大きな地震があったようだ。先ずはお悔やみを申し上げ、いち早い復旧を願いたい。
ミャンマー中部地震、死者1600人超に ミャンマーと隣国タイで多数の死傷者
2025年3月29日 11:22
ミャンマー中部で28日午後に発生した強い地震で、同国でこれまでに1644人が死亡した。3408人が負傷し、139人が行方不明になっている。ミャンマー国軍が29日に発表した。
BBCより
地震の規模はM7.7で、被害も甚大である。
ミャンマーでの被害はハッキリわかっていない
横ずれ断層
先ずは地図から。

内陸性の地震であったため、津波などの心配はないようだ。横ずれ断層というタイプの地震らしく、規模としては能登半島地震と同じクラス。
軟弱地盤の影響で、長周期の揺れが発生して被害を拡大した地域があったようだ。隣国のタイや支那でも影響はあったらしい。
救助には時間がかかる
だが、ミャンマーの被害は軍事政権主導で行っていて、外国からの支援が行き届かない部分があると懸念されている。
ラジオやテレビ、印刷物、オンラインメディアはほぼすべて、軍事政権が統制している。インターネットの使用も制限されており、情報を得るのが難しい場合が多い。
BBCの最近のデータプロジェクトによると、ミャンマーは現在、さまざまな勢力によって支配されている。これが救援・復興活動をより困難なものにしている。
反体制派の支配地域で何が起きているのか、正確な情報を得るのも難しくなっている。
BBC「ミャンマー中部地震」より
反体制派との争いも影響して、情報の取りまとめが難しいことも救助の足を引っ張る可能性が高い。震源地に近いサガインは、内戦の主要戦場となっているだけに、本当に救助を必要としている人に救助の手を差し伸べられない可能性もあるのだ。
実際、ミャンマーの被害状況に関しては、詳細に伝わってきているとは言い難い状況である。
タイでも被害
高層の建物に被害がでた
さて、ミャンマーが震源の地震だったが、タイにも大きな影響が出た。
また、「バンコクの建物は地震を想定して設計されていない。そのため、大きな被害が出ると思う」と述べた。
タイのペートンタン・シナワット首相は28日午後、ビルの倒壊現場を訪れた。
BBC「ミャンマー中部地震」より
タイは近年大きな建物が作られるようになったが、耐震基準などが定められていなかったこともあって(コメントで教えてもらいましたが、耐震基準はあるようです。お詫びして訂正します)、かなりの数の建物が倒壊したようだ。
タイ崩壊ビル、中国企業が施工 SNSの関連投稿削除―ミャンマー地震
2025年03月29日16時15分
28日にミャンマー中部で起きた地震の影響により、タイの首都バンコクで崩壊した建設途中のビルについて、中国国営企業が施工を手掛けていたと中国メディアが報じた。地震発生後、同企業のSNSからはビル建設に関連する投稿が削除されたもようだ。
崩壊したビルは、中国国営ゼネコン「中鉄十局」とイタリア・タイの合弁企業が共同で建設。高さ137メートルの高層建築で、工程の30%程度まで進んでいた。
時事通信より
……。


このビルはパンケーキクラッシュと呼ばれる崩れ方で、見事に崩壊してしまった。支那の企業「中鉄十局」が施工していたらしいのだけれどね。海外で初受注だったらしい。


建設中だったということだから、住んでいた人はいなかったわけで。それだけが救いだろうか?
報道では5人死亡、117人が行方不明だと法事されている。
プール付きのビルからは水が大量に流れ出す動画も出ていて、地震への備えがなかったことが規模以上に大きな被害に繋がったようだ。

屋上にプール作るから……。
揺れ自体は大したことがなかったタイでも被害が大きかった原因は、長周期の揺れであったことと、地震に対する備えがなかったことだったようだ。
追記
長周期地震動
コメント頂いた件で、少し追記しておく。
ミャンマー大地震 1000km離れたタイ・バンコクは「長周期地震動」で被害拡大か
2025/03/28 19:05
日本時間の3月28日(金)15時20分頃、ミャンマーで規模の大きな地震がありました。地震の規模はM7.7と推定されます。
震源に近いミャンマーで揺れによる被害が大きくなっているほか、震源から約1,000km離れたタイ・バンコクでも建物が倒壊するなどの被害が報じられています。これは遠方に届きやすい「長周期地震動」が影響している可能性が考えられます。
ウェザーニュースより
甚大な被害を受けた震源地、ミャンマーのサイガンやネピドーの状況は未だ詳しく分かっておらず、30日時点で死者約1,700人、負傷者約3,100人と伝えられているが、行方不明者数などはわかっていないために、更に増えると予想されている。
一方、タイの首都バンコクは震源地から1,000km以上も離れており、当日の震度は3程度だと見積もられているが、本文で紹介したような被害を出してしまった。

その要因の1つが長周期の地震動であったとされている。
現地の映像を見ると、地上ではさほど大きな混乱がみられない一方で、特に高層建物がゆっくりと大きく揺さぶられ、ビルの上階ではプールの水が飛び出すなどの現象がみられました。これらは長周期地震動の被害の特徴にあてはまります。
ウェザーニュース「ミャンマー大地震 1000km離れたタイ・バンコク」より
この揺れに関してもダンパーなど耐震装備のあるビルでは問題なく対応できるとされているが、支那が建設したビルはそうではなかったと言うことだね。
なお、ネットで「完成していないビルでは耐震性がない」と言及している人も散見されたが、この意見は一面の事実は示しているが正しい認識とは言えない。
気象庁のこちらのサイトなどが参考になるが、そもそも長周期地震動に対応するためには、筐体全体に地震対策を施す必要があるため、基礎に免震装置を用意したりビルの上の階に重りを用意したりという必要がある。
長辺方向は鋼製ダンパーで補強するなどの手段がとれるが、こうした鋼製ダンパーの設置は建設が終わってしまって後から耐震性を高めるという時に用いられる設備となる。

景観を損なうので、新規に建設されたビルには設けられないのが一般的なのだ。
つまり、筐体工事がほぼ終わっていたバンコクのビルには、既に耐震設備が備えられていなければならず、「完成していないから強度が出ていない」というのは正しい指摘とは言い難いわけだ。
地震への備えはミャンマーでもタイでも必要
結局のところ、「地震についての備え」がなかったことが最大の問題点と言え、今後はそうした点を考慮したビルの建築がなされると思われる。
何しろ、地震の被害があった地域はエベレストが作り出されたプレートの上に乗っている。

インド・オーストラリアプレートの影響を受けて地震の発生は頻度は少ないにせよ、確実に発生しうるのである。

そのしわ寄せを確実に受ける地域がミャンマーなのだ。

そんなわけで、今後はタイでも地震対策が必要だといわれるようになるだろう。
追記2
あっちゃー。
バンコク高層ビル倒壊現場で、不審な中国人グループが書類持ち出し逃走!
2025年3月31日 1時30分
2025年3月29日現地時間3時45分頃、地震で崩壊した高層ビルの事故現場の西側にある国鉄バンスー駅構内で、タイメディアの取材班が事故現場から多くの書類を運び出す中国人グループを発見した。インタビューを試みたところ、詳しい回答を拒否して逃げるように走り去ったという。
infoseekより
倒壊ビルめぐり、中国企業従業員4人を一時拘束 建設資料を持ち出そうとしたか タイ
3/31(月) 13:05配信
ミャンマー大地震で倒壊したタイ・バンコクのビルをめぐり、建設を手がけた中国企業の従業員の男4人が建設資料を持ち出すため事務所に侵入しようとしたとして、タイ当局に一時身柄を拘束されました。倒壊したビルは中国の国営企業が建設を担っていたものです。
Yahooニュースより
これは……。
逮捕された人もいるようだけど、逮捕されずに持ち去った人もいるような感じかな。
追記3
コメントいただいたが、タイにも耐震基準はあったようだ。タイヘン失礼を。
地震で倒壊したバンコクのビル建設計画、タイ政府「資材に問題があった可能性」…調査チーム発足
2025/03/31 19:28
タイ政府は3月30日、28日の地震によりバンコクで倒壊した高層ビルの建設計画の問題点を調べる専門家の調査チームを発足させた。調査員らががれきを回収し、4月上旬にも結果を報告する。
~~略~~
タイ・カセサート大工学部のアモーン・ピマンマ教授は「資材の品質が低く、耐震性を十分考慮していなかった可能性がある。耐震基準などの見直しが必要だ」と指摘した。タイの技術者らで構成する「エンジニア協会」のスチャチャウィー・スワンサワット元会長は「調査に際し、日本のような知見がある国に助言を求めるべきだ」と述べた。
読売新聞より
結論的には資材の品質が低かったことが問題だったということだから、支那の責任問題に発展しそうな予感。
コメントいただいた通り、建築基準には耐震基準などの規定はあるようだ。ただ、それが十分なものであったかどうかは不明。

大林組は、タイにビルを建設中で、これが「無事だった」と評価された建物である。

無事だったようだ。それもそのはず、今建設しているこの建物、新しい耐震基準に対応して施工されているものだからである。
地震に強い建物を造る
2019年3月に工事がスタート。環境影響評価などの手続きを経て、ウェルネスの観点からさまざまなサービスを提供するビルマネジメントシステムを備えた、最先端の超高層複合施設をめざした。また、タイで2021年9月施行の新たな耐震基準を先行して導入するため、タイでは初となる工法を採用することになった。
その一つが、耐震性や耐火性を高める柱部材で、円・角型の鋼管の中にコンクリートを充てんするCFT(コンクリート充てん鋼管構造)柱だ。日本レベルの品質を確保するには、必要な材料や機材をすべて準備しなければならなかった。柱に充てんするコンクリートは、現地の材料を用いて何度も試験を行い、適切な調合割合を導き出した。
タイで初めての施工となるため、柱のモックアップを製作し、コンクリート圧入の試験施工を繰り返し⾏うことにより、CFT柱の施工を確実に完成させることができた。
大林組のサイトより
多分、今後はもっと地震に対する備えをしっかりしていくことになるんだろうね。
コメント
先日、ミャンマーで特殊詐欺グループに囚われていた日本人が救出されましたが。
この震災、非合法組織が奴隷を処分して、
隠すのに使われる気がしますね。
政府軍側も反政府軍側も、「あいつらに任せたら救えるものも救えない」「ドサクサに紛れて情報収集されたらたまらない」などと疑心暗鬼になっていることでしょう。
ドサクサに紛れて犯罪の証拠を隠すなんてことも当然やるんでしょうね。
こんにちは。
第一報に接した時、
「震源ミャンマーで大地震、タイで建設中のビル崩壊!」
で、即座には何が何だか分かりませんでした。いやマジで5秒くらい因果関係わかんなくて頭フリーズしました。
当初はミャンマーでの死者百数十人という発表でしたが、そんなわけあるまい、と思っていたら、今朝方あたりは千八百とかそのくらいの数字。これは、ボディカウント出来た数ですよね……
都市もそうだけど、山地民族なんてどうなってるか、調査に行くことすら困難でしょう。
ミャンマー、これから、政治的にも大荒れが予想されますね……とりあえず、この状況の前では、スー・チー氏の理想論なんて屁の突っ張りにも……
こんにちは。
> 「震源ミャンマーで大地震、タイで建設中のビル崩壊!」で、即座には何が何だか分かりませんでした。
いやまさに。それ故に書いた記事でもあります。どうしてタイで騒ぎになったのか?という点に疑問を覚えたからこそ、何が起きたかは調べておきたかったのです。
結果的には、タイには耐震基準が設定されていないので、大きな建物が地震に弱かった(長周期の揺れであったとはいえ、震度4程度でビル崩壊ですから)ということだったわけですが。
こんにちわ。
横から失礼しますがタイにも耐震基準みたいなものはあるようです。
https://www.thaich.net/news/20250330ne.htm
ありがとうございました。
なるほど、耐震基準あったんですね、調べきれませんでした。