分かってねぇなぁ……。
いよいよ心配…自動車整備士が足りない 志願者減、転職する仲間「息子には継がせたくない」
2025年2月17日 05時10分 (2月17日 13時20分更新)
自動車の整備士不足を懸念しています。長年、車業界で仕事をする身として、整備士や板金塗装職人など、現場作業を請け負っている人たちが自動車業界を支えていると常に思っています。今、その担い手が減っています。このままでは車のアフターフォローをする人が足りなくなり、大変なことになりかねません。
中日新聞より
トヨタのお膝元を根城にしているのが中日新聞だが、東京新聞系列の地方紙である。東京新聞がそうであるように、中日新聞も何も理解せずに記事を垂れ流すんだね。
自動車整備士の数を増やせば解決する話ではない
自動車整備士の憂鬱
何というか、読むべき部分は少ない記事なのだが……。
整備士を志す人も減っている。整備士資格を取得するための試験申請者数は約7万2千人でピークだった04年度に対し、22年度は約3万9千人と激減。整備士を育成する専修学校の自動車整備科は、定員割れが続いている。国は技能実習生や労働力不足への対応で創設された「特定技能」の人材を受け入れ、国外からの働き手確保に努めている。
中日新聞「いよいよ心配…自動車整備士が足りない」より
政府も何も分かっていないように読めるところが、嘆かわしい。
日本自動車整備振興会連合会など16の関係団体で構成する「自動車整備人材確保・育成推進協議会」は、各都道府県に設置された連絡会と連携し、若年層へのPR活動に注力。毎年500~600校の高校を訪問し、生徒に整備士の仕事内容を紹介している。
中日新聞「いよいよ心配…自動車整備士が足りない」より
ええと、自動車関連の政府機関はどこかというと……、ああ、国交省か。何というか、そうかそうか、ガッカリだよね。
街の自動車整備工場が次々と廃業に追い込まれ、整備士が減っている状況を憂う記事というのが冒頭のニュースであり、その速度はかなり早い。
国交省のサイトを紹介すると、自動車の整備に関してはこんな感じに紹介されている。
自動車整備士の種類は、一級、二級、三級及び特殊整備士に分類されます。それぞれの級に要求される技能のレベル、整備士の種類は次のとおりです。
(1)一級自動車整備士 《二級自動車整備士より高度な自動車の整備ができること。》
・ 一級大型自動車整備士
・ 一級小型自動車整備士
・ 一級二輪自動車整備士(2)二級自動車整備士 《自動車の一般的な整備ができること。》
・ 二級ガソリン自動車整備士
・ 二級ジーゼル自動車整備士
・ 二級自動車シャシ整備士
・ 二級二輪自動車整備士(3)三級自動車整備士 《自動車各装置の基本的な整備ができること。》
・ 三級自動車シャシ整備士
・ 三級自動車ガソリン・エンジン整備士
・ 三級自動車ジーゼル・エンジン整備士
・ 三級二輪自動車整備士(4)特殊整備士 《各々の分野について専門的な知識・技能を有すること。》
国交省のサイトより
・ 自動車タイヤ整備士
・ 自動車電気装置整備士
・ 自動車車体整備士
これが現状なのだ。
特別教育が不十分
さて、次にもうちょっと現場に近い意見を参照していこう。
電気自動車を整備するのに必要な資格と「電気自動車などの整備に係る特別教育」について
2024/4/1
電気自動車、ハイブリッド車といったガソリン以外を動力にして走行する自動車の普及率は年々増えています。それらの自動車を整備するためには、「電気自動車などの整備に係る特別教育」という講習を受けなければなりません。
~~略~~
電気自動車は、従来のガソリンで動く自動車とは異なる機構を用いています。しかし、整備をするにあたり、整備士資格に加えて必要な資格はありません。
しかし、「電気自動車などの整備に係る特別教育」を受講し、低圧電気の取扱い方法などを学ぶことが義務づけられています。
メカジョブより
低電圧の取り扱い方法ねぇ……。
国交省とて、全く分かっていない状況というわけではないのだろう。ただ、本格的にハイブリッド車の販売が始まったのは2000年以降で、EV販売は2010年以降である。
点検項目を見ると、原動機の点検に関する言及はこの状況だ。

お分かり頂けただろうか?
自動車整備をするにあたって、モーター・二次電池・制御系に至っては「整備不要」扱いになっている。というか、この辺りはメーカーのディーラーにお願いするしかなく、ディーラーはユニット交換が基本である。
にもかかわらず、整備士は「低圧電気の取扱い方法」を学ばねばならない。HVやEVの電源ユニットは高圧電気なので、「触るな」扱いになっているといって良いだろう。
何が言いたいかというと、HVやEVは町の整備工場では整備できないのだ。
EV推進すると整備士は職を失う
無論、HVやEVだからとって、自動車事故などが発生すればボディの損傷などは発生するし、走ればタイヤもすり減る。ブレーキやその他の消耗だって、整備工場の範疇だろう。
だが、町の整備工場では整備できな部分は確実に大きくなっている。
そして、自動車メーカーは遂に禁断の技術に手を染めはじめた。
ギガキャストの技術革新とトヨタ自動車の次世代EV生産ライン
2025.02.06
電気自動(EV)の普及に伴い、車の生産方式にも変化がみられます。しかし、電池に大量の希少金属を使うEVは利益が出しにくいという問題があります。EV業界最大手であるテスラはこの問題に対して、車体を構成する100個近い部品を1工程に集約することでコストを抑えるギガキャストを活用しています。
日本の大手メーカーであるトヨタ自動車はどのような工夫をしているかを調べてみると、ギガキャストの技術革新だけでなく、協働ロボットと深く関係していることがわかりました。
ギガキャストと協働ロボットの関係性について、トヨタ自動車の取り組みから解説していきます。
icon gikenより
大手メーカーが次々に打ち出している技術革新のうち、かなり危険な技術がギガキャストである。
この技術、大きな部品を鋳造によって一気に作り上げるため、溶接やボルト締結を必要としないというメリットがあるうえ、軽量化にも繋がるというスバラシイ技術なんだが、アルミニウムを使って鋳造するんだよね。
EVにとって二次電池やモーターの価格圧縮は難しく、その代案としてボディの構造変更を提案してきた。エンジン車と違って構造が単純になったために、ボディが鋳造で作り易いという点も後押ししたのだと思う。
ただ、アルミニウムは鉄と異なり、叩いて形状修正ということには向かない材料である。溶接なども難しいし、
つまり、フレームにダメージが入ると修理が難しいのだ。

尤も、全く無理ってな訳ではなくて、随分と改善はされてきていはいるのだけれど、こういった修理方法も町の整備工場では無理だろう。強度的にも落ちてしまうケースがあるので、ノウハウが必要だしね。
そうすると、ユーザーはディーラーにお願いするしかなくなってしまうわけで。
必然的に整備工場の利益率は低下するので、「やってられない」という話になるよね。そして、未来を見通せない職場に人が集まるわけはなく。将来的に車検制度が崩壊するリスクも考えねばならないだろう。
今や多くの家電製品が修理するということが難しくなったのと同様に、今後は多くの自動車も修理が困難になるだろう。それはHVやEVが増えたからということだけではなく、現代の自動車に電装部品が圧倒的に増えたことも関係している。今は、自動車にはモータが1台当たり40 〜100個も使われる始末だ。壊れれば全部アッセンブリー交換するしかない。
自動車整備工場がどんどん縮小していく傾向は、もはや避けられないのだ。その傾向は、車社会に深刻なダメージを及ぼすとしても、そう簡単には覆らない。
コメント
拝読しまして、報道も政府も問題点を勘違いしてるのが瞭然な記事でした。
つか、きちんと調べてないだろ??
木霊様の調査で明らかなのは、そもそもハイブリッド車やEV車の整備は町工場ではムリに近い話であること!
だってメーカーしか手を触れられない高電圧とかの部分なのだもの。それじゃ整備士を増やしてもどうにもなるまい。
トンチンカンな事を言うのはマスコミの常道なので驚きませんが、行政は幾らなんでも気付いているはずと思いたい。
政府は後追いなので、認識はしていても制度を作れていないのでしょう。
報道は、まあ、東京新聞ですから。
なお、このネタは町工場の親父さんから先日聞いた話を纏めた感じのものです。
こんにちは。
・そもそも、今の車はユニット交換が前提で、「熟練の工員」が要らなくなってきている
・車検制度自体、古い車の税率を上げる→古い車を捨てさせる方向
・要するに、広い意味での「使い捨て」思考になっている
・電気自動車なんか、バッテリ劣化したら捨てるしかない
・お説の通り、町の整備屋では新型の整備は出来ない、メンテ用チェッカー一式無いと何も分からない。→町の整備屋は古い車の改造屋になるしかない
車屋としては考えてしまう問題ですが、エンジンも駆動系も「制御」が入るとこうなるのは致し方なし。キャブ開けたり、ガバナーいじったり(違法行為(笑))する機会はもうなくなりましたからね……
※なので、古い車やバイクが欲しいです。
※BSでやってる「名車再生」が面白くて毎週観てます。
こんばんは。
まんま大工と同じ流れで苦笑するしかありませんね。
製品の技術革新が進むのは悪いことではないんですが、回りは取り残されますよね。そうすると、車検制度自体が維持出来なくなり……。
行政も、何も考えていないかも。