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失脚相次ぐ支那指導部

中華人民共和国ニュース
この記事は約6分で読めます。

最近の支那では、そんなに珍しい話でもない失脚騒ぎだが。

軍最高幹部、動静途絶える 3週間以上不在で失脚説も―中国

2025年04月04日07時09分

中国軍の最高指導機関である中央軍事委員会の何衛東副主席の動静が途絶えて3週間以上たち、動向に関心が集まっている。

時事通信より

しかし、中央軍事委員会の副主席が失脚とは、穏やかではないね。

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台湾侵攻への綱引きか

内紛か粛清か

「おそらくは粛清」というのが、大方の予測である。何らかの理由で失脚させられたのだという分析だ。

失脚説もささやかれており、7人で発足した中央軍事委の半数近くが不在となる異例の事態になる可能性がある。

~~略~~

習指導部は軍での汚職摘発を強化しており、高官の更迭が相次いでいる。昨年6月には、李尚福前国防相、魏鳳和元国防相が共産党の党籍剥奪処分を受けた。同11月には、中央軍事委の苗華委員が「重大な規律違反」の疑いで調査を受けていることも明らかになった。

時事通信「軍最高幹部、動静途絶える」より

ただ、これが習近平氏の意図するところ(粛清)かどうかは、懐疑的な見方もある。もしかしたら内紛が起きているのではないか、と。

習近平主席もかばいきれない汚職だったのか…「福建幇」出身で「軍部の習主席代理人」が失脚

2024/12/25 07:03

最側近の高官に対する調査は、前年の李尚福国防相とは比べ物にならない波紋を招くとみられます。テキサス大オースティン校の政治学教授のシーナ・グライテンズ教授(政治学)は「苗氏は国防相より地位が高い中央軍事委員で政治工作部を率いる人物だ。そうした点を考慮すると、苗氏の停職はとんでもなく重大なことだ」と述べました。

~~略~~

苗氏に対する取り調べの事実は、元中国海軍司令部中佐出身で米国に亡命したヤオ・チェン氏が11月11日に明らかにした。X(旧ツイッター)への投稿で「中央軍事委の内紛が高まり、公になっている。中央軍事委員であり政治工作部主任である苗氏が逮捕され取り調べを受けている」という内容でした。

11月12日には「秦生祥・元中央軍事委改革編制弁公室主任、袁華智・海軍政治委員、秦樹桐・陸軍政治委員が10月に調査を受けた当時、苗氏も既に逮捕されていた」とし、「最大の関心事は誰が今回の粛清を主導しているのかだ」と書きました。

朝鮮日報より

これは去年の12月の記事で、10月頃に中央軍事委員会の内紛が起こったのではないかと指摘されている。

  • 元中央軍事委改革編制弁公室主任 秦生祥氏
  • 海軍政治委員 袁華智氏
  • 陸軍政治委員 秦樹桐氏
  • 政治工作部主任 苗華氏

この4名が11月の段階で逮捕されたらしい。そして、このメンツは習近平氏の直系だと言われている。

秦氏は2016年に習主席の軍再編作業を統括しました。 袁氏は苗氏の後任として海軍政治委員に抜てきされ、秦氏は苗氏が習主席と親交を結んだ当時に勤務していた第31集団軍出身です。このように軍内の習主席直系とされる人物が続々と調査を受けていることから、ヤオ氏は「誰が粛清を主導しているのか」と指摘したのです。

朝鮮日報「習近平主席もかばいきれない汚職だったのか」より

そんなわけで記事では、中央軍事委第1副主席を務める張又侠氏が主導した権力闘争であった可能性が指摘されている。

つまり、内紛シナリオも考えられるということだ。この話は経済の失政が続いている習近平政権の実情を見ると、なかなか説得力があるように思われる。

事実の公表が遅らされる

そして、こちらの中央日報の記事。

10月から前列に座れず…中国軍幹部・苗華氏の失脚ミステリー

2024.12.03 09:19

中国人民解放軍序列5位の苗華上将(69)の職務停止をめぐりミステリーが続いている。すでに1カ月前に党中央軍事委員会委員としての職務が停止したが、中国国防省が最近になってこうした事実を公開した。先月28日、中国国防省の呉謙報道官は「苗華上将が重大な規律違反の疑いのため党中央の研究を経て停職調査を決定した」とし、苗上将の失脚を公式化した。

中央日報より

10月から立場が悪くなっていたが、12月になって「重大な規律違反の疑いのため」と、事実上の失脚が公式に発表された。

苗上将の最終処罰レベルはまだ未知数だ。中国権力の内部事情に詳しい香港星島日報は2日、今回の事態に関連し「李尚福国防相とは違い苗華上将は『重大な規律違反容疑』にすぎず『法律違反』でない」とし「追加で犯罪証拠が発見されなければ投獄を避けることができるが、官職と上将の階級は取り消しになるだろう」と伝えた。

中央日報「10月から前列に座れず」より

だが、問題ありと判断されても、最終処罰は決定されてはいなかったとのこと。このタイムラグが何を意味するのかは気になるところだ。分かり易い見せしめなら直ぐに公表すれば済む話だが、そうではなかった。

習近平氏がなんとか取り繕おうと画策したために公表が遅らされたというシナリオも考えられるが、この辺りの考察材料には少々乏しい。

規律検査委員会の副書記の資格剥奪

そして、冒頭のニュースに先立って、中央軍事委員会の規律検査委員会で副書記を務める人物も失脚してしまった。

中国・人民解放軍の内部でまた幹部らが相次いで失脚か…台湾武力統一に向け習近平の暴走がますます懸念される事態に

2025.3.31(月)

中国解放軍内部の様子がまたしてもおかしい。

中国全国政治協商主席会議は3月26日、中央軍事委員会の規律検査委員会で副書記を務める唐勇から、政治協商委員の資格を剥奪したと発表した。理由は明らかにされていない。

JB Pressより

この記事を書いている福島香織氏は、「何衛東が失脚したと判断するのは時期尚早」と指摘しているが、どうにも習近平氏に近い人材が相次いで取り調べを受ける展開になっているというのは、何か権力構造に大きな変化が起きているのではないのか?という懸念が出てしまう。

蔡慎坤は、「台湾海峡作戦計画漏洩」の噂が本当なら、習近平が何衛東や林向陽の忠誠を疑い粛清するのは当然であろう、という見解を示している。蔡慎坤の見立ては苗華が習近平の寵愛を受けて中央軍事委政治工作部長となったことで自分の独自派閥・福建閥を大きくしすぎた。それが習近平から警戒され、不忠誠を疑われ失脚した、という。

取り調べは、他の苗華閥軍人におよび、何衛東や林向陽にも問題が発覚したのではないか、という。一方別の見解にも触れ、習近平の政敵あるいは軍内の反習近平派が、習近平のお気に入りの福建閥軍人たちを排除している可能性もあるという。

JB Pressより

そして、福島氏は台湾武力侵攻への布石である可能性を指摘している。そしてこの分析で一番気になる部分はここだ。

もし、この一連の粛清が習近平の意思によるもので、台湾武力統一反対派排除が狙いであれば、今後、軍に残るのは習近平の言いなりの経験の少ない、米軍や米台関係に対する理解の浅い若い軍人たちだ。習近平が台湾侵攻を決断すれば、それを諫めたり阻止したりする実力もない、ということになる。

JB Pressより

現時点において台湾武力侵攻という話が現実的な選択肢だとはあまり思えないのだが、しかし支那が常に冷静状況を判断するということはあまり期待できない部分もある。メンツを優先する、特に国内に向けたアピールで行動するケースはある。そして、台湾武力侵攻は、まさに国内へのアピールという側面が強い。

結局のところ、支那内部で起きていることはハッキリとはわからないというのが実情だが、支那国内の軍事的なパワーバランスが変動していることは確実で、そういう意味でもかなり不気味である。

コメント

  1. 山童 より:

    スレ違いな長文を木霊様にジャッジをお願いしてたら、新しい記事が。
    一読、拝読して戦慄!

    中国現代史で起きたアレに似てるでないすか? 
    朝鮮戦争への出兵ですね。
    シナ人に言わせると「アレはボランティア(義勇兵)だ!」となるんですが、中国本土からの兵站を受けてて「私軍」とするのはムリ有りすぎる!
    んで、国民党軍としか戦ってない紅軍は、
    ロクな近代戦知識なしに米軍と戦闘した。
    んで、ボロクソになる訳ですね。
    これを機にソ連経由で軍事力の近代化を図る訳ですよ。林彪とか米軍の航空支援や空爆で酷い目に遭ったから。
    当時のシナ兵はタコ壺に身を隠して、人海戦術で突撃するという、ウクライナの北朝鮮軍みたいな事をしていた訳ですが。
    それじゃ勝てねーと林彪が騒いでも、毛沢東は頑として聞かない!
    その辺から摩擦が生じて、林彪は亡命中に撃墜かれちった!
    この辺りが似てる!
    親友に帰化人の元中国人がいるのですが、
    彼のお爺さんは結果惨敗な戦績を観て、
    ソ連留学して、ロケット工学を学んだ人なんだけど、それが原因で紅衛兵に殺された。その紅衛兵も文革後にベトナム侵攻で「間引き」された。(生き残りがミャンマー国境で麻薬軍閥になりますが)
    それも、これも、毛沢東が朝鮮戦争出兵の前に朱徳など「近代戦術を学んだプロ軍人」たちを粛清して、「朝鮮半島から米帝を追い払うアル!」と突っ走ったからす。
    日本軍には逃げ回り国民党軍に押し付け(それは戦略としては正しいが)、国民党軍や、チベットや内モンゴルなど弱い者にだけ勝っていたのを過剰評価し、アメリカ軍の近代兵器と戦術を過小評価した結果す。
    朱徳がそうだが、諫言するプロ軍人たちは粛清でブレーキが利かなかった!
    そして現実に目覚めた林彪も謀殺される。
    それ現状認識の甘い若い軍人だらけにして、台湾侵攻を目論む習氏と、その取り巻き軍人の姿そのものではないですか。
    うんざりするけれど、つくづく「歴史は繰り返される」と思いましたね苦々しく。

    • 木霊 木霊 より:

      林彪事件(1971年9月8日~13日)ですか。
      毛沢東暗殺未遂事件(1971年9月8日)が成功していれば、歴史は大きく変わったかも知れませんが、もし変わったとしても良い方に変わったかどうかはちょっと怪しいですよね。
      とはいえ、林彪は優秀な軍人だったようなので、現代の人民解放軍は様変わりしていたのかもしれませんが。

      今回、ロケット軍の内部にも随分とメスが入っているようで、そういう意味でも朝鮮半島出兵頃の支那と似た雰囲気になっている気がします。

  2. 砂漠の男 より:

    苗華が福建幇閥の実力者なら、彼は青幇でしょう。
    そうであれば、苗華は海峡一帯の利権に深く関わっていたでしょう。
    紅皇帝直参の地位と権力を使って、好き勝手やらかしたため、昨年からの内紛を引き起こしたのかも。
    支那の高官同士の内紛なら、カネ絡み以外思いつきません。

    • 木霊 木霊 より:

      青幇ですか。

      そうすると、インドネシアとかフィリピンとかの情勢にも繋がっている気がしてならないんですが、「蒼天の拳」に引っ張られているんでしょうかね(苦笑。
      ですが、フィリピンの麻薬戦争の話は強ち無関係とも思えないんですよね。

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    中国の政権って、そういう意味では逆にわかりやすくていいですよね。

    さて、これで、破滅時計は何秒進むのかな?

    ※あの破滅時計だかなんだかをいじくり回してる頭でっかち共って、どこから金もらってるんでしょうね?

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      破滅時計はなんというか、偉い人のオモチャみたいなものでありまして。
      それよりもしっかり備えよと。