年の瀬になって大事故が発生したようで。何より先に、被害者の方にはお悔やみを申し上げたい。
韓国航空機事故・操縦士が事故2分前、管制塔に「遭難信号」…滑走路に消防隊は確認されず
2024年12月29日 18:48
韓国全羅南道の務安国際空港で29日起きた旅客機事故で、事故を起こしたタイ・バンコク発済州航空7C2216便は午前8時30分ごろ、同空港への着陸を試みた後に復航(着陸の継続を断念し上昇姿勢に移ること)し、再び着陸を試みるプロセスで事故に見舞われていたようだ。
AFPより
韓国の航空機事故というと、真っ先に「整備不良」を疑ってしまうのは、僕の心の曇りを反映しているのだろう。当初は「バード・ストライク」が原因だとも言われていたが、大人気だな!
そしてコレが多分、今年最後の記事になると思う。皆様におかれましては、良いお年をお過ごし頂けるよう、お祈り申し上げます。
事故原因は未だ特定されず
バードストライクはあった
さて、どのような事故だったのか?ということなのだが。
韓国 チェジュ航空の旅客機 胴体着陸し炎上 179人死亡確認
2024年12月29日 22時34分
韓国南西部の空港で29日午前、乗客乗員181人が乗った旅客機が胴体着陸して炎上する事故があり、消防は乗員2人が救助されましたが、乗客全員と乗員、あわせて179人の死亡が確認されたと明らかにしました。
韓国南西部にある務安空港で29日午前9時すぎ、タイのバンコクを出発してムアン空港に向かっていた韓国のLCC=格安航空会社「済州航空」のボーイング737型機が胴体着陸し、空港の外壁に衝突して炎上しました。
NHKニュースより
飛行機の着陸時に起きた事故で、着陸時に車輪が出せずに胴体着陸となったようだ。
同機は午前9時3分ごろ、滑走路に向かう際、エンジンに何かが吸い込まれて爆発する映像が確認されている。その後、着陸の過程で車輪(ランディングギア)が作動せず、緊急胴体着陸を試みる中で事故が発生した。
この過程で航空機はコンクリート製のローカライザーアンテナに衝突した。
~~略~~
韓国政府は、着陸時に同機エンジンの爆発は鳥衝突(バードストライク)によるものと見ている。
AFP「韓国航空機事故・操縦士が事故2分前、管制塔に「遭難信号」」より
映像が解析されたわけではないようだが、「何か」がエンジンに吸い込まれて、爆発を生じたことは間違いなさそうである。その時点でエンジンの1つが使えなくなったのは間違いないと思う。状況から考えて、バードストライクである確率はかなり高い。
問題は、胴体着陸をしなければならなくなった理由は、バードストライクだとは考えにくい点なんだよね。
ランディングギアは降りなかった
そして、問題は3つあるランディングギアがいずれも降りていなかったことだ。これは、映像で既に確認されているので、着陸時にランディングギアを使えずに胴体着陸に至ったことに何の矛盾もない。が、これがバードストライクで発生するかと言うと、やや疑問が残るようだ。
特に、着陸前にランディングギアが下りなければならないが、事故前の映像ではそれが下りていなかった点が事故の主要な原因になりうると指摘している。
操縦士が「Mayday」を宣言したことから、ランディングギアが故障した状況で胴体着陸を試みた可能性が高いとの見方もある。
AFP「韓国航空機事故・操縦士が事故2分前、管制塔に「遭難信号」」より
AFPでは、滑走路に消防隊が出動できておらず、被害を拡大させた疑いがある点を問題視しているようだ。
また、旅客機が胴体着陸した際の映像については3つの車輪がいずれも出ていないように見えると指摘したうえで、左右両方の主翼にある「フラップ」と呼ばれる揚力を調整する装置も動いていないように見えると指摘しています。
これについて井上さんは「通常、胴体着陸をするときには可能なかぎり速度を落として着陸をする。今回の映像ではカメラの前をかなりのスピードを出して通過していた。これはフラップを下ろしていないために滑走路に進入する速度が速かったのが要因の1つと考えられる」と分析しています。
一方、バードストライクが原因で車輪やフラップが作動しなかった可能性については「バードストライクではエンジンの中に鳥が入ったりするが、車輪やフラップを下ろすこととは直接関連がないので、可能性とすれば低いと思う」と指摘しています。
その上で「通常、フラップは油圧を使って操作し、緊急時は電気でも動くようになっているが、油圧か電気のどちらか、あるいは両方が使えなかった可能性がある。またフラップ自体にトラブルがあったのか、そのあたりは今後の調査で明らかになると思う」と話しています。
NHKニュース「韓国 チェジュ航空の旅客機 胴体着陸し炎上 179人死亡確認」より
そして、全日空の元機長の解説だと、バードストライクが原因で航空機の油圧や電気が同時に使えなくなる可能性は低く、別の原因があったのではないかと示唆している。
胴体着陸は航空機にとってかなり危険な行為である。だから、油圧だけではなく電気でもフラップや車輪は降りるようになっている。が、それが両方機能していなかった可能性が高いという。
こればっかりは、解析待ちになるね。
ただ、最近、別の油圧系統トラブルを737機が起こしていたという事もあって、その辺りのことが関係している可能性も示唆されているね。
しっかり追求して欲しい。
代行が仕事を
大統領、弾劾される2nd
さて、このような大事故が発生した時に、真っ先に動くのは韓国の大統領の仕事なのだが、残念なことに現大統領のユンユンは弾劾議案が可決されて職務執行できない状態にあるのはご存知の通りだ。
尹錫悦氏(ユンユン)は、12月14日に弾劾訴追案が可決されたことで職務執行停止に追い込まれた。韓国では3度目のことであった。3度目だから珍しくないかというと、今回は異例である。何しろ、1度目の弾劾訴追は否決され、再提出した訴追案で可決されてしまったのだ。
日本の司法では、この手の「再提出」は「一事不再理」という理由で蹴られる。お金の続く限り訴追され続けるようなアホな自体は、裁判所業務を麻痺させるリスクがあるために本来避けるべきだからだ。だがこれは、軽々と無視されてしまったらしい。凄い!
が、それで終わらないのが韓国の凄いところである。
韓国 大統領職務代行 ハン首相の弾劾議案可決 副首相が代行へ
2024年12月27日 19時58分
韓国の尹錫悦大統領の職務を代行してきた韓悳洙首相の弾劾を求める議案が韓国の国会で採決され、野党側が賛成して可決されました。今後、大統領の職務は副首相が代行する、異例の事態となります。
NHKニュースより
なんと、大統領職務を代行していた韓悳洙氏まで弾劾されてしまったのである。正に異例づくしである。
首相の弾劾には、国会議員の過半数の151票以上の賛成が必要ですが、与党「国民の力」は、ハン首相が大統領の職務を代行していることから、大統領と同様に議員の3分の2にあたる200票以上の賛成が必要だと訴え、見解が分かれていました。
こうした中、採決を前に、禹元植議長が、過半数の151票以上で可決されると表明し、野党側が投票に参加した結果、賛成は192票で議案は可決されました。
NHKニュースより
更にこの弾劾訴追の議決が違憲くさい。そもそも大統領の弾劾に必要な票数を議員の3分の2必要であると定めた理由は、韓国において大統領が極めて重要な判断をする機関であるからだと推測される。故に、「大統領代行」の権限を担う首相の弾劾も、同様に重みを求められて然るべきだ。
が、そうはならなかったんだよね。
弾劾は続くよいつまでも
韓国の司法では代行が弾劾されることを予定していたかは調べられなかったが、副首相が代行することになった。
第71条 大統領が欠けたり事故によって職務を遂行することができないときには国務総理,法律の定める国務委員の順位でその権限を代行する.
大韓民国憲法より
ええと、一応、代行が弾劾されることを想定しているかはともかく、代行の選出順位は定められているので、このロジックから行けば「法律の定める国務委員」の在庫が尽きるまでは弾劾が可能だね!
第88条 ①国務会議は政府の権限に属する重要な政策を審議する.
②国務会議は大統領·国務総理と15人以上30人以下の国務委員で構成する.
③大統領は国務会議の議長となり,国務総理は副議長となる.
大韓民国憲法より
ええと、現在の韓国政府の閣僚は20名のようで、うち5名が弾劾や辞任で欠けているので、残り15名だ。過半数を握っている韓国野党は、理論上は閣僚が尽きるまで弾劾訴追することが可能である。あと何回繰り返されるのかは、ちょっと興味があるね。
あと、蛇足だが、憲法裁判所が弾劾訴追案を検討して、妥当であれば弾劾は決定されるんだけど、これがまたちょっと困ったことになっているようだ。憲法裁判所の定数は8人だけれど、今は6人しか居ない。弾劾決定は6人以上と決まっているので、事実上弾劾はできないのが現状。
「できない」の意味が、6人で審議するのが無理という解釈と、6人で一致するのが無理という解釈の2通りあるようなんだけど、そこもまたちょっと面白い。
そして、来年4月になるとうち2人が退職してしまうというから、4月以降は弾劾訴追はできても弾劾を判断できないという異常事態になる。
韓国野党はそれが嫌なので、「さっさと2人補充しろ」と迫っているのだけれど、大統領代行がこれを断り続けていたので、弾劾されたという経緯なんだが……。ここもどうなるのはか見ものである。
事故対応
ともあれ、今回の事故発生時に、大統領も首相も弾劾されている状態だったので、副首相が動いた。
韓国政府 ムアンを「特別災難地域」に指定
事故を受けて、尹錫悦大統領の職務を代行している、崔相穆副首相兼企画財政相は、事故が起きたムアンを、「特別災難地域」に指定すると発表しました。
「特別災難地域」は通常、災害などの際に指定され、政府が財政支援を行って補償を進めることになります。
NHKニュースより
妥当で迅速な判断だったかは僕には判断しかねるが、しっかり対応はしている模様。
その上で「政府が事故の収拾と乗客の家族などの支援に最善を尽くしてくれると信じている。この困難な状況を1日も早く克服できるよう、私も国民の皆様と共にありたい」としています。
NHKニュースより
当の大統領は、祈ることしかできないようだが。
コメント
謎の多い航空機事故ですが、こちらもブラックボックス情報が重要になりそうです。
本件はあくまで韓国の内政問題なので、(その結論の妥当性はさておき、)事故調査委員会の審理結果を待つのが穏当かと。結果が出るまでには、相当な時間を要すると思いますが。
ちな、いまのところ当局からは、機長が空港管制官に対して、非常着陸時のレスキュー要請を行っていなかったという話が出ています。
https://www.youtube.com/watch?v=HV16-U93V5A
で、木霊さんの解説の通り、いまの韓国政府は、野党の弾劾攻勢でほとんど無力化されていて、まさにこんな時に重大事故が起こりました。
事故の背後では、韓国の屋台骨がへし折れそうなことが、海外に見透かされているはずです。当の韓国人たちは気にもしていないでしょうけど。
色々謎の多い航空機事故ですよね。
フライトレコーダーが回収されましたが、損傷していたようで解析には時間がかかるみたいですね。
原因究明できれば良いのですが。
今日は。
務安での事故については、犠牲者のご冥福をお祈りいたします。事故原因については諸説飛び交っていますが、結局はフライトレコーダーの解析を待つしかないのでしょうね。
弾劾を重ねていけば、慨然的には段々と政治、行政能力の限られた人材に大統領代行が移っていくわけで、そのうち、多重苦の経済や、対中、対米外交の舵取りなど韓国が直面する困難な状況に対処することもできず、また、野党の要求に屈して憲法裁判所の判事を任命してしまう様な国務委員が大統領代行になってしまうかもしれませんね。野党はそれを狙っているのでしょうが。焼け野原となった韓国に、一人屹然と立つ李在明大統領というシュールな絵柄も見えてきます。
令和六年もとうとう大晦日となってしまいました。来年は日本にとって良い年でありますように、また、木霊様やこのブログに集まっておられる方々の、ご健康と繁栄をお祈り申し上げます。
こんにちは。
事故の原因究明は時間かかりそうですね。
もはや、韓国政府は機能停止状態です。
次の大統領代行は誰か?という楽しみはありますが、流石にこのまま続くのはかなりリスキーです。でも、出口は先の方にあって、今年の4月頃まではどうにもならないのかも?