後に、「トランプ・ショック」と呼ばれることになるかもしれない。
NYダウ 2231ドル下落 過去3番目の下落幅 景気後退リスク懸念
2025年4月5日 13時05分
4日のニューヨーク株式市場ではダウ平均株価が2231ドル下落し、一日の下落幅としては過去3番目の大きさとなりました。トランプ政権の相互関税に中国が対抗措置を表明したことで貿易摩擦が一段と激しくなり、世界的な景気後退リスクへの懸念が強まったためです。
NHKニュースより
全世界で大混乱に陥っているが、アメリカも例に漏れず株価が下落している。引用していないが、日本の株価も大幅に下がっている。
効率関税政策はアメリカに何をもたらすのか
世界経済に大混乱を巻き起こす
この動きによって、トランプ氏は国内でもかなり厳しい局面を迎えている。
ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は3日、1600ドル以上の急落となりましたが、4日も株式を売る動きは止まらず、大幅な値下がりとなりました。
NHKニュース「NYダウ 2231ドル下落 過去3番目の下落幅」より
当然ながら、トランプ氏のこの決定によって株価が下落し、これによってアメリカ国内から批判の声が上がっている。特に民主党中心に「何をやっているんだ」という怒号が飛び交う事態になっている。
「手を出すな」と全米でトランプ氏への抗議デモ 英仏などでも
2025/04/07
アメリカ各地で5日、ドナルド・トランプ大統領に対する抗議デモが行われた。イギリス・ロンドンやフランス・パリなどでも抗議者が集まり、トランプ氏の2期目就任後、最大規模の抗議デモとなった。
トランプ氏に対する「Hands Off(手出しするな)」抗議の主催者は、全米50州を含む計1200カ所での集会開催を目指した。ボストンやシカゴ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ワシントンなどでは数十万人が集まった。
BBCより
トランプ氏の狙いがどこにあるのかイマイチ不明なのだが、交渉を望んでいるということのようだ。
外交交渉をお望み
当然、トランプ氏一人で何もかも決められるわけではなく、トランプ政権全体である程度は狙いや課題を共有しているはずだ。その政府高官のコメントがこちら。
50カ国超が通商協議希望とトランプ政権高官、関税政策を擁護
2025年4月7日午前 7:05
米政府高官は6日、トランプ大統領が包括的な関税措置を発表して以降、50カ国以上が通商協議の開始を米国に働きかけていると明らかにした。
ベッセント財務長官はNBCで、2日の相互関税発表後、50カ国以上が米国と交渉を開始し、トランプ氏が優位な立場に立ったと指摘。「(トランプ氏は)自身に最大限の交渉力を与えた」と語った。
株式相場の急落は重要視しない姿勢を示し、雇用統計が予想を上回ったことに触れ、関税を理由に景気後退を予想する理由はないと述べた。
ロイターより
この高官、株式相場の急落は「当然予想していた」「でも重視していない」ということらしい。そして、「雇用統計が予想を上回った」と。だから、「景気後退しない」というロジックらしい。
こうした中、同氏の関税措置が恒久的な枠組みなのか、あるいは交渉戦術にすぎず、他国が譲歩すれば軽減されるものなのか議論が広がっている。
ロイター「50カ国超が通商協議希望とトランプ政権高官」より
うーん、流石に恒久的にこの関税政策を続けて行けるとは思っていないのだろうけれど、恒久的に続けるとしたらアメリカの貿易ってどうなるんだろうか?
経済理論をベースに考えると、高関税による国内産業の防衛というのは現時点ではアメリカの政策として正しいとは考えにくい。アメリカはあまりに材料のアウトソーシングを進めすぎて、先端技術以外は殆どが外注である。あれだけ広い国土なのに、先端技術の開発のみに特化しているため、安い材料が外国から入ってこないことは寧ろマイナスだと思うのだ。
支那は早速過激に反応
各国様々な対応で面白かったのだが、過敏に反応したのは支那だ。
中国がアメリカ「相互関税」に対抗 “同じ34%追加関税”発表
2025年4月4日 22時12分
中国政府は、アメリカのトランプ政権が「相互関税」として、中国からの輸入品に34%の関税を課すとしたことに対抗し、今月10日からアメリカからのすべての輸入品に同じ34%の追加関税を課すと発表しました。米中が互いに追加関税を掛け合う事態となっていて貿易摩擦が一段と激しさを増しています。
~~略~~
中国税関総署は、鶏肉製品や穀物などを扱うアメリカ企業6社について、検疫上の問題があるとして、中国への輸出資格を一時停止するとしています。
NHKニュースより
……これはこれで大丈夫なのか?
なんというか、お互いに関税を掛け合っているけれど、支那は支那国内でのインフレが加速しているので、こんなことをすると食品価格がやばいのでは?鶏肉製品や穀物って、ピンポイントで更に打撃を与えているんだけど。
一方、真逆の手をうったのがベトナム。
ベトナムがアメリカ製品への輸入関税撤廃へ トランプ大統領と電話会談 ベトナム製品への追加関税課さないよう要請
2025年4月7日 月曜 午後5:09
アメリカのトランプ政権が発表した相互関税を受けて、ベトナムはアメリカからの輸入品への関税を撤廃する準備を開始しました。
トランプ大統領が発表した相互関税でベトナムは46%の高い関税率を課されました。
FNNプライムオンラインより
支那よりはベトナムの方が賢い一手だと思う。ただ、これがアメリカの望む交渉なのかはいまいちわからないので、正解だったかどうかはそのうち分かるだろう。
支那はメンツを優先したので、折れるよりも過激に反発したという感じだろうね。
追記
ベトナムと同じ方針をとった台湾の動向もニュースになっていたので、紹介しておく。
米台関係は黄金時代迎える、米に「関税ゼロ」提案へ=台湾総統
2025年4月7日午後 2:23
台湾の頼清徳総統は7日、米国との協力によって米台関係が「繁栄を共有する黄金時代」を迎えるとXに投稿した。台湾は米国に対して報復関税を課さないと改めて強調した。
「台湾は米国に対する報復関税を求めない。代わりに米台間の関税をゼロにすることから対話を始める」と表明した。「台湾の競争力を確保するため、米国からの輸入を増やすなどの措置を講じる。共に協力し、繁栄を共有する黄金時代を先導する」と訴えた。
ロイターより
台湾は小回りがきくらしく、やっぱり相互に関税ゼロにしようぜと持ちかけている。
頼氏は6日、相互関税を巡る米国との協議で関税を互いに撤廃することを提案するほか、台湾企業が米国への投資を増やす考えを明らかにした。
ロイター「米台関係は黄金時代迎える」より
正しい戦術だとは思う。
アメリカが台湾企業のアメリカ進出を求めているかどうかは不明だが、アメリカ国内での工場を増やす事に関してそれなりに有利な交渉が出来るものと僕は理解している。そうすると、台湾の戦術としてはベトナムよりも嵌まるのではないか?という気はする。
そして、日本の採るべき方向性も、そっちじゃないのかなと。
追記2
一方、支那はこのザマである。
トランプ氏、中国への50%の追加関税示唆 貿易戦争激化する中
2025.04.08 Tue posted at 07:00 JST
トランプ米大統領は7日、中国政府が先週発表した報復関税を受け、同国に新たに50%の関税をかける用意があると明らかにした。市場を揺るがしている世界的な貿易戦争のさらなる激化を示唆した形だ。
中国が8日までに34%の報復関税を撤廃しなければ、追加関税は今週半ばに発効するとトランプ氏は述べた。
CNNより
いや、別に勝手にやってくれて構わないと思うよ。
先週、トランプ氏はすべての中国製品に34%の追加関税を課すと発表した。もし50%の追加関税を課すという最新の脅しが発動されれば、米国に到着する中国製品は事実上104%の関税を課せられることになる。
CNN「トランプ氏、中国への50%の追加関税示唆」より
アメリカが正しいとか支那が正しいとか、そういう議論をするつもりは欠片もない。今尚、関税自主権は各国にあるのだから、勝手にやられれば宜しい。
ただ、戦い方としては宜しくない感じはするよね。
アメリカがこんな勝手をやった上で、支那が呼応して関税引き上げをした場合に、お互いに大きなダメージを被るのは目に見えている。そうすると、「どちらの陣営に属するのか」ということになる。大きな枠組みで見ると、結局この話はアメリカと支那との貿易戦争なのである。それを、アメリカ側から仕掛けた、それだけだ。トランプ氏は前政権の時もやっていたからね。
ただし、今回のポイントは全世界を強制参加させた点である。
中国に「50%追加関税」トランプ大統領、報復措置の撤回求め「協議は全て打ち切るだろう」
2025/4/8 01:03
トランプ米大統領は7日、SNSへの投稿で、中国が「相互関税」に対する報復措置を撤回しない限り、9日から50%の追加関税を課すと明らかにした。「中国との協議は全て打ち切られるだろう」とも述べた。
産経新聞より
対支那政策は進む。
コメント
大統領権限が強すぎる国ってのも危険この上ない例ですよねぇ…
関税爆上げした所で最終的に国民に価格が添加されるので消費は絶対的に下がるし、米帝だけで全ての原料から製造迄賄えるならええですけど、現代のグローバルサプライチェーンの世界では無理ゲーですよねぇ
ボーイングも三菱の部品無けりゃ胴体、翼なくなるし…
アメリカの大統領は日本の首相に比べたら強い権限を持っています。
ですが、ロシアや支那のような独裁的な権限を持っているわけではありませんし、韓国の大統領よりもアメリカの大統領は権限が弱いんですよね、アレで。
故にトランプ氏は持てる権限を最大限利用した感じで、「だから権限を弱めてやれ」だと、あれだけ大きな国ですから弱体化してしまうし、纏まらないんですよね。
良くも悪くも、アメリカはアレで良いのかと。
ただまあ、ご指摘の通り、高関税政策はグローバルサプライチェーンを推進しすぎたアメリカにとっては毒になるわけで。トランプ氏としてはその治療のためにも、無理を通す積もりなんでしょう。
横合いから……
アメリカは「連邦」であって、州それぞれが下手な国よりよほど独立独歩ですからねぇ……
※だから州警察の管轄を割れないし、FBIが必要。
その「わがまま」共を一絡げに率いるには、ある程度強権持った大統領(≒酋長)が、必要、と。
お貴族さまが強かったおフランスも、事情は似たようなものかと(絶対権力持つ王族をポアしちゃいましたし)。
そう考えると、なんで韓国は大統領制を選んだんでしょうね……
※あれは中華的な皇帝の現代語訳と考えると馴染むような気もします。
韓国ちゃんは、真似っこ大好きですから。
う〜ん。だろうとは思ってたけれど、想像以上にトランプはトランプのままだった。
正直、日本なら4人家族養える金額を稼いでいても貧困……みたくなってますでしょ。
アッパークラスは安い品を買うことで生活を維持してるんで、関税かけまくるとどーなんですかね??
第1期の選挙の時から言っていましたから、割と有言実行の人なんですよね、トランプ氏。
じゃあ、このままでイイかというと、とてもそうは思えないわけで。今後、高関税政策を維持すると間違いなくアメリカの産業は腐ります。トランプ氏は「治療だ」と思っていますが、アメリカはこの手の治療をするには体力が低下しすぎていて、耐えられないと思いますよ。どこかで政策を切り替えないと不味いと思います。
ただ、アメリカの政策を四の五の言っても始まりません。
日本はどうすべきかをしっかり考えないと。
こんにちは。
昨日だかに見かけたこのX投稿が総てを語ってる気がします。
https://x.com/Cathcath2424093/status/1908717331699925428
こんにちは。
このXのポストは分かり易い説明ではありますが、トランプ氏の政策がそうなるとは決まってはいないでしょう。
実際に、各国との交渉が上手く嵌まれば、アメリカにとって有利な状況を作り出すことは可能だと思います。ただ、結構それも絵に描いた餅なので、何処まで美味しく食べられるかは、ね。
早速、
「味方は90日猶予(味方とは言ってない)」
「敵は145%」
ですからね。
周りをどれだけ踊らせられるかがトランプ劇場の真骨頂でしょう。
125%頂きましたので、来週には200%まで到達するのでは。
なかなかですよぉ。