別記事のコメントで羽のない風力発電の話を紹介されたので、ちょいと深掘りしていこう。
羽の無い「動かない風力発電」開発。米スタートアップ製で、英オックスフォードに独自動車メーカーの工場に設置。屋上の太陽光発電設備と連携し、夕方・冬季でも発電量を確保(RIEF)
2024-09-08 14:24:49
英国オックスフォードに、羽(ブレード)のない風力発電設備が設置され、話題を集めている。通常、風力発電は大きなブレードが風によって回転して発電する。だが、同発電設備は、円柱状の構造物とその両脇に固定翼によるシンプルな構造から生じる大気の流れが、円柱内のタービンを駆動させて発電する仕組みという。
一般社団法人環境金融研究機構のサイトより
紹介頂いたヤツはこれなんだけれども、この手の話は色々あるんだよね。
羽がないにも色々ある
羽のない風力発電
先ずは、紹介頂いた記事に関して。

……これ、回転しないね?
だが、同発電設備は、円柱状の構造物とその両脇に固定翼によるシンプルな構造から生じる大気の流れが、円柱内のタービンを駆動させて発電する仕組みという。
一般社団法人環境金融研究機構のサイトより
円柱内部にはタービンが仕込まれているらしいんだけど、写真を見る限りは回転機構が見当たらない。

説明図を見ると、どうやら下部の箱形になっている部分の中心にあるのが回転駆動部らしく、黄色い矢印で示された風の流れによって回転する構造らしい。羽のない扇風機も内部に仕込まれた回転機構によって(内部に円筒外周面にスリットを設けた回転機構がある)風を生み出しているのだが、ちょっとだけ近い感じなのだろう。
エジェクターの原理に類似?
実際には、おそらく高圧流体の力を利用して低圧の流体を吸い込むエジェクターの原理に近い発想である。

「駆動流体」と書かれた高圧の流体を流すと、ボディ内部が低圧になって「吸入流体」と書かれた部分の流れが発生する。「吐出」は駆動流体と吸入流体が混合されることで中圧にて排出される。これをエジェクター効果と呼んで、色々な分野に用いられる。
これの素晴らしいところは、駆動部分が存在しないので故障する可能性が極めて低くなることだね。
一般的な風力発電が備えるブレードがないことから、風力発電事業で時折、問題となるバードストライクが起きないほか、ブレードの回転によって生じる低周波や騒音等も生じない。このため、周辺住民や自然環境に対しても「フレンドリーな風力発電」ということになる。
一般社団法人環境金融研究機構のサイトより
うーん、ブレードが存在しないので、「ブレードの回転によって生じる低周波や騒音等も生じない」のは事実なんだけど、結構な風切り音は発生するはずなんだが……。
まあ、発電効率はさほどないだろうし、駆動部分のメンテナンスは必要になるからメンテナンスフリーとまでは行かないのだろうけれど、それでも風車に比べたら格段に整備はしやすいはずだ。
まあ、ちょっと不思議な光景にはなるんだろうけれど。

こんな感じにね!
マグナス式風力発電
紹介頂いた記事を見て真っ先に思い出したのがこちら。
“羽根のない風車”を開発のチャレナジー、前澤ファンドから12億円調達
2022/11/01
台風でも発電できるという「垂直軸型マグナス式風力発電機」を開発するベンチャー企業、チャレナジー。同社はこのほど、ファッションEC「ZOZO」創業者の前澤友作氏が代表取締役を務めるファンドから総額12億円の資金調達を行った。
WIND JOURNALより
これも、写真を見た方が分かり易い。

「羽がない」とはいいつつ、外側の2枚は羽っぽい感じはする。ただ、コイツはマグナス力を得て発電を行う。
原理はともかくとして先ずは動画を見て頂いた方が良いのかも知れない。なかなかシュールな光景だが、ブレードを用いる場合よりも頑丈に作ることが出来ることと、対応できる風速が4m/秒~40m/秒と幅広い。ブレードを用いた風力発電が風速2m/秒~25m/秒と言われているので、より強い風の中でも発電できることと、構造的に風速70m/秒でも耐えられる構造にはなっている。
あと、周囲360度どこから風が吹いても回る構造なので、風向きによって発電できなくなるということがないというメリットがある。
メンテナンス性は……、まあ、高所になるのでメンテナンスしにくい面はあるけれども、ブレードタイプよりはマシだろうか。

デメリットとしては、一定速度で自転させる必要があるので常に電力を消費することかな。
羽のない風車その2
人間は面白いことを考えるもので、羽のない風車を突き詰めるとこういうことになるらしい。

……ふうしゃとは?
常識を疑え! スペイン生まれの羽根のない風力発電機が2020年に販売スタート
世界で初めて風力発電機が造られたのは今からおよそ130年前。さらに揚水や灌漑目的としては、紀元前から風車が活用されていたという記録も残っている。このように2000年以上もの間、風の力を得る=プロペラを回すということは常識として考えられてきた。しかし、スペインのスタートアップ企業・Vortex Bladeless社が開発したのは、羽根のない風力発電機。常識を覆した、希代の発明品とその仕組みを紹介する。
emiraのサイトより
これも動画を見ないことには始まらない。
実にシュール。
振動エネルギーを電力に変える構造らしく、カルマン渦による渦振動を利用した発電手法ということのようなので、前代未聞である。
ただ、発電体は軽く設置が容易なので、色々なところに設置が可能らしい。自宅用の発電体は1基200ユーロ(2万4000円程度)で約15kg、発電量100W/hを想定しているらしい。
こんなのが一般家庭の庭に複数設置されていたら、猥褻物陳列罪でつかまりそうだな。
そうそう、サムネで使ったのは同じ会社が開発している、別の形態の発電装置だね。サムネのヤツは随分と大型みたいだけど。

ともあれ、色々面白いことを考える人がいるものである。これの他にもいくつかあったと思うのだけれど、頑張って開発して欲しいと思う。
コメント
面白い!
なんか「ナチスドイツの珍兵器」なみに色々なアイディアがあって面白い!
まぁ大半は役に立たないだろうけど😂
想うに前に木霊様が小型水力発電を記事されていたように、自家用や地域用の小規模をたくさん建てる(小型の燃料電池ステーションとか)などの方法はあるのでないてすかね。一気に大電力を求めるなら、BOOK様が仰っていた核融合技術の実用化に全賭けして(北朝鮮やイランの核ミサイルみたく)集中するしか解決策は無かろうと。
なら、時間稼ぎの為にセコセコ的に稼いでゆくしかなかろうかと。
まぁ、しかし、人は色々と考えるものたなぁ?と感慨しましたね。そういう発想の自由さがある限り、人類死滅だけはまぬかれそうかなと。
なかなか色々なことを考える人がいるものですね。
こういう話、結構好きなのですが、なかなか実用には至らないことが。
夢がありますよね。
今日は。
色々と考えるものですね。他にも、歪による起電とか使えそうなものはあるのでしょうが、結局、経済性や環境負荷で普及するかどうかが決まるのでしょうね。
こんばんは。
歪みによる起電も良いのですが、温度差による起電が使えるってことで、車のエンジンにくっつけて発電するとかありましたが……。
多分振動とか色々不味いことがあって実用化には至らなかったみたいですね。
こんにちは。
>実にシュール。
……ムーミン谷の「ニョロニョロ」の正体は、これだったのでは……
※たまに放電するあたり、理にかなってる。
ともかく、電気がなければ現代社会は成立しない、重要なのはそこでしょうか。
※ニュースで「貿易赤字が最大」みたいな事言ってましたが、原発動かして燃料の輸入を減らせば解決するやろがい!とテレビに怒りをぶつけてました。
こんにちは。
動きが結構キモイ。
庭に並んでいたらちょっと(笑)
核融合だって コケたり間に合わない可能性が – – – かつ規模が国際レベルと大きく プランB:例えば高速増殖炉も大変
ならプランC~のリスク分散・多様性(笑)
こういうのイッパイあるのは良いことだし、楽しいですよね(笑)
また、プランABコケる状況って巨大工業や精密工業も道連れ状況で、
すなわち太陽電池やFRP巨大風車も ほぼ同時コケなので
プランCは草の根で可能な
水車風車、日光集光タイプが好み。
– – – – –
あ、ニョロニョロ方式(笑)は、いっそビニールやゴム風船で作ると、
定期メンテはアタリマエだけど容易となって却って進歩も持続性も上がるかも?(笑)
起き上がりこぼし とか パンチキック とかの別名も(笑)
あとリンク忘れ&上に書いた好みとも異なるけど(^^;
凧式、気球式、風力発電も面白い
風&海流ハイブリッド式
:マグナス帆船で偏西風や貿易風と海流の方向クロスする位置に船固定し、海流プロペラで発電
は絵柄はともかくやることシュールでも面白い(笑)
ニョロニョロ方式は七面鳥さんフィンランド解釈だとトーベ・ヤンソン – ムーミン – ニョロニョロですが、
日本解釈だと
ジブリ- もののけ姫 – コダマ(首を振ってカタカタ鳴らす木の精霊、トトロの幼生)じゃないでしょうか?
(キモイと言う木霊さん感想は同族嫌悪?(笑)
パンチキックとかで言いたいことは?
アレは素はキモイがイラストでカワイイ化は容易。そしてその分野はわーくにが圧倒的世界一、
Vortex Bladeless社はニンテンドーと組んで発電ポケモン・キャラと同時発売すれば、世界を席巻できるかも?(笑)