密林被害者の会が大喜びしそうなネタではあるんだけど、これはまたなかなか大変なことになりそうだ。
アマゾン、中国製品の一部注文停止-トランプ関税による打撃軽減
2025年4月9日 23:44 JST 更新日時 2025年4月9日 23:59 JST
米アマゾン・ドット・コムは、中国およびその他のアジア諸国で製造された複数の製品について注文をキャンセルした。ブルームバーグが確認した文書や複数関係者の話から明らかになった。トランプ大統領が進める関税措置からの打撃軽減を目指していることを示唆する。
Bloombergより
Amazonどうこう、というよりは支那製品の取り扱いについてかなり大きな変革があるかもしれない。
誰が被害者になるのか
関税戦争の被害者は
大枠の話としては関税戦争の影響が色濃く出た部分だという話である。
米 対中国への関税率 計145%に 中国反発 世界経済打撃に懸念
2025年4月11日 5時34分
アメリカのトランプ政権は貿易赤字が大きい国などへの「相互関税」の措置を90日間、停止する一方で、中国に対してはあわせて145%の関税措置を課すなど強硬な姿勢を鮮明にしています。中国は反発を強めており、貿易摩擦の激化が世界経済に深刻な打撃となるとの懸念が広がっています。
NHKニュースより
一体、この対支那関税は何処まで上がっていくのか?というのは非常に興味深いが、こういった関税のコストはアメリカの消費者が支払うということになる。
その影響の1つが単価の低い商品を扱うAmazonでの話ということになるんだと思う。
事情に詳しい関係者によると、トランプ氏が2日に中国やベトナム、タイを含む各国・地域への関税計画を発表後、ビーチチェアやスクーター、エアコンなど複数のアマゾン取引業者からの商品の注文が停止された。予告なしに行われた停止のタイミングから、取引業者の間では関税への対応だとの見方が出ている。
Bloomberg「アマゾン、中国製品の一部注文停止」より
この話に先立って、TemuやSHEINへの影響があるというニュースがあった。
米郵政公社 “中国と香港からの小包停止”ネット通販に影響か
2025年2月5日 20時10分
アメリカの郵政公社は、中国と香港からの小包の受け入れを一時的に停止すると発表し、アメリカメディアは、中国発のネット通販が影響を受ける可能性があると報じています。
アメリカの郵政公社は4日、中国と香港から国際郵便で送られる小包の受け入れを一時、停止すると発表しました。
NHKニュースより
この話は今の高率関税の話ではなく、一律10%関税という話が出ていた段階で、少額商品に対する関税免除の措置が撤廃されるという話があって、それの直撃を受けた格好だ。
もともとこの関税免除の話、個人輸入などの用途に適用される想定だったのだけれど、その制度を悪用して業者が免税措置を受けていたということだったので、規制されて然るべきではある。尤も、これは支那の業者に限った話ではなかったが。
いずれにせよ、安価な品物を手に入れる手段が失われて困るのは、第一にはアメリカ国民である。
流通業の破壊
ただし、日本でも大きな問題になっているが、そもそもAmazonのような業態で商品販売するケース。輸送業に大きな負担を強いる。
物流危機克服へ連携 日本郵便と西濃運輸、長距離輸送で
2024年05月09日20時07分
日本郵便と西濃運輸(岐阜県大垣市)は9日、東京都内で共同記者会見を開き、集配拠点間の長距離輸送を担うトラックの共同運行で業務提携すると発表した。トラック運転手の残業時間に対する上限規制の適用が4月に始まったことを受け、物流業界で運べる荷物量の減少が懸念される「2024年問題」の克服に向けて協力する。25年4月にも定期的な共同運行を開始する。
時事通信より
日本の物流は色々な問題を抱えているので、宅配増加だけが問題だとは言えないのだが、大きな負荷をかけているのも事実である。
まあ、アメリカもかなり郵便に関して混乱しているので、何か関係があるかもしれないが。
トランプ大統領とイーロン・マスク、米郵政公社の民営化に関心…専門家は弊害を指摘
Apr 9, 2025, 9:00 AM
ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領とイーロン・マスク(Elon Musk)は、保守派の間で長い間支持されてきた米郵政公社(USPS)の民営化に関心を示している。だが、これには大きな欠点があるという。
Business Insiderより
確か、アメリカではAmazonが郵送業にも手を出していたような気がするので、郵政民営化の波はもっと速いスピードで進む可能性もある。
おっと、話が逸れたが、通販への打撃は運輸業界にも影響がありそうだという話をしたかっただけだ。
映画も減らすぜ
ちょっと面白かったのが、映画作品の話である。
中国とアメリカの貿易摩擦が激化する中、中国は10日アメリカから輸入する映画作品の本数を減らす方針を示しました。
これは、中国で映画の上映などを監督する国家映画局の報道官がコメントを発表し明らかにしたものです。
この中で報道官は「中国に対して関税を乱用するアメリカ政府の間違った行為が中国国内の観客のアメリカ映画への好感度を低下させるのは必至だ」と指摘しています。
NHKニュース「米 対中国への関税率 計145%に」より
そもそも支那国内でアメリカ映画がどれほど公開されているモノなのか?という気はする。
しかし、意外かもしれないが支那の映画市場は世界トップレベルなのだ。

尤も、興行される映画は支那製の映画の割合が相当多いんだけどね。

表現の自由に関する規制が支那にはあるので、国家電影局の検閲を受けた上で、パスしなければ上映できない。ハリウッドなどは随分と支那からの支援を受けているが、ハリウッドで制作した映画を支那国内で上映できるかというと、なかなか厳しい。特に近年はその傾向が強くなって、武漢ウイルス感染症蔓延以降は顕著にその傾向が強い。まあ、支那の資金面での苦しみが影響しているのかも知れないが。
そういう意味で、この映画界への締め付けにどれほど影響があるかは不明。
中国、米国映画の輸入削減を表明-トランプ関税に対する報復の一環
2025年4月10日 20:25 JST
中国の映画規制当局は10日、トランプ米大統領による中国製品への関税発動を受け、米国映画の輸入を減らすと発表した。
Bloombergより
だがこの措置は、アメリカ経済への影響と言うよりはハリウッド関係者への圧力と捉えた方が良いかも知れない。
世界経済への影響
こうやって考えていくと、大局的に見てアメリカと支那との貿易戦争は、各国にもかなり大きな影響を与える可能性が高い。
EU、米国への対抗関税第1弾を数日以内に発表へ
2025年4月7日午前 8:12
トランプ米大統領が発表した欧州連合(EU)加盟国からの輸入品への関税強化に対抗するため、EUが最大で280億ドル相当の米国からの輸入品に対する報復関税の第1弾を数日以内に発表することを目指している。
ロイターより
何か、EUもおかしな方向に向かっている気がするけど、この話は一体どうなるのやら。
EU、米関税への対抗措置第1弾を15日発動 加盟国から支持獲得
2025年4月10日午前 12:06
欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は9日、トランプ米政権の鉄鋼・アルミニウム関税に対する対抗措置の第1弾を15日に発動すると表明した。EU加盟国から支持を確保したという。
ロイターより
一応、90日の猶予があっても15日に発動する予定になっているようなんだけど、日本のような弱腰対応の国家はそう多くはないのだろう。
何が賢いのかは、正直良く分からないが、しかしアメリカに付き合って関税を引き上げたところで、苦しむのは自国民であるという点は理解しておかねばならないだろう。今日も今日とて、トランプ劇場。
追記
友人……、だと?
トランプ氏、「友人の習近平主席」との合意に意欲 米中貿易戦争の終結に向け(字幕・11日)
2025年4月11日
トランプ米大統領は10日、激化している貿易戦争に終止符を打つために、中国と「ディール(取引)」を実現させたいと述べた。
ロイターより
なかなかの煽り文句だな。
米国は5月2日から中国本土と香港からの小包に対する関税を90%に引き上げる。
ホワイトハウスは、5月2日から中国本土と香港からの小包への関税を商品価値の30%から90%に引き上げると発表し、国境を越えた電子商取引と物流業界に影響を及ぼすことになる。トランプ大統領は免税措置を終了する大統領令に署名し、商務長官は90日以内に影響を評価する報告書を提出する予定だ。米国は現在、800ドル未満の郵便小包を関税から免除しているが、この免除政策は今年2月に撤回された。
guandian.cnより
小包の関税って90%になるのか。そりゃ、Amazon業者も怒るよね。
米関税で取引求めず 「野蛮人」と一蹴―中国当局
2025年04月11日14時24分
中国外務省の出先機関である駐香港特派員公署は、トランプ米政権の高関税政策を巡り、「米国は他国に慈悲を乞う電話をかけさせようとしているが、中国からの電話は期待できない」と忠告し、中国側から取引を求めることはないとの考えを示した。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに11日までに寄稿した。
時事通信より
そして、支那側は凄いやる気で笑う。引っ込みつかないんだろうけど、「友人」は怒っているよ、トランプ氏。
追記2
そして、早速やる気を出してきたのが支那である。
【速報】中国政府は米国から輸入するすべての産品に対する関税を125%に引き上げると発表した
2025年04月11日17時16分配信
中国政府は米国から輸入するすべての産品に対する関税を125%に引き上げると発表した。
時事通信より
いきなり125%いただきました!ええ、ちょっと負けているよ?アメリカは145%よ?
これって、何処まで引き上げられるんだろうか?ちょっと興味が湧いてきたよ。
【速報】中国政府は、米国の関税ゲームの相手をこれ以上しないと表明した
2025年04月11日17時26分
中国政府は、米国の関税ゲームの相手をこれ以上しないと表明した。
時事通信より
とおもったら、「もう付き合わない」って。ツンデレかっ!
コメント
小包まで…そりゃ密林は怒ると。
でも今回の記事で面白かったのは「映画」すね。確かに「まんまハリウッド」だと、
国家電影局の検閲に引っかかる可能性ある。それでか…今のハリウッド娯楽映画って、中国人俳優に中国人役をつけて出演させるケース増えてますよね?
去年かなジョナサン・ステイサムの「サメ映画」をロードショーで観た時に、ムダに中国俳優女優が多いんですよ。
たしかにハリウッドには出演のアクター、アクトレスのエスニック比率を一定にする決まりが90年代からあって、舞台がビバリーヒルズのハイタウンだろうが、道に注射針の落ちるダウンタウンだろうが、何故か人種民族の比率が一定。それなのに中国系だけ突出して多い映画あるんです。
とくに活躍する美貌の中国科学者とか🤣
あれ国家電影局を顔色をうがってるかのだと思いますよ。あれ明らかに国家電影局の検閲を伺ってると想う。
逆に「セブン・イヤーズ・イン・チベット」の主演のブラピ映画は許可降りない!
ここ何年もサメ映画みたいな「どうでも良い内容」を中心に、ハリウッドで「中国人が世界の為に活躍する映画」に資本投下してきたけれど、それはもともと国内映画産業育成の為ではなく、国際的に中国の好感度を上げる為にしてきた事が主なので、
米国との対立姿勢が隠しきれなくなってきた今、資本投下してまでハリウッドで映画作らせる意味がなくなったのでは?
映画業界はかなり騒然としているのかもしれません。
あれだけ支那人に媚を売りまくったハリウッドですが、この状況を迎えてしまって踏んだり蹴ったりですね。
セブン・イヤーズ・イン・チベットは日本国内でもほとんど放映されませんね、そういえば。結構好きな感じの映画でしたが。
トランプ政権が、原発や造船を復活させる動きをみせていることを、先の記事でコメしました。
これに関して、4/11のJETROレポートが、トランプ政権は、支那の海事・物流・造船分野に対するスーパー301条(不公正貿易国との交渉と経済制裁の実施)の適用を進めていると報じています。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/04/e09ae9a530e0e7b5.html
それ以外にも、カナダ・メキシコ経由の租税回避経路を塞ぐ対策や同盟国に米造船業への投資を促す政策も実施される模様。
どうやら支那は、米国仕向け貨物・小包の航空便も船便も、他国より割高な料金設定を強いられることになるようです。ここだけみれば、1980年代の日米貿易戦争以上の厳しさでしょう。
来週、ワシントンDCでの日米関税交渉がありそうですが、日本政府は、トランプ政権に対して、どのような対策を考えているのか。ステレオタイプの石破政権が気の利いた提案をするとは思えませんが、お手並み拝見です。
トランプ氏の政策も、絵空事のようで結構長期のビジョンに基づくものなのかもしれません。
支那との関係悪化を、日本政府が上手いカードとして利用できれば良いのですが。