NHKニュース、またこんな報道をやらかして……。
米メタ ファクトチェック廃止を発表 トランプ氏就任踏まえたか
2025年1月8日 8時53分
アメリカのIT大手メタは、SNSのフェイスブックやインスタグラムなどで行ってきた第三者による投稿内容の事実確認、ファクトチェックを廃止すると発表しました。 アメリカのメディアは、トランプ氏が1月20日に大統領に就任することを踏まえた動きだと伝えています。
NHKニュースより
この記事自体は大きな問題はないが、タイトルはどうなんだろう。どう考えても偏向を促しているぞ。
チェック機構の在り方を模索
メタ、コンテンツモデレーションを止めるってよ
ええと、先ずはBloombergより記事を引用しておこう。
メタ、第三者ファクトチェックを米国で廃止-「監視行き過ぎた」
2025年1月8日 0:26 JST 更新日時 2025年1月8日 7:51 JST
フェイスブックやインスタグラムなどを傘下に持つ米メタ・プラットフォームズは、同社が米国で運営するソーシャルメディア上では第三者によるファクトチェックを終了すると明らかにした。今後はユーザーが投稿の正確性についてコメントできるコミュニティーノート方式に切り替え、表現の自由を促進するとしている。
メタでグローバル渉外部門のトップを務めるジョエル・カプラン氏は7日のブログ投稿で、同社プラットフォーム上でのコンテンツモデレーション(投稿監視)の仕組みは「行き過ぎ」であり、ユーザーの自由な表現をあまりにも頻繁に阻害しているとした。
Bloombergより
Bloombergが報道している通り、メタ自身が「投稿監視の仕組みは「行き過ぎ」であり、ユーザーの自由な表現をあまりにも頻繁に阻害した」と説明している。
メタには、コンテンツモデレーションという仕組みを取り入れ、問題のある書き込みに対して修正をするような干渉をするシステムが採用されている。
これは近年のトレンドで、特に欧州ではこの仕組みの取り入れに積極的である。
EU「コンテンツモデレーションが不十分」 Xに人員など情報を要求
2024年5月9日 4時30分
欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は8日、X(旧ツイッター)に対して、不適切な投稿を監視したり削除したりする「コンテンツモデレーション」が不十分などとして、対応している人員数などの情報を提供するよう要求した。
2022年に発効したEUのデジタルサービス法(DSA)は、プラットフォーマーなどの巨大IT企業に、利用者の保護を義務づけている。その中で年2回、削除した投稿件数やコンテンツモデレーションに携わる人員数などを開示させる「透明性リポート」の提出を各社に求めている。
朝日新聞より
去年の5月にはこんな報道があったが、「利用者の保護」と言いつつも、要は言論統制を促す流れとも言えるのがコンテンツモデレーション(投稿監視)なのだ。
最近はAIを利用した投稿監視が主流で、特に偽情報の流布などを抑制するなどと言う方向性に動いている。
情報流通の健全化
確かに、SNSではややもすれば相手の人格を否定したり強い言葉の応酬などに発展しやすく、虚偽情報があたかも真実のように語られるなど問題点も多い。
SNSにまん延する偽情報 プラットフォーマーに求められる対策とは?
2024年09月13日 08時00分 公開
SNSなどにまん延する偽情報や偽広告への対応が急務となっている。デジタル空間における情報流通の健全化について議論してきた総務省の有識者会議は9月10日、議論のとりまとめを公表。SNS各プラットフォーム(PF)事業者らが取る対策について、一定程度の取り組みは認められるものの、「透明性・アカウンタビリティー(説明責任)の確保は総じて不十分」「事業者による自主的な取り組みのみには期待できない状況」などと厳しく指摘した。
IT mediaビジネスより
こういった問題に対応する必要があるのが、多くの有識者の共通認識となりつつある一方で、こういった問題に対応するのはかなり技術的課題がある。
各PF事業者は、うその情報や広告が拡散しないよう、AI技術や人間の目で監視し、不適切な投稿を削除する「コンテンツモデレーション」(投稿の適正管理)に取り組んでいるが、瞬時に拡散する偽情報に対処しきれていないのが実情だ。
IT mediaビジネス「SNSにまん延する偽情報」より
技術的課題と書いたけれども、AIを使えばかなりの部分はカバーできる。ただし、不適切な単語を使っていることを検出する程度であり、偽情報の検出が出来るか?というと、根本的な問題はある。一体何が「ニセ」なのかをどうやって判断するのか?という課題があるのだ。
無害なコンテンツが引っかかる
実際、結果として無害なコンテンツの検閲が行われることになる。
ブッシュ(子)政権時代に次席補佐官を務めたカプラン氏は、「あまりにも多くの無害なコンテンツが検閲され、あまりにも多くの人が『フェイスブックの監獄』に誤って閉じ込められており、そういった場合のわれわれの対応は遅すぎることが多い」と述べた。
カプラン氏は「何をどのように事実確認するかという選択において」ファクトチェッカーのバイアスが見られたとし、「あまりに多くの正当な政治的議論が封じられていた」としている。
Bloomberg「メタ、第三者ファクトチェックを米国で廃止」より
そして、ファクトチェックを担当する人物のバイアスが作用する為に、客観的に見て正確な情報であったとしても、検閲に引っかかってしまうことがあるという問題がある。
個人的な話で申し訳ないが、このブログでも一時期、特定分野の記事を書くと、警告を貰う確率が高かった時期があった。恐らくは、通報する人物がいたのだろう。警告をうけて審査を依頼すると、殆ど手直しをしない状態でも問題解決することが殆どで、再審査となったの経験は1度しかない。
何が言いたいかというと、特定の方には問題のある表現であっても、別の方が見れば問題ないというケースが多々あるということだ。
そして、ファクトチェッカーにおいても似た傾向があって、実際に日本ファクトチェックセンターのような組織も問題を抱えていると指摘する人も少なくない。まあ、ここ、特定メディアの関係者がチェックしている状況だから、そういうバイアスが入るのは仕方がないよね。
とはいえ、バイアス込みの情報が「ファクト」と言われると違和感を感じざるを得ない。
コミュニティノート類似機能を採用
そんなわけで、メタは方針転換をしたようで。
かわりにイーロン・マスク氏が所有するXが導入した「コミュニティーノート」と呼ばれる、利用者どうしで指摘するしくみを採用するとしていて、まずはアメリカでこうした措置を実施するということです。
NHKニュース「米メタ ファクトチェック廃止を発表」より
Xで採用されているコミュニティノート機能を、メタのフェイスブックでも採用するという流れになるようで。
コミュニティノート機能が万能かどうかはやや疑問が残るが、Xのコミュニティノート機能を見ている側としては、背景情報の追加というのは割と納得感が高いように思う。
ただ、フェイスブックにその機能を搭載して有効に機能するのかどうか?という疑問は残る。Xは比較的不特定多数の人の目に触れるために、その情報に疑問を持った方が異なる視点からの情報を付与してくれることが期待できるが、フェイスブックはどちらかというと閉鎖的な環境を作りがちである。
逆に言えば、そのような状況であれば情報が拡散しないとも言えるので、それでも良いのかも知れないが。
トランプ政権に配慮?
なお、この話の延長線上にあるのが、トランプ政権の誕生であるのは事実だろう。
メタは2016年から偽情報への対策としてファクトチェックの取り組みを始め、2021年の連邦議会への乱入事件を受けてトランプ氏のアカウントの停止に踏み切るなどトランプ氏との関係が一時、悪化しました。
しかし、大統領選挙後には、トランプ氏の大統領の就任式関連の基金に100万ドル、日本円にしておよそ1億6000万円を寄付するなど関係改善を進めていて、アメリカのメディアは今回の措置はトランプ氏が今月20日に大統領に就任することを踏まえた動きだと伝えています。
NHKニュース「米メタ ファクトチェック廃止を発表」より
ただし、トランプ氏との関係がなければ検閲状態を続けて問題ないかのような、NHKニュースの記事の書き方には疑問を感じる。
Bloombergもこのような言及の仕方をしているので、トランプ政権と無関係ということは無いのだろう。
トランプ氏は7日にフロリダ州にある私邸マールアラーゴで開いた記者会見で、メタによる第三者ファクトチェックの廃止を称賛。トランプ氏は昨年、メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)を投獄すると脅したこともあるが、同社がこうした脅しに対応しているのかと会見で問われると、「恐らくそうだろう」と答えた。
~~略~~
ただ、欧州など米国以外の地域でファクトチェックを廃止するには、より高いハードルがあるとみられる。欧州連合(EU)は大規模プラットフォーマーに対し、虚偽的な政治コンテンツや誤情報を積極的に排除するよう求めており、それが守られなかった場合はデジタルサービス法(DSA)に基づいて重い罰金を科されるリスクがある。
Bloomberg「メタ、第三者ファクトチェックを米国で廃止」より
ただ一方で、欧州で行きすぎているポリコレの風潮がアメリカでも蔓延しつつあるため、メタのこの決定が「時代と逆行している」などという感想は抱かなかった。
まあ、ロイターなども似た切り口で報道しているので、NHKニュースだけが特殊かというと、そんなことはないのだが。
メタ、米でファクトチェック廃止 トランプ氏との関係修復念頭か
2025年1月8日午前 7:12
米メタ・プラットフォームズは7日、米国で運営する「フェイスブック」、「インスタグラム」、「スレッズ」のファクトチェックを廃止すると発表した。
今後、移民やジェンダーなど物議を醸す投稿の正確性についてはユーザーがフィードバックできる「コミュニティーノート」を導入し、自由度を高める方針とした。
~~略~~
また、ファクトチェックを廃止するのは米国のみで、欧州連合(EU)のようにIT企業により積極的な規制をかけている地域でのファクトチェックを終了する予定はないとした。
ロイターより
色々社会実験的な取り組みが行われる事は、悪い話ではない。自由な言論には責任が伴うということを人々がもうちょっと理解するまでには、様々な仕組みをトライしていくしかないと思う。
政権側から要請
そして、メタの投稿監視が、随分とバイデン政権寄りの立場を求められていたというのは割と知られた話。
米メタにバイデン政権が検閲要求、コロナ関連投稿巡り=CEO
2024年8月28日午前 7:54
米メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)中に、コロナ関連の投稿を「検閲」するようバイデン政権高官から圧力を受けたと明らかにした。
ロイターより
この件は、武漢ウイルス感染症に関する間違った言説をチェックしてくれということで、XやYouTubeでもこの関連の発言はかなり強くチェックされる傾向にある。
ザッカーバーグ氏は書簡で「ホワイトハウスを含むバイデン政権の高官らは21年に、コロナに関するユーモアや風刺を含む特定のコンテンツを検閲するよう、数カ月にわたって繰り返し圧力をかけてきた。われわれが同意しなかった際には多大な不満を表明した」と説明した。
ロイター「米メタにバイデン政権が検閲要求」より
良くも悪くも、言論を検閲したことには変わりはない。
そうすると、ある程度のバイアスがかかる事になり得るという、そういった懸念が出てくることには間違いなかろう。
逆に言えばトランプ政権が開始した時に、メディアに何らかのバイアスがかかるとして、別の視点からの情報が全く出てこないというのは困るよね。メタの判断は、トランプ政権に阿る判断かもしれないけれども、トランプ政権に利する判断とは限らない。
そういう意味では「ファクトチェック」は行わない方向が正しいのでは?と考える。
追記
虚偽情報拡散するところが何か言っているぞ!
インスタやフェイスブックの「ファクトチェック」廃止をメタが発表…トランプ氏へ配慮との見方も
2025/01/08 12:23
米SNS大手メタ(旧フェイスブック)は7日、第三者機関を通じて投稿の真偽を検証する「ファクトチェック」を米国で廃止すると発表した。表現の自由を守るためとしているが、偽情報の拡散につながる恐れがある。投稿への過度な検閲を批判するトランプ次期大統領に配慮したとの見方も出ている。
讀賣新聞より
まあ、讀賣新聞はそれでも比較的マシなん印象なんだけど、この記事は結構酷い。メタのマーク・ザッカーバーグ氏は、「ファクトチェックは政治的に偏りすぎていた」と、ファクトチェック事態が有効に機能しなかったことを反省点としており、コミュニティーノートの方が有効に機能したことを認めている。
偽情報の拡散の可能性には言及しているが、議論の大切さを指摘したうえで、ファクトチェックが検閲の道具と化してしまったことが主題であった。つまり、讀賣新聞の読み方はかなり偏っているのである。

きっと、朝日とか毎日なんかも大騒ぎするんだろう。
コメント
こんにちは。
もう、アレですね。
オールドメディアの意見は、逆張りが本当である、と。
その領域まで言われてしまうこと自体が、オールドメディアの凋落なのでしょうが、中の人は気付いてないんでしょうね、というか、気付きたくないのか。
こんにちは。
オールドメディアはもう手遅れでしょう。
自浄能力は期待できませんし。