韓国銀行が危険信号を示す異例の展開

トランプ氏がアメリカ大統領に返り咲いたお陰で、関連ニュースも怒濤の勢いなのだが。韓国も無関係ではいられないんだよね。もちろん、日本もだが。

韓国銀行「今年の成長率見通し１．６～１．７％に引き下げ」異例の中間発表

2025.01.21 06:39

韓国銀行調査局は２０日、今年の経済成長見通しを１．６～１．７％に下方修正すると発表した。昨年１１月に発表した実質国内総生産（ＧＤＰ）増加率見通し１．９％から０．２ポイント以上引き下げた数値だ。韓国銀行が２月の公式経済見通し発表を控え、「中間評価」の性格の見通しを出したのは異例だ。

中央日報より

で、韓国銀行は「今年の成長見通しは厳しい」という異例のアナウンスを出したようだ。

全方位で厳しい

不動産業が青息吐息

何処向けの発表かは不明だが、韓国は色々大変だからねぇ。

先ずは不動産部門なのだけれど、不動産業界が不調なのは既にお伝えした通りである。

韓国、不動産部門の再編加速へ　事業の収益性やリスクを評価

2024年5月13日午後 2:03

韓国金融監督院（ＦＳＳ）は１３日、不動産セクターの再編を加速させるため、不動産事業の収益性やリスク評価を今以上に行うと明らかにした。

ロイターより

これは去年の5月頃の報道で、不動産セクターの再編をやってなんとか方向修正しようとしていた頃の話である。

韓国、建設不況で就業者１６万人減少…成長率まで引き下げる

2025.01.21 11:21

韓国で建設業不況が続いている。年初から建設会社の不渡りと廃業が続いており、建設業就業者数は１年間に１６万人近く減少した。建設業不況は内需不振につながり国の経済にも悪影響を及ぼしている。

中央日報より

が、軌道修正適わず、多くの建設会社が廃業して、就業者も16万人減少してしまう。

にもかかわらず、不動産に投資する人が多いのが現状だ。

資金が産業ではなく不動産に集中する韓国経済、カネの流れも30年前の日本に酷似

2025/01/15 07:05

韓国ソウル郊外の京畿道果川市に住むKさん（59）の財産は、現在住んでいる時価15億ウォン（約1億6000万円）のマンション（面積約30坪）がほとんどだ。そして、住宅を購入する際に銀行から借りた住宅ローンを返済するため、元利合計で毎月300万ウォンずつ返済している。

朝鮮日報より

不動産神話は今も韓国に息づいているのである。

低成長時代

そして、多くの企業が支那にかなりの投資を行っていたのにも関わらず、それを回収することが難しい状況である。

急減する韓国の対中直接投資

2025年1月20日

韓国企業の中国事業が壁に直面している。韓国の対中直接投資は激減しており、2023年は2003年以来20年ぶりに、20億ドルを割り込んだ。中国で事業を展開中の現地の韓国系企業も厳しい事業環境下に置かれており、中国事業を縮小したり、中国から撤退したりする企業も散見される。その半面で、中国事業で成功を収めている企業もみられる。

JETROより

韓国のビジネスモデルは、低価格高性能商品の提供によって価格競争力で市場拡大を目指すやり方で、技術開発はあまり積極的にやってこなかった。

唯一といって良いほど頑張ってきたのは、半導体分野である。

サムスンやSKが半導体に70兆円投資、問われる日本の覚悟

2024.12.16

44年ぶりの「非常戒厳」の宣言を巡り揺れる韓国で、2047年までに民間が70兆円近くを投じる半導体プロジェクトが動き出している。投資の主体は同国のSamsung Electronics（サムスン電子）とSK hynix（SKハイニックス）。半導体メモリーで圧倒的シェアを握る2社の将来を左右し、日本の半導体産業にも影響は及ぶ。

日経XTECHより

ただ、有利をとれているのは半導体メモリー分野であり、それも支那に随分と浸食されている。

サムスンが３０年かけ開発した半導体洗浄技術、中国へ流出の試みが発覚

2025.01.20 11:17

サムスン電子と子会社が開発した「国家核心技術」である半導体洗浄装備を中国企業に輸出した一味が裁判にかけられる。容疑者らは「独自開発したもの」としながら容疑を否認したが、検察が新たに開発したデータ解析技法で技術原本の痕跡である「デジタル指紋」を確認して犯行のすべてが明らかになった。

中央日報より

半導体洗浄技術は、日本が強みを保っていた部分だったんだけれども、いつの間にか「韓国が30年掛けて開発した」ということになっていて、その技術は支那に渡ってしまったようだ。

支那に投資するということは、そういうリスクを抱えることでもある。

まあ、この手の産業スパイはそこかしこにいるし、本当に盗まれたかどうかは不明なのだが、ともあれ、低コストの製品を提供するのは支那が完全に覇権を握ってしまっている。

電池産業も瀕死

そして、生き残りをかけて開発を続けている電池業界にも、不穏な空気が漂っている。

韓国はリチウムイオン二次電池のシェア拡大を狙っていたが、残念なことに絶好調とは言い難い。世界中でリコールの嵐が吹き荒れていて、収益が覚束ない、そこで、新たな技術を模索しているわけだが…。

「生き残り危機」韓国バッテリーは技術戦争中…全固体電池韓中日三国志

2025.01.16 10:57

電気自動車の需要停滞により危機を迎えたバッテリー業界が次世代技術開発に集中している。非常経営でコストを節約しながらも研究開発は強化する方式だ。特に業界の地図を変える「ゲームチェンジャー」である全固体電池市場の先取りをめぐり、韓中日の企業間競争が激しい。

中央日報より

全固体電池は登場して間もない状況で、まだ大型の物を作ることは難しいし、自動車に乗せるわけにも行かない。

後数年はかかる技術だと思われる。早ければ来年なんだが……。

ともあれ、全固体電池に命運をかける程度には追い込まれている状況にあると言って良いだろう。以前、電池のシェアは韓国勢が7割だという時代があったのだが、今や低価格を武器にした支那製二次電池が市場を席巻している。

2024年には支那勢はシェア65％を占め、韓国勢は21％になっている。日本は4％だね。

日本の方がヤバイ状況ではあるんだけど、韓国勢も対岸の火事という感じではなくかなり負けが込んでいる。

日銀の利上げ観測

ここへ来て、日銀の利上げという話題がでてきてしまった。

日銀 金融政策決定会合 今週開催 追加利上げに踏み切るか焦点

2025年1月20日 7時47分

日銀は1月23日、24日に金融政策決定会合を開きます。日銀内では、今の経済・物価情勢や賃上げに向けた企業の動きから、追加利上げの環境が整ってきたという意見が多くなっていて、去年7月の会合以来となる追加利上げに踏み切るかどうかが焦点です。

NHKニュースより

そうなると、韓国銀行の金利はこれ以上上げられない状況なので、金利差の優位性を失ってしまい、韓国からの外資が逃げ出していく切っ掛けになる可能性がでてくる。

この流れでウォン安が進んでしまっているので、苦しむのも仕方がない。

韓国・輸入コーヒー価格が1カ月で10％上昇、ウォン安で輸入物価に圧力

2025年1月16日 11:30

韓国ウォンの平均為替レートが昨年12月、1ドル＝1430ウォン台を記録し、輸入物価が3カ月連続で上昇した。韓国銀行が今月15日に発表した「2024年12月の輸出入物価指数および貿易指数」によれば、同月の輸入物価指数は前月比2.4％上昇。前年同月比では7.0％増と、11月（2.8％）からさらに大きな伸びを見せた。

AFPより

ただまあ、このウォン安はトランプ政権の動向でひっくり返る可能性があるので、余り参考にはならないんだけどね。

政治が空転

こういう状況下において、韓国大統領は留置所にいる。

尹大統領、権限なく拘束され、取り調べ後は拘置所へ

凄い国だなぁ。尹大統領　取り調べ後はソウル拘置所へ＝３坪の独房に収容か2025.01.15 14:25内乱容疑で拘束された韓国の尹錫悦大統領は政府果川庁舎にある独立捜査機関「高位公職者犯罪捜査処（公捜処）」で取り調べを受けた後、ソウル拘置所...

www.kodama-yomoyama.com

2025.01.17

幸いなことに大統領代行の代行をしている経済に明るい崔相穆氏は、韓国銀行の李昌鏞氏と密に連携している。

ただ韓国銀行は「来月発表する見通しが１月の予想より高くなるか低くなるかは国内政治的不確実性の解消時期、政府の追加的な景気浮揚策、米国新政権の経済政策展開などに影響を受けると判断される」と明らかにした。その上で「政治不確実性が再び高まらないようにすること、政治とは別個に経済政策が一貫性を持って正常に作動するようにすることが対外的に経済信頼を確保し国内経済主体の心理を安定させるのに必須」と強調した。

中央日報「韓国銀行「今年の成長率見通し１．６～１．７％に引き下げ」」より

したがって、このメッセージも韓国国内に「政治的混乱を助長するな」とアナウンスする目的だと考えられる。

要は、代行の代行である崔相穆氏を弾劾するなよ、弾劾するなよ、という話なのである。

フィッチが警告

なお、外国からも色々と指摘があるようだ。

「韓国、政治危機が長引けば信用格付け引き下げも」

2025/01/20 14:05

スタンダード・アンド・プアーズ（S＆P）、ムーディーズ、フィッチという世界の3大信用格付け会社のうち２社が、昨年末の非常戒厳をきっかけに韓国で起きている政治的混乱について「事態が長引けば国の信用格付けが下落する可能性がある」と警告した。韓国の信用格付けは、アジア通貨危機が起きた1997年に投機的等級（ダブルB格以下）まで下落し、以前の水準を回復するのに18年かかった。

朝鮮日報より

外国企業からの政治介入的な動きなので、韓国政府としては嫌な動きではあるが、直ぐに下がるという意味ではなくて「混乱が続いたら」という条件付きの警告のような話である。

信用格付け各社はまた「政治的な不確実性が韓国の今年の成長率にも否定的な影響を及ぼす」との見通しを示した。非常戒厳や大統領の弾劾訴追、内乱容疑などを巡って政治的論争が過熱し、企業の投資心理や国民の消費心理が一気に冷え込むというわけだ。S＆Pで信用格付けを担当するキム・ウンタン理事は「（今回の事態で）韓国の信用格付けが変更されるとは予想していないが、投資・消費心理に否定的影響を与える可能性が高い」として「韓国の国内景気の回復にもマイナスの影響を与えるだろう」と述べた。

朝鮮日報より

まあ、韓国市場は空売り禁止とかやらかして、信用を落としている状況だけに、寧ろ格付け会社からは温情的な扱いをされていると言っても過言ではない。

空売り解除が出来るかも注目

ええ、株式の空売り禁止ってそんなにダメなのか？というと、非常時にはままあるケースではあるのだが、長期間維持することは特殊だ。

韓国株式が急騰 空売り禁止を好感 コスダックは一時取り引き停止

Write: 2023-11-06 15:46:27/Update: 2023-11-06 18:11:46

株の取り引きにおいて、実際には保有していない株式を、信用取引などで借りて売る、いわゆる「空売り」が、来年6月末まで禁止されたことを好感し、韓国株は6日、急騰しました。新興株式市場のコスダックでは、買い注文が一時的に停止されましたが、その後も高い水準で取り引きが行われ、終値は前の営業日と比べて7%以上上がりました。 

KBS WORLDより

この空売り禁止の解除は、今年の3月の予定なんだが……。

韓国、全株式対象に空売り禁止の解除目指す－来年３月末

2024年9月12日 16:50 JST

韓国金融委員会の金秉煥委員長は12日、株式の空売り禁止を来年３月末に解除する計画を明らかにした。必要なルール改正がそれまでに実施されるよう取り組んでいく。

Bloombergより

銘柄によって空売り禁止というのは、他の先進国でもある話なのだが、全銘柄空売り禁止をやるのはかなり限定されたシーンとなる。それを長期間維持している韓国はやはり特殊な環境下にあると言えるだろう。

市場の混乱を抑える為の非常手段みたいな話で、韓国の市場全体に信用がありませんよと自白するようなものなので、長期間維持するのは宜しくないのだよ。でも、現状だと空売り禁止状態から脱出するのは難しいかも？