ほほう。
トランプ政権 海外援助機関の職員 1万人以上を約290人に削減か
2025年2月7日 11時30分
アメリカ政府の海外援助を管轄するUSAID=アメリカ国際開発庁をめぐり、トランプ政権は全世界で1万人以上いる職員をおよそ290人に削減する計画だとアメリカの複数のメディアが報じました。
NHKニュースより
NHKニュースを読むと、「トランプ氏の横暴だー」という論調に見えるんだが。
大鉈を振るう
USAIDとは
先ずは、USAIDについて。
USAIDは、アメリカ政府の機関として世界各地で人道支援事業を展開するため、1960年代初頭に設立された。職員約1万人を雇い、その3分の2は国外で働いている。60カ国以上に拠点を持ち、それ以外の数十カ国でも活動している。しかし、現地での作業の大部分は、USAIDが契約し資金提供している他の組織が請け負っている。
BBC「【解説】 米国際開発局(USAID)とは? なぜトランプ政権の標的に?」より
USAIDは世界各地で人道支援事業を展開するための組織で、アメリカが巨額の活動資金を提供して人道支援を行っている。
ただ、これがどういう問題を孕んでいるかというと、「公金チューチュースキーム」が出来上がってしまうと言う構造的な問題である。
アメリカ政府が巨額の資金を注入し、全世界への人道支援事業を行っているのだが、それを仕事にして利益を得ている人が多数いる。
BBCの国際慈善団体BBCメディア・アクションは、外部からの助成金や寄付を資金源としており、USAIDからも資金提供を受けている。
2024年の報告によると、USAIDは320万ドル(約4億9000万円)を寄付し、BBCメディア・アクションにとってはUSAIDが2024年度、2番目の大規模寄付者だった。
BBC「【解説】 米国際開発局(USAID)とは? なぜトランプ政権の標的に?」より
人道支援事業をするからといって、活動に関わる人の生活費が必要なくなるなんてことはないのだが、しかしその人道支援が本当に必要なサービスであるのか?という問題は出てきてしまう。
対外支援事業の点検を指示
反社会的勢力の活動資金になっちゃうケースも、少なからずあるんだよね。
米国務省、ほぼすべての対外支援事業の停止を指示 開発・軍事援助などに影響か
2025年1月25日
米国務省が24日、既存の対外支援事業をほぼすべて停止し、新規支援も一時停止するよう、政府関係者や世界各地の米大使館に指示したことが明らかになった。流出した同省の通達内容を、BBCは確認した。
この通達は、ドナルド・トランプ大統領が20日に、対外開発援助の効率性と外交政策との一貫性評価を行うため、90日間の援助停止を命じる大統領令に署名したことを受けてのもの。
~~略~~
さらに、対外援助がドナルド・トランプ大統領の外交政策目標に沿ったものかどうかを確認するため、85日以内にすべての対外援助の広範な見直しを完了するよう命じている。
BBCより
だから、トランプ氏は点検を指示した。「適正に使われているのか」ということだ。
米政府のデータによると、世界最大の国際援助国であるアメリカは、2023年に680億ドルを拠出している。今回の通達は、開発援助から軍事援助まで、あらゆるものに影響するとみられる。
食料援助と、イスラエルとエジプトへの軍事援助は停止されない。
BBC「米国務省、ほぼすべての対外支援事業の停止を指示 開発・軍事援助などに影響か」より
随分と乱暴な仕事だが、しかし一斉点検をして疑わしいものをチェックするというのは、アリだろう。
日本だって、日本学術会議のような意味不明な団体が公金をチューチューしている実態がある。目的がハッキリしていれば良いのだが、反政府活動の温床になっているのだ。
反政府活動に政府がお金を出すのはおかしいから、公金投入をするのを止めるべきだろう。
狂人扱い
というわけで、トランプ氏は大鉈を振るってアメリカ政府の使う費用を全て洗い直す積もりらしい。
そして、おそらくアメリカ国民はこの方針を支持するだろうという風にBBCは分析している。
トランプ大統領はかねてアメリカ政府の対外支出を批判してきた。アメリカの納税者にとって相応の価値を伴わないという考えだ。大統領はとりわけUSAIDを強く批判し、上級職員を「急進的な狂人」と呼んでいる。
USAIDの廃止は、アメリカ国民に広く支持される可能性が高い。世論調査は以前から、アメリカの有権者が外国援助支出の削減を支持していると示している。シカゴ国際問題評議会によると、1970年代にさかのぼる世論調査データから、国民が外国援助削減を支持してきたことがわかる。
BBC「【解説】 米国際開発局(USAID)とは? なぜトランプ政権の標的に?」より
なるほど、僕自身も日本政府が同じ決断をしたら、決断した人物を狂人扱いするかもしれないが方針は支持するだろう。
そして、USAIDの事実上の閉鎖はしたものの、廃止は出来ないだろうという風に分析されている。
端的に言うと、トランプ大統領が大統領令に署名するだけではUSAIDを廃止することはできない。トランプ氏がそうしようとすればほぼ確実に、裁判所や議会で強い抵抗に遭うはずだ。
BBC「【解説】 米国際開発局(USAID)とは? なぜトランプ政権の標的に?」より
まあ、国際的な支援を完全に辞めてしまうことは現実的ではないし、そうすべきでもない。
でも、「やる」と決めて実行できるというのは、やっぱりちょっと正気だとは思えない(褒め言葉)。ただ、これによって様々な企業での投資行動も変わってくる可能性は高い。
SDGsみたいなアホな活動を推進しているのは日本くらいだが、しかし二酸化炭素排出量削減はアメリカでもそれなりに積極的に取り組まれている。だが、そういった方向への投資が「本当にそれ必要なの」という心理的ブレーキがかかるのである。
日本にも出来る人、いないかなー。小泉純一郎氏はそういう意味では評価は高いんだが。やったことはともかく、あの決断力は凄かったと思う。
追記
さて。
イーロン・マスク氏 “USAIDの閉鎖 トランプ大統領が合意”
2025年2月4日 5時21分
アメリカのトランプ政権で政府支出の削減策を検討する組織のトップを務める実業家のイーロン・マスク氏は、海外援助を管轄する国務省傘下のUSAID=アメリカ国際開発庁について、トランプ大統領が閉鎖に同意したと明らかにしました。
アメリカのトランプ政権で政府支出の削減策を検討する組織、DOGE=「政府効率化省」のトップを務めるマスク氏は3日、SNSの音声配信機能で、海外で援助活動を行うUSAIDについて、運用が不透明だなどという認識を示しました。
NHKニュースより
政府効率化という言葉が何処までアメリカの利益に繋がるのかは不明だが、大鉈で伐採される対象は多いのだろうと思われる。
アメリカのルビオ国務長官は3日、訪問先の中米のエルサルバドルで記者団に対し、自身がUSAIDのトップの代理を務めることになったと明らかにしました。
NHKニュースより
USAIDのトップがマルコ・ルビオ氏か。
これまたバリバリの共和党議員が来たなぁ。ある意味、トランプ氏よりも強硬派な部分のある議員で、大統領選挙の候補者でもあった。将来的には、大統領というところも視野に入る人物だろう。対支那強硬派なので、日本としてはありがたい側面もあるんだけれどね。
追記2
情報提供頂いたので、共有しておきたい。


共和党上院議員のシンシア・ルミス氏が上院議場で非難した内容で、その情報の正確性については検証できていないことを予めお伝えしておきたい。その上で、USAIDには以下の問題があると指摘されている。
- カザフスタンの偽情報対策に450ドル
- イラクのセサミストリートに2000万ドル
- ジョージア州におけるグリーン交通の促進に2,500万ドル
- スリランカのジャーナリストに二元的な性別による表現を避ける方法を指導するために800万ドル
- 武漢研究所に資金を提供したNGO団体エコ・ヘルス・アライアンスに500万ドル
- セルビアのLGBT雇用プログラムに助成金150万ドル
- アイルランドの DEI ミュージカルに助成金7万ドル
- コロンビアの「トランスジェンダーオペラ」に助成金4万7000ドル
- ベトナムの電気自動車に助成金250万ドル
- ペルーの「トランスジェンダーコミックブック」に助成金3万2000ドル
- グアテマラの活動家に200万ドルの助成金
- エジプト北部のインフラ整備を促進するため600万ドルの助成金
- ミシガン州に拠点を置く慈善団体「ヘルピング・ハンド・フォー・リリーフ・アンド・デベロップメント」に補助金11万ドル(テロリストとの繋がりが指摘される)
- 非政府組織のシリア支部の1000万ドル相当の食事代(横領された)
- アフガニスタンにアヘンの生産を抑止することを目的とした「代替開発プロジェクト(ADP)」を支援するために3億3000万ドル(しかし麻薬製造に利用された)
- AP通信、ポリティコ、ロイター、ニューヨーク タイムズ、ワシントン ポスト、CNNに資金提供
……想像を絶するな。
コメント
ええと……ここが新天地の移転場所で良いのですかね? 気をもんでいたら、新しい別ブログも始められたようですし。
(木霊様オリジナルマークあったから別人とは思えず)
拝読&応援したいのはこれまでと変わらないので、宜しくお願い致します。
で、夜の為人の為に国際活動するのは表でも裏でも価値あるのですが、その種の善意って際限がないし、それにタカる連中が多いのも事実です。裁断されるのはごもっともな話です。そして必ず腐敗する。
なのでトランプ氏は民意を観ての行動とは想うのですが、いわゆる「大きな政府」と「小さな政府」の二つの主義のうち、前者が衰退してるのが見える気がする。
とはいえ後者は行き過ぎるとモンロー主義に繋がると想うんですよ。
いま米国に世界から手を退かれても困る。
そういう訳で、この結果がどこまで行き、それが米国の世論にどう影響するかまで気長に観察したいものですね。
あー、実は1週間前くらいから移転完了していて、先週から山童さんも新ドメインのサイトでコメント書いて頂いています。
新しいブログって話も、前回データ飛ばしちゃった時以前から書いています。あっちは、気が向いたら適当にってなスタンスなんですけどね。過去には4つくらい併走していた時期があったんですが、流石に全部維持するのはちょっと無理でした。
さておき、USAIDの話は結構広範囲に影響が出そうです。
良くも悪くも大きな影響を与えるのがトランプ氏で、これに世界が振り回される構図は続くのでしょうねぇ。
イーロン・マスク氏率いるDOGEチームによる電光石火のUSAID閉鎖劇でしたが、USAIDについては、バイデン政権下での眉を顰めるような無駄遣いが露見しており、先週連邦議会でヤリ玉に挙げられました。
政府効率化議員連盟のルーミス連邦上院議員が、「ほんの一部」として挙げた事例は、
1)カザフスタンでの偽情報対策に450万ドル
2)イラクでの新セサミ・ストリート放送に2000万ドル
3)ジョージアでの再エネ輸送促進に2500万ドル
4)スリランカでの性二元言語回避(=性多様化言語促進)の為のジャーナリスト教育に800万ドル
5)武漢ウィルス研究所の生物研究に資金供与した主要な米NGOのひとつ、エコヘルスアライアンスに500万ドル
6)”ロシア・ゲート”で重要な役割りをした(トランプ大統領)弾劾強硬派グループに2000万ドル
7)キューバのメディアと環境保護の支援に150万ドル
8)セルビアでのDEIプログラムに150万ドル
https://x.com/SteveGuest/status/1887579662999585178
さらに、世界的に影響力のあるメディアのAP,Politico,Reuters,NYT,WP,CNNにも、USAIDが資金提供を行っていたそうです。それは一体何のためだったんでしょうか(棒
https://tinyurl.com/38c6r2zb
米国内では、USAID幹部が資金を中抜きしていたとか、政治家にキックバックされていたとか、軍事に利用されていたとか、いろいろ言われています。
今回の件で初めて側聞しましたけど、USAIDはなかなかの病巣ぶりだったようです。
情報ありがとうございました。
追記させて頂きました。
公金チュウチュウスキームを世界規模でやっていたということですな。
こんにちは。
獅子身中の虫は、虫下し呑ませるに限りますね。
強硬派の共和党員をトップに据えるとか、報道官とか、劇薬っすなぁ……
※正直、それが出来る大統領制が羨ましくもあります。
こんにちは。
トランプ政権のメンバーは、どれもこれも強硬派です。平時ではとても受け入れられないような状況だと思います。
ですが、現状受け入れられるということは、アメリカも既に平時とは言い難い状況なんでしょう。
遅レス失礼。
USAIDから部落解放戦線にもお金が流れてたとか。
https://x.com/owlofsanmerida/status/1889593566470561941
ネットの集合知とか特定の速さとか、こう言う時に当てになりますね。