ネットで少し議論になっていたので、ニュースを追いかけてみた。
中国のブイなくなる 尖閣諸島周辺 日本のEEZに設置 海上保安庁
2025年2月12日 5時06分
沖縄県の尖閣諸島周辺の日本のEEZ=排他的経済水域に設置されていた中国のブイがなくなったと11日、海上保安庁が明らかにしました。
NHKニュースより
「なるほど、以前問題になったブイの撤去の話か」と思ったのだが、全部撤去になったと言うことではないようだ。
外交は慎重に
海洋調査用のブイの設置
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幾つか海洋調査用のブイを勝手に設置されて、日本側は何れも撤去せずに、支那に「撤去してね、おねがい」という意味の分からない姿勢を示した。
EEZ内やグレーな位置に設置されているのだから、撤去するのが筋なのだが。
で、先日こんなニュースが。
日中外相、意思疎通強化で一致 岩屋氏、新たなブイの即時撤去要請―水産物合意の履行確認
2024年12月25日20時27分配信
岩屋毅外相は25日、中国の王毅共産党政治局員兼外相と北京の釣魚台迎賓館で会談した。意思疎通を強化し、王氏が来年早期に訪日し、ハイレベル経済対話を開くことで合意。一方、岩屋氏は沖縄県・与那国島南方の排他的経済水域(EEZ)内で中国側が設置したとみられる海上ブイが新たに一つ確認されたと指摘し、即時撤去を求めた。
時事通信より
一部の方々は、「流石、俺たちの岩屋」と歓迎の声を上げたのだが、口にしただけで賞賛されるのは意味不明だ。
岩屋氏の外交手腕がどの程度のものなのかはイマイチ不明だが、今のところ親支那的であるという点以外はマイナス評価すべき部分は見当たらない。それこそが問題だと言えば問題なのだが……。
ともあれ、今回のブイ撤去は特に岩屋氏の成果ということではなさそうだ。
設置は2023年
今回、撤去されたと言われているブイだが、2023年7月に設置されたもの。
中国側が尖閣諸島沖のブイを撤去…海上保安庁は船舶向けの警報を削除
2025/02/11 19:47
沖縄県・尖閣諸島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国公船が大型浮標(ブイ)を設置していた問題で、中国側がブイを撤去したことが11日、明らかになった。日本政府は2023年7月の設置直後から中国政府に即時撤去を要求しており、撤去の意図を分析している。
讀賣新聞より
2023年からずっと日本側は撤去要求をしており、支那は「合法だ」と頑として譲らなかった。
中国外務省の 郭嘉昆 副報道局長は11日の記者会見で、尖閣諸島周辺でのブイの設置について「国内法と国際法に合致したものだ」と主張。「現在、ブイは元の位置での作業を終え、中国の関係部門が技術的な調整を実施している」と説明した。
讀賣新聞「中国側が尖閣諸島沖のブイを撤去」より
そして今回の撤去にあたって支那側の主張は「元の位置での作業を終え」とのこと。
支那が撤去の理由を言わなかったという解釈もあるが、僕は別の理由だと考えている。実は、調査用のブイは電池式の駆動で半永久的に使えるというわけではない。設置から1年半が経過し、そろそろ動かなくなったという可能性はある。
電池の容量によって駆動期間は異なるので、一概にそうだともそうでないとも言い難いのだが、太陽光発電式ではなかったようだし、風力発電する機構も見られなかったことを考えると、少なからず駆動期間が決まっていたはず。
「作業を終えた」とはそういう意味だと考えられる。
そうすると、日本に言われたから撤去というよりは、日本に恩義を売れるタイミングで撤去したけど、そもそももう使えない状態だったと考えるのが正しいと思う。
他のブイはそのまま
もし、日本の要請に応えたという形であれば、他のブイも撤去するはずだ。
中国のブイ設置を巡っては昨年12月、沖縄県・与那国島南方の日本EEZ内でも「中国気象局」などと書かれたブイが見つかり、日本政府が撤去を要求している。同6月には日本最南端・沖ノ鳥島北方に位置する日本の大陸棚・四国海盆海域で、向陽紅22がブイを設置したことも判明した。
讀賣新聞「中国側が尖閣諸島沖のブイを撤去」より
だが、そちらはそのまま残っているし、設置期間も短い。
林官房長官、尖閣沖の中国ブイ撤去について評価避ける EEZ外に新設を確認
2025/2/12 12:33
林芳正官房長官は12日の記者会見で、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置したブイを撤去したことへの評価を避けた。「背景や経緯について予断を持って答えることは差し控える」と述べた。東シナ海の日中中間線の中国側海域で新たなブイの設置を確認したとも明らかにした。
産経新聞より
それどころか、新しいのが設置されてしまった。もちろん、支那側の海域における設置だから文句を言う筋合いはないかも知れないが、限りなく挑発行為に準ずるものだろう。
まあ、馬鹿にされている状況は続いていると考えて良さそうだ。
主権が及ぶアピール
そもそも、今回も含めて海洋調査用のブイをあちらこちらに設置して、支那が何を考えているのか?については、あまり検証されていない。
実際に支那が何かを発表しているわけではないのだが、こんなニュースがヒントになりそうだ。
南シナ海でインドネシアの調査船を妨害 中国「主権有する」と主張
2024年10月25日 13時55分
インドネシア海上保安機構は24日、南シナ海の南端にある同国の排他的経済水域(EEZ)に、中国海警局の船1隻が侵入し、活動中だった調査船を妨害したと発表した。インドネシアと中国は同海域の海洋権益をめぐって対立している。
朝日新聞より
インドネシアの調査船に対して、「自国の権利が及ぶ領域だから」と追い出そうとしてきたわけで。
そうするとやっぱり「調査」は自国の主権が及ぶ範囲だと言うことを主張する目的があるのだと、類推できる。
「調査だからイイヨね」という話ではないし、こういう国との付き合い方で「友好を」という話をすべきではないだろう。
コメント
こんにちは。
これ、
・うっかり流された。
・何らかの役目を終えたので回収した
・トランプが怖いので引っ込めた
さて、どれでしょう……
トランプがらみは薄いと思ってますが。
役目を終えたのなら、次の動きを警戒しないとですね。
少なくとも、本邦に配慮して云々というのは120%あり得ないと思ってます。
こんにちは。
何れにしても、何かこちらが反応してあげる筋合いのある話ではないですよね。