工事中の事故だったか、それは災難だね。被害に遭われた方にはお悔やみを申し上げたい。
韓国・高速道路建設現場事故…死亡2人、重傷6人、軽傷1人
2025年2月25日 12:17
韓国忠清南道天安市の高速道路建設現場で25日起きた事故で、2人死亡、6人重傷、1人軽傷が確認された。消防当局によると、現場では行方不明者1人の捜索が続けられているという。
AFPより
この手の事故は、どんな国でも発生するリスクがあるわけで、韓国だからと言う事ではないんだろうと思う。
作業ミスで発生した事故か
工事中の事故
ただ、やや気になる表現もあったので、記事にしておこうと思う。
事故は25日午前9時49分ごろ発生した。橋脚上のスラブ上板が崩壊し、作業員10人が下敷きとなった。消防当局は、橋梁工事中にスラブ上板が崩壊したものと見ている。
AFP「韓国・高速道路建設現場事」より
スラブ上板が崩壊……。
構造が分かる図が出回っていないので、日本の高速道路の構造図をNEXCOからお借りしてきた。
スラブとは平板のことを意味し、この図では床版と呼ばれる部材を構成する部品だと思われる。スラブ工法と呼ばれる技術があって、恐らくはこれに似たやり方をしたのだと思う。
ニュースでは不思議な文節があった。「橋脚上のスラブ上板が崩壊し」という部分だ。このスラブは工場で製造して現場に運んでくるので、通常、崩壊するようなシロモノではない。
何しろ、中に鉄筋が入れられ鉄筋を補助するための材料も入れられているのが一般的だからである。スラブ上板を落として破壊するというのならば分かるが、橋脚上で崩壊するなんてことは通常はないのだ。
過去の事例
しかし、韓国では過去にもこういった不思議な事故が起こっている。
こちらは床版が落ちたというお話なんだけれども、今回と違うのは床版全体が落ちちゃったという危険極まりない話。
今回は、床版を作る上で必要な部材だろうと思われるスラブ上板が崩壊した？というお話のようだ。
こちらの記事では、コンクリートに入れるべき鉄筋が半分になっていたという事例を紹介しているが、こうした話は過去に何度も見かけた。
疑っているのは、工場で製造したハズのスラブ上板が崩壊したという点で、必要な鉄筋が入っていなかったのでは？という疑いを抱いたという話。
こんな感じでスラブ上板を移動させていたと思われ、普通はこの段階でスラブ上板に力がかかるとは思えない。が、崩落してしまった。何処かにぶつけたにせよ、崩落するか？
韓国高速道路で建設途中の橋崩落、9人死傷
2025年2月25日 13:24
韓国当局によると25日、ソウル郊外の高速道路建設現場で高架橋が崩落する事故が起き、2人が死亡、7人が負傷した。
AFPより
おっと、続報だ。
うん、うん？
そんなバカな……。
サムネに使った絵は崩落後に撮影された写真で、橋脚に載っている梁が1本しか残っていないことが気にかかっていたけれども、これは工事用のアームっぽい。
こちらのアームはなんとなく傾いているのが気になるところだが、写真を見る限りおかしな部分はなさそうに見える。
こちらは真上から見た写真だ。桁の斜め配置か、斬新だな。これ、繋ぐ位置を間違えた可能性はありそうだ。
一方、車載カメラの写真だと思われる上の写真には、床版ごと曲がっている様子が写っている。報道の表現も「高架橋が崩落する事故」となっているね。
連結作業ミスか
日本の報道でも動画が出回っていて、こちらを見るともうちょっと現場の様子が分かる。
一本残った梁はやっぱり工事用のアームのようで、これに載せた構造材を運ばせるということなのだろう。
どうやら桁もプレキャスト製品を使うタイプの橋脚らしく、サムネで使った写真にも地面にそれらしきものが落下している様子が分かる。
Xのポストからもその惨状は見て取れるが、工事用のアームが傾いている様子も写されている。アームが傾いたから持っていた桁が落ちてしまったのかとも思ったが、落下時の写真を見ると、桁が曲がっている様子がわかるので、それはないだろう。
曲がったというのは、水平方向に力が掛かったか、折れ曲がった部分に集中荷重がかかったか？の何れかなんだけれど、曲がり方を見ると水平方向に力が掛かったっぽいけど、そうすると左側が曲がった理由は説明がつくんだけど、右側も曲がった理由が分からない。
作業ミスっぽい雰囲気だが、まあ、そのうち事故原因は報じられるんだろう。
追記
事故原因特定できるような記事はまだ出てきていないが、追加情報は出てきた。
「爆発のような音で窓がグラグラ…」韓国の高速道路橋崩落の残酷な事故現場
登録:2025-02-26 07:56 修正:2025-02-26 08:05
「夜勤から帰ってきて寝ていたら、突然爆弾が破裂するような音がして窓が大きく揺れました。地震が起きたと思って気象庁に電話もしたんですが、違うというので出てみたら、橋が崩れていました」
～～略～～
事故が起きた橋脚からさほど離れていない住宅街に住むシム・ヒョンボさん（63）も、当惑を隠せずにいた。雷のような轟音に驚いて外に飛び出したというシムさんは「私も土木の専攻だ。いつものように橋梁の上板であるコンクリートの桁（ガーダー＝柱と柱を連結する梁）を移すクレーン（ランチャー）が梁を全部上げて後ろに下がる途中だったが、そのクレーンを動かすときに力を誤って加えて前方に傾き、連鎖的に崩れたのではないかと思う」と話した。
ハンギョレより
コンクリート製の桁を移動させている途中にミスをしたという話が書かれているが、その説明だと桁が曲がっている理由が説明できないんだよねぇ。
これだ。
落下している最中というわけではないようで、この車が通過して5秒後に完全に崩落したという情報がある。工事中の道路の下を通過できる状況だったというのも恐るべき話だが（少なくとも、桁の移動作業中は落下物のリスクを考えて通行止めにしそうなものだが）、押しつぶされなかったことは何よりである。
車を運転して事故区間を通っていたある目撃者は、放送のインタビューで「忠清北道鎮川から（忠清南道の）天安に向かっていたが、橋の下を通りすぎたとたんに突然ガンガンガンという大きな音がした」と言い、「車を停めて見たところ、すでに橋が崩れて煙が上がっていた」と伝えた。
ハンギョレ「爆発のような音で窓がグラグラ…」より
ガンガンという大きな音は、おそらく桁が落ちて潰れている時の音なのだと思う。
この日の事故は一つ目と二つ目の橋脚の間に上板を設置する過程で崩落し、上板で作業していた労働者10人が墜落した。当時の現場が撮られた監視カメラ（CCTV）の映像には、数秒で上板が崩れ落ち、上板を移動させていた装備もぐらぐら揺れている様子がそのまま映っていた。
ハンギョレ「爆発のような音で窓がグラグラ…」より
上板なのか桁なのかハッキリして欲しい。「1つ目と2つ目の橋脚の間に上板を設置」ということであれば、恐らくは桁の方だと思う。
絵の説明も桁なんだよなぁ。
消防当局の現場ブリーフィングに出席するとした施工会社「現代エンジニアリング」の現場所長は、ブリーフィングが始まっても姿を現さず、連絡が途絶えた。現場所長は事故原因などを説明する予定だった。現代エンジニアリングはこの日、文書で「早急な現場収拾と正確な事故原因究明のために関係機関に積極的に協力している」との立場を明らかにした。
ハンギョレ「爆発のような音で窓がグラグラ…」より
桁と桁を接続するための上板を固定する作業をしていた可能性はあって、上板で正しい可能性はあるんだけど、そうするとクレーンのアームは一体何をやっていたのか。
現場所長は逃亡しちゃったし、何か拙いことをやらかしていた可能性は高くなっている。
コメント
こんにちは。
これ、「似たような事故、あったな」って真っ先に思いました。
※うろ覚えでググったら出てきました、2016/01/24、オリンピック合わせのKTXでした。
http://blog.livedoor.jp/kaikaihanno/archives/47621277.html
ぱっと見似てますが、原因そのものは違うのでしょう。
でも、その根源は……やはり「韓国型事故」なのでしょうね。
こんにちは。
ありましたねー、そんな事故も。
確か過去には記事にした気がしますが、データロスト時に次元の狭間に落っこちちゃいましたから。引用したのはクウェートの橋の件ですが、こちらも似たような話ではあります。
https://www.kodama-yomoyama.com/building-risk011/
まあ、「韓国型事故」というか、セウォル号型案件というか。変わらないですよね。
これは わーくにも偉そうなこと言えない事例の気が
新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%90%8D%E7%A5%9E%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%81%93%E8%B7%AF%E6%9C%89%E9%A6%AC%E5%B7%9D%E6%A9%8B%E6%A9%8B%E6%A1%81%E8%90%BD%E4%B8%8B%E4%BA%8B%E6%95%85
ええ、ですから冒頭で「この手の事故は、どんな国でも発生するリスクがあるわけで、韓国だからと言う事ではないんだろう」とお断りはしております。
今回の着目点は、どちらかというと「何が起こったか」という話でありまして、途中、車載カメラで写った映像を紹介していますが、通常の橋桁落下事故だとああはならないのですよ。
全体的に落っこちていて、落ちる前から折れ曲がったってことはありません。落ちた衝撃で折れ曲がる可能性はあっても、落ちる前からあんな形になってしまうのは、ある意味衝撃なのですよ。偉そうな表現があったとしたら、謝罪いたします。