鉱山ダム問題ね。
「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出…惨状伝える映像
2025年3月23日(日)13時05分
中国企業がザンビアに所有する銅鉱山から流出した酸が、付近の河川を汚染し、「壊滅的な結果」をもたらしている。現地で撮影された映像からは、有毒な成分を含む大量の水がダムから流出し、河川がまさに「死の川」の様相を呈している有様を見て取ることができる。
Newsweekより
酷い話ではあるんだけど、日本だって似た話はあったんだよね。
環境保全にかかるコスト
鉱滓ダム管理にはコストがかかる
正式には「鉱滓ダム」と呼ぶこのダム、日本にも幾つかある。


余り日本国内で話題になることはないが、日本国内にも鉱山があって、運用中の鉱山から金属を抽出するためには危険な化学薬品を用いることがある。また、粉砕した鉱石が混ざった液体の残滓も、有害な成分を多く含む。
こうした有害な物質を溜め込んだ鉱滓ダムというものは、日本各地に点在している。写真を紹介した神岡鉱山は、平成13年に鉱石の採掘が休止されて現在はスーパーカミオカンデが設置されている。足尾銅山は歴史の教科書にも出てくる有名な鉱山だが、昭和48年に閉山している。つまり何れも閉鎖されて今尚、鉱滓ダムが現在も維持されていると言うことである。
こうした鉱滓ダムは最終的には埋め立てられるのだが、その管理には膨大な時間とお金を要する。何というか、除染土の話を以前に書いたけれども、こういうところで管理(埋め立て)すれば良いとは思うんだよね。
ともあれ、長期にわたる管理が必要なのが鉱滓ダムなのである。しかし、膨大なコストがかかるため、閉山後の企業がいつまでも管理を続けるというのは難しく、国や地方に管理が引き継がれることが多い。
管理はしない支那のやりかた
とまあ、ここまで書けば「何が問題か」はなんとなく分かって頂けると思う。
中国がザンビアに所有する銅鉱山は、労働法や安全規則、環境基準に違反している、と非難されている。ザンビアは巨額債務を抱えており、中国からも40億ドルを借りている。2023年には債務不履行に陥り、債務再編を余儀なくされた。
Newsweek「「一夜にして死の川に」 ザンビアで…」より
支那が国内のみならず海外でも鉱山開発をやっているのはよく知られた話で、このザンビアの話も同じ構図だ。

アフリカ大陸の一国、ザンビアは他のアフリカ諸国の例に漏れず、首都ルサカはかなり近代化が進んでいる。

ただ、一歩、郊外に出れば発展途上の部分が散見されて、アンバランスな印象を受ける。


手つかずの自然も多く残されている国ではあるが、逆に言えば開発すれば未発見の鉱物資源が豊富にあるという意味でもある。
支那では国内での鉱山開発も続けてはいるが、深刻な環境被害を幾つも引き起こしており、海外にその開発を依存する方向となっている。
中国の汚染との闘い、遠く離れたブラジルの鉄鉱石鉱山に恩恵
2015年5月27日 10:52 JST
英アングロ・アメリカンによるブラジルでの 鉄鉱石生産は、大幅な予算オーバーや鉄鉱石の世界的供給過剰といった 不運に見舞われてきた。84億ドル(約1兆円)規模のその鉱山がようや く生産増強に動く中で、中国での環境に一層配慮した鉄鋼生産への動き が同社にとって有利に働きそうだ。
~~略~~
ミナスリオ鉱山で生産されるペレットフィード(微粉の鉄鉱石)は 鉄分約68%の超微粒子。最大の購入業者である中国企業を含め鉄鋼メー カーはこのペレットフィードについて、生産性が高く環境への影響もよ り小さいと考えているため、アングロは指標価格を上回る値段で売却す ることが可能だ。
Bloombergより
ブラジルでこのような鉱山開発が進んだ後に、鉱滓ダムの問題が起きてトラブルになった。
《ブラジル》サマルコ社鉱滓ダム崩壊事故裁判=15年発生の未曾有の環境破壊事故で刑事訴訟手続き中断=証拠に不正有りと弁護団=被害者側は司法に憤慨
2017年8月9日
ミナス州ポンテ・ノーヴァ市の連邦地裁は7日、2015年11月5日に発生した、ミナス州マリアナ市の鉱山採掘会社サマルコ社の鉱滓ダム決壊事故に関する刑事訴訟手続きを中断したと、8日付現地各紙が報じた。
サマルコ社の鉱滓ダム決壊事故はブラジル史上最大の環境破壊事故で、19人の死者を出した上に、近隣地域は泥に埋もれた。有害物質も含む大量の汚泥はドッセ川にも流れ込み、同川流域はおろか、河口から大西洋にまで達した。
ニッケイ新聞より
2015年の記事と2017年の事故は直接的な関係はないが、周囲への影響まで考えて鉱滓ダムの維持管理を踏まえて考えると、やはり鉱物資源の採掘にはそれなりのコストがかかる。
2019年にもこんなトラブルがあったね。

こういったコストは、本当に鉱山開発に織り込まれていたかは不明。
だが、国内コストを抑えるために、外国から鉱物資源を調達するというのは、多くの先進国が採っている方針だ。ザンビアでも似たような構図になり、事故に至ったということである。当然、鉱山開発は支那の金と支那の技術者が入り込んでいたハズなので、リスクは知っていたはずなのだが、そこはキッチリ説明しなかったのだろうね。
環境回復には時間がかかる
企業も支那の支配下にあったようだが、保障するかどうかは怪しいところ。
事故直後に撮影された画像には、鉱山の約100キロ下流で、川岸に打ち上げられた大量の魚が写っている。鉱山の所有者はシノ・メタルズ・リーチ・ザンビアという企業だが、同社の過半数を、中国国営企業である中国有色(非鉄金属)鉱業集団公司(China Nonferrous Metals Industry Group)が所有している。
地元住民のショーン・コーネリアスは、「2月18日以前、この川は活気に満ち、生命にあふれていた」と語る。「今はすべてが死んでいる。まるで、完全に死んだ川のようだ。信じられない。一夜にして、この川は死んでしまった」
ザンビア政府報道官のコーネリアス・ムウィートウは、状況の深刻さを強調し、シノ・メタルズに浄化費用を負担させると述べた。
~~略~~
「この事故は、一部の投資家が、環境保護に関して無頓着であることをまさに浮き彫りにしている。彼らは全く気にしていないように見える。そして、それこそが本当に憂慮すべきことだと思う。なぜなら結局のところ、私たちザンビア人にとっては、自分たちが所有している土地はこれだけだからだ」
シノ・メタルズ・リーチ・ザンビアのジャン・ペイウェン会長はこう述べた。「この災害は、シノ・メタルズ・リーチ・ザンビアと鉱業全体に大きな警鐘を鳴らしている……影響を受けた環境をできるだけ早く回復させるために、当社は全力を尽くす」
Newsweekより
口では「環境の回復に全力を尽くす」と言っているが、儲けと保障のバランスが崩れれば、支那はザンビアのこの鉱山に見向きもしなくなる。
何度も書くが、これは支那だけ特別に酷いということではない。だが、世界各地でこうした問題はあって、経済発展を続けている支那はこういった問題に深く関わっている。
杜撰にやれば問題を引き起こすことは分かっていたのに、手を尽くさなかったということ。こういった問題はこれからもアフリカで増えるのだろうね。
追記
支那国内で汚染が起こっていないわけではない、を示すニュースとしてタイムリーなのがあったので、紹介しておく。
原文網址:河流鉈濃度異常 縣政府稱食水無問題(リバー郡で異常なタリウム濃度が検出されたが、政府は飲料水に問題はないと発表)
3月23日(日)19:03
湖南省郴州市永興県の河川のタリウム濃度がここ数日異常となり、下流の飲料水の安全性が脅かされている。郡役所はその後緊急対応を開始し、先週土曜日(22日)までは飲料水は正常であったことを確認した。問題がある場合は、別途お知らせいたします。
東網より
銅や鉛、亜鉛の鉱山があれば、タリウムが漏れ出すと言うことは有り得るわけで。これも鉱滓ダムの整備が脆弱だとこういう事態を招くという一例と言えると思う。
尤も、このケースは鉱山ではなく工場由来の可能性もあって、何とも言えないんだけれども。
コメント
ルサカとルサカ郊外の写真差に酷い話だけど笑ってしまいました。まぁアフリカ…。
んで、私ゃシナがアフリカに手を出して、地元で反感くっていくの大賛成なんです。
日本も似たような……そだけど知らない
だってオラは「やってた張本人の途上国ビジネスあがり」だもの。それなら大英帝国に産業革命の代償を支払わせてからにしませうよ。
んで、シナが上書きして、私ども山童とお友達たちの「不善な行為」に「上書き」して消してくれるのはありがたや!です。
実際にシナ人襲撃とかアフリカで増えてますしね。
むしろ厄介なのはロシア人でしょう。
ワグネルと資源外交とFCRフラン使用国を見れば解るすが、ロシアは「その場の精算」で「債務の罠」やらんので好かれてます。
シナ人が現地民の不興を買ってぶち殺されるのは構わないんですが、シナが撤退した後にロシアが入り込むと厄介かと。
まぁアフリカはアフリカに任せて、全てのアフリカ以外は手を引けば??
仮に気候変動と疫病でアフリカ人が滅ぼうと、もうすでに十分なアフリカ系市民が南北アメリカ大陸におり、生物学的にアフリカが全滅しようと種の多様性は担保されてますから。さん残悪いことしてきた欧米と違い日本人にゃ関係ないすからね。資源いがいは。
アフリカは本当に成金が凄い……。
いやまあそれはさておき、ご指摘のように支那だけが責められる話ではなく、既に各国が散々やってきたことでもあるわけです。支那も外国からやられましたしね。
しかし、それはそれとして、ご指摘のように中東の様子を見てもそうなんですが、「アフリカが最後のフロンティアだ」などと阿呆なことを言っていないで、過度に干渉したり食い物にするのは宜しくないと思います。未来の戦争の火種をバラ撒くようなものですから。
こんにちは。
いずれ、支那にはしっぺ返しが必ず起きると思ってますが、そのしっぺ返しを、今は他国に押しつけてる状態でもありますね。
金に目が眩んだアフリカなんていいカモ。
度し難きは、愚劣で無知蒙昧な金の亡者。
そういうのに限って、政治経済の中枢にいるんですよね……
わーくにも他人事じゃないですが……
こんにちは。
ザンビアにとっては不幸ですが、高い勉強代を支払わされることになりましたね。
アフリカ諸国は、あまり愛国心とかピンと来ないきがするんですが、どうなんでしょうかね。