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対人地雷禁止条約(オタワ条約)からの脱退

北欧ニュース
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おわた。違う、オタワ条約である。

エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドの国防大臣によるオタワ条約からの脱退に関する声明

2025年3月18日

対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約(オタワ条約)の批准以来、私たちの地域の治安状況は著しく悪化しています。ロシアとベラルーシに隣接するNATO加盟国に対する軍事的脅威が大幅に増加している。ロシアの侵略とそれが欧州大西洋共同体にもたらしている継続的な脅威によって特徴づけられるこの不安定な安全保障状況に鑑み、我々の抑止力と防衛力を強化するために役立つあらゆる措置を特定することが極めて重要です。

ポーランド政府のサイトより

マジかー、日本も続こうぜ。

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防衛手段向上という意味では正しい

現実的な選択肢

エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドがこのような決定をした理由は簡単だ。

バルト三国やポーランドにとって、ベラルーシとウクライナは他人事ではない。ロシアに魂を売ったベラルーシのようになるのか、侵略を受けたウクライナのようになるのか。

キレイゴトを言っても国は守れないのだから、侵略を受けた時に足止めに有効な対人地雷を放棄するというのは良い選択肢とは言えまい。何なら、クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)からも脱退すべきだろう。

なお、オタワ条約には162カ国が参加しているが、そこにロシアの名前はないし、支那も北朝鮮も参加していない。もちろん、アメリカもである。インドやパキスタン、イスラエルやエジプト、イラン、シリア、サウジアラビアなども参加していない。

ではオスロ条約はといえば、締約国は110カ国で、やっぱりロシアも支那も北朝鮮も参加はしていない。オタワ条約以上にオスロ条約は実効性がないよ。

この2つの条約が如何に荒唐無稽なものかがよく分かる話だ。

核不拡散条約だって不平等この上ない条約なのだから、そろそろ目を覚ましたほうが良い。

対人地雷は非人道的な兵器だが

さて、そもそもオタワ条約というのは、一体何を目指した条約だったのだろうか。

発起人はアメリカのNGO・米国ベトナム退役軍人財団とドイツのNGOメディコインターナショナル。この手の条約はアメリカが最初に手を挙げることが多いのだが、最終的にアメリカは加盟しないのが常である。ドイツはまんまとはしごを外されたよね。

確かに、兵士を行動不能にする対人地雷というのは、除去するのも面倒だし戦場においても、戦後処理においても非常に厄介である。だから、理想的にはなくしたほうが良いという発想は理解はできる。

で、その結果、全世界での対人地雷の推定数は劇的に減ったのだが、被害が減ったというわけではない。それどころか各国の抑止力が低下してしまった。だって、敵にとっても厄介な手段なのだから、使った側には有効に作用するんだよ。

ロシアの脅威を肌で感じる国家にとって、建前だけではもはや国土を守れないと気がついてしまったのだ。

現在の安全保障環境において、脅威にさらされている同盟の東側防衛を強化するためには、近代的な兵器システムやソリューションの潜在的な使用に関して、我が国の軍隊に柔軟性と選択肢を与えることが重要であると考えています。

ポーランド政府のサイトより

寧ろ、ドイツが決断していない理由が良くわからない。また、不思議なことにウクライナは未だ加盟している状態らしいし。

だが、既に脱退を検討しているフィンランド辺りも、これに追従する可能性は高い。長い海岸線をもつ日本にとっても、対人地雷は有効な兵器となる。脱退推奨だ。

F35の契約見直し

そうそう、話はちょっと変わるんだが、最近驚いたニュースがこちら。

カナダ新首相、「F35」契約の見直し指示-米との対立に新たな火種

2025年3月17日 12:40 JST

カナダのカーニー新首相は、米防衛大手ロッキード・マーチンとの戦闘機「F35」の契約見直しを指示した。トランプ米大統領はカナダを米国の51番目の州にする可能性に言及し、関税発動に動いたが、両国関係に新たな火種が生じた。

Bloombergより

F-35戦闘機の開発がやや遅れ気味なのと、メンテナンスにかなりのコストを必要とすることがわかってきて、なかなか維持していくことが難しい変態戦闘機だという事情ももちろんあるんだけど、それ以上にアメリカの機嫌次第で供給がストップされるリスクが有るという話が。

同じ懸念を示したドイツだが、カナダも同じ流れだね。

ただこれ、おそらくは交渉の一種であると思われる。

カーニー氏は与党・自由党の党首選で、カナダは米国に頼らず、防衛費の振り向け先を変更すべきだと主張。2月の討論会で「防衛費はこれまで8割を米国で使ってきたが、そうではなくカナダで使うつもりだ」と述べていた。

Bloombergより

自国第一主義を掲げるトランプ氏にとって、この主張を覆すことは難しい。尤も、これが有効かどうかは良くわからないけれどね。

ともあれ、この話もオタワ条約からの脱退と似た印象を受ける。建前だけでは国防を実現できない時代に突入したということだろう。

ええ、ええ、専守防衛という建前、捨てる必要がある時期に来ているんだよ。

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