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アメリカ大統領によるUSスチール買収計画禁止命令が発令

北米ニュース
この記事は約5分で読めます。

バイデン氏が阻止に動くとはやや予想外だったんだけど、どうするんだろうね、コレ。

バイデン大統領 日本製鉄のUSスチール買収計画を禁止する命令

2025年1月4日 7時59分

日本製鉄によるアメリカの大手鉄鋼メーカー、USスチールの買収計画についてバイデン大統領は、国家安全保障上の懸念を理由に禁止する命令を出したことを明らかにしました。日本企業によるアメリカ企業の買収が大統領の命令で阻止される初めてのケースとなります。

NHKニュースより

国家安全保障上の懸念は分かるんだけど、USスチール自身が望んでいるのにねぇ。

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国家安全保障上の懸念

全米鉄鋼労働組合(USW)の意向

企業経営が上手く行っていないUSスチールだが、今後、どのように経営の立て直しをするのだろうか。

USスチール、4四半期ぶり最終赤字 日鉄買収見通せず

2024年12月20日 22:05

米鉄鋼大手USスチールは19日、2024年10〜12月期の最終損益が5000万〜6000万ドル(約78億〜93億円)の赤字になりそうだと発表した。最終赤字は23年10〜12月期以来、4四半期ぶりとなる。産業向けなどの鋼材需要の低迷で欧州向けの出荷が減少。鋼材価格の下落も続き、収益が悪化した。

日本経済新聞より

そもそもこの業績の低迷、高コスト体質の改善が難しいところが影響している。その最も大きな影響源となっているのが、全米鉄鋼労働組合(USW)である。

日本製鉄によるアメリカの大手鉄鋼メーカー、USスチールの買収計画についてバイデン大統領が禁止する命令を出したことを受けて、アメリカの鉄鋼業界の労働組合、USW=全米鉄鋼労働組合のマッコール委員長はコメントを発表し「バイデン大統領の決定を歓迎する。これが組合員や国家安全保障にとって正しい行動であることに疑いはない」としています。

そして、マッコール委員長は「USスチールが将来にわたって雇用や健全な地域社会、そして、強固な国家・経済安全保障を支え続けることを確信している」として、雇用の維持だけでなくアメリカの経済安全保障のためにも責任ある経営を続けるよう求めました。

USWは、これまでも一貫して今回の買収計画に反対し、日本製鉄側の対応を批判してきました。

NHKニュース「バイデン大統領 日本製鉄のUSスチール買収計画を禁止する命令」より

USWが強硬に買収に反対する背景には、経営権が日本製鐵に移ることで、運営における影響力が相対的に弱まる点が挙げられる。

勿論、国家安全保障上の懸念があるのは事実なのだが、アメリカ最大の鉄鋼製造の企業をアメリカ資本の企業として維持することに拘った結果、USスチールが倒産するような事態になれば「懸念」どころでは済まない。

支那の過剰生産が暗い影を

更に、この話は別の方面にも波及する。

インタビュー:中国の過剰鋼材輸出、政府は反ダンピング措置を=日鉄副会長

2024年8月30日午前 10:06

日本製鉄の森高弘副会長はロイターとのインタビューで、中国の過剰生産・輸出増加に強い懸念を示した。年間1億トンペースで続く安価な輸出鋼材が日本に入ることを防ぐため、政府に対して反ダンピング(不当廉売)措置などを取るよう働きかけていると述べた。

一方、買収が難航している米鉄鋼大手USスチールを巡っては、民主党の副大統領候補ウォルズ・ミネソタ州知事と6月に会っていたことを明らかにし、その時は支持する旨の発言があった、とした。ウォルズ氏が副大統領候補になって以降は、USスチール買収に関しての態度は明らかになっていない。

中国の過剰生産問題に関して森副会長は「中国の内需が毎年3000万トンぐらいずつ下がっており、さらに中国からの鋼材輸出が増えていく可能性がある」と話した。足元で為替が一時より円高方向に振れていることも、輸入鋼材が入りやすい要因になっている。

ロイターより

実は、日本製鉄自身も支那からの安値の鉄鋼製品流入には、頭を抱えている状態にある。当然ん、アメリカもコレに関しては懸念している問題である。

バイデン氏、中国製鉄鋼の関税を3倍に引き上げる方針 USスチールは米企業であるべきと

2024年4月18日

アメリカのジョー・バイデン大統領は17日、中国からの鉄鋼とアルミニウムの一部にかけている関税を、現行の3倍に引き上げるよう主張した。また、米鉄鋼大手USスチールは米企業であり続けるべきだとし、日本製鉄による買収案に反対の考えを示した。

BBCより

残念なことに、このバイデン氏の主張した関税引き上げは実現しておらず、日本政府も手をこまねいている状態である。

輸入鋼材の反ダンピング調査、世界で激増/新規案件、8年ぶり20件超え/中国の輸出攻勢止まらず

2024/9/18 05:00

中国の鋼材輸出が今年は1億トン超えが濃厚となる中、世界で輸入鋼材に対するアンチダンピング(反不当廉売=AD)調査が急増している。近年の新規案件は年間で数件にとどまっていたが、日本鉄鋼連盟の集計によると今年はすでに8年ぶりとなる20件に達した。

鉄鋼新聞より

問題は深刻化しているのだから、USスチールの体質改善ということは必要不可欠である。でも、そう簡単ではないことは今回のことからも明らかである。

当然ながら、選挙期間中からトランプ氏もUSスチールの買収には反対の立場を示してきたので、政権が変わったから状況に変化があるかというと、これもなかなか難しかろうと思う。

国家の威信をかけてUSスチール買収を阻止したいのは分かるが、支那からの安値製品の流入を阻止できていないのはかなりの痛手だよ。

一方で、関税を引き上げて鉄鋼製品が値上がりすると、これはこれでアメリカ経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。経済鈍化に繋がるリスクがあるのだ。

この話もなかなか舵取りの難しい問題と言えるだろう。

追記

なかなか、ファンキーな社長だね。

画像だと翻訳が面倒くさいなーと思っていたら、丁寧に翻訳してくれた人が居たので、それも紹介しておこう。

「支那共産党が大喜びで踊ってるぜ!」って、まあそうですな。今回のこの決定は、確かに支那に利する決定である。

コメント

  1. 匿名 より:

    結局のところアメリカはいざとなったら日本を捨てます。USスチール買収すら拒むような国が日本を本気で防衛してくれるとは到底思えません。
    アメリカは日本のことを武器を気前よく買ってくれる金づるとしか見ていませんよ。なぜこのことに誰も気付かないのでしょうか。一刻も早く日本独自で防衛できる力を持つべきかと。

    • 山童 より:

      匿名様に座布団4枚!!
      そうです。いつかモンロー主義になってすがりついても撤退してゆく。半島の崩壊過程の国と同じ轍を踏んではならない!
      確かに米国にとって英国と日本はユーラシア大陸に打ち込んだ楔です。それを手放すはずはない。これまで通りならば。
      しかし、それはあの国が世界を経営する気でいる時の話でせう?
      問題はとうやるか?です。
      スパイ防止法と核武装。これはどうしても 彼らが見限るまでに達成しませんと!
      半島のクラッシュで衝撃が襲えば、日本国内の御花畑は一掃できるのでは?
      その時にですね、かつての大英帝国が日英の同盟をむすんだように、アジアの傭兵として日本に色気を出せば??
      交渉しだいでは?
      一国で東西の双方を抑える国力はもう米国にはない。それが二次大戦でてきたからこそ一等国だったのが米国!
      これから温暖化がさらに進めば、北海航路とアジアを結ぶハブになるのは日本すね。
      その利権を奪われたくない米国に、核武装を認めさせ、シーパワー国として「中露を太平洋に出さない重石になりますよ!」で、持ちかければ奴らは中東で注力する事ができる。大枠としては、そのように考えます。問題はどうやって奴らを説得するのか? そこに掛かってるかと。
      GNP3%は仕方ないですね。だが、核兵器抜きで世界第7位の軍事力を持ってる国な事を考えれば可能性はゼロでないかと。
      とりあえず弾薬製造工場を持っ企業が、豊和工業など3社しかない現状は変えてくれ!
      この辺は七面鳥様のテリトリーだけれど、
      豊和工業はAR15からM16が産まれるまで、
      M1カービンを改良して独自生産していた企業で、金とマンパワーを注ぎ、三菱重工などと組ませれば、なかなかやれる企業だと思います。

      • 山童 より:

        因みに木霊様に「ごめんなさい」なのは、私は元々は「核武装反対派」で、
        それよりサイバー部隊に予算投下しろ!派でした。金食い虫だから。
        しかしウクライナ観ていて完全に気が変わりましたm(__)m

      • BOOK より:

        あけましておめでとうございます。皆様

        ちょい宿題放置すみません〉山童様

        わーくにの核武装
        遠い未来に出来たら良いなの夢としては同意しますが 直近の台湾有事には到底間に合わない気がする。

        確かに今の韓国情勢からアチソン・ラインの現実化は早ければ半年以内に迫り、しかもライン提唱の1950年と比べ比較にならない軍事大国と化した南朝を脅威に加えるならば、 核武装以外の選択肢は無いようにも思える

        が、国内反核勢力どうにかなったとしても

        「わーくに」=「国連旧敵国 」&「宇宙技術超大国」の単独核武装は米国からも制裁喰らいそうな(苦笑)

        とりあえず味方してくれる可能性のある常任理事国は米英
        前回のトランプ、ボリス、安倍時代はチャンスでしたが、、、石破では、、、

        何とか高市氏に早くバトンタッチしてスパイ防止法だけでも早期成立させ、 米国の軍事ポチとしてご主人の負担軽減のため核共有、が やっとじゃない?

        参院選まで石破が粘り、自民惨敗となると、、、半島とともに中共恭順の方が人的被害少ないまであり得る

        • 木霊 木霊 より:

          核武装をする前提が整っていませんからね、我が国。
          あ、本年も宜しくお願いいたします。

          日本の政治家には、日本に核兵器を撃ち込まれるという発想がそもそもありませんから、そこから勉強し直す必要がありますよ。
          あまりにも杜撰過ぎる。核防衛を如何にするのかの議論はさっさと始めるべきです。

          石破政権が日本を何処まで破壊してしまうのか、それを誰が阻止するのか。他人事ではないんですよね、こればっかりは。

      • 木霊 木霊 より:

        トランプ氏は日本の核兵器配備に賛成の立場でしたから、少なくとも配備するにあたって、どんな利益と不利益があるのかを積極的に議論するところをスタートさせる必要がありますね。
        スパイ防止法は手に入れる必要がありますし、サイバー防御関連法案もしっかり議論して施行していただきたいモノです。
        核武装に関しては、現状では難しいでしょうね。
        先ずは策源地攻撃が可能であるという判断をして、関連法整備から始めないといけませんから。

    • 木霊 木霊 より:

      バイデン氏の決定は実に内向きな話で、これこのまま推移するとも思えません。
      ただ、ご指摘通り、日本はアメリカの利益のために利用されていることは、多くの日本国民も理解しなければならないと思います。
      その上で利用する関係になればいいのですが、自覚がないんですよね……。

  2. 砂漠の男 より:

    米大統領が大統領令を使ってまで待ったをかける事案とは、直接大きな国益に関わり、
    かつ緊急性がある場合だと思われますが、本件がそういう要件に該当するんですかね?
    ちな、対米外国投資委員会(CFIUS)が買収の可否について判断に至らなかったために、
    その最終判断を大統領に一任したということになっていますけど。
    (CFIUSの委員たちが、支那に買収されたんじゃないかなぁ..)
    USスチールを救済できそうなホワイトナイトは、安全保障に照らしても日本製鉄くらい
    しかいないし、今回の大統領令は、米国の開かれた自由投資のモットーに反するんじゃ
    ないかなぁ。

    • 木霊 木霊 より:

      支那に買収されている可能性は確かにありますね。
      というかUSSは労働組合に随分と苦しめられていますから、一度潰してしまった方が良いかもしれません。
      その後で、日本製鐵が従業員を引き受ける感じで、工場買い取りをしていけば良いのかなと。もう、この件は日本政府の介入がないと前に進まないでしょう。

    • 山童 より:

      砂漠の男様の御指摘とおり、日本製鐵以外の選択肢はなく、それが米国にも利益なのですが。トランプ氏が前向きになっても、周辺の参謀があーだこーだ言うと解らない。

      失念してましたが、皆様、今年も宜しくお願い致します。m(__)m

  3. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    バイデン「国策企業のM&Aに待ったをかけて、政権末期に人気爆増を狙うぜ!」
    USスチール「ふざけんなこの腐敗政府が!」
    こうですねわかります。

    トランプ氏も現時点では反対していましたが、彼はなんなら「買収させちゃった方がアメリカのためになる」を納得出来れば前言撤回する人なので、そこを説得出来る人が……シンゾー、居なくなっちゃいましたね……
    ※ゲルはこの千載一遇のチャンスを、2月に先延ばしするとかクソボケかましやがって本当にあのアホンダラは……

    バイデン爺は、そろばんはじくことも出来ずに労働団体(≒票田?圧力団体?その両方か)の言いなりで、最後までアメリカをダメにすることしかしなかったと。自分で自分の歴史に汚点を付けまくってますから、救いようがありませんね……
    ※ここ20年ほど、民主党政権時代に大体ろくでもないことが起きている気がします、というか起こしている、か。その真骨頂はオバマでしたが……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      トランプ氏とディール出来る人物がいない、首相も外務大臣もあてにならないという絶望的な状況であります。
      防衛大臣も……。
      早く倒閣運動始まりませんかねぇ。