家が動き出すって、アレか。ハウルか?!と、アホなことを考える程度には、意味が分からなかった。
習近平の大号令で「未完成タワマン」が動き出す…誰も買わない新築物件が大量に生み出される中国の特殊事情
2025/02/12 8:00
不動産不況が深刻化する中国で、いま異変が起きている。未完成のまま長年放置された高層ビルやタワマンなどで、工事を再開する動きが目立つ。ジャーナリストの高口康太さんは「中国政府が大号令をかけた結果だ。中国では不況なのに新築物件が次々と完成し、住宅在庫が増え続けている悪循環に陥っている」という――。
PRESIDENT Onlineより
建築放棄物件の工事再開してどうする気なのさ……。
住宅在庫が増える意味
在庫が増えるのはOK
ちょっと意味が分からないと思うので、もう少し本文を読んでいこう。
中国国家統計局は1月17日、2024年の不動産関連統計を発表した。新築住宅の販売面積は前年比14.1%減の8億1450万平米、販売額は17.6%減の8兆4864億元となった。ピークだった2021年は販売面積が15億6532万平米、販売額が16兆2730億元だったので、ほぼ半減した計算となる。
ずらりと前年比マイナスが並ぶ不動産統計だが、ほぼ唯一大きく伸びている数字がある。それが在庫だ。住宅在庫は16.2%増の3億9088万平米。2021年の2億2761万平米から7割ほど増えている。
PRESIDENT Online「習近平の大号令で「未完成タワマン」が動き出す」より
ええと、新築住宅の販売面積減、販売額減で、ピークだった2021年から半減した状況だと。で、在庫が増えたから不思議~というわけなんだけれども、この数字は国家統計局の発表している数字なので、当局の意向を反映したものであると理解して良いと思う。
国家統計局は、自分たちの都合で数字を弄るからね。支那共産党の意思が絶対で、それを反映する方針なので分かり易いのだ。
そうすると、支那共産党が「この程度の在庫が積み上がるのはOK」だと考えているという意味になる。
普通の経済状況であれば、価格が下落しているのに在庫が積み上がるのは不味いと考えるのだろうが、もっと住宅価格が下がって良いと考えているのかもしれない。ただ、支那の人民は随分と住宅投機を行っていたので、これは支那人の資産が目減りしているという意味でもある。余り良いことじゃないと思うよ。
新規物件を増やす
で、住宅在庫が増えた背景には何があるのか?ということなんだけれども。
不動産不況が始まる前から建設が続いていた物件が完成して在庫になっているというなら、まだ話はわかる。ところが長年、野ざらしにされていた未完成建築の工事が再開されるという不可解な現象が起きている。
PRESIDENT Online「習近平の大号令で「未完成タワマン」が動き出す」より
えぇ、「野ざらしにされていた未完成物件」が工事再開されて、完成にってことらしい。

写真のコントラストがスバラシイが、これは天津市郊外にある超高層ビル「高銀金融117」だとのこと。
高銀金融117は建設開始から7年後の2015年にディベロッパーの高銀地産公司が資金難で破綻、工事がストップしてしまった。
~~略~~
これら長年放置されていたマンションの工事が再開されていた。近隣にあった食堂で話を聞くと、2022年秋から建設が再開されたという。
PRESIDENT Online「習近平の大号令で「未完成タワマン」が動き出す」より
うわぁ、引くわ。
7年間放置された後に、工事再開って。それは野ざらしにされた間、色々なところが劣化するなどという考えには至らないのだろうか?
この手の工事再開物件が完成したことで、住宅在庫が増えているということになるようなのだが、思っているより酷い状況だね。
もちろん、老朽化物件の建設を強行するという点、住宅の完成度が気になるという意味もあるんだけど、設計が古いままで完成させなければならないというのもちょっと不安だね。
不良債権は許されない
で、こういった工事再開が許された背景には、支那の不動産開発の慣行が影響しているようだ。韓国でも問題になった不動産PF問題だが、構図は似た感じだね。
不動産PFは建築資金をかき集めるために、企業の業績とは別に不動産案件毎に資金調達する仕組みで、そのプロジェクトそのものの価値に対する投資である。そして、それ自体は世界中でいろいろ販売されている。比較的安全な投資先とされているからね。
ところが韓国の不動産PFは、乱発される余り信用が毀損されてしまっていて、実際に投資回収の目処の立たない債権がかなり存在するようだ。そしてそれは不動産神話によって下支えされていたのだけれど、そこが崩壊したことで経済に悪影響が。
支那は不動産を建設し始める前に物件を販売するという大技を使うので、何故か建設が終わる前にローンが始まってしまうという意味不明な事態に。
最古のランウェイロウの一つと言われている重慶市の瀛丹大厦はその典型だ。1999年の着工から四半世紀も未完成のまま放置されている。購入者たちは長年抗議を続けてきたが、なんと2020年になってようやく購入代金が返済されて決着した。この20年で物価が大きく上昇したことを考えれば大損である。
PRESIDENT Online「習近平の大号令で「未完成タワマン」が動き出す」より
ランウェイロウ(爛尾楼)とは、尻尾が潰れた蛇という意味で工事中止してしまった物件を指す。鬼城とも呼ばれるけれども、鬼城は建築途中の物件でなくとも含む概念らしいので、ちょっと違うようだね。
まあとにかく、この重慶市の物件は着工時点で売却された物件が半世紀も作られなかったのだから、酷いにも程がある。そして、この件は経済の失速とは余り関係がないようだが、この手の物件が山ほどあるのが支那の状況で、恐るべきことに国家統計局の出す「住宅在庫」にはこの着工中の物件は含まれない。
つまり、統計に表れていない不良債権が山ほどあるって意味になるね。
ナカナカ恐ろしい話である。
ともあれ、建設途中の物件は不良債権なのだから、重要度の高い(国家にとってはという意味ではなく、債権者の共産党員の力関係によって決まる順番)ものから作ってしまえという乱暴な話になったのだと思われる。
経済回復には繋がらない
で、それがどういうことかというと。
こうした混乱を受け、中国政府は未完成物件の工事を再開するよう、大号令を下した。放置しておけば大きな経済損失を受ける人民が続出し、社会不安につながりかねない。それを防止しようというわけだ。住民を救うという意味でこの政策は「正しい」。だが、その「正しい」対策がめぐりめぐって、野ざらしにされていたマンションの工事再開につながり、住宅在庫を爆増させている。
PRESIDENT Online「習近平の大号令で「未完成タワマン」が動き出す」より
不良債権化を阻止した上で、人民に対して希望を与えるわけだ。小手先の対策としては悪くはないだろう。工事が完全に止まってしまえば、債権者は暴発しかねない。実際に、幾つもの暴動に繋がっている。
中国、住宅ローン返済拒否広がる 工事停止の未完成物件
2022年7月18日 16:43
中国で建設工事が止まった未完成住宅の購入者が、住宅ローンの返済を拒否する動きが相次いでいる。物件引き渡しの遅れに抗議するためだが、不動産開発会社も政府の規制強化で資金不足に苦しむ。返済拒否が広がると、銀行の貸出残高の2割を占める住宅ローンの不良債権リスクが高まりかねない。
日本経済新聞より
日本経済新聞は「不良債権リスクがたかまりかねない」と気軽に書いているが、抗議デモから暴動に発展するケースは少なくないようだ。
中国で抗議デモが増加、雇用や不動産問題が影響-米人権団体報告書
2024年2月20日 16:02 JST
中国では昨年後半に抗議デモが増加し、景気回復を図る当局者にとって新たな悩みの種となっていたことが、最新の報告書で明らかになった。
Bloombergより
3ヶ月で952件前後の抗議デモが発生しており、これが暴動に発展するケースも少なくないのだとか。随分と予算を使って内乱に発展しないようにコントロールしているようだが。
ともあれ、「建設を再開せよ!」という大号令によって工事は始まり、工事が始まったことで不良在庫が増えつつある。不良在庫と言うからには、先行投資的に物件を買った人の分は含まれないことになるよね、当然。
中国住宅業界の悲鳴、底なき安値競争 原価割れ販売停止
2024年10月18日 12:59
中国の7〜9月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比4.6%増えた。増加率は4〜6月の4.7%から縮まった。不動産不況が長引き、過度な値崩れを防ぐ価格統制を撤廃した都市では安値競争が激化した。原価割れで8割の空室を残したまま販売を停止する不動産会社も出てきた。
日本経済新聞より
で、安値競争が始まって販売停止に。世も末ですなぁ。というわけで、習近平氏が工事再開を決定したことで、支那の不動産不況は更に長引き、かつ悪化することが確定した。まあ、悪化が確定っていってもこれ以上悪くはならないんだろうけどさ。
コメント
ども。家が動くって……と冒頭に仰るてましたが、昔の日本民家は動きますよ。
「曳き屋」ってお仕事が現代に残ってるし。
ヴォルガの船曳でなく、日本の家曳き😂
んで、怖ろシナ!
未完成で二十年も放置して返金しなかった例とか凄すぎる。というか「鬼城未満」の
途中放棄物件を更地にして再スタートならともかく、完成させるぅ??
いや、それ絶対に事故災害になるって!!
うるせぇ文句言うな(by習国家主席)
怖ろシナ!
ただ…政治家として無能な人ではないとは想うけど、きんぺー君は経済音痴!
もともと再文化大革命してマオ主席みたくなるのだぁ!な人ですから。
(親父が粛清されかけて、自身は下放されたのに、それでも毛主席を崇拝する辺り、
親父を粛清したナポレオンを崇拝し続けた大デュマみたい。あ、三銃士やモンテ・クリスト伯のデュマね)
毛沢東を目指す彼としては、「んな家など価格破壊して良いわ。低予算で住めるようなるからオレ名君!」くらいにしか考えてないのではないですかね?
常識あればゼロコロナ政策とかやらんでしょう??
そういえば、土台から切り離して動かすなんて話を見たことがあります。
支那の金融はナカナカにメチャクチャですね。
日本の常識で考えてはいけないのかもしれません。
こんにちは。
>家が動き出すっ
要するに、ぶっ倒れるんですね、わかります。
※まず建物が倒れて(物理)、次に経済、最後は政治、と。
こんにちは。
動き出すと言うより、かなり傾いているように見えますよね。
紅皇帝が経済に権威主義を持ち込んで弄りまくるので、経済がうまく回っていないですね。
いまの経済苦境が自分の所為だとは、本人はもちろん支那共産党も認めないでしょうけど、
数多の鬼城をみると「国破れてナントカ.. 鬼城春にしてナントカ..」と思い浮かんできます。
米国でも「支那経済は崩壊している」と明言する議員さんや経済アナリストたちが表に出てきましたから、これから世界も認めるようになるでしょう。
デカイ国ですから、影響もそれなりには出てくるでしょう。
支那経済の不調を囁かれ始めて10年ほど経ち、「まだ崩壊していない」「いつ崩壊するんだ」と仰る方も多い。
でも、支那経済の中身をみると、とても真っ当な状況とは……。