あまり個人のブログ記事に関して突っ込む趣味はないのだけれど、議員の立場でこういう主張は迷惑である。もう、一般人になられてから自由な発言をされるのが宜しいかと。それとも、党を離れて野党に行くとか?自民党推しというわけでもないのだけれど、ちょっと党が不憫である。
誹謗中傷大国ニッポン~そろそろいい加減にしよう~
2025年01月26日(日) 08時47分06秒
わが日本、そろそろ誹謗中傷社会の度が過ぎるのではないでしょうか。
そして、究極のホワイト社会、生きづらい世の中になりました。窮屈で窒息しそう。誰もが看守で誰もが被疑者みたいな。なぜいつからこんな日本になってしまったのか。
松川るいブログより
読む価値はないと思うんだけど、与党議員をされている事を考えるとそうも言っていられない。
議員がこのレベルではお話にならない
お気持ちで政治家を続けられても困る
えーと、この記事、「それって貴女の感想ですよね」の一言で終わってしまう類いの記事であることを、先にお伝えしておこう。
その上で、内容について深刻な問題を孕んでいるので、そこを指摘しておきたい。
これは記事の最後に纏められた提言である。
① 誹謗中傷したら、即座に発信した個人が特定できるようにする(現在の開示請求は時間がかかりすぎる。開設条件も緩すぎ。アカウントがフェイクなのか日本人なのかすらわからない。)
② PV数を稼ぐビジネスモデルをやめる、または、PV数を稼ぐビジネスモデルを許容するのであれば、本人に取材もしていないような「こたつ記事」については、本人から申し出があれば即刻削除することを義務付ける、といった対策が必要だと考える。
③ オールドメディア(紙媒体、地上波放送局)は、ネット上の言説について、自身の独自取材や判断を厳正に行い、盲目的な後追い記事を書かない矜持を持つ。
④ ネット上の誹謗中傷を浴び続けた場合にどのような心理的経過を辿って闇に堕ちていくのか(その結果自殺に追い込まれることも含め)、精神病や心理学などの専門家による解説を広く世の中に知らしめ、世の中の常識とする。「無邪気な正義」により、誰かの自殺に加担する人だって被害者と言えなくもない。こうした人々を減らすためには正しい知識が必要だと思うところです。こうしたことの周知に、心あるマスコミ(オールドメディア)や心あるネット上のインフルエンサーは注力するべきだと思います。
松川るいブログより
部分的には賛同できる部分はあるんだけど、致命的に勘違いされている部分も結構ある。
1番目の指摘に関しては、ある程度必要な仕組みだと思うけれども、2番目の指摘はもうダメだ。何がダメかというと、「PV数を稼ぐビジネスモデル」というのは、現時点で存在する全てのメディアがその構造になっている。
コタツ記事の削除
テレビは視聴率に汲々としているし、新聞や雑誌は販売部数のために記事を書いている。ネットの記事だけが例外的に監視対象になるべきという立場でモノを言っている辺り、かなりの偏向思考が見られるのだ。
表現の自由を振りかざすのはどうかと思うし、その自由の裏付けになる責任を伴うことになるとは思っている。そういう意味で1番目に指摘の誹謗中傷に関して取り締まられるべきという主張には賛同できるんだけど、表現の自由を規制することになりかねないこの発言は深刻な問題を内包している。
正直、このブログの内容の大半はいわゆる「コタツ記事」である。コタツ記事の定義が、取材をしないで書く記事という意味であれば、まさにそれに該当する。
ただし、真面目にネット上の情報発信を観測・分析して記事を書いているので、読んでいる方が「気に入らないから削除しろ」と圧力を掛けてきたからといって、消すつもりはない。
本人から申し出があれば即刻削除することを義務付ける
こんなことを言っているが、議員の立場で削除の命令を出せるとしたら、それは深刻な表現の自由の侵害だと言える。日本国憲法第21条第2項で「検閲をしてはならない」とあるが、そこに完全に合致してしまう。
本人は良い大学を出た才女かも知れないが、どんな根拠に基づいてこんなことを言っているのだろうか。
オールドメディアの矜持
更に、3番目の項目だが、随分と2番目の項目と温度差がある。
オールドメディアの出すコタツ記事や、報道バラエティなどは完全にコタツ記事よりも有害だと思うのだが、そこはどう検証をするのだろうか。
文藝春秋などは深刻な問題を抱えている急先鋒だと思うのだけれど?
オールドメディア(紙媒体、地上波放送局)は、ネット上の言説について、自身の独自取材や判断を厳正に行い、盲目的な後追い記事を書かない矜持を持つ。
そもそもこの書き方「ネット上の言説」が極めていい加減で愚劣なものばかりだという認識に立った発言であり、なかなか傲慢に感じる。ネットの記事が玉石混合であるのは間違いないが、全てがデタラメというわけでもない。
もちろん、オールドメディアがネット上の言説を取材せずに(或いは、匿名アカウントに話を聞いただけで「取材」扱いにしてしまう)記事を書く姿勢は批判されるべきものであるのだが、「矜持を持つ」と言われましても。
それって、コタツ記事だから即刻削除の対象にはならないんですかね?表現に対して差別をしていませんかね?
無邪気な正義
そして4番目。「ネット上の誹謗中傷を浴び続けた場合にどのような心理的経過を辿って闇に堕ちていくのか」という視点は理解は出来るのだが、精神病や心理学などの専門家による解説を広く世の中に知らしめたりしたら、寧ろ悪用されることになりかねない。
ネット上でデマに蝗のように群がるアカウントがわんさか居る様子を見るのはウンザリするが、ネット上に限定しなくとも誹謗中傷を浴びせて他人を攻撃するようなことはそんなに珍しくない。
特に、学校などでいじめに繋がっていくプロセスはまさにそれだし、大人の世界にもある。それを良しとするということではなく、現実社会で求められないのにネット上のそうした動きをどうやって止めるのか。
合理的な判断が出来る人間であれば、他人を誹謗中傷したりはしないのだ。安易にいじめに手を貸している時点で、真面な判断をしているとは思えないし、そういった無自覚な人間に何か言ったところで無駄である。
こうしたことの周知に、心あるマスコミ(オールドメディア)や心あるネット上のインフルエンサーは注力するべきだと思います。
……心あるマスコミなんて見たことないんだが、日本にいたっけ?
何かお気持ち以上のことが書かれているかと言えば、そんな様子は見受けられない。4つの提言がこの始末なのだから、まあ、何というか。恥ずかしくないのかな?素直に不思議に思うのだが。
SNSは暴力がまかりとおるジャングル。匿名で誹謗中傷できるシステムそのものに問題があると思います。
問題はあると思うけれど、じゃあ表現規制をしてなんの意味があるのかは良く分からない。
心あるマスコミ?
さて、では「こうしたことの周知」に注力したマスコミが、彼女についてどんな記事を書いたかと言えば、こんなものだ。
『エッフェル姉さん』松川るい議員に安藤優子さんが直撃! SNSでの炎上騒動後メディア初出演 語る真相「党の判断」
2023年12月27日 水曜 午後6:01
2023年7月、自民党女性局の局長だった松川るい参議院議員は、全国の女性局の地方議員など38人を率いて、3泊5日のフランス視察研修を行った。 松川議員はエッフェル塔の前で“エッフェルポーズ”を決め、大阪の地方議員2人と撮った写真をSNSに投稿して大炎上、ついたあだ名は「エッフェル姉さん」。女性キャスターの「レジェンド」安藤優子が、この騒動の背景を直当たり取材した。
FNNプライムオンラインより
エッフェル姉さん……。

これに対して、なにやら取材をして彼女の名誉回復に努めたようなのだが……。
ジャーナリスト 安藤優子:
(研修の)報告書はちゃんと出されている?「出していますよ、もちろん」と松川議員。報告書を取り出し見せてくれた。
自民党・松川るい参議院議員:
私が提出したのは90ページですよジャーナリスト 安藤優子:
すごい量ですよね自民党・松川るい参議院議員:
FNNプライムオンラインより
すごく充実した資料で。私は党の皆さんにぜひ活用してもらいたいと思うんですけど。
提出した90ページの資料は開示されないし、資料が分厚いからといって何か価値がある証明にはならないのだが、これで名誉は回復されていると思っていらっしゃるのだろう。
【独自入手】“エッフェル姉さん”研修は実質3時間 公文書から明らかになったパリでの空白の1日
2023/11/24/ 11:00
大炎上した自民党女性局のフランス研修に、局長として参加した松川るい参院議員が、当初から1日しか参加しない予定だったことがAERA dot.が入手した外務省の「公電」という公文書から明らかになった。文書の日程通りであれば、松川氏の研修の時間は、実質3時間しかない。やはり観光の要素が強い研修だったと言わざるをえない。これでは“エッフェル姉さん”の呼び名は受け入れてもらうしかない。
AERAより
お仲間の朝日新聞系雑誌も、批判的な記事を書かれているんだが、こちらは「心あるマスコミ」ではないのかもしれないね。
別に、パリに研修に行っていただくことを否定したいわけではないのだが、仕事するなら娘を連れて行くのはどうかと思うし、観光するなら自費で行けよと思う。仕事の序でに観光をしましたなどとは、民間の会社では言えないぞ。
この時点で、色々ズレていると言わざるを得ない。
収益支払い停止
さて、色々深刻な問題があるのだが、流石に建設的な意見を提示しないのは収まりが悪いだろう。
この話の出発点は一体何かというと、「ネット上の誹謗中傷」があって、これを取り消すことが困難であるという点に尽きるのだろう。
ネットの匿名性がその取り消し行為を邪魔しているのだから、それを排除すべきだという論に至っている。
松川氏はそこをお気持ちというか、エッフェル姉さんの恨み辛みであんな提案になっていると思うのだが、そこは間違いだろう。
<独自>違法選挙動画で金もうけダメ 収益支払い停止、自民がSNS対策で法改正検討
2024/12/28 19:37
自民党が、選挙期間中に交流サイト(SNS)上で誹謗中傷や偽情報と思われる発信が相次いでいる問題を受け、SNSを運営するプラットフォーム事業者が動画投稿による収益の支払いを停止できるようにする法改正を検討していることが28日、分かった。収益化を目的に真偽不明の情報が拡散され、選挙に影響を及ぼしかねない事態となっていることから対策強化を図る。複数の関係者が明らかにした。
産経新聞より
現在、自民党内ではSNS上の誹謗中傷や偽情報に関して、収益の支払い停止できるような法改正を進めている。
即効性がないので、「誹謗中傷や偽情報に対する収益化を止める」ことと「選挙対策」とは切り分けて考えるべきだが、自民党の本丸は選挙対策なのだからここは仕方があるまい。
ただし、「誹謗中傷や偽情報に対する収益化を止める」ことは、誹謗中傷や偽情報が客観的に把握できるケースに関しては、そういった情報で金稼ぎすることが害悪なのでやるべきだろう。
そして、選挙対策についてはこちらの部分。
現行の「情報流通プラットフォーム対処法」は大規模プラットフォーム事業者に対し、違法投稿への対応の迅速化などを義務付けている。同法は選挙の候補者の名誉を毀損する内容の投稿を削除しても賠償責任を負わない特例も設けている。
産経新聞より
表現の自由とのバランスで、こういった違法投稿の削除を求めていくことはかなり困難ではあるが、こちらも明らかに事実と異なるものに関しては、迅速な削除をしたほうが公共の福祉に資する事であると思うから、やるべきだ。
ところが、松川氏の今回のような記事や発信は、明らかに自民党の行っている議論に水を差す行為である。「やっぱり自民党の言論規制は危ない」と思わせるリスクがあるのだ。自民党は、こういった邪魔をする議員を排除した方が良いのではないか。少なくとも何らかの警告をしないと「自浄作用がない」と思われかねない。
表現の自由と議員の責任を勘違いされている節があると、僕自身は感じているのだが皆さんは如何だろうか。
追記
えぇ、謝っちゃうの?
自民・松川るい氏、ブログ「誹謗中傷大国ニッポン」を釈明「気分害された方、すいません」
2025/2/3 10:33
自民党の松川るい参院議員は2日、TBSの情報バラエティー番組「サンデージャポン」に出演し、SNS上の誹謗中傷対策について自身が1月26日に投稿したブログ「誹謗中傷大国ニッポン~そろそろいい加減にしよう~」のタイトルについて釈明した。「ちょっと刺激的過ぎたかと思っている。気分を害された方はすいません」と語った。
産経新聞より
謝罪よりも自らの誤りを認める方が先なのだけれど、「ちょっと刺激的すぎたかも」というのは問題の本質を理解していないと思う。
刺激的に過ぎたというのであれば、それは自らPV数を稼ぐビジネスモデルに乗っかったということを認めたに等しいのだけれど、そこは良いんだ。
コメント
我が国の女性議員の方々は、中央・地方を問わず、大抵残念な方ばかり、
と感じているのは自分だけでしょうか?
もちろん、あくまで個人の意見です(棒
そうですねぇ。
僕自身も何人か頭に思い浮かびましたが……。
こんにちは。
・自民党は、党内に右から左まである程度のバリエーションを持つのが強みというか特徴、なのですが、ものには限度というものが……
・女性の参画、それ自体は否定しませんが、あくまで参画の基準は「能力」で決められるものであって、「女性の比率を何パーセント」とか決めるのは「クズでもいいから入れる、数値主義極まれり」としか思えないのですが……
今の時代は、片っぽに振り切った時代のほぼ終焉(≒極大期)だと思ってます。
一刻も早く、揺り戻しが来ますように……
こんにちは。
バリエーションを揃えるのは良いのですが、「使える前提」でないと。
女性参画って、しっかり闇の側面があることも踏まえないとダメだと思うんですよ。そこ乗り越えてこそ、の女性活躍なんですよね。