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フランス、ドイツに核兵器搭載の戦闘機を配備か

北欧ニュース
この記事は約5分で読めます。

面白い展開になってきた。

France Eyeing Deployment Of Nuclear-Armed Rafale Fighters To Germany: Report

Feb. 24, 2025,

France is apparently looking at the possibility of deploying air-launched nuclear weapons to Germany, a consideration that’s being made amid growing concerns that the United States will no longer guarantee European security under NATO. Broader discussions about nuclear deterrence among European leaders point very clearly to the deepening crisis in the transatlantic alliance under U.S. President Donald Trump, emphasized by calls from German leader-in-waiting Friedrich Merz for talks with his British and French colleagues about European “nuclear sharing or at least nuclear security.”

~~対訳~~

フランス、核武装ラファール戦闘機のドイツ配備を検討: 報告書

フランスはドイツへの核兵器配備の可能性を検討しているようだ。米国がNATOの下で欧州の安全保障をもはや保証しないという懸念が高まる中で、この検討が行われている。ヨーロッパの指導者たちの核抑止力に関するより広範な議論は、ドナルド・トランプ米大統領の下で大西洋横断同盟の危機が深まっていることをはっきりと示しており、ドイツのフリードリヒ・メルツ待望論者がヨーロッパの 「核の共有、あるいは少なくとも核の安全保障 」について英仏の同僚との協議を求めていることが強調されている。

The Warzoneより

そんなに簡単に話がまとまるとは思えないが、話が出ることに意味はある。

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戦略のオプションとしてはありか

在ドイツ米軍の撤退

フランスが核保有国であることは知られているが、ドイツは敗戦国ということもあって核兵器を保有できない。

現在、米国の安全保障保証がなくなる可能性がある中で、ヨーロッパの抑止力を拡大する一つの方法として、ドイツにフランスの核兵器を配備することが検討されているようだ。

マクロン大統領はトランプ大統領との会談に先立ち、先週末のドイツ総選挙で勝利し次期首相となる見込みのメルツ氏と会談した。

一方、メルツ氏は、ヨーロッパで核抑止力を持つ唯一のNATO加盟国であるフランスとイギリスからの核保護の拡大を含め、米国の安全保障保証からのヨーロッパの独立性を高めるという考えも推進してきた。

The Warzoneより

メルツ氏にとって、イギリスやフランスの核兵器を核共有という形で保有することは、それほど不自然な発想ではないようだ。

「英国とフランスという欧州の二大核保有国と、核の共有、あるいは少なくとも英国とフランスの核安全保障が我が国にも適用されるかどうかについて協議する必要がある」とメルツ氏は先週語った。

さらに彼は、米国は今や「ヨーロッパの運命に無関心」であると警告した。この発言は、第2次世界大戦終結以来駐留しているドイツ国内の基地から米軍が撤退する可能性をJ・D・ヴァンス米副大統領が示唆した後に出されたものだった。

The Warzoneより

米軍がドイツ駐留から撤退するのであれば、核共有する相手を乗り換えるだけの話となる。NATOとの関係とか色々考えねばならないかも知れないけれども、そもそもNATO加盟国の面倒をアメリカ一国で見なければならないという話でもない。トランプ氏もそれを望んではいないようだし、アメリカ軍も撤退することは考慮に入れているようだ。

ラファールMが任務遂行するのか

幸いにもフランス軍は核兵器を保有し、戦闘機からの爆撃が可能である。

現在、フランス空軍と宇宙軍の核兵器資産は、サン・ディジエ・ロバンソン空軍基地に配備され、エアバスA330 MRTTフェニックス空中給油機隊の支援を受けている2人乗りのラファールB約50機を基盤としている。核任務を遂行するラファールBを保有する2つの空軍飛行隊に加え、フランス海軍は、空母シャルル・ド・ゴールから海軍仕様のラファールMも運用しており、これもASMP-Aを搭載することができる。

ミサイル自体は、約300キロトンの熱核弾頭を搭載した中距離超音速スタンドオフ巡航ミサイルである。

The Warzoneより

イギリスは潜水艦からの弾道ミサイル発射しかやらないようだが、フランス空軍にはその能力があり、ドイツの空軍基地に戦闘機を派遣するというのも不可能ではない。

ドイツの政局が大きく変化したことでそれが可能になるのであれば、選択肢としては悪くはない。対ロシアと言う意味合いも、アメリカ軍駐留よりもより現実的なものとなるだろう。

何故ならば、ロシア軍がドイツに侵攻した場合、次の攻撃目標になるのは隣国であるフランスである。より現実的な脅威として捉えることになるだろうから、場合によってはアメリカ軍より信頼がおける可能性も。

尤も、今までそれをやらなかった理由は、ドイツとフランスは必ずしも仲が良い訳ではないからなんだよね。というか、歴史的には仲が悪かった時期の方が長い。従って、今回の話がすんなり進むとも思えないのだが、それでも、背に腹は代えられない。

独仏首脳が会談“対トランプ政権でEU各国の結束必要”考え強調

2025年1月23日 5時43分

EU=ヨーロッパ連合の中核を担う、ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領が会談し、アメリカのトランプ政権と向き合う上で、EU各国が結束を強める必要があるとの考えを強調しました。

NHKニュースより

「何を考えているかよくわからないトランプよりは信頼できるだろう」というのが、両国の本音かもしれない。

コメント

  1. 山童 より:

    フランスとドイツはECの原型である石炭と鉄鉱石の共管理を模索した頃から、歴史の和解に向けてアレコレしてきましたよ。
    今べつに危機で始めたわけじゃない。

    正直、ドイツもフランスもどうなろうと知った事ではないのですが。
    ドイツ核保有が、日米の核シェアリングさらに日本の核武装へのチェンジの風向きとなるなら大歓迎です!!

    • 木霊 木霊 より:

      フランスとドイツが連携する話は、過去何度も出ているんですよね。
      引用記事にも出ていますが、割と現実的な路線ですから。

      ですが、歴史的に啀み合ってきた国家同士ですから、壁も高い。前回はメルケル氏が潰しちゃいましたからねぇ。
      しかし、核シェアリングの試金石としては、なかなか面白い。
      そして、日本がアメリカの核シェアリングを求めるのは、対支那路線を考えれば、アメリカにメリットがあるわけですから、進められると良いと思います。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    まあ、ドイツは、核抱えたF104GのZELLで「ベルカ式国防術」をやろうとマジで計画してた国ですから……

    この記事の肝は、「アメリカの核の傘からの離脱(というかアメリカの方から撤退する意思を示した)」&「欧州産兵器でのリプレース(米製兵器不要論)」だと、航空万能GFさんの記事見た時に読み取りました。
    https://grandfleet.info/european-region/france-to-provide-nuclear-deterrence-to-europe-considers-stationing-nuclear-armed-fighter-jets-in-the-country/
    そうなると、F-CASにも核運用能力が要求されるのだろうなと。
    で、ワンチャンGCAPにも……そうなるとわーくにでも核の運用が可能に……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      航空万能論さんのところでも取り上げていましたか。そりゃそうですよね、見逃すわけがない。そして、読んでみると悔しいけど記事の出来はあちらの方が遙かに上ですな。
      それにしても「B61運搬能力の確保義務」からの解放というのは、意外に大きく各方面に影響しそうですね。
      そもそもこれがあったからこそF-35の設計が難航した(あちらこちらから口出しされるという意味で)わけで。GCAPにもワンチャンはありますが、そのお陰で開発難航しそうな気がして。良いことばかりではなさそうですよ。

      • 七面鳥 より:

        >設計が難航

        「運用」だけなら、外装でいいので、システムインテグレーションさえ出来れば……

        ※核持ったままステルスで奥地まで入り込めるような機体だと、それはそれで凄く怖くてとても良い。
        ※システムインテグレーションだけでも、F-35はヒーヒー言ってますからね……

        ※関係ないですが、今朝、通勤時、厚木基地にF-35が少なくとも1機、降りました(偶然肉眼で確認)。空自の35Aか米海兵の35Bかまでは分かりませんでしたが……綺麗な飛びっぷりでした。厚木に何の用だったんだろう……

        • 木霊 木霊 より:

          システムインテグレーション……。
          そうですね、出来りゃ良いんですが。三菱重工の仕事になるわけですが、自衛隊としか仕事をしていないので、果たして世界に売っていけるのかどうか。