近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。
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感染症の流行拡大と薬の流通

社会
この記事は約9分で読めます。

去年末頃からその兆候はあったのだが、ここへ来て更に感染者数が増えているようだ。僕も喉の調子が宜しくないね。

インフルエンザ患者数 現行の統計開始以降で最多に

2025年1月9日 19時28分

先月29日までに全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は1医療機関あたり64.39人で、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降、最も多くなっています。43の都道府県で「警報レベル」の30人を超え、すべての都道府県で前の週より増加しています。

NHKニュースより

去年末、11月以降、殆ど雨が降らずに乾燥した時期が続いたことも、多少は影響しているかも知れない。

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ウイルス感染症の流行

インフルエンザの流行

毎年、1月中旬くらいからのインフルエンザの流行というパターンが多い。

武漢ウイルス感染症の感染拡大時期には、形を潜めていたインフルエンザだが、今年は過去最多のペースで増えているようだ。

1医療機関あたりでは64.39人と前の週より21.73人増えて、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降、最も多くなっています。

NHKニュース「インフルエンザ患者数 現行の統計開始以降で最多に」より

とはいっても、統計を取り始めたのが1999年からなので、ここ25年で最も多いペースだと言うことに過ぎない。

それでも、人が死ぬ病気なので、皆さんは十分に注意頂きたい。手洗いとマスクの着用はしっかりというのは、武漢ウイルス感染症の時とほぼ同じ。感染力はそれよりもやや弱い程度なので、あとは栄養をしっかり取って睡眠を削らないことが大切だね。

薬が足りない

さて、インフルエンザの流行は毎年恒例の事態で、今年はかなり多いと言うだけの話なんだけど、武漢ウイルス感染症の感染も拡大しているので注意して欲しい。

新型コロナも「感染拡大注意報」発表 インフルエンザは警報レベル継続 定点患者数も過去2番目に高い数値=静岡

2025年1月9日(木) 19:06

静岡県内では、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時流行しています。県は1月9日、新型コロナについて感染拡大注意報を発表し、インフルエンザも警報レベルが続いているとして、感染対策の徹底を呼びかけています。

SBSより

どうやら全国的な傾向と言うよりは、一部地域の感染者数増加が顕著という感じのようだ。

武漢ウイルス感染症の感染傾向

これと、インフルエンザの流行を比べてみれば、その勢いの差が良く分かるだろう。

インフルエンザの感染傾向

で、感染者が大幅に増加すると何が起こるか?ということなんだけど、流通が混乱する。

タミフル後発品シェア 選定療養で急拡大 10歳未満で59%に インフル流行も相まって供給停止に影響か

2025/01/10 04:52

抗インフルエンザ薬・タミフルの後発品比率が全年代で急拡大していることがわかった。ドライシロップを処方する機会が多い10歳未満では、24年11月の後発品比率は59%となり、前年同月の26%から大きく伸長。10代の後発品比率も24年11月に74%となり、前年同月の47%から大きく伸びたことを確認した。24年10月に施行された長期収載品の選定療養の影響が大きく表れたとみられる。

ミクスOnlineより

中外製薬、タミフルを供給調整 インフル流行拡大で

2025年1月9日 17:54 (2025年1月9日 21:54更新)

中外製薬が9日、インフルエンザ治療薬「タミフル」の供給調整を始めたことがわかった。医療関係者や卸売業者に周知した。2024年12月中旬以降の流行拡大に加えて、後発薬の供給停止を受けて、すべての受注に応えられず、出荷量を限定している。

日本経済新聞より

薬剤が足りないよーという話なんだけど、この他にも抗生剤や咳止め薬などの不足が慢性的に発生しているので、ウイルス感染症の拡大によってより混乱が広がると予想される。

薬不足の話

こういった薬不足の話はここ数年聞かれるようになった。

抗菌薬不足への悲鳴に有効策は

2024年07月19日 (金)

経口抗菌薬不足への対応で医療機関、薬局の現場から悲鳴が上がっている。医薬品の供給不足が深刻化していた中、5月に長生堂製薬の川内工場の不適切製造が発覚した影響で混乱に拍車がかかっている。この事態に対し、厚生労働省は医療機関や薬局に経口抗菌薬の過剰な発注を控え、当面の必要量に見合う量のみを購入するよう求める事務連絡を出したが、沈静化にはほとんど至っていない。

薬事日報より

何故、こんな話になるのかというと、薬価の問題である。

こちらは2019年の記事なのだが、この傾向はずっと続いている。

背景にあるのは、医療費抑制のために政府が医薬品の公定価格(薬価)を下げる「薬価下げ」だ。高額とされた小野薬品工業のがん免疫薬「オプジーボ」なども薬価下げの対象にされ、製薬企業の業績を左右する。

抗菌薬は使用される頻度が高く市場が大きかったため、1990年代と比較して半分以下まで値段を下げられている。近年は耐性菌出現の懸念から、医療現場では抗菌薬の使用をできるだけ控えるよう推奨されている。

こうした環境変化により、多くの製薬企業にとって抗菌薬は「もうからない」ビジネスになってしまった。当然、原材料メーカーに対するコスト削減要求も強まり、国内メーカーは相次ぎ生産から撤退。抗菌薬を提供する日医工などのジェネリック薬メーカーも、人件費の安い海外から原材料を調達してなんとか採算ギリギリのラインで事業を継続しているのが現状だ。製造コストと薬価はほぼ同等との指摘もある。

日経ビジネスより

何というか、日本の役人は頭が悪いのか?と思ってしまうほど酷い状況なのだが、これは日本の医療保険制度がネックになっている部分も大きい。

いつまでもデフレマインドを引き摺っていてはいけないのだが、年々増える医療費を低く抑えるために、ジェネリック医薬品を推奨しているのだが、別にジェネリック医薬品だからといって際限なく値下げが出来るわけもない。

必要な医療費は高齢者ほど高額になる

そして、年間の医療費は年齢区分別で比べてみると、高齢者ほど医療費がかかっている。

図表1. 1人当たり医療費 [1年間]

これで、高齢者の医療費を1割負担などといっているのだから、現状のまま制度維持が出来ないことは明らかである。

政府 新たな「高齢社会対策大綱」医療費3割負担の対象拡大検討

2024年9月13日 12時35分

さらなる高齢化を見据え、政府は13日の閣議で、新たな「高齢社会対策大綱」を決定しました。社会を持続可能なものにしていくため、75歳以上で医療費を3割自己負担する対象者を広げることを検討するなどとしています。

NHKニュースより

いよいよ高齢者の医療負担を引き上げるという話がでているのだけれど、年齢別人口割合などから考えても、負担を引き上げざるを得ない時期に来ているのだと思う。

高齢者の窓口負担増で利用率が1%ほど、医療費が3%ほど減少

2024/09/09

一定以上の所得を持つ後期高齢者窓口負担が1割から2割に増えたことで、医療サービスの利用割合が1%程度減少したほか、医療費総額が3%程度減少したことが分かった。後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しの影響について、2024年8月30日に開かれた社会保障審議会医療保険部会で報告された。

日経メディカルより

医療負担を上げれば利用率が減少することはデータで分かっており、アホほど薬を処方される実態を改善できれば医療費の圧縮に繋がるだろうと思われる。

まあ、それだけでは根本的解決にならなくって人口構成を考えたら、医療費負担を増やしたところで、制度の延命に繋がるに過ぎない。今後、更に高齢化することは分かっているのだから。

少なくとも医薬品の単価を下げて制度維持を求めるよりは、医療費負担を増やしていった方がまだ健全だろう。「103万円の壁」の話が出たのだから、是非とも社会保険料の話も議論してくれ。今のままでは存続できないから。

追記

コメントを頂いたので、触れなかった話題に少しだけ。

中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念

2025年1月6日(月)16時02分

ニュース報道やソーシャルメディアへの投稿では、中国でヒトメタニューモウイルス(HMPV)というあまり知られていないウイルスが流行していると警告されている。中国当局はまだこの事実を公式に認めていない。

~~略~~

このウイルスは2001年に発見されたばかりで、インフルエンザに似た呼吸器合胞体ウイルス(RSV)と同じ仲間に属している。

Newsweekより

Newsweekのタイトルが誤っていて、中身に「このウイルスは2001年に発見されたばかり」って、もう四半世紀前に発見されているんだが、どうして「未知のウイルス」になるのかと。

WHO「ヒトメタニューモウイルス感染症」中国で感染増も想定内

2025年1月8日 19時13分

WHO=世界保健機関は7日、北半球での呼吸器系の感染症の流行に関する報告を公表し、熱やせきなどの症状が出る「ヒトメタニューモウイルス感染症」について中国で感染が増えていることが確認された一方、感染者の規模はこの時期に想定される範囲内だと明らかにしました。

「ヒトメタニューモウイルス感染症」は、熱やせきなどの症状が出る感染症の1つで、高齢者や乳幼児などが感染し発症すると重症化するおそれもあります。

NHKニュースより

とはいえ、感染症の拡大は望ましくないわけで、春節を前にちょっと騒ぎになったのは理解できる。でもマスコミは煽りすぎだと思う。

ヒトメタニューモウイルス感染症とは

気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症をひきおこすウイルスの一種です。1~3歳の幼児の間で流行することが多いのですが、大人にも感染します。

小児の呼吸器感染症の5~10%、大人の呼吸器感染症の2~4%は、ヒトメタニューモウイルスが原因だと考えられています。とくに乳幼児や高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。

Maiji Seika ファルマのサイトより

小児科では割と知られたウイルスで、治療薬はないけれども大抵は軽く済む感染症のようだ。人によっては重症化するので注意が必要だと。

追記2

広がるかとみられていたが、やや落ち着いたようだ。

インフルエンザ患者数 大幅に減少も引き続き注意

2025年1月14日 16時55分

1月5日までに全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関あたり33.82人で、過去最も多かった前の週から大幅に減少しました。

専門家は減少した理由について「年末年始の時期は休みの医療機関が多く、受診する人が少なかったためだと考えられる」とした上で、流行は続いているので引き続き注意が必要だと呼びかけています。

NHKニュースより

インフルエンザの流行が収まってきたということであれば、理由はともかく良かったと思う。

コメント

  1. 匿名 より:

    中国で新たな感染症ヒトメタニューモウイルス(hMPV)が確認されましたが,
    WHOによると死亡率は低く数日で回復している、
    インドとマレーシアで感染が確認されている。

    WHOの発表を何処まで信用していいのやら。

    • 匿名 より:

      追伸
      hMPVは生後6ヶ月から10歳までに一度は感染するもので、コロナ対策で感染していない子供に今になって感染が広がっている模様。

    • 木霊 木霊 より:

      追記で紹介しましたが、小児科では割と知られた(2001年に発見されたそうですが)感染症のようですね。
      WHOは随分と信頼を落としましたから「心配ない、想定内だ」と言われても信用できませんが、まあ、現状は警戒は必要ではありますが、騒ぐほどではないかなと考えています。

  2. 匿名 より:

    コンゴ民主共和国滞在履歴のある外国人が変種エムボックス(サル痘)を中国で集団感染させた模様

    春節が怖い