資に不安要素を抱える外国人投資家も少なくはないらしい。

インドネシア新政府ファンド、国営銀株急落招く

2025年3月11日 17:00

インドネシアで新たに発足した政府系投資機関「ダヤ・アナガタ・ヌサンタラ(ダナンタラ)」が、ガバナンス体制に対する懸念から投資家の不安を招き、傘下に入る国営銀行の株価急落を引き起こしている。プラボウォ大統領が掲げる年率8%の経済成長目標に向けた取り組みだが、市場は慎重な反応を示している。

日本経済新聞より

8%の経済成長ねぇ。

インドネシアは、8%の経済成長を加速するために1,000兆ルピアが必要であると考えられています。

16 Maret 2025, 04:33

ジャカルタ – インドネシアは、8%の経済成長を実現するために、国内総生産(GDP)比で年間1,000兆ルピアの追加資金を必要としています。

「8%成長するには、インドネシアのGDPは2024年のGDPの価値から1,000兆ルピア増加しなければなりません」と経済金融開発研究所(Indef)の研究者Ahmad Heri Firdausはアンタラを引用しました。

VOIより

結構な財政出動が要求される他に、経済安定性の面を見ても不安視されているらしい。インドネシア中央銀行自身に不正があったことも否定はしていない。

で、冒頭のニュースに繋がるわけだが、8%の経済成長というお題目を唱えて小売企業化を集めてお話しちゃったというニュースである。インドネシアの経済調整大臣、もはや経済成長達成したというていで話を進めちゃったのは興味深い。

インドネシア・チレボン石炭火力2号機の贈収賄事件というのも最近あったばかりだし、国営石油プルタミナ巨額汚職事件も被害額が膨らみそうだという話。

何というか、経済活性化のエンジンとして汚職が絡んでいるので、そう簡単には切り離せないのだろうね。つまり、KF-21戦闘機開発も賄賂がなかったからダメになったってことか(違う

え?支那も似たようなものだ?まあ、インドネシアには大勢の華僑(人口の3%)が住み着いているから。

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