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欧州軍は誕生するか?!

北欧ニュース
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EUで結束する流れは有り得るか?という話なんだけれど……。

ゼレンスキー氏、欧州軍の創設提言 米支援疑問視される中

2025年2月16日 9:48

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は15日、ドイツ・ミュンヘンで開催中の安全保障会議で演説し、欧州軍の創設を呼び掛けた。また、ドナルド・トランプ米大統領がロシアとの停戦交渉に意欲を見せる中、交渉ではウクライナと、欧州の支援国の意見が聞き入れられるべきだと訴えた。

AFPより

理想的ではあるんだけれど、理想論で終わりそうだな。

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欧州軍創設は必要

船頭多くして船山に登る

NATOにとって、対ロシアという点では同じ方向を向いているのだろうと思う。

NATO加盟「不可逆的」 英首相、ウクライナ大統領に伝達

2025年02月14日21時23分配信

スターマー英首相は14日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談した。その中で首相は、ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)加盟に向けた「不可逆的な道」を歩んでいるとし、引き続き支援していく考えを伝えた。

時事通信より

ただ、アメリカが「オマエラ、軍事力のタダ乗りは許さない」と指摘している中で、欧州の国家にとっても軍事力増強は避けられないという認識は広がっているようだ。

ゼレンスキー氏は、トランプ氏がホワイトハウスに復帰したことで、欧州はもはや米国に常に頼ることはできなくなったと指摘。「今や、欧州に脅威を与える問題で米国が欧州にノーと言う可能性を排除できなくなった」「その時が来たと確信している。欧州軍を創設しなければならない」と述べた。

AFP「ゼレンスキー氏、欧州軍の創設提言」より

そんな中で、ゼレンスキー氏の演説はそれなりの説得力をもって迎えられる可能性はあるんだけど、欧州軍の構想というのは実は何年も前から提案されていて、かつ前に進んでいない。誰かが先頭に立って走る必要があるのだが、イニシアチブ争いがあって話がまとまらないのである。

和平交渉に「席はない」

ただ、アメリカはトランプ政権になってから、これまでのあり方を否定するような話が多く、EUにとっては、それなりの危機感を感じている空気がある。

和平交渉、欧州に「席なし」 トランプ政権特使が明言

2/16(日) 5:11配信

トランプ米政権のウクライナ・ロシア担当特使ケロッグ氏は15日、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と合意したロシアとウクライナの和平交渉開始を巡り、欧州は参加しないとの認識を示した。交渉のテーブルに欧州の席はあるかと問われ「ない」と明言した。ロシアに有利な形で交渉が進むことへの欧州の懸念に拍車がかかりそうだ。

ドイツ南部ミュンヘンで開催されたミュンヘン安全保障会議の関連会合で語った。「ウクライナはもちろん参加する」とも述べた。別の会合で交渉には領土に関するロシアの譲歩が必要になると指摘した。

Yahooニュースより

アメリカがロシアとの交渉をして、ウクライナ戦争を終わらせようという動きが出てはいるのだが、その会議に「ウクライナは参加する」「でも欧州の席はない」とトランプ政権は明言したようだ。

ウクライナのシビハ外相は「米欧とウクライナの安全保障はこれまでになく不可分だ」と述べ、欧州も交渉に参加する必要があるとの考えを示した。

Yahooニュース「和平交渉、欧州に「席なし」より

欧州の面目丸潰れなのだが、そもそも欧州主体でウクライナ戦争の終結を目指していないのだから、アメリカが主体で話を進めようとしたら「オイラ達も~」と言われても寝言は寝てから言えという話。

だが、欧州だけで防衛機構を作り上げることができれば、交渉できる余地はあるのだ。そういう意味では、ゼレンスキー氏の主張は説得力はある。また、EUという経済圏を作ったのだから、その経済圏が出資して軍隊を維持するというのは合理的ではある。実現が非常に困難であることを除けば、だけれども。

追記

コメントで「無理」というご指摘を受けているけれども、僕も同感である。

上でも書いた通り、「合理的」だが「理想論」だと思っている。

European countries will not create one united army, says Poland’s Sikorski

February 16, 20254:02 PM GMT+9Updated 20 hours ago

European countries will not create one unified army in response to threats from Russia, Polish Foreign Minister Radoslaw Sikorski said in an interview with state TV broadcast late on Saturday.

Earlier on Saturday, Ukrainian President Volodymyr Zelenskiy called for the creation of a European army, saying the continent could no longer be sure of protection from the United States and would only get respect from Washington with a strong military.

~~対訳~~

ポーランドのシコルスキ氏、欧州諸国は統一軍を創設しないと発言

ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相は、土曜日の深夜に放送された国営テレビとのインタビューで、欧州諸国がロシアの脅威に対抗するために統一軍を創設することはないと述べた。

これに先立ち、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、欧州大陸はもはやアメリカからの保護を確信することはできず、強力な軍隊を持つことによってのみワシントンから尊敬を得ることができると述べ、欧州軍の創設を呼びかけた。

ロイターより

早速、EUの中から反対の声が挙がったわけだが、「何年も前から提案されていて、かつ前に進んでいない」理由が良く分かる。

欧州軍など作りたくないのだ。

軍隊の創設は国家の主権に関わる問題でもあって、統一軍を作ろうというのは無理がある。それでもNATOが機能してきたのはアメリカが主体になって動いてきたからに他ならない。アメリカ抜きだと、船頭多くして舟山に登るというヤツで、どうしようもないのだ。

もちろん、コメントで指摘があるようにEU諸国の軍事力は大したことが無いし、製造能力の面でも不安がある。弱いからこそ軍隊を束ねるべきだという主張は大変合理的だが、その役割分担で揉めてしまう。理想論で終わるとはそういう意味である。

コメント

  1. 匿名 より:

    今となってはこれも非現実的な響きが強いけど、過去にクリントンが裏切って潰した「ロシアのNATO加入」の方が、まだ現実的に思えてしまう歴史が悲しい。

    • 匿名 より:

      あと欧州軍じゃ出来てもロシアに勝てない≒抑止力にはならんのでは?

      推定根拠 今のウクライナ軍は実質 米欧兵站連合軍なのに物量でロシア圧勝
      GDP比だと米欧兵站軍圧勝のはずなのに、、、

      推定理由

      わーくにも他人事じゃ無いのだけど、結局 今の米欧の経済力って

      金融工学とやらに支えられた「帳簿」経済力であって、
      モノ作りで勘定した「実体」経済力では、

      実はロシア(や志那や韓国)に負けてるのでは?

      • 木霊 木霊 より:

        ロシアには勝てないと思いますが、抑止力とはそういうことではないと考えています。
        すなわち、イギリスやフランスのように核兵器を持つ国家や、ドイツのように戦車や砲の技術に優れた国家があることで、連携できればそれなりの脅威になるという話でして。尤も、今や、イギリス、フランス共に軍事力は低下し、ドイツなどは悲惨な状況みたいですけどね。

        そんな状況で、ロシアのような狂人独裁国家相手だと、抑止効果は薄いかもしれませんね。
        所詮、平時における牽制が出来る程度の戦力にしかなりませんから。

    • 木霊 木霊 より:

      そんな時代もありましたねぇ。
      ロシアのNATO加盟が実現した未来がどうなったかと言えば、多分、NATOがアメリカ派とロシア派に分裂するようなことになったのでしょうが。

  2. 山童 より:

    欧州軍? 笑っちゃう。
    NATOなど軍事力のNo.1とNo.2は米国とトルコですわね。欧州は一つも主力になってない!束になってもロシアにかなわない。
    匿名様が言われるように工業力などの実体経済は貧相なもの。
    トランプ政権が「席がない」言う以上は無いでしょう。じゃお前らでやれロシアと戦って勝てるならな!と言われて返す事できない。2番手のトルコはロシアと因縁の仲といえ、エルドアンはロシアと割に仲良くしてきてるし。そもそもEUに入れる気もない欧州の為にトルコが血を流したりする必要性もない。英仏にしたって核持ってるだけ。
    特にフランスは軍事で失敗してアフリカから追い出されてる。ドイツは左派政権が長く続いて軍の実力は低下しているし。
    絵に描いた餅でしょ欧州軍など。
    ウクライナは当事者なんだから席があるのは当然としても、ゼレンスキーが何をホザこうとイニシアティブは握れない。
    今頃になって地下資源の事を持ち出しても遅すぎる。木霊様が前に指摘なさったように、ウクライナ東部のロシア占領地域にそれは多いようですが。
    トランプ政権としては、ロシアに譲歩して、
    その資源開発に1枚噛む方が得策でしょう。
    或いは「渡さない」と言い出したゼレンスキーに「開発利用権の半分を寄越せ」くらいの、かつての明治日本の不平等条約なみの条件を飲ませるか。
    もともとゼレンスキーのバックにいる勢力パトロンたちは、「支援」の「中抜き」の為にグダグダと継戦させてきたのが実態で、
    いつまでも停戦交渉を拒んできたゼレンスキーの責任です。いまさら何を言ってるんだか。どちらにせよ、ウクライナは食い物にされ収奪されて復興もままならないだろうし、欧州は何もできない。

    • 山童 より:

      この件に関しては木霊様は「また夢見ておられるのか?」としか思えない。

    • 七面鳥 より:

      横合いから失礼。

      欧州が、せめて「呉越同舟」レベルであれば……よかったのですけどね。
      今の欧州は、「同床異夢」どころじゃない。
      EU以前のEC経済圏くらいで止めときゃ良かったのに。
      ※個人的には、中華べったりのカエル喰いと、ロシアに金○マ握られてるジャガイモが仕切ってる時点でお察し。問題は山積ですが、大英帝国が逃げ出したのは、長い目で見てよかったのだと思ってます。その意味でGCAPとFCASの統合はやるべきではない。

      欧州が最初からウクライナ救済とロシア断罪を目的として結束していれば、開戦後半年くらいで自体は終息したんじゃないですかね?露助が最初の侵攻に失敗した時点からゴリゴリの経済&軍事圧力ぶちかまして。
      初っぱなにそれが出来ず、以降はしょぼい対策と援助の逐次投入では……

      今更起死回生の逆転満塁ホームランはあり得ないのですから、どこかで一旦「戦争」は終結させて、これ以上の「若者の血が流れる」のを停めてから、ロシアにはチビチビと毒を飲んでもらう(経済的にも領土的にも)、そういうやり方しか無いんじゃ無いでしょうかね。
      ウクライナは自力で更生出来ないのは自明だから、こっちもトランプが引っかき回して、ついでに汚職層も粛正して。
      もちろん、本来主役であるべき欧州には、人もカネも出して貰わないと。
      そんな感じに思ってます。

      • 七面鳥 より:

        追記。
        結局、欧州は「会議は踊る」をまたやってるだけで、そこにトランプ氏という「電撃作戦」がぶち込まれて、何も出来ないままに主導権取られて終わる、そういう事なんだと、大筋では思ってる次第です。

      • 木霊 木霊 より:

        結局、欧州はアメリカに軍事力の面を全てお任せしてNATO頼み(アメリカ頼み)の体制を構築してしまったのが、敗因だと思います。
        GCAPとFCASの統合の話を指摘されていますが、欧州の体質をまさに表しているのがFCASやユーロファイターでして、いつまで経っても仕様が決まらない。
        F-35の製造においてアメリカが散々苦労した挙げ句、切れて「オマエラ金だけ出せ」ということになったことも、欧州では意見を纏められないということを示していると思います。

        本来、欧州で決めるべきことを、決めてこなかったことが現状です。
        EUを作ったのは失敗だと思いますよ。

    • 木霊 木霊 より:

      軍事力比較でいくと、ご指摘の通りだと思います。
      確かに、欧州軍が出来たとて、果たして抑止力になるかというと、それは強力な指揮権を持った組織が存在しなければ不可能でありまして。
      ただ、軍事力の寄せ集めでも、数の上では優位性があると考えています。

      そして、追記で改めて言及していますが「理想論」であるという認識なんですよ、欧州軍という概念は。

  3. 山童 より:

    そうそう、マリ共和国でフランスが追い出された背景の軍事作戦ですが、仏たけでなく欧州が数カ国、軍隊を派遣していたはず。
    それが遊牧民相手にグダグダでボロ負け。
    だからニジェールでクーデーターが起きて反仏政権ができたし。西アフリカも中央アフリカもドミノ倒し現象になったでしょ。
    欧州の軍隊の連合なんか、そんなもんですよ。欧州独自でロシアに対する?
    そんなの夜郎自大ですよ。

  4. 山童 より:

    そうですね。結局、ヨーロッパって会議は踊るんですよ。ローマ滅亡からEUまで1600年以上、ヨーロッパがバラバラだったのは、その利権の衝突があったからです。
    たからトランプの電撃作戦を食らって慌てふためいている。
    で、足の引っ張り合いだけは得意な連中なので、仰る通り何も出来ないうちに話は決まるかと。そんな土壌に欧州軍という匂いだけは豊かな苗を植えても育ちようがないのは火を見るより明らか。