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東日本大震災から14年、除染土処理も含めて災害対応の再考を

政治
この記事は約12分で読めます。

日本はつくづく災害の多い国である。14年前の今日も職場にいたが、今までに感じたことのない周期の大きな揺れを感じて、「これはヤバいな」と慌ててネットの情報を色々漁った記憶がある。

東日本大震災から14年 死者や行方不明者 あわせて2万2228人

2025年3月11日 3時14分

東日本大震災の発生から11日で14年になります。これまでに確認された死者と行方不明者は、避難生活などで亡くなった「災害関連死」も含めると、2万2228人にのぼります。

NHKニュースより

被害にあわれた方に、改めてお悔やみを申し上げたい。

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災害大国日本とその備え

地震大国である現実

東日本大震災の前後でも、規模の大きな地震は発生している。

  • 平成7(1995)年1月17日 : 兵庫県南部地震 M7.3 死者 6,434名 不明者 3名
  • 平成19年(2007年)7月16日 : 新潟県上中越沖地震 M6.8 死者15名、負傷者2,346名、住宅全壊1,331棟、半壊5,710棟
  • 平成20年(2008年) 6月14日 : 岩手県内陸南部地震 M7.2 死者17名、不明者6名、負傷者426名、住宅全壊30棟、半壊146棟
  • 平成23年(2011年) 3月11日 : 三陸沖地震 M9.0 死者19,775名、不明者2,550名、負傷者6,242名、住宅全壊122,050棟、半壊283,988棟
  • 平成28年(2016年)4月14日 : 熊本地震 M7.3 死者273名、負傷者2,809名、住宅全壊8,667棟、半壊34,719棟 
  • 平成30年(2018年)9月6日 : 北海道胆振東部地震 M6.7 死者43名、負傷者782名、住宅全壊469棟、半壊1,660棟
  • 令和6年(2024年)1月1日 : 能登半島地震 M7.6 死者515名、負傷者1,394名、住宅全壊6,461棟、半壊23,336棟

どれも記憶にあるだろう大きな被害を出した地震ではあるが、それでも近代の地震被害は昔と比べれば被害自体は少ない。

気象庁のサイトから拾える過去の大地震をピックアップすれば、その被害の大きさにビックリするだろう。明治以降の情報しか分からないが。

  • 明治24(1891)年10月28日 : 濃尾地震 M8.0 死者 7,273名
  • 明治29(1896)年6月15日 : 明治三陸地震 M8.2 死者 21,959名
  • 大正12(1923)年9月1日 : 関東地震 M7.9 死者・不明者 10万5千余名
  • 昭和2(1927)年3月7日 : 北丹後地震 M7.3 死者 2,912名
  • 昭和8(1933)年3月3日 : 昭和三陸地震 M8.1 死者・不明者 3,064名
  • 昭和23(1948)年6月28日 : 福井地震 M7.1 死者 3,769名

そもそも、日本書紀にも地震の記述があるほど、古代から地震被害に遭ってきた国家である。記録に残る中で一番古いのは416年8月22日の允恭地震で、規模や被害は不明。

地層から確認できる地震は4世紀から5世紀頃に三陸から房総にかけて発生したと見られる巨大地震で、津波による堆積物と見られるものが発見されている。

その後の書物、続日本紀などの歴史書にも地震の記載が見られることから、歴史的にも地震との付き合ってきた国家であるといえる。嬉しくもないが。

除染土の利用

こうした地震との付き合いの長い国家ではあるが、原子力発電所が地震被害に遭って、廃炉に至る事になったケースは東日本大震災が始めてであり、様々な問題が未解決である。

処理水放出の決断にも12年を要しており、やっと1つ解決への途を辿り始めたが、除染土に関しては文字通り山積みになっている。

ここで、「除染土」について少し説明しておきたい。

名前の付け方が良いかどうかは疑問ではあるが、除染土とは「除染のために取り除かれた土や、除去された汚染土」を指す。つまり、除染作業で発生した土のことで、形式的には放射線物質を含む土壌ということになっている。

それによりますと、再生利用に使用できる土は工事の作業者や周辺の住民の追加被ばく線量が、国際的な基準で、一般の人の被ばく量の1年間の限度とされる年間1ミリシーベルトを超えないようにするため、放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の土を使うとしています。

また、液状化や水害や地震のリスクが高い場所での利用は十分な検討が必要とし ▽除染で出た土が流出しないよう表面を別の土砂で覆うなどの措置をとる一方 ▽土壌中の放射性セシウムは固定化して移動しにくいとして地下水汚染の防止対策は不要だとしています。

NHKニュースより

記事にある様に、放射性物質を含む土壌は半減期の長い放射性セシウム(セシウム134が約2年、セシウム137が約30年)などを含む。厄介なプルトニウムのような放射性物質も含むが、その比率は極めて少ない。

この辺りが、サヨクの批判を集めている一因なのだろうね。

だが、処理水と同様に結局のところは濃度(密度)の問題であるため、被爆量の1年間の限度とされる年間1ミリシーベルトを超えない程度に薄く広く「利用」すれば良い。

理屈はそうなのだが、感情はなかなかついていかないのだろうが。

環境省はこれまでに除染で出た土などのうちの4分の3は、放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下で比較的低いとして、可能なかぎり再生利用を行いたいとしています。

NHKニュースより

部分的には埋め立てなどに使って何の問題もないと思うのだが、「中間貯蔵施設」から先のプランが現状はないんだよね。

全国で受け入れを募る

なお、全くのノープランかというと、色々と打診はしているようだ。

原発事故の除染土最終処分場の受け入れ、5県が「条件次第で検討の意向」…読売新聞調査

2025/03/11 05:00

2045年3月までに福島県外で最終処分することが法律に定められている東京電力福島第一原発事故で生じた県内の除染土について、読売新聞が同県を除く46都道府県知事に行った意向調査で、5県が最終処分場の受け入れを「条件次第で検討する意向がある」と回答した。国は除染土の全国的な理解醸成を進め、残り20年の期限内に県外処分を確実に行いたい考えだ。

~~略~~

「条件次第で検討」の5県は秋田、千葉、兵庫、奈良、宮崎。千葉を除く4県は条件について、「健康被害をもたらさない安全な方法」「風評被害を防ぐ万全の手立て」「受け入れ費用の補助や住民への補償」「万一の事故に即応できる仕組み」の全てを選択した。

讀賣新聞より

うーん、どうなのよ、コレ。

何かもうちょっと良い方法はないのだろうか?少量ならなんとかなるかも知れないが、量は1400万立方メートル(1400万立方メートル)というから、何か埋め立てに使うなどしないと、なかなか処理できない量ではある。

除染土に関わらず、残土処理は日本全国で頭を悩ませている話。4tトラック1台で1万円程度の処理費がかかる。

そう考えると、やはり「県外処分」というのが現実的ではないのかも知れない。現時点で濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下であれば、137年積んでおけば放射線量は半減しているはずなので、問題は解決したも同然である。国家が一部地域を買い取って、積み上げて保管するという方法で問題ない気がするんだが。

それが、福島県外であっても県内であっても構わないと思うんだけどなぁ。

これ、結局前例のない初めてのことなので、トップが決めきれないのが問題なのだ。

防災庁の設置議論は進む

あれ?実働部隊の話は?

話は変わって、「防災庁」の話である。

政府 防災庁設置に向けた有識者会議で防災教育のあり方 検討へ

2025年3月9日 6時19分

「防災庁」の設置を目指す政府は、東日本大震災の教訓を踏まえて防災・減災の取り組みを強化していく方針で、有識者による議論を通じて津波などからの早期避難につなげる防災教育のあり方を検討することにしています。

NHKニュースより

……あれ?

過去にもこのニュースを取り上げているのだが、そういう話だったっけ?

確かに、防災教育は大切なのでそれを否定する積もりはない。

こうした観点から、「防災庁」の設置に向けた有識者会議では、地震や大雨で津波や洪水が発生するおそれがある際に、住民の早期避難につなげる防災教育のあり方を検討することにしています。

NHKニュース「政府 防災庁設置に向けた有識者会議で防災教育のあり方 検討へ」より

学校教育で防災を組み込むというのは、昔からやっていることではあるがかなり形骸化している部分もある。

特に地域性の高い問題を取り扱うべきところ、教師にそういった知識がないものだから、教えられないという問題があるのだ。そういった点は解消していく必要はあるだろう。

避難経路の確認と、避難場所の設置時に何が起きるのかを理解しておく等、やるべき必要のあることは沢山あるのだ。

個人的な話となるが、PTAの仕事をやらせて貰っていた時期があって、学校で避難訓練をやろうという提案をしたことがあった。地域老人会などと連携して、実際の避難所に設定されている学校で避難体験をという発想だったのだが、校長先生に反対されて挫折。

校長先生にしてみれば、「面倒なことを思いつきで提案しやがって」という感じだったと思うのだが……、まあ、言いたいことは分かる。今にして思えば、準備不足は否めないし、もっと根回しは必要だったと思う。

と、話は逸れてしまったが、災害発生が他人事ではないにもかかわらず、意外な程避難訓練というのは敬遠されがちである。

だからこそ、官主導でも防災教育の一環として避難訓練を行うことは必要なことだと思うのである。

が、それはそれとして、防災庁の役割って、それだけなの??救援隊などスペシャリストは養成しないの?

災害対策が不十分な地方自治体

調べて見ると、大規模災害が発生すると行政機能が麻痺するような懸念は、何度も議論されている。

災害時に限定されないのだが、「地方創生」と銘打ってデジタル田園構想なる考え方があり、一部そういった動きがあったハズなのだ。

政府関係機関の地方移転

東京一極集中を是正するため、各地域の地域資源や産業事情等を踏まえ、地方における「しごと」と「ひと」の好循環を促進することを目的として、政府関係機関の地方移転を進めます。

内閣府のサイトより

実際に移転した文化庁機能は、京都に移転する話がでている。

文化庁、京都移転から1年 東京にも残る拠点、成果には時間も

2024年3月27日 7時30分

文化庁京都市に移転し、27日で1年を迎える。政府が掲げる地方創生の一環で、明治以来初の中央省庁移転が実現したとはいえ、東京にも拠点が残る2拠点体制が続く。目標とする地域目線での政策立案を進めつつあるが、成果が出るにはまだ時間がかかりそうだ。

朝日新聞より

現実的には省庁機能を移転したとは言え、国会対応のために東京の拠点を無くせないというジレンマはあるのだが……。

問題点はあるとは言え、この話はもっと積極的に進めるべきだと思うし、国会の答弁に関してもオンライン可能ということにすべきじゃないのかな?もうちょっと技術革新を進めても良いと思うんだ。

と、話が逸れたが、災害発生した時にその地域の機能が麻痺する可能性は高く、東京直下型の地震を想定することも重要なんだけれども、地方自治体も当然同じ事態が発生する。

そうした時に指揮する部署が居ないというのは、かなり深刻な問題になるし、実際そうした事例があるにも関わらず、対策が採られていないのは問題である。

一応、内閣府で検討はされているみたいなんだけど、それこそ防災庁の機能として盛り込んでおくべき話じゃないの?

そして、非常時の実働部隊として自衛隊以外の選択肢をキッチリ用意していくべきなのだと思うんだけど、消防ですら地域密着型なので中央組織が脆弱なんだよね。

動けるスペシャリストが足りない

特別消防救助隊(ハイパーレスキュー)は各地の消防庁に設置(人口が10万人以上の地域を管轄する消防組織には救助専任の特別救助隊の設置が義務付けられている)されているけれど、地域行政に属する組織なので、全国の災害に出かけていくためには出動要請されることが前提となっている。

そうすると、地域の枠を超えた広域の災害救助活動に出る場合に、「誰が指揮するの」という話になってしまう。当然指揮は内閣総理大臣によるものとなるわけだが、システムも分かっておらず状況も把握できていないのでどうしても初動が遅れる。

「別の方法もあった」いまだドライバー不明の八潮道路陥没事故で消防関係者が指摘した〝消防の不手際〟

3/9(日) 15:00配信

~~略~~

「崩落した穴の中だから、転落事故と勘違いしやすいですが、トラックが土砂に埋まり、周囲がどんどん崩落する。これは土砂災害です。土砂崩れ災害へ対応するなら、トレンチレスキューなどが選択されるべきでした」 トレンチレスキューとは、この場合ならトラックの周囲を板などで囲い、土留めをして新たな崩落を防ぎ、消防隊員と要救助者であるドライバーの安全を確保しながら救助する技法だ。

Yahooニュースより

こちらのニュースは、このブログでも取り上げた八潮道路陥没事故の続報だが、結局、被害者救出は叶わなかった。が、別の手法だったら救出できた可能性があるという話だ。

個人的に、これは初動の判断のミスがあったかもしれないが、責められないとは思っている。現場で常に適切な判断が出来るのか?というとそうではないのだ。

が、逆に言えば地震災害は地域性はあれど、スペシャリストの養成の余地があり、備えておく価値もあるだろう。日本には、大規模な災害が定期的に発生することが分かっているし、数十年に一度は大規模な地震災害が起きているからだ。

現状では、対応に困った自治体の長は安易に自衛隊の出動要請をしてしまうわけだが、いい加減、そういった大規模災害の発生に対応できる組織を作るべきじゃないの?

それと、広域対応の話とは全く逆行する話だが、全国に点在する土木関連業者を圧迫しすぎて地域密着型の民間企業がかなり減っている。これが除雪や河川氾濫など様々な話で悪影響を及ぼしている。全て入札にして1円でも安くというのは、悪影響も大きい。行政と業者が癒着するという問題があるのは知っているが、魚心あれば水心あり、何でもかんでも悪者にするのはどうかと思う。輪番制にして地域の土木関係業者を育てていないから、防災面でのトラブル発生時に対応できる業者がいなくなってしまうと言う問題も出てしまうのだ。

こっちの話はそう簡単に解決する手法を思いつかないが、防災という観点からの考慮の余地はありそうな気がしている。

最後に、ちょっと話が大きくなりすぎて収拾のつかない纏まりのない文章になってしまったが、ご容赦願いたい。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    除染土、大阪万博の埋め立てとか基礎とかに使えば良かったのに。
    ねえ、維新さん?

    ※真面目な話、これが出来るなら「再生に向けて云々!」とか「こんなに安全!」とか、色々アピール出来たでしょうに。「放射能ガー!」の方が声が大きいんでしょうね。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      いや本当に、ねぇ。
      これ、維新の会が率先して使えば、間違いなく株も上がると思うんですが……、ただ、今更という感じではありますが。