また、無茶言い始めたな。
トランプ氏、関税措置の可能性を示唆-日本や中国が通貨安誘導の場合
2025年3月4日 5:27 JST 更新日時 2025年3月4日 9:31 JST
トランプ米大統領は3日、日本と中国が通貨安政策を取るなら米国は「不当に不利な立場に置かれる」と述べるとともに、そのような場合、関税措置を講じる可能性を示唆した。日本を名指しした発言を受け、円は対米ドルで上昇した。
Bloombergより
日本は特に通貨安政策やっていないんだが、具体的に一体何をしたというのやら。
通貨政策の実情
関税引き上げの影響
アメリカの株が売られた理由は、他ならぬトランプ氏の政策の効果である。
米国株式市場=反落、ダウ649ドル安 指標や関税巡る懸念で
2025年3月4日午前 7:18
米国株式市場は主要3指数がいずれも反落して取引を終えた。トランプ大統領がカナダとメキシコに対する25%の関税を4日に発動すると言明したことや、製造業活動の鈍化を示す指標を受けた。
米供給管理協会(ISM)が3日発表した2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3となり、前月の50.9から低下。先行指標となる新規受注が前月の55.1から48.6に落ち込んだ。
ロイターより
実に困った話ではあるが、トランプ氏が選択した高関税政策はアメリカ経済を冷やす効果がある。市場はそれにリスクを感じてアメリカ株を売ったわけだ。
トランプ氏はホワイトハウスのイベントで発言したもので、円はニューヨーク時間3日の取引で一時1ドル=149円11銭とこの日の高値を付けた。米国株が売られ、安全資産として円の魅力が高まった。
トランプ氏は暗号資産(仮想通貨)の戦略準備に関して演説後に記者団の質問に答え、日本が円を押し下げて、中国が元を押し下げれば、「われわれは極めて不当に不利な立場に置かれる」と指摘した。ブルームバーグ・ガバメントが伝えた。
Bloomberg「トランプ氏、関税措置の可能性を示唆」より
つまり、トランプ氏の自業自得なのだが、それを棚上げして日本や支那に対して「通貨安政策をとるな」というわけである。
利下げ見送ったのはアメリカ(FRB)なんですがねぇ。

意味が良く分からない。トランプ氏の経済ブレーンは一体何をやっているのやら。
交渉の余地はない
高率関税をかければアメリカ国内での物価が上がる。そうすると、経済に悪影響が及ぶというのは、簡単なロジックである。
トランプ米大統領、カナダ・メキシコ関税「4日開始」 25%、経済に打撃懸念
2025年03月04日12時07分配信
トランプ米大統領は3日に記者会見し、カナダとメキシコからの輸入品への25%の関税について、「4日に始まる。決まっている」と述べ、予定通り適用すると明言した。中国には10%の追加関税をさらに上乗せする。米国とカナダ、メキシコは経済的な結び付きが強く、関税導入による各国経済への打撃が懸念されている。
~~略~~
ただ、米政権はカナダ、メキシコによる国境警備強化の提案を受け、発動を1カ月延期。両国は閣僚や政府高官を米国に派遣し、さらなる対策強化などを協議し、関税の停止を求めていた。トランプ氏は3月3日、合成麻薬は「膨大な量が流入している」と指摘した。
中国には予定通り2月4日から10%の追加関税を課した。中国は、米国産石炭や天然ガスへの追加関税などの報復措置を取った。
時事通信より
合成麻薬がアメリカに多数流入している実態は変わらないが、それを取り締まる話をしている最中にコレだ。
スピードを重視するのはトランプ氏の良い点でもあるが、今回の話は拙速に過ぎた感がある。そして、麻薬を供給しているのは支那であって、取り締まりができていないカナダやメキシコは寧ろ被害者側だと言えよう。
つまり、アメリカが関税を引き上げたところで何か解決する訳ではないのだ。
そうすると、交渉手段の一環として「関税引き上げ」の脅しは意味があるけれども、実際に関税を引き上げてしまうと寧ろ自国民を苦しめる結果になる。
コレが市場に悪影響をもたらしたのが、今回の円相場の動きになって現れたと言うことに。
円高に振れる
トランプ発言を受けて円高に振れたが、実際のところ日本が何か具体的な通貨操作政策をやっているわけではない。
円相場 一時1ドル=148円台に 米大統領の通貨安政策言及で
2025年3月4日 10時29分
4日の東京外国為替市場、アメリカのトランプ大統領が通貨安政策をとる国として、日本にも言及したことをきっかけに、円を買ってドルを売る動きが広がり円相場は一時、1ドル=148円台まで値上がりしています。
~~略~~
アメリカのトランプ大統領が中国とともに日本が通貨安を誘導してきたと主張したことに関連して、加藤財務大臣は4日の閣議の後の会見で「日本は通貨安対策は取っていない」と述べました。
その上で歴史的な円安ドル高を是正するため、2022年と去年、円買いドル売りの市場介入を実施したことを念頭に「先般の為替介入を見てもらえればそのことは理解いただけるのではないか」と述べました。
NHKニュースより
そのことは、日本の財務大臣である加藤氏や官房長官である林氏が明言している通りで、アメリカにも同様のことを説明しているはずだ。

トランプ氏の発言を受けて円高に振れたようだが、口先介入の効果があったということだろうか。
日本政府としては、これから改めてトランプ氏に丁寧にご説明申し上げることになると思うが、果たしてトランプ氏はその説明を受け入れるだろうか。
経済の話に関しては、申し訳ないけれども僕の力量不足で丁寧な説明ができないので、こちらのサイトを参考にして欲しい。

市場は冷淡だね。
トランプ氏的には、冒頭の話もパフォーマンスの類いで、実際の狙いは別にありそうだ。が、トランプ劇場に今日も世界は振り回されるのである。猛獣使いはもう居ないからね。
追記
えぇ……。
トランプ氏「最優先は経済再建」 施政方針演説始まる
2025年3月5日 11:42
トランプ米大統領は米東部時間4日夜(日本時間5日午前)、議会で施政方針演説に臨んだ。関税など経済政策やウクライナや中東などの外交政策を説明する。第2次政権の発足後、初めての包括的な政策演説となり、今後4年間に及ぶ政権運営の羅針盤となる。
冒頭「米国が戻ってきた」と力説した。
日本経済新聞より
あっちこっちの国に対して「関税を引き上げてやる!」と脅した結果、経済にかなりダメージが入ってしまったのだが、どんな経済政策を考えているのだろうか?
トランプ氏の方針を見ると、保護主義に基づいた自国経済の活性化ということを目指しているらしいのだが、その方針はかなり気の長い話でもある。
景気を懸念する米国民、トランプ大統領に対策強化求める-世論調査
2025年3月3日 13:12 JST
トランプ米大統領が2期目発足直後に打ち出した政策は、経済やインフレを懸念する米国民の支持を弱める可能性があることを、2つの世論調査が示している。
Bloombergより
アメリカ国内で何でもかんでも製造ができると思っていたら、それはかなり大きな勘違いだと思うのだが、どうやらトランプ氏はそちらの方向で考えたいらしい。
しかしやっていることは、長期的にはともかく短期的にはかなり物価上昇を招く。
米成人の60%近くがトランプ氏の関税政策が物価上昇につながると予想。共和党支持者の間でも、トランプ氏の貿易政策には懐疑的な見方が多いことが示された。
Bloomberg「景気を懸念する米国民、トランプ大統領に対策強化求める」より
支持者だけでなく国民の大半は物価上昇は避けられないという見方をしているようだ。長期的視野に立ってアメリカの製造業を強くする!短期的には許してね、という話になるならまだ整合性はとれると思うが、そうなるのかは注目していきたい。
コメント
いまや世界経済が、トランプ政権の掌の上のような感があります。米国による高関税導入と対象国の報復関税導入によって、自由貿易体制もGATT体制ももはや死に体です。
特に、カナダとメキシコの経済には大打撃で、今年のGDPは1%以上確実に下がりそうです。
支那経済も大打撃を被っていて、対米輸出の主力製品の安価な電化製品と繊維・衣料品の米輸入関税が20%→40%に急騰し、株式市場は全面安展開。しかも、これで終わりとは限らない。
思うに、トランプ政権は東西南北全方位に対して、従来のやり方を拒絶する方針のようです。対外的には、国内に入り込んで好き勝手している有象無象を米国(市場)から叩き出す。対内的には、連邦政府から州政府まで米国全土で綱紀粛正(違法取締り)する。そうした上で、強い米国を再建していくつもりに見えます。さらに、トランプ政権は政策に沿う経済運営を進めるために、今後FRBに対しても容赦のない圧力を加えていくだろうと思います。
翻って石破政権は、政策も戦略もなく脳死状態で、世界の変化についていけません。日本は、一層周回遅れになりそうです。そうこうしているうちに、支那の静かな日本侵略が加速しています。
そうですね、「自由貿易ナニソレ美味しいの?」ってな雰囲気をトランプ氏は漂わせています。
それだけアメリカが割を食ってきたという認識のようですが、さて、全方位に敵を作って大丈夫なのか?ロシア優遇するとどんなメリットが?という疑念はありますね。
ただ、対支那だけに焦点をあてるとロシアを自陣の方に引っ張って、外交的にロシアと支那との間の溝を作る戦略という意味では有効なような気はします。FRBもどれだけ耐えられるのか。リスク込みで利下げする可能性は出てきましたよね。
石破クンの話は……、何か「高校無償化」とか「夫婦別姓」とか「同性婚」とか、今やるべき話なのか分からない題材で政争に勤しんでいるように見えて、困ったものです。
>ロシアを自陣の方に引っ張って、外交的にロシアと支那との間の溝を作る戦略
この見方は、正鵠を射ているでしょう。
トランプ第2次政権の国防次官(政策担当)に就任するE・コルビー氏は、トランプ第1次政権の国防副次官補(戦略担当)で、米国防衛戦略策定責任者の一人でした。
彼は「対支那拒否戦略」(グローバルな支那封じ込め戦略)の提唱者で、今後の米国防戦略を主管するので、今回のロシアへの接近は彼の戦略論に沿ったものなんでしょう。
先日のニュース《米、日本に防衛費3%以上要求》は象徴的です。
https://www.sankei.com/article/20250305-OBWP7WWUS5JOBJMCNW7I3BUSYQ/
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250305/k10014740201000.html
これに支那が文句を言っていましたが、石破首相も仏頂面で文句しか言わないようで。
こんにちは。
今朝のニュースで、円安どころか円高誘導に日本政府(≒日銀)は必死だとコメントエイターが言ってましたが(実際、事実だし)、ウォール街もたいがい馬鹿が揃ってますから、トランプ氏の一言で「生ける仲達、100m猛ダッシュ」なんでしょうね。
財務省は速攻で特使仕立ててトランプ氏にアポなし電凸させないと。ていうかしろ。
※安倍さんや麻生さんなら速攻ホットライン入れてるでしょうに……
こんにちは。
行きすぎた円安はやや日本に不利な部分もあるので、130円くらいまで誘導したいのが日本政府や日銀の本音なのかも知れません。
安定的な水準であれば、150円でもとは思いますが、エネルギー価格が高くなるというデメリットがあるので何とも。
対トランプ戦略は余り意味がない気がしてきましたので、もうちょっと違う視点から物事を見る必要があるのかも知れません。今、困っているのはインドやオーストラリアですから、この辺りとの連携を強めるなんてシナリオは悪くないと思うんですよね。
>エネルギー価格が高くなる
そこで原発ですよ!(お目々グルグル)
いやマジで。それそれ個別の話ではなくて、全部互いに関連しているんですよね。
※「石北会計」にはそれがわからんのです。
対トランプ、個別になにかするより、あのオッサンと個人的に仲良くしておく方が役に立つのでは……個別案件は、下手すると朝令暮改になる可能性もありますし。
個人的につながり作って置いて、案件より上(下?)のレベルで譲歩引き出す方が得策に思えてなりません。