近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。
スポンサーリンク

アメリカからフィリピンにF-16V戦闘機の売却話が前進

アジア
この記事は約12分で読めます。

アメリカ国務長官のヘグゼス氏がフィリピンを訪問して、共同声明を出している。

United States–Philippines Joint Statement on Secretary Hegseth’s Inaugural Visit to the Philippines

March 28, 2025

United States Secretary of Defense Pete Hegseth made his inaugural visit to the Philippines as part of his first trip to the Indo-Pacific region to meet with President Ferdinand Marcos, Jr. and Secretary of National Defense Gilberto Teodoro, Jr. on March 27-28, 2025.

U.S. Department of Defenseより

アメリカとフィリピンが防衛パートナーシップを加速する点で合意したというニュースである。この中で、F-16Vの売却の話が出たようだ。

スポンサーリンク

防空防衛力の向上

F-16戦闘機を買っちゃうもんね

フィリピン空軍がFA-50軽戦闘機を購入した話は以前に触れている。

……しまった、消息不明になった話か書いてないな。購入は、2015年11月に最初の2機が納入されて、そこから2年くらいで合計12機のFA-50軽戦闘機が納入され、戦力化された。

2025年には追加調達の話も出ている。

Philippines – F-16 Aircraft

WASHINGTON, April 1, 2025 – The State Department has made a determination approving a possible Foreign Military Sale to the Government of the Philippines of F-16 Aircraft for an estimated cost of $5.58 billion. The Defense Security Cooperation Agency delivered the required certification notifying Congress of this possible sale today.

~~対訳~~

フィリピン F-16 航空機

ワシントン、2025年4月1日-国務省は、フィリピン政府に対するF-16戦闘機の対外軍事売却の可能性を、推定55億8000万ドルで承認する決定を下した。国防安全保障協力局は本日、この売却の可能性を議会に通知するために必要な証明書を提出した。

DSCAのサイトより

が、F-16V戦闘機を16機調達する話が許可されているんだな。あれ、FA-50軽戦闘機は?推定総コストは 55億8,000万ドルのお買い物をしたフィリピン政府に、他の機体を買う余裕があるのかどうか。

レーダー増強に併せて空軍能力を強化

もちろん、支那の膨張を抑えるためにはフィリピン空軍の戦力増強は必須。

韓国からFA50戦闘機導入したフィリピンの事情…性能限定、レーダー未整備でも満足? 安倍首相にも「泣きつき」

2015/12/1 17:03

フィリピンが軍備の増強を急いでいる。

~~略~~

同国軍は、05年10月にF5戦闘機を退役させて以降、新たな戦闘機を保有せず、軍事費は主に南部のイスラム武装勢力対策に投じられてきた。

産経新聞より

この記事にもあるが、F5戦闘機は老朽化に伴って2005年に退役済み。フィリピン空軍の防空防衛能力はかなり低下していて、2015年のFA-50軽戦闘機購入は、中々の英断であったとは思う。

ただ、FA50は練習機を基に開発され、性能は限定的だ。新編成の戦闘機部隊は、ベトナム戦争当時は米海軍の一大拠点だった南シナ海沿いのスービック湾にある飛行場に配備される予定だが、防空レーダー網などは未整備で、効果的な運用に懸念が指摘される。

産経新聞「韓国からFA50戦闘機導入したフィリピンの事情」より

だが、FA-50軽戦闘機ではレーダー機能が限定的で、フィリピン空軍が購入した後にFA-50 Block10と呼ばれるスナイパーポッド統合バージョンが出ている。AN/AAQ-33照準ポットを搭載出来るので、レーザー誘導兵器の運用とデータリンクへの接続が可能となっているが、フィリピン空軍はこれを採用できていない。だから、運用中のFA-50PHは、EL/M-2032というイスラエルIHI社製のレーダーが搭載され、それなりのレーダー機能を持ってはいるが、リンク16への接続ができない。

んで、我が国のこのレーダーですわ。

フィリピンへの警戒管制レーダーの移転について

令和5年11月2日

防衛省は、防衛装備移転三原則の下、官民一体となって、防衛装備品の移転に向け取り組んでまいりました。

このような中で、初の完成品移転案件として、2020年にフィリピン国防省と三菱電機㈱の間で同社製警戒管制レーダーを納入する契約が成立しておりましたが、今般、当該契約に基づく1基目のレーダーがフィリピン空軍に納入されました。引き続き、残りのレーダーの納入に向け、官民一体となり取り組んでまいります。

防衛省のサイトより

警戒管制レーダーFPS-3MEがフィリピンに設置されることで、フィリピン空軍は航空機を飛ばさずとも広域警戒監視が可能となった。

img

最大探知距離は約600km程度あるので、まあまあの範囲をカバー出来る。

img

となると、リンク16に接続して航空戦力の近代化を図りたくなる気持ちは分かるよ。うんうん。

宮古島に電子戦部隊配備

なお、ちょっと前のニュースでこんな記事があった。

陸自宮古島駐屯地に電子戦部隊配備へ 電子戦装置積載車両到着

02月26日 11時35分

防衛省は、陸上自衛隊宮古島駐屯地に通信やレーダーの妨害を行う「電子戦部隊」を来月末までに配備する計画で、26日、電子戦装置を積んだ車両が到着しました。

~~略~~

午前10時前に車両が港から出ようとすると、配備に反対する市民およそ20人が25分ほど、出口に座り込んで抗議しました。

NHKニュースより

えぇ?公共放送を名乗るメディアがこの為体ですか?

宮古島市の男性は「住民に説明が一切ないまま強行している。抑止ではなく、戦争の準備の部隊なので断固反対だ」と話していました。

また、宮古島市の女性は「すごい危機感を感じている。本当にこの島に住んでいて安全なのか分からない状態になっている」と話していました。

NHKニュース「陸自宮古島駐屯地に電子戦部隊配備へ」より

もう、NHKは解体してイインジャナイかな?ここに出てくる活動家とやっていることはさして変わらないのだが。

さておき、上の図から分かるように宮古島とフィリピンに防空レーダーを配備したことで、支那は非常にやりにくくなった。

予算の確保が急務

こうした防衛力の強化が進む一方で、資金的な問題はフィリピン政府に重くのしかかる可能性が高い。

55億8,000万ドルの予算が必要であるのに対して、フィリピン政府が用意できた近代化資金は6.1億ドル(政府が余剰収入を得た場合に限り6.9億ドルを追加)程度。

フィリピン、南シナ海での中国との衝突を受け国防費を増額

8月 3, 2024

フィリピンは、対外防衛の近代化と強化に伴い、2025年の国防費として2024年の予算より6.4%増の約6,570億円(43億8,000万ドル)を計上すると発表した。

南シナ海における中国との緊張が高まる中、国防費の増額が提案された。南シナ海の大半は中華人民共和国が領有権を主張しているが、国際法廷はその主張を退けている。

FORUMより

国防費全体でも2025年度分で43億8,000万ドルなのだから、分割で購入するにしたって無理がある金額だよね。

米国がフィリピンへのF-16V売却を承認、フィリピン軍は台湾有事に関与すると示唆
ヘグセス国防長官は米比相互防衛条約に対する米国のコミットメントを再確認し、米国務省も1日「フィリピンへのF-16V売却の...

航空万能論さまのところでは、「対外軍事融資基金(FMF)を通じて購入資金を与えるしかない」としているが、アメリカがこの金を出すかというとやや怪しい。

日本も無関係では無い事を考えれば、おそらくは何らかの形で関与すべきだという話は出てくるだろう。安くはないが、意義は大きい。

追記

ええと、上で引用している記事に関して。

The Government of the Philippines has requested to buy sixteen (16) F-16 C Block 70/72 aircraft; four (4) F-16 D Block 70/72 aircraft; twenty-four (24) F110-GE-129D or F100-PW-229 Engines (20 installed, 4 spares); twenty-two (22) Improved Programmable Display Generators (iPDG) (20 installed, 2 spares); twenty-two (22) AN/APG-83 Active Electronically Scanned Array (AESA) Scalable Agile Beam Radars (SABR) (20 installed, 2 spares); twenty-two (22) Modular Mission Computers 7000AH (or available mission computer) (20 installed, 2 spares); twenty-two (22) Embedded Global Positioning System (GPS) Inertial Navigation Systems (INS) (EGI) with Selective Availability Anti-Spoofing Module (SAASM) or M-Code capability and Precise Positioning Service (PPS) (20 installed, 2 spares); eighty-eight (88) LAU-129 guided missile launchers; twenty-two (22) M61A1 anti-aircraft guns (20 installed, 2 spares); twelve (12) AN/AAQ-33 Sniper Advanced Targeting Pods (ATP); twenty-four (24) Multifunctional Information Distribution System-Joint Tactical Radio Systems (MIDS-JTRS); one hundred twelve (112) Advanced Medium Range Air-to-Air Missiles (AMRAAMs) Air Intercept Missile (AIM)-120C-8 or equivalent missiles; four (4) AMRAAM guidance sections; thirty-six (36) Guided Bomb Unit (GBU)-39/B Small Diameter Bombs Increment 1 (SDB-1); two (2) GBU-39(T-1)/B SDB-1 Guided Test Vehicles;

~~以下略

DSCAのサイトより

実は、DSCAのサイトではF-16C/D BlocK70/72の販売を許可したと書かれている。

フィリピン政府は、16機のF-16 Cブロック70/72、4機のF-16 Dブロック70/72、24機のF110-GE-129DまたはF100-PW-229エンジン(20基搭載、4基予備)の購入を要請している。

DSCAのサイトより

このBlocK70/72というのは、いわゆるF-16V戦闘機と呼ばれるタイプのもので、この他にも空対空ミサイルや誘導爆弾を要求している。

12基のAN/AAQ-33狙撃兵用高性能照準ポッド(ATP)、24基の多機能情報配信システム-統合戦術無線システム(MIDS-JTRS); 112発の高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)迎撃ミサイル(AIM)-120C-8または同等のミサイル、4基のAMRAAM誘導部、36発の誘導爆弾ユニット(GBU)-39/B小口径爆弾インクリメント1(SDB-1)、2基のGBU-39(T-1)/B SDB-1誘導試験車;

DSCAのサイトより

かなりイイ装備だね。

This proposed sale will support the foreign policy and national security of the United States by helping to improve the security of a strategic partner that continues to be an important force for political stability, peace, and economic progress in Southeast Asia.

The proposed sale will enhance the Philippine Air Force’s ability to conduct maritime domain awareness and close air support missions and enhance its suppression of enemy air defenses (SEAD) and aerial interdiction capabilities. This sale will also increase the ability of the Armed Forces of the Philippines to protect vital interests and territory, as well as expand interoperability with the U.S. forces. The Philippines will have no difficulty absorbing this equipment into its armed forces.

~~対訳~~

この売却案は、東南アジアの政治的安定、平和、経済的進歩のために重要な力であり続ける戦略的パートナーの安全保障の向上に貢献することにより、米国の外交政策と国家安全保障を支援するものである。

提案されている売却は、フィリピン空軍の海上領域認識と近接航空支援任務を遂行する能力を強化し、敵防空(SEAD)の制圧と空中阻止能力を強化する。この売却はまた、重要な利益と領土を守るフィリピン軍の能力を高め、米軍との相互運用性を拡大する。フィリピンは、この装備を自国の軍隊に吸収することに何の問題もないだろう。

DSCAのサイトより

現時点ではフィリピン政府とアメリカ国務省との話で、議会の割り込みが発生する可能性はあるのだが。まあ、反対はしないでしょうな。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    南支那海域の防備として、フィリピンのF-16戦闘機配備は「遅くともやらないより遥かにマシ」な処置です。FA-50PHでは支那戦闘機とドッグファイトもできないので。

    米国防安全保障協力局の4/1発表に拠りますと、フィリピンが購入する機体は、旧型のC型とD型のようです。V型はバックオーダーが多すぎて、納期がかなり遅れるからでしょうか。
    https://www.dsca.mil/press-media/major-arms-sales/philippines-f-16-aircraft

    • 木霊 木霊 より:

      引用頂いた記事にありますが、F-16C/DのBlocK70/72とあるので、F-16Vのことだと認識しています。
      ロッキード・マーティン社はF-16Vという呼称を使わず、Block 70/72としているようですから、DSCAはそっち基準で書いているのかも知れません。そして、ご指摘通り遅れているのは事実なんですよね。台湾への1号機納入は3月末でしたし。
      https://japan.focustaiwan.tw/politics/202503290003

      とはいえ、まだ覆る可能性がある話ではありますので、キチンと進めて欲しいですね。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    フィリピンは、九段線(今は十段線なんでしたっけ?)という「長い舌」の最前線でもありますからね。
    それに、欧州みたいな「アメ製よりこっちがいいんだい!」なんて言ってられない事情もありますし。
    ※米、日、豪が事実上アメ製一択なので、データリンク等等アメ製以外に選択肢はない、と思う。
    良い判断だと思います。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      フィリピンは流石に最前線ですから、キッチリと軍を強化して欲しいと思います。
      近代化は必至ですね。