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トランプ氏はウクライナ支援条件でレアアース開発を望む

ウクライナニュース
この記事は約8分で読めます。

そろそろウクライナ戦争が終結する予兆を感じる。

トランプ大統領 ウクライナ支援条件でレアアース取り引きを

2025年2月4日 8時12分

アメリカのトランプ大統領は、ウクライナへの軍事支援を継続する条件として、ウクライナ国内にある重要な鉱物資源レアアースなどをめぐり、何らかの合意を取りつけたい考えを示しました。

NHKニュースより

現時点で、ウクライナへの軍事支援についてアメリカがどのような姿勢を示すかはトランプ氏就任以降、明示されていない。が、ウクライナの「交渉」の余地はあるようだね。

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交渉は始まっている

ゼレンスキー氏のディール

このアメリカ側の反応に対して、ウクライナ側としても乗り気であると。

ウクライナ大統領「米企業の投資にオープン」、トランプ氏がレアアースに関心

2025年2月5日午前 2:53

ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、トランプ米大統領がウクライナのレアアース(希土類)に関心を示していることについて、「米企業による投資にオープン」と述べた。

ロイターより

冒頭のNHKニュースやこのロイターのニュースだけを見ると、トランプ氏が主導して話が動いているように感じるのだが、その見方はややズレている様に思われる。

トランプ氏、ウクライナとも「取引」検討 支援の見返りにレアアース提供を

2025年2月4日 12:46

ドナルド・トランプ米大統領は3日、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、支援の条件として、電子機器に必要なレアアース(希土類)の供給を保証することを挙げた。

~~略~~

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は昨年10月、ロシアとの戦争終結へ向けた「勝利計画」の一環として、同様の提案を示唆していた。

その中で、「数兆ドル相当の重要金属」を含むウクライナ産天然資源の保護に重点を置くことを強調。「ウクライナに存在する重要資源の共同保護および、その経済的な潜在性に対する共同投資・利用に関する特別協定」の締結に向け、西側同盟国に働き掛ける意向を示した。

AFPより

実は、そもそもゼレンスキー氏の提案した「勝利計画」にその旨が書かれており、トランプ氏はそこに目を付けたということが正しいと思う。

実際に、ゼレンスキー氏はアメリカの投資を受け入れる旨の発言をしていて、交渉はかなりスムーズである。口約束段階ではあるが、恐らくはアメリカが投資する前提で軍事支援継続はほぼ確実だろう。

勝利計画

現状で、「ウクライナの勝利計画」などと言われても全く響かないというか、「何を言っているのか」という温度感だと思う。実際に、その話題が出た時には僕もそう感じたのだ。

それがこの去年10月のニュースである。

ウクライナの「勝利計画」、ゼレンスキー氏が議会で公表

2024年10月17日

~~略~~

ゼレンスキー氏が概説した「勝利計画」は次の五つの項目からなる。

・NATO加盟への招待

・ロシア軍に対するウクライナの防衛強化。これには、ロシア領内への攻撃に友好国から供与された長距離兵器を使用することを友好国に容認してもらうことや、ウクライナ領内に「緩衝地帯」をつくらないようウクライナの軍事作戦をロシア領内で継続することなどが含まれる

・ウクライナ領内に配備された戦略的な非核抑止力によるロシア軍の封じ込め

・ウクライナの重要な天然資源をアメリカとEUが共同で保護し、経済的潜在力を共同利用する

・戦後に限り、欧州全域に駐留する米軍の一部をウクライナ兵に置き替える

ゼレンスキー氏によると、ほかに三つの「追加条項」があるが、これはウクライナのパートナー国とのみ共有するという。

ウクライナの首都キーウでは、BBCの取材に応じた住民のほとんどが「勝利計画」を支持していた。

BBCより

要は、ウクライナだけでは勝利が覚束ない状況なので、米軍の介入を望む。そして、その見返りとしてウクライナの天然資源を共同開発する権利を渡すという計画である。

トランプ氏が「ウクライナ国内にある重要な鉱物資源レアアース」に興味があると言い出す理由としては、更にこんな話も関係している。

中国、レアアースが「国家に帰属する」と採掘や輸出規制の規則公布…日米欧をけん制する狙いか

2024/06/30 21:35

中国政府は29日、レアアース(希土類)が「国家に帰属する」として、採掘や輸出を規制する関連規則を公布し、10月1日から施行すると発表した。中国は世界のレアアース生産量の7割を占め、国家管理を強化し日米欧をけん制する狙いとみられる。

讀賣新聞より

中国がレアメタル輸出規制強化、長期化なら半導体部材に影響

2024.11.22

米中対立を背景に、中国政府が半導体や電気自動車(EV)に使われるレアメタル(希少金属)の輸出規制を強化している。2024年9月に規制対象に加えたアンチモン(Sb)は他国からの調達が難しく、長期化すれば価格高騰につながる恐れがある。日本の企業や政府は規制対象の拡大も念頭に、備蓄や新たな調達先確保へ動き出した。

日経XTECHより

支那がレアアースやレアメタルの輸出を、「戦略物資扱い」して露骨に政治利用しようとしている背景があって、アメリカと支那はこの部分でも火花を散らしている状況にある。

こちらの記事の「追記3」にも紹介したが、トランプ政権になってからもその状況は動いている。

そういう意味でも、トランプ氏にとってはゼレンスキー氏の勝利計画が「渡りに船」だったという理解が正しいと思う。

戦争終結に繋がるか

こういった動きが、「戦争終結に繋がる」というのは安易な感想なのだろうが、しかし確実に関わる話にはなるだろう。

ウクライナはもはや戦争継続は不可能なレベルで前線が消耗しているし、ロシアも継戦能力は著しく低下している。両国とも何処かで区切りを付けたいとは思っているのだ。

その切っ掛けをトランプ氏が作るのだと、そう考えている人もそれなりにいる。

アメリカのトランプ大統領が訴えるロシアによる軍事侵攻の早期終結について、ウクライナの世論調査では半数近くの人が、その実現に期待を寄せているとする結果も出ています。

ウクライナの調査機関「キーウ国際社会学研究所」は、アメリカ大統領選挙でのトランプ氏の勝利を受けて去年12月2日から17日にかけて、ウクライナ各地の985人を対象に世論調査を行いました。

NHKニュース「ロシアとの停戦後にウクライナは大統領選を行うべき」より

このニュース記事の前半はちょっと違う内容なので割愛するが、ウクライナ国内でもかなり期待はされているようだ。

img

何かを変えるためには多少強引でも推し進めてくれる人物が必要という認識は僕も持っているので、この感覚は理解できる。

必ずしもトランプ氏の登場がウクライナに福音をもたらすとは思えないが、それでも、変化の兆しとしては大きな意味があるのだろう。

この中でゼレンスキー大統領は、アメリカのトランプ大統領がロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、プーチン大統領との会談に意欲を示していることについて「ウクライナ抜きでアメリカとロシアがウクライナについて直接対話するのは非常に危険だ」と述べました。

トランプ大統領は先月31日、記者団に対しロシア側との協議は始まっていると明らかにした上で、プーチン大統領との会談に関して「おそらく何か重要なことをすることになるだろう」と述べていて、ゼレンスキー大統領としては、アメリカとロシアの間で交渉が先行することに警戒感を示したものです。

そしてゼレンスキー大統領は今後の協議の進め方について「まずトランプ氏と会談することが重要だ。その会談の後、ロシアとの何らかの形式の会談に移行すべきだ。アメリカ、ウクライナ、ロシアが交渉のテーブルにつくのを見たい」と述べ、トランプ大統領との会談後にヨーロッパとも調整した上でロシアとの交渉に臨みたいとする考えを示しました。

NHKニュース「ロシアとの停戦後にウクライナは大統領選を行うべき」より

ゼレンスキー氏は、アメリカとロシアに対して「俺抜きで話をするな」と牽制をしているようだが、そういう意味でも今回の報道、ウクライナのレアアースの話は、大きな意味があると思う。

プーチン氏の計画としては、ウクライナ抜きでのアメリカとの交渉をして有利な条件をもぎ取ろうというものだったので、それが頓挫した格好である。

追記

どこにレアアースが?!と思っていたが、スゴイ記事を発見した。

ロシア、ウクライナの未来を暗くした…巨額の資源埋蔵地を掌握(1)

2022.08.12 09:39

ウクライナ東部ドンバス地域で占領地拡大に総力をあげているロシアがこちらに集まっている原材料埋蔵地を掌握し、数十兆ドル価値の膨大なエネルギー・鉱物・金属資源を手に入れたとワシントンポスト(WP)が報じた。専門家はウクライナがこの埋蔵地を完全に失うことになれば、自主的に産業経済を維持することはできない弱小国に転落すると見通した。

~~略~~

ウクライナは農業強国だが、産業的に最も広く利用される鉱物および金属120種の中で117種と化石燃料の主な供給源でもある。SecDevとウクライナ鉱業・鉄鋼産業経営陣の分析によると、ロシアは2月24日侵攻以降ウクライナの石炭埋蔵地41カ所を含んで天然ガス(27)、プロパンガス(14)、石油油田(9)、鉄鉱石(6)、チタン鉱石(2)、ジルコニウム鉱(2)、ストロンチウム(1)、リチウム(1)、ウラン(1)、金(1)、石灰石採石場のほごんどを占めた。その結果、ウクライナは石炭埋蔵量の63%、石油11%、天然ガス20%、金属42%、レアアースおよびリチウムなど重要鉱物33%などをロシアに奪われた。

ウクライナ地質調査局長は「ウクライナ鉱物資源に戦争が及ぼした影響はまだ正確に把握されていない」とし、「ウクライナ原材料がほとんど東部と南部に集中的に埋蔵されていることを考えると、損失埋蔵量の価値は現在産出された総額をはるかに超えるだろう」と話した。

中央日報より

他に似たような話を書いているメディアはないかと探してみたけれども、あまり触れているメディアはないみたいだね。

近年の地質調査により、ウクライナの地下には金、銀、銅、そして多くのレアメタルやレアアースが埋蔵されていることが明らかになっています。例えば、金はカルパチア地方とドネツク地方のウクライナ・シールドの南斜面で発見されました。ザカルパチアでは、ムジィフカ鉱床で採掘されました。ヴォリンでは自生銅の大規模な埋蔵量が発見され、探査が行われています。

JJより

ロシアが地下資源で飯を喰っているのであれば、ウクライナだってその可能性があっても不思議はない。それがロシアによって占領されている地域である可能性だってあるんだ。

コメント

  1. 山童 より:

    さすがに山田太郎しぶとい!もはや死傷者と脱走で機能不全の寸前と思われますが、したたかに「オレをキャスティングから外すな」とアピール。コメディ役者なだけに演技とアドリブ「だけ」は上手い!
    んで、レアアースがどの程度に埋蔵しれてるのか解らないですが、その埋蔵量しだいでは風向きが少し変わるかも。
    とはいえプーチンと話し合った後で、ウクライナに押し付ける方がトランプ的に楽な話な気もするですが。2人をテーブルにつかせたら、まとまる話もまとまらない。
    この場合、国としては単独では何もてきないウクライナより、それなりに体を成しているロシア側の言い分が(少し)有利に働くのは仕方ないかと。

    • 木霊 木霊 より:

      役者だなぁ、と思いますね。
      ここぞという勝負勘はあるのでしょう。ただ、政治や経済は素人なので何の役にも立たないのは、既に実証済なので、戦争がもし終結したら速やかに大統領を辞職されて選挙をやることをお勧めしたい。
      プーチン氏の政治家としての力量はあると思うのですが、そろそろお歳でやや健康面で不安が。
      今後どうなるんでしょうかね。

  2. 山童 より:

    辺コメ頂いて読んでる端から「ガザ所有」ですね。いやホントに何を言い出すか解らないトランプ大統領ですねぇ😅
    まぁカナン(パレスチナ)はヤハウェが契約を結んだイサクに与えた約束の地ですから、キリスト教原理主義の福音派は喜ぶでせうね。
    対してイシュマルとヤハウェは契約はしてないし、聖書にもコーランにも契約や土地を与える話は書いてない。
    ヤハウェはイシュマル(アラブの先祖)の事をアブラハム(2人の父.イサクは正嫡の弟。イシュマルは庶子の兄)に頼まれて祝福してますが、契約と土地譲渡は約してない。嘘みたいだけれど、コレが米国の福音派がイスラエルを推す理由。
    ユダヤ人はイサクの子孫とされてますから。ちなみにアシュケナージがバザール人の集団改宗でユダヤ人になったという属せつは嘘です。
    なもんで福音派をよろこばす為の話と思いますけれど、ホントに米軍駐留させてパレスチナ人を追い出すとしたら、まぁ新たな火種それも激しいのの始まりでせうね。
    いや、トランプ大統領やはり人間核弾頭!

    • 山童 より:

      まぁ、それくらいのタマだから、行き過ぎたリベラルをブチこわしてくれるのかと、彼に期待したわけなんですけれど。
      猛毒転じて抗癌剤となるや??
      しかしプーチンにゼレンスキーにトランプに……なんでこう濃い面子には蠱惑的な魅力があるんでしょうねぇ?
      たぶん木霊様の趣旨と相反すると想うのですが、ブチこわしてリセットを求めるというのが民心にあると想うんですね。ヒトラーもナポレオンもとんでもない奴(多数の自国民を死なせた)ですが、魅力的でもある。結局、どう考えても行き詰まり……と多数が考えているのが21世紀の今なんでしょうねぇ。

      • 木霊 木霊 より:

        いや、古来から破壊と再生は神の領域の話です。インド神話などは顕著ですよね。
        だからこそ、それに憧れ、期待する人も多いのは理解できます。

    • 木霊 木霊 より:

      ガザ所有ですか。

      あの発言の真意が不明なので、何とも言えません。
      とんでもないことを言い出すのがトランプ氏なのですが、意外に根拠がしっかりした話であることが多いので、多分狙いはあるのでしょう。

      ご指摘のように宗教問題にクビを突っ込むのは、碌な結果にならないんですけどね。

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    「停戦」と「領土回復」を分けて考えないとダメなんでしょうね。
    現状では、ウクライナの、侵略された領土の全回復は絶望的ですが、「停戦」だけなら何とかなるかも。ロシアも経済的にも人的被害も相当苦しいようですし。
    ウクライナは、鉱山や発電施設を侵略されて、かなり苦しい立場にあるようなので、「売れるものは何でも差し出して助けを求める」フェイズに入ったのかも……

    というか。
    ウクライナは、この期に及んでの軍上層部や政治中枢部の腐敗を何とかしろと。
    人の常とは言え、この状況で、自分の利益確保「だけ」に動く連中の気が知れない……前線の兵士の命を、侵略された国民の暮らしをなんだと思っているのか。
    ロシアは言うまでもありませんが、ウクライナの腐敗には、本当に腹が立ちます。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      停戦は問題解決とは程遠いものですが、それでも停戦して欲しいというのがウクライナの本音なのでしょう。

      それと、ウクライナの政治的腐敗に関しては、多分それでもマシになったのでしょう。
      それでも他の国家並にするには、かなりの労力が必要なのでしょうね。

  4. 匿名 より:

    ウクライナでレアアースと言えばもう一つ。
    1stガンダムでオデッサ(オデーサ)にはマ・クベ大佐率いるジオン前進基地、兼 資源鉱山が あったのが有名?だけど、
    あれ?オデーサは早いうちにロシアに盗られてたような?
    それともガンダムでの鉱山があることが作り話?

    • 木霊 木霊 より:

      オデッサ攻略作戦でしたっけ?
      アレのもとになっているのはオデッサの戦い (1941年)で、ガンダムの世界では確か鉱山資源があったような気がしますが、現実世界では鉱物資源より工業技術の発達した都市で貿易の拠点にもなっている感じみたいですね。

  5. 砂漠の男 より:

    今月でロシア・ウクライナ戦争は4年目に入りますが、長引く消耗戦の結果、これまで強気できたロシアでは、国民経済と大統領支持率の悪化に懸念が出ているようです。
    トランプ大統領は、「大統領就任式までにウ戦争を終わらせる」➡「就任後1か月以内に停戦させる」➡「停戦まで6か月は必要」とトーンダウンしてきましたが、レアアース交渉にみるように、米国の利益を吊り上げるために、今では故意に戦争を引っ張っているようにさえみえます。米国は、両国の期待とは裏腹に、両国が一層窮乏すれば、停戦交渉は成功しやすいと考えてもいるでしょう。
    トランプ大統領が、大統領令を連発して、国内に屯する不法移民を追放したり、諸外国を高関税で威嚇していますが、トランプ大統領が難題を持ち出しても結局”ディール”できると世界が考え始めれば、それはすでにトランプ大統領の術中にハマっているということでしょう。
    今日から日米首脳会談ですが、石破首相は前任者同様、おだてられて軽く捻られて終わりそうです。

    • 木霊 木霊 より:

      プーチン氏もトランプ氏の登場を心待ちにしていたと思います。
      思い切った交渉が出来る可能性があるのはトランプ氏ですし、ウクライナを「人道目的で支援」などとアホなことを言い出さない相手です。
      落とし処を狙うには丁度よい相手だと考えているのでは?
      尤も、一筋縄でいく相手ではないのですけれどね。