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韓国でゴミと化した風力発電設備

大韓民国ニュース
この記事は約8分で読めます。

あー、あるある。

廃墟と化した麟蹄龍台風力発電所

2025.02.14 22:00

江原道麟蹄郡北面龍大里村に造成された龍大風力発電団地が真冬の寒風にもかかわらず稼働していない。計7基のうち6基が故障し、稼働停止状態に至ったのだ。

ウィークリー朝鮮より

風力発電用の風車をメンテナンス困難で放置するという話、世界でも珍しくない。

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風力発電事業に逆風

風力発電のトレンド

先ずは、どんな話だったか?ということなんだけれど、2004年以降、日本で風力発電が本格的に導入開始されるのと時を同じくして、韓国でも「これからは風力発電だ」と盛り上がった。

支那でも2005年頃から加速度的に風力発電を増やし、2008年には4000MWの電力を風力発電によって生み出すまでに成長したので、アジア全体で盛り上がりを見せていたと言うべきだろう。

龍台風力発電団地は、雇用創出や電力販売、観光資源化などを目指して2010年、国費80億ウォンと軍費80億ウォンなど計160億ウォンの予算を投入して造成された。

ウィークリー朝鮮より

地理的には、何もない場所だね、北面龍大里村って。

だからこそ、「雇用創出や電力販売、観光資源化などを目指して」という割と無計画な方向で話が進んだようだ。

残念なメンテナンス状況

ところが、目論見はかなり甘かったようだ。

しかし、昨年初めから750㎾級6基が稼働を停止した。以前にもたびたび故障が発生すると、麟蹄郡は修理を通じて再稼働させたが、最近では事実上修理を放棄した。再稼働で得た収益より修理費が多くなったからだ。実際、2023年の電気生産収益は1億ウォンだが、修理費は2億6000万ウォンがかかったという。

ウィークリー朝鮮より

建設が2010年で2023年には使い物にならない状況になったということで、13年ほどでゴミと化したことになる。

大型風力発電施設の寿命は通常20年とされているが、随分早い段階で使い物にならなくなったようだね。

これは、メンテナンスが不十分だからこういうことになったのか、別に理由があるのか。

撤去もままならない状況だ。麟蹄郡が推定した風力発電機1台当たりの撤去費用はおよそ6000万ウォン程度だが、その他の電力施設の撤去費用まで含めると5億ウォン以上がかかると見られる。

ウィークリー朝鮮より

頑張って設備更新すれば良いと思うんだけど、ダメなのかな。この記事では、どの程度の発電能力があったのか、何が原因でそうなったのかが書かれていないので、判断に困るのだが。

成長の時代を迎える

とはいえ、そういったトラブルを抱えながらも朝鮮半島は比較的風力発電には向いている風況であるとされているので、風力発電自体は継続する気はあるようだ。

韓国、海上風力事業に風が吹く…GSが3000億ウォンの投資準備

2024.07.10 11:02

世界的に海上風力市場が初期段階を過ぎ、各国の支援政策により「成長の時代」を迎えている。韓国国内だけで2030年までに100兆ウォン(約11兆6484億円)近い規模の海上風力建設市場が開かれる見通しだ。企業はこの市場を先取りするため積極的な投資に乗り出している。

中央日報より

ふーん、GSグループが投資ねぇ。この時期、GS建設がやらかして大変なことになっていただけに、変な投資事業に金を突っ込む余裕があったかは不明だが、投資をしないとグループ全体が沈んでしまう。

何か成長産業に投資をしたかったのかも知れないね。

気になって調べて見たが、GS建設、去年は好調だったらしい。

入力 : 2025-02-05 17:04:51 修正 : 2025-02-05 17:48:10

GS建設が昨年、インフラストラクチャー事業とプラント事業部門で良好な実績を収め、黒字転換に成功した。

5日、GS建設は2024年の経営実績(暫定)が売上12兆8638億ウォン、営業利益2862億ウォンと発表した。

毎日経済より

どんなマジックを使ったんだ?

昨年4月サムスンE&AとGS建設はサウジ国営石油会社アラムコから60億8000万ドル規模のファディリ・ガスプラント工事を受注した。これは国内建設会社がサウジアラビアから受注した工事のうち歴代最大規模だ。

中央日報より

海外事業が好調だった模様。

日本の風力発電は逆風

ただ、風力発電事業は世界的に見てどうなのか?というと、やや不安なニュースも見受けられる。

千葉 洋上風力発電の建設 資材価格高騰などで着工見通し立たず

2025年2月5日 11時36分

千葉県銚子市の沖合で進められている洋上風力発電の建設をめぐり、計画を担う大手商社の三菱商事などで作る事業体が、資材価格の高騰などから着工の見通しが立たないとする状況を地元の関係者や県などに伝えていたことが分かりました。

NHKニュースより

千葉の銚子沖に洋上風力発電用の風車を建てようと思ったら、資材高騰などで見通しが立たなくなったというニュース。

洋上風力発電 建設コスト上昇で次回公募から制度変更へ 経産省

2025年1月28日 5時58分

国が再生可能エネルギー拡大の柱に位置づけている洋上風力発電について、経済産業省は建設コストの上昇が今後の拡大の妨げになるおそれがあるとして、次回の公募からコストの上昇分の一部を電力価格に上乗せできるよう制度を変更する方針を決めました。

~~略~~

経済産業省によりますと、アメリカでは事業から撤退する動きが相次いでいるほか、日本の発電事業者の「JERA」も12月、イギリスの「bp」との間で効率化のため風力発電事業を統合すると発表しました。

NHKニュースより

あら残念。そういうこともあるとは思うけれども、仕方がないのかな。

EU 風力発電の中国企業調査へ “欧州市場で競争ゆがめている”

2024年4月10日 19時15分

EU=ヨーロッパ連合は、中国製のEV=電気自動車が国からの補助金で価格を抑え、ヨーロッパ市場での競争をゆがめているとみて、調査を進めていますが、域内で風力発電に関わる中国企業に対しても調査に乗り出すと明らかにしました。

~~略~~

その上で「中国の風力発電用タービンの供給業者に対して新たに調査を行う」と述べ、スペインやギリシャなどで風力発電に関わる中国企業に対しても調査に乗り出すと明らかにしました。

ヨーロッパ委員会はNHKの取材に対して、域内で活動する風力発電関連の中国企業のなかには、国からの補助金で競合他社より優位に立ち、競争をゆがめている可能性があるとしています。

NHKニュースより

そして、この分野でも支那が悪さをしている疑いがあるのだと。

というわけで、有力だと言われている洋上風力発電なのだが、イニシャルコストが大幅に上がると予想されていて、メンテナンスに関しても不安を抱えている状況となっている。

また、小型風車であっても放置されるケースが散見されるようになった。

事業者不明の放置小型風車 背景に相次ぐ転売 廃棄費は誰が負担?

2024年7月28日 17時01分

小型風力発電は正しい使い方をすれば、分散型電源として多くのメリットを有している。しかし、その「集積地」である北海道内の現状を見る限り、デメリットの方が目立ち、「負の遺産」となることすら懸念され始めている。

~~略~~

町内の小型風力発電の認定件数は未稼働を含めて64基(23年末現在)。最近は、認定後、稼働前に事業譲渡が繰り返されるケースが増えている。転売が繰り返されれば、放置風車が将来的に増える可能性がある。

朝日新聞より

怪しい事業者にお願いして、その結果どうしようもなくなっちゃったケースは、風力発電に限らずどんな分野にもある。が、大掛かりな設備の撤去はなかなか大変なんだよね。風車などは大型になればなるほど撤去が困難になるので、対処も難しい。

能登半島地震でも、ブレードが折れて落下した事例が報告されたが、74基中2基でブレードが落下したとのこと。破損原因は不明なんだとか。

ブレードの折損や発電機落下という話は時々見かけるが、高所からの落下物は小型のものでも非常に危険なので、設置場所にはかなり気を遣わねばならない。

落下して問題ない場所へ設置すると、メンテナンスが大変になるのも困りものだね。

トランプ氏は風力発電がお嫌い

なお、風力発電先進国であるアメリカも、トランプ氏が風力発電が嫌いなこともあって、逆風が吹いているようだ。

トランプ氏、次期政権下で風力発電所の建設認めない方針示す

2025年1月8日 10:46 JST

トランプ次期米大統領は7日、政権2期目の間に風力発電所の建設を認めない方針を打ち出す考えを示した。現在計画中の大規模風力発電プロジェクトの存続が脅かされている。

Bloombergより

「北海から風力発電施設撤去しろ!」、トランプ氏が英エネ政策批判

2025年1月5日午前 9:47

トランプ次期米大統領は3日、英国のエネルギー政策を批判し、英政府に北海の石油・ガス田を「開放」し風力発電施設を撤去するよう要求した。

北海は世界最古の石油・ガス田の一つで生産量は2000年から減少傾向にあり、代わって世界有数の風力発電場所となっている。

トランプ氏は自身のソーシャルメディアで「英国は非常に大きな間違いを犯している。北海を解放しろ。風力発電施設を撤去しろ!」と投稿した。

ロイターより

トランプ氏がクリーンエネルギー政策全般の見直しをする上で、真っ先に槍玉にあげたのが風力発電である。

個人的にも風力発電に使う、デカイ風車が嫌いなのだろうということと、手を組んでいるイーロン・マスク氏が太陽光発電設備やEVなどの事業を進めている関係で、太陽光発電には手を付けづらいという面があるのだろう。

というわけで、世界的にも「ちょっと見直そうぜ」という空気が出始めているのは、風力発電のブームが始まってからそろそろ20年が経過しようという時期で、「更新するの止めておこうか」というところもそこそこ出てきているからではないだろうか。

韓国も、こうした潮流があることを踏まえて、ゴミになってしまった風力発電はさっさと諦めた方が良いよ。そして、お金がかかってもさっさと撤去するべきだ。ブレードが落下してから騒いでも遅いよ。

コメント

  1. 山童 より:

    えーと自家消費用の風車と、産業用&商用電力供給の風車ではサイズが違い、設置条件&地形も変わるのですが……
    現に利用している側としては、まぁ諦めなよ!ですね。
    それくらい条件が厳しいんですよ風力。
    風って温度差による対流の一種ですから、なかなか一定しない。稼働率の割にメンテナンス費用は高い。自家消費でコレだもの
    巨大風車つくって運用したら、半端ない稼働率の高さでない限り破綻しますわね。
    で、面倒なのはこの規模となると、どこかの巨大仏像とかと同じで、解体費用がまたバカにならない。
    自家消費ならともかく、商売用電力とし立案した奴の頭を開いて診たいもんです。

    • 木霊 木霊 より:

      そういえば、自家消費用の風車をお持ちでしたっけ。
      釈迦に説法な話ではありますが、風を受けて気ままに発電する風力発電は、なかなか商用電源としてあてにするのは難しいのでしょう。
      ですが、複数作ってどれか回ればいいやという考え方であれば、それなりに電力を生み出せるとは思います。ただ、稼働率が上がらないので、発電コストを抑えられないというデメリットはありそうですね。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >大型風力発電施設の寿命は通常20年

    あ~。そんなもんか……
    三浦半島の先っちょの方に、少し前まで中規模の風力が立ってて、子供が小さい時は弁当持ってお昼食べに行ったりしてたのですが、少し前に解体されたと聞いて。
    あれだけでっかいローターを、結構な回転数で結構な時間回し続けますから、軸受けの設計なんて絶対嫌だなと。
    アンバランス振動でも出た日には、あっという間に軸受けすり減らすでしょうから。

    そもそも、あの高さの発電機、しかも回転部の整備性が激悪なので、メンテコスト的にはどうなのよ?ってずっと思ってました。火力水力原子力ならタービンは基本地上か地下にあるし、軸以外の可動部はないし(風力にはピッチコントロールもあるはず、無いとフェザリング出来ないから台風で死ぬ)。

    基本、メンテ&ライフサイクルコストを考えてない設備、長期稼働を前提にしていない設備はダメですね。
    ※風力や太陽光より、原子力の方がよっぽど長期間(数十年単位)安定して稼働しますものね。

    ※いっそネーデルガンダムでも量産した方が、よっぽど役に立ちそう。

    • 山童 より:

      あっ、鋭い!
      そう軸の部分の問題なんですよ。メンテコストが掛かるの。こちらは農園で使う小型のものだから、そりなりの整備も可能なのですが、それでも手間と費用はバカにならない!
      なもんで、デカい図体のやつだと、どうしてるもんだか?とは疑問に思ってました。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      そんなものなのです。
      一番困るのが、恐らくは回転を支える巨大なベアリングで、交換するためにはユニット交換しなければならないということになると思います。
      調べて見ると、モーター以外にもメンテナンスすべきところは多いようで、複合材料性のブレードのメンテナンスはかなり大変みたい。
      https://globe.asahi.com/article/14365421
      面白い記事ですが、こんな特殊技術がいるのだとすると、風力発電を増やしていくのはかなり大変そうですね。

  3. BOOK より:

    メンテナンス性

    プロペラ型風車なら伝統的なスイス風車小屋とか、そもそも登れる部屋付きが欲しいですよね(^-^;

    最新テクノロジー型なら 例えば
    https://rief-jp.org/ct4/148593
    塔は可動部のない風レンズ機能つき導風パイプで、増速した風をパイプ通して塔の根元に送り、そこにタービン設置するタイプ

    など 面白いかな?
    (注意:リンク先は図や写真でモノを知るには良いけど、記事は自動翻訳か何かで意味壊れてるので 深読み厳禁)

    • BOOK より:

      あ、スイスじゃないオランダ

    • 七面鳥 より:

      横合いから失礼します。
      与太話です。
      漫画家、あろひろし氏の「若奥さまのアブナイ趣味」に、『気圧差発電』(だったかな?)ってのがありまして。
      地上に吸気孔、謎技術で上空に排気口を設置(見た目は水平に並んで見える)し、気圧差の吸い出しでタービン回すという……究極の風力発電、しかも常にある程度一定の出力で廻る。
      上空への高度差をキャンセルする謎技術が謎ですが、発想としては夢があって面白いなと。
      ※深層水汲み上げによる温度差発電がこれに近いか?

      与太話、失礼しました。

    • 木霊 木霊 より:

      部屋付きの風車は新しい(いや、むしろ古い?)ですね。
      元々、風車を運用するには理に適った形で風車小屋は作られていたのでしょう。

      最新テクノロジーの話は面白いですね。
      思わず、1つ記事を書かせて頂きました。モノになるといいなーと。

  4. 山童 より:

    昔、営団地下鉄(東京メトロ)のトンネル内にある空調機室の給排気装置のベアリング交換の仕事してました。1年くらい。
    プーリー交換って、ベアリングの玉詰めた蓋みたいのあって、そこにグリースを詰めてベアリングの摩耗を防ぐんですが。そのベアリングがシャフトの摩擦熱を軽減するらしい。(原理解らないけどやってた…)
    で、地下鉄の換気装置だから大きいは大きいけれど、それでも1台機のベアリング詰めた部分は直径30〜40㌢くらい(左右とも)でしたか。
    それ考えると、あの発電風車サイズのシャフト軸の過熱を防ぐ為のベアリングは、サイズも数も、詰めるグリースも半端ない量で、それを交換したりする時や、グリス交換するだけでも、ものすごい費用になると想いますよ。
    東京メトロの地下鉄なら、だいたい駅から駅の区間に一つ給排気室があって、そこに
    軽自動車サイズの空調機械が3台くらいあった。プーリー交換もグリス交換も、終電〜始発の5時間あまりを3日〜4日。
    のべ15人/3日くらいでやってた。
    直径10㌢ほどの回転するシャフトで、コレぐらいの人員と工期が必要ですから、あのサイズの風車のシャフトおよびベアリングの保守となりますと、直径100㌢としても、
    「10倍ですまない」と想いますよ。

    • 七面鳥 より:

      横合いから失礼します。

      多分、単純な「ころ軸受け」じゃダメで、ローターが受ける風のスラストも受けないとなので……
      しかも、ローターからジェネレータ本体までは、増速ギヤが組まれてるはずなので、そいつらのベアリングとバックラッシュ調整も……(多分遊星歯車でしょうけれど)
      機械としては「良く出来てるな」なんですが、同時に「長持ちしないよな」でもありますよね。

      あんな高所で軸受け交換なんかやってられないから、ユニット交換か、あるいは軸受けの寿命≒風力発電の耐用年数、なのかも……(ジェネレータそのものはそんなに劣化しないと思われます、車のジェネレータもブラシはやられても本体は大体ピンピンしてますから)