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フィリピン空軍採用のFA-50戦闘機が消息絶つ

アジア
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戦闘機の事故はどの国でも発生する。行方不明の方々が早く見つかるように願いたい。

フィリピン空軍の戦闘機が消息絶つ 夜間作戦中、乗員2人不明 報道官「大規模事故だ」

2025/3/4 20:44

フィリピン空軍のカスティリョ報道官は4日、中部セブ州マクタン島の基地を3日深夜に発進したFA50戦闘機1機が地上部隊を支援する夜間作戦中に消息を絶ち、乗員2人が行方不明になったと発表した。軍は大規模な捜索活動を続けている。

産経新聞より

FA50軽戦闘機の事故は、それなりの頻度で見かける気がする。が、他の戦闘機と比べて優位に事故率が高いという訳ではないだろう。

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事故か事件か

フィリピン空軍の虎の子戦闘機

今回、行方不明になった機体は恐らく10年前ほどに納入されたものだ。

フィリピン、10年ぶりに戦闘機導入 韓国製の第一陣納入

2015年11月28日 19:09

フィリピンに28日、韓国製の戦闘機「AFPより

2015年から2017年にかけて合計12機のFA-50軽戦闘機がフィリピン空軍に納入されており、2025年に追加調達される予定になっていた。

Philippines pursuing 12 more FA-50 Fighting Eagles, highlight defense projects for 2025

January 20, 2025

The Philippines Department of National Defense (DND) intends to acquire a second batch of 12 new FA-50 Fighting Eagle light combat aircraft from South Korean aviation company Korea Aerospace Industries within 2025.

~~対訳~~

フィリピンはFA-50ファイティング・イーグルを12機追加、2025年の国防プロジェクトの目玉とする

フィリピン国防省(DND)は、2025年内に韓国の航空宇宙産業(Korea Aerospace Industries)からFA-50ファイティング・イーグル軽戦闘機12機の第2弾を購入する意向だ。

ASIA PACIFIC DEFENSE JOURNALより

他の戦闘機の調達も色々と検討されてきたが、結局はFA-50を購入することに決めたようだ。フィリピン空軍としてはFA-50軽戦闘機にやや不満はあったようだが、性能と価格のバランス、そして他国との関係を考えればそれなりに利のある選択なのだろう。

T-50高等練習機を含めた事故・事件

ただ、FA-50軽戦闘機は元型となったT-50高等練習機を含めてそれなりに事故を起こしている。

フィリピン空軍でも、事故というわけではないがトラブルに起因すると思われる事件が発生している。

It was FA-50 jet in 2nd friendly fire incident in Marawi – military source

11:04 PM July 12, 2017

An FA-50 fighter jet was the aircraft reportedly involved in second “friendly fire” incident in Marawi City that killed two soldiers and wounded 11 others, a well-placed military source told the Inquirer.

~~対訳~~

マラウィで2回目の友軍攻撃はFA-50ジェット機だった – 軍関係者

FA-50戦闘機が、マラウイ市内で2人の兵士が死亡し11人が負傷した2度目の「フレンドリーファイア」事件に関与したとされる航空機であったと、ある有力な軍関係者がインクワイアラー紙に語った。

INQUIRER.NETより

FA-50戦闘機による誤爆事故であり、兵士2名が死亡、11名が負傷している。同事故は乗組員にも機体にも責任がないという意味不明の結論になったのだが、詳しいことは報じられていない。

基本的にはFA-50PH軽戦闘機はテロリスト制圧などが主任務となっているので、一方的な空爆を行う感じのミッションが多いようだ。だからこそ、深刻なトラブルに見舞われるリスクは少ないのかもしれないが、他国では墜落事故もそこそこ起きている。

  • 2012年11月15日:韓国空軍ブラックイーグルス所属のT-50Bが原州北東約9kmの山間部に墜落。パイロット1名が殉職。整備ミスによるトラブルだと判明し、後に担当整備士の上官が自殺している。
  • 2013年8月28日:韓国空軍第1戦闘飛行団所属のT-50が光州の空軍基地で離陸中に墜落。搭乗者2名が殉職。黒煙を吹き出して飛行していた様子が目撃されており、1名はパラシュートで脱出したものの死亡。もう1名は墜落した機内から死亡した状態で発見されている。
  • 2015年12月20日:インドネシア空軍所属のT-50が航空ショーでデモ飛行中に墜落。操縦士2名が殉職。操縦ミスだと判断されたが、後に整備不良が原因であったことが明らかになった。
  • 2018年2月6日:韓国空軍ブラックイーグルス所属T-50Bがチャンギ空港離陸中にタイヤが破裂して横滑りし炎上。操縦士は軽傷を負ったが無事だった。
  • 2019年10月1日:FA-50に関して2014年に戦力化されて2018年までの4年間で7回にわたり機銃の故障があったと報道された。射撃訓練禁止措置は3回で計331日であり、実戦配備されてから1/5の期間機銃なしの状態で出勤していたことが明らかに。
  • 2020年8月10日:インドネシア空軍所属のT-50iがイスワヒュディ空軍基地での訓練中の事故で負傷し殉職。原因は明らかにされていない。
  • 2022年7月19日:インドネシア空軍所属のT-50iが夜間訓練任務中にジャワ島に墜落。操縦士は殉職。原因は明らかにされていない。
  • 2023年3月15日:韓国空軍所属のT-50が模擬エンジン停止訓練中に一時的にエンジンが停止し非常着陸を実施。操縦士や装備に被害はなかった。

事故が特別に多いというわけではないようだが、知られる限り凡そ200機生産されたうちの6機が事故で失われている。3%が多いのか少ないのか……。

夜間作戦中の事故か

状況が良く分からないのだが、基地に帰還するために編隊飛行を行っていた途中で、連絡が取れなくなったということらしい。

Philippine Air Force FA-50 Fighter Jet Vanishes Mid-Mission, Massive Search Underway

Mar 4, 2025

A Philippine Air Force (PAF) FA-50 fighter jet, carrying a two-man crew, vanished during an overnight operation from a base near Cebu, military officials confirmed on Tuesday (March 4).

In a statement, the Philippine Air Force said the aircraft lost contact with other jets in its formation just minutes before reaching its target area.

Colonel Consuelo Castillo, an Air Force spokesperson, told reporters the incident marked the first major mishap involving the FA-50 squadron—aircraft that had previously been deployed in training drills over the highly contested South China Sea.

~~対訳~~

フィリピン空軍FA-50戦闘機が飛行中に消息を絶ち、大規模な捜索が行われている

フィリピン空軍(PAF)FA-50戦闘機が、2名の乗員を乗せ、セブ近郊の基地から夜間飛行中に消息を絶ったことを、軍当局が火曜日(3月4日)に確認した。

フィリピン空軍は声明の中で、同機は目標地域に到着する数分前に編隊内の他のジェット機との交信を失ったと述べた。

空軍報道官のコンスエロ・カスティーヨ大佐は記者団に対し、この事故はFA-50飛行隊が巻き込まれた最初の大きな災難であると語った。FA-50飛行隊は以前、非常に紛争が多い南シナ海上空での訓練に投入されていた。

defencesecurityasia

それなりの距離をとって飛行していたとはいえ、何か兆候を見せないままに交信が途絶えてしまったというのは不可解ではある。

状況からすると墜落してしまったのではないか?と懸念されるのだが、それでも何らかの兆候はあっても良さそうなものだ。

早急に見つかって欲しいとは思っている。

追記

残念なニュースである。お悔やみを申し上げたい。

不明のフィリピン空軍戦闘機、乗員2人の死亡確認 ミンダナオ島の山地で残骸発見

2025/3/5 20:51

フィリピン空軍のカスティリョ報道官は5日、中部セブ州マクタン島の基地を3日深夜に発進したFA50戦闘機の残骸が南部ミンダナオ島の山地で5日に発見され、乗員2人の死亡を確認したと発表した。反政府共産ゲリラに対処するフィリピン軍地上部隊を支援する夜間作戦に加わっていた。

産経新聞より

状況から考えると、墜落機のパイロットが何の連絡も取らずに失踪しているのだから、少なくともパイロットは墜落する直前まで異常を感知できていなかっただろうと推測される。

ブラックボックスなどが回収出来れば詳しいことはある程度は分かると思うが、恐らくは高度を誤って飛んでいたことで、対応する間もなく山肌に衝突したという感じなんだと思う。いや、全くの憶測なんだけれども。

コメント

  1. 砂漠の男 より:

    FA-50PHは、共産ゲリラ掃討作戦中の陸軍への航空支援のために、
    夜間出撃したそうですが、果たして故障で墜落したのか、
    ゲリラに撃墜されたのか。このあたりが、大方の注目点でしょう。

    で、続報が出ていたので目を通しましたが、気になるのは2点
    1. 地上で発見された機体は完全に大破していた
    2. 2人のパイロットは機内で死亡していた

    空軍はすでにFA-50PHのフライトレコーダーを回収済みで、
    空軍事故調査委員会が「あらん限り、すべてを調査する」と発表。

    個人的には墜落事故とみていますけど、それならばパイロットが
    ベイルアウトできなかったところが引っ掛かりますね。

    • 木霊 木霊 より:

      夜間飛行だったというのは気になりますよね。
      ゲリラに撃墜されたなら、声を挙げるまでもなく墜落したというのはやや不自然な気がします。

      必要な高度をとってなかったケースかな?とは思っています。何にせよ、フライトレコーダーで何か分かると良いですね。