事故に遭われた方が、早く回復することを願っている。
それにしても、何が起こった。
韓米合同訓練中の韓国空軍戦闘機、爆弾8発を誤爆…7人が重軽傷
2025.03.06 13:52
6日、韓米合同射撃訓練中に韓国空軍のKF-16戦闘機が誤って投下した爆弾8発が京畿道抱川の民家などに落ち、7人が重軽傷を負った。誤爆事故で教会と民家2棟が破損した。
中央日報より
誤爆にしては8発も?
演習中の事故
フリーダムシールド
この話も、未だ詳しいことは分かっていないので何とも言えない部分はある。そして、恐らくは余り詳しい情報は出てこないだろうとは思っている。でも、被害者が居るから、ある程度は情報を出さざるを得ないとは思うけれども。
消防および軍当局によると、この日、京畿道抱川の訓練場一帯で韓国空軍、陸軍と在韓米軍が参加する統合火力射撃訓練が行われた。韓米連合訓練の「2025フリーダムシールド(自由の盾)」演習の一環だった。
この日午前10時5分ごろ、韓国空軍KF-16機1機からMK-82爆弾8発が非正常に投下され、訓練場から南西側に数キロ離れた抱川市二東面盧谷里ナンユ大橋付近の民家に落ちた。
中央日報「韓米合同訓練中の韓国空軍戦闘機、爆弾8発を誤爆」より
犯人はKF-16戦闘機で、フリーダムシールドと呼ばれる演習時の出来事だったようだ。
KF-16とは直接関係ないんだけど、F-16戦闘機の爆装というとこんな感じになる。


Mk.82通常爆弾は、無誘導タイプの一般的な空中投下型の兵器で、重量は500ポンド(227kg)程度だと言われている。F-16の翼下にはパイロンが設けられていて、恐らくは3連装エジェクターラックに3発、合計6発は積めると思うが、更に2発何処かに積んでいたのだろうか。
教会も破損
被害に遭ったのは、7名。
教会の近くに着弾したらしい。

その他、民家や倉庫なども被害を受けたらしく、広範囲にわたって爆風で瓦礫が撒き散らされたのだろう。
目撃者によると、ドンという爆発音と同時に民家などが破損して黒い煙が上がった。教会のキム・ジョンムン牧師(66)は「轟音がして教会の窓がすべて割れ、事務室のモニターも落ちて煙が上がった。100メートルほど離れところにいて、けがはなかった」とし「事故当時、飛行機の音がして、その後にドンと戦場で出るような音が聞こえて煙が上がった」と伝えた。続いて「最近は北朝鮮との関係がよくないので戦争が起きたのではと考えた。それですぐにニュースを見たが、戦争ではないようで少し安心した」と語った。
中央日報「韓米合同訓練中の韓国空軍戦闘機、爆弾8発を誤爆」より
民家は直撃を受けたのか結構可哀想なことになっている。

あららぁ。
でも、Mk.82通常爆弾が直撃して爆発したにしては、被害が少ないような気も。
2機が8発?
続報によると、どうやらKF-16は2機で飛行していて、パイロットが誤った座標を入力したことからトラブルになったとのこと。
KF-16戦闘機が航空爆撃する場合に、結構な速度で飛行しながら爆弾を投下することになるので、誤った座標を入力した状態で爆撃すると、着弾してから「しまった、おかしなところを爆撃しちゃった」という事に気がつくことになる。飛行地点から数km先を狙うことになるからね。
だから、座標入力というのは非常に慎重に行われるのだが……、何かこんなミスは韓国軍は前にもやらかしていたように思う。「またか」と。
韓国軍がミサイル発射失敗、民家近くで炎上 すぐ公表せず…批判続々
2022年10月6日 21時35分
韓国軍が自軍の基地からの弾道ミサイルの発射に失敗したことをすぐに公表せず、同国内で批判が起きている。失敗したミサイルは民家からわずか700メートルの地点に落下し、大きな騒ぎとなっていた。
朝日新聞より
この時の話も、「入力ミス」という話が出回ったのだけれど、結果的にジャイロスコープの不良だという話に落ち着いたように思う。
今回も「座標の入力ミス」からどう変わっていくのかは、気をつけておきたい。
軍高官は、パイロットが誤った座標を入力したことが原因と語った。2機のジェット機はそれぞれ4発の爆弾を投下し、その全てが爆発したという。
当局は、何が問題だったのかがはっきりするまで実弾演習を中断するが、10日に始まる予定の主要な韓米合同軍事演習には影響しない、と同高官は語った。
ロイターより
実弾演習をしている最中の出来事だが、このようなことが内容に対策して欲しいところではある。
ただ、民間被害を防ぐために誰も住んでいない場所を飛行するのでは、訓練になるとは言い難いと思う。
それと、座標の入力ミスで2機とも誤爆というのは、なんとも納得感がないんだが……。
追記
続報で、負傷者が増えたという話が。
韓国軍戦闘機が訓練中に民家誤爆 負傷者15人に
記事入力 : 2025/03/06 15:45
韓国・ソウル北方の京畿道抱川市で6日、韓米合同の実弾射撃訓練を行っていた韓国空軍の戦闘機が誤って民家に爆弾を落とし、民間人が負傷する事故が発生した。当初は住民と軍人を合わせて7人が重軽傷を負ったと発表されたが、痛みや深刻な心理的不安を訴えて治療を求める住民がおり、負傷者の数は午後に入って15人に増えた。
朝鮮日報より
まあ、爆弾落とされたら心理的不安が、というのも無理はないんだが。
激しい不安を訴える人や治療を希望する住民がおり、負傷者の数は増える可能性もある。
朝鮮日報「韓国軍戦闘機が訓練中に民家誤爆」より
……そういうのは、「負傷者」とは言わないと思うんだ。もちろん、ケアは必要だと思うんだけどさ。
追記2
さっそく、原因とした「座標の入力ミス」に関しても、「本当なの?」という話が出てきた。
韓国空軍機、標的から8キロ離れた民家を誤爆…なぜ2番機まで爆弾を落としたのか
登録:2025-03-07 06:35 修正:2025-03-07 07:02
6日午前、京畿道抱川で起きた戦闘機の誤爆事故は、空軍戦闘機のパイロットが標的の座標を誤って入力し、標的から8キロ離れた民家に爆弾を落としたことで発生した。
~~略~~
この過程で、MK82爆弾をそれぞれ4発ずつ搭載した2機のKF16が、爆弾8発をすべて訓練場の外部に投下した。
~~略~~
同爆弾には誘導装置がなく、パイロットが標的の座標地点に到達すると、手動で落とす無誘導方式で投下される。同爆弾の誤爆はパイロットのミス、機体コンピューターのエラー、爆弾の装着不良などから発生するが、空軍はパイロットの陳述などから座標の入力ミスを確認したと明らかにした。
座標の入力ミスで誤爆が起きたとしても、2つの疑問が残る。まず、飛行前日にパイロットたちが与えられた座標を携帯記憶装置に誤って入力したとしても、翌日の飛行過程で2回(戦闘機に座標を入力する時と標的地点に到着した時に肉眼で確認)再確認する過程があるが、なぜ確認ができなかったのかだ。空軍関係者は「KF16はパイロット1人だけが搭乗する戦闘機なので、他の人が交差確認をするのは難しく、パイロット本人が再確認しなければならない」と語った。
もう一つの疑問は、この日の訓練は、2機のKF16が近接飛行しながら、同時に爆弾を投下する方式だったが、座標を誤って入力した1番機だけでなく、2番機も誤爆をした点だ。2番機のパイロットも座標を間違って入力したのか、それとも1番機が爆弾を投下したため、確認せず投下を行ったのかについて、今後の調査を通じて明らかにしなければならない。
ハンギョレより
まあ、そう思うよね。
追記3
な、なんだってー!
KF-162機、4発ずつ連続誤爆…3回の「座標修正」機会も逃す
入力2025.03.07. 午前 12:00
韓国空軍のKF-16戦闘機2機が6日、京畿道浦川市の民家周辺にMK-82爆弾8発を誤爆させたのは、パイロットの目標座標入力ミスが1次原因であると軍当局は把握した。
NAVERより
書いてあることの意味が分からないのだが、整理してみよう。
- 飛行の前にパイロットは目標座標を与えられる
- パイロットはミッション計画装置に入力する
- 戦闘機に搭乗して当該機器を戦闘機に装着
- あらかじめ入力した座標が戦闘機と同期
- パイロットは、入力した座標が正確かどうかを1次確認
- 座標点到着時の目視確認
パイロット一人で全部チェックするので、ダブルチェックしても最初に「大丈夫」だと思い込むと修正は難しいかも?ただ、今回の問題は、1機が4発全部同時にぶち込んじゃった事なんだよね。そういうミッションだったのだろうか?
空軍関係者は「(最初に与えられた)座標が間違っているわけではなく、パイロットが入力を間違えた」と話した。
NAVERより
今後は、第三者のチェック項目を入れるべきかな?でも、戦争が始まったらそんなこと言っていられるかどうか。AIか何かを使ってチェックするくらいが関の山だろうか。
で、問題は2機とも同じ位置に爆弾投下しちゃったことだが。
訓練は戦闘機2機が編隊飛行をしてMK-82を同時発射する方式で行われた。軍関係者は「1番機が射撃すれば2番機が並んで付いて同時発射する戦術訓練であり、座標は1・2番機とも入力することになっている」とし「2番機は1番機に沿って投下したものと把握される」と説明した。 2番機パイロットは正しく座標を入力したが、座標を間違って入力した1番機パイロットのカウントダウン信号に合わせて爆弾を投下したものと見られるという意味だ。
軍関係者は「射撃前地上標的を確認する手続きはきちんとなされたのか、2番機のパイロットが1番機の投下地点が合うと考え、確認なしに爆弾を投下したかなどについて追加調査が必要だ」と話した。当時、航空管制がきちんとなされたのかも究明されなければならない部分だ。
NAVERより
1機目が発射したから、2機目も続いて撃っちゃった。座標が違っていることを認識しながら、だ。うわー、意味ねぇ。それ2号機座標入力する意味ねぇ。
まだ明らかになっていない話がありそうだな。
追記4
なるほどと腑に落ちた。
韓国軍は1機目のパイロットが爆弾投下地点の座標を誤って入力したことが原因と説明。ただ、2機が同じタイミングで誤って爆弾を投下することは考えられるのでしょうか。
元空将 麗澤大学 織田邦男特別教授 「インプットする座標が間違っていたんだと思う。それをウイングマン、つまり2番機が確認するすべはない」
専門家によりますと、2番機が正しい座標を入力していたとしても実際に投下する位置と、そのタイミングは1番機に従うことになるといいます。
元空将 麗澤大学 織田邦男特別教授 「2番機はだいたい新米。1番機に付いていくので必死。余裕ない。ベテランは編隊を維持しながら、自分のインプットデータで確認できる」
Yahooニュースより
2機目が新米だったら、そりゃそうなるかも。
これが確定というわけではないのだけれど、確かに1号機の方が経験豊富なパイロットである可能性は高い。それに追従してしまったとしても不思議ではないわけだ。
コメント
こんにちは。
ミスは起こる。
大事なのは、二度と起こさない対策を検討する(もちろん実施しなければ意味は無い)事と、ミスが起きた時のリカバー策が用意されていること。
それでもすり抜けて事故が起きるのが「ハインリッヒの法則」ですが……
原因究明と、その対策の周知徹底が成されることを祈ります。
※出来れば海を越えて周知されてほしい。
こんにちは。
今回の誤爆は酷いモノではありましたが、それでも事故が起こればその原因の追及をして、再発防止しなければならないと思います。
でも、韓国ではこういう酷い事件が数年ごとに起きちゃうんですよね……。
日本なら事故を教訓に確認手順の見直しがなされマニュアルが改定され、集会等での周知徹底が行われるけど、韓国だとそもそもマニュアルを守らないので結局同様の事故が繰り返されるのでしょうね。
KF-16、墜落事故でなくて良かった.. いや民間住宅地にMk.82を落とちゃダメでしょ。
>軍高官は、パイロットが誤った座標を入力したことが原因と語った
でも、パイロットによる誤入力が事実なら、そもそも与えられた射爆座標が間違っていた可能性もありますね。何やらこの事件には、不穏な空気を感じますね。
どうしてよりにもよって爆弾投下しちゃうのかなぁと。
ちょっと現時点で出ている情報で納得できる話は見当たらないのですが、新しい材料が出てこればまた追記したいと思います。
謎なのは、、、想像だけど、常識的に戦術システム組むなら
「座標」はFAXで送りパイロットがポチポチ打ち込む訳じゃないでしょう(笑)
緯度経度とかマップコードとかの位置デジタルデータが戦術システム経由で戦闘機に送られ
パイロットは、例えばデータをマップソフトで確認して疑問があれぱ戦術システムに確認照会、
疑問なければ兵器照準ソフトに転送。ここで位置ズラすとか間違いとか困難
即ちパイロットの判断はyes/noであって、ここで座標がズレるのは不自然。
間違ってるなら指令データの段階で間違ってる。
と 考えるのが自然じゃないですかね?
とは言え、過去NATO軍や米軍も不自然な誤爆は沢山してるので、
その予行演習PRなんですかね?
指令データから間違ってれば2機とも(マップ確認怠って?)同じ誤爆した。
て解釈が自然じゃないですかね?
或いは昨今の「テロとの戦い」フェーズだと、例え標的位置が自国内民家だとしても、
パイロット個人にデータ間違いとして攻撃中止する権限など在るんですかね?
最初に、匿名様と同じ疑問を持ちました。
ところが、中央日報の記事(↓)に「パイロットは演習前日に、作戦座標を受け取り、それを自分で作戦計画機器に入力する」とありました。
https://tinyurl.com/ycksuuyw
なぜパイロットが入力するのか不思議なところですが、韓国空軍では”そういう仕様”になっているようです。で、今後の対策がダブルチェック態勢の導入であると。
わが空自ではどうなっているのでしょう。比較出来ればわかりやすいですが。
なるほど、ターゲットは前日指示でパイロットが(地上で?)入力ですか。
即応性を全く考慮してない辺り、昔の非対称戦 、湾岸戦争とかのプロトコル未更新なのかな?
一応戦時中の韓国がこれだと、自衛隊も どうなのか心配ですね
KF-16のシステムは近代化改修が遅れているので、最新のシステムが使われているかどうかはよくわかりません。
2000年頃に作られて以降、2016年から近代化改修が始まっているという話なんですが、BAEに最初依頼して、トラブルがあってからロッキード・マーティン社にお願いして、作業完了は2025年頃の予定だったのですが、最初の躓きが影響しているみたいでして。
確か、改修前のKF-16って、IFFレーダーとLink-16データリンクの追加改修を計画していたはずですから、案外、手動で入力していた可能性は捨てきれません。1号機と2号機の入力データが違うというのは、そういうことなんでは?