TBS系のニュースを見て、ちょっとビックリした。アメリカにおけるフェンタニル災害は今に始まったことじゃないんだが。
“史上最悪の麻薬”フェンタニル 「ゾンビ・タウン」全米に広がる 去年1年間で7万人以上が過剰摂取で死亡 トランプ次期政権どう向き合う?
2024年12月12日(木) 17:52
アメリカではいま、“史上最悪”といわれる麻薬がまん延しています。この麻薬の中毒者が路上にあふれる街、通称「ゾンビ・タウン」が全土に広がり、大きな問題となっています。
TBS NEWS DIGより
日本ではマイナーなニュースなのだろうか?
支那が仕掛けるシン・アヘン戦争
もう7年以上も問題視されている
いや、同じ切り口で記事を書いているFNNプライムオンラインは未だマシな内容だったので、TBSのこのニュースがクソだってことなんだろうね。

あ、でも、FNNプライムオンラインの記事は今年の1月の日付だから、TBSとはまた趣が異なるんだが。
さておき、前トランプ政権で既に合成オピオイド、フェンタニルの話は問題視されていた。
トランプ氏、中国主席はオピオイド規制の約束果たしていないと批判
2019年8月2日午前 11:40
トランプ米大統領は1日、中国の習近平国家主席は米国に大量に流れる合成オピオイド「フェンタニル」を取り締まるとの約束を果たしていないと批判した。
ロイターより
この記事は2019年の記事だが、2016年選挙で勝利したトランプ氏は、2017年には「オピオイド危機」宣言をして、この薬害からアメリカを守る覚悟を示していた。
過去の記事を飛ばしてしまったので、ここ最近の記事しか紹介できないのが申し訳ないが、このブログでも過去にこんな記事を書いている。
この話の本質は、支那がアメリカに仕掛けたアヘン戦争なのだ。
オピオイドの危険性
何故、「アヘン戦争」なのかといえば、オピオイドはアヘンから抽出可能な成分に似せて作られたものだからだ。
アヘンは植物由来の粗成分ですから、多数の化合物が含まれます。一体何が有効成分なのか知りたくなりますよね。研究者たちが探し求めた結果、19世紀初めにドイツの薬剤師であるフリードリヒ・ゼルチュルナーがアヘンから有効成分を初めて取り出すことに成功し、「モルヒネ」と名づけました。
~~略~~
そして、モルヒネやコデインなどケシに含まれていた天然成分は、中世ラテン語でケシを意味する中世ラテン語の opiatus に由来して、オピエート(opiate)と総称されるようになりました。
~~略~~
オピエートを投与していなくても、神経刺激による鎮痛効果がナロキソンで阻害されたということから、「私たちの体内では神経からオピエートのような鎮痛作用を示す物質が分泌されている」と考えられたのでした。
そして、そのような物質が、オピオイド(opioid)と呼ばれるようになりました。語尾の -oid には「ような」という意味が含まれています。オピオイドは、まさに「ケシに含まれていたオピエートと同じようなもの」という意味です。
All About「アメリカで年間10万人以上が死亡」
やや関係がややこしいが、芥子から作ることの出来る鎮痛薬「アヘン」や「コデイン」。「アヘン」から抽出できる薬「モルヒネ」、「モルヒネ」や「コデイン」の総称として付けられた「オピエート」。
この「オピエート」と似た鎮痛作用を示す合成物質が、「オピオイド」である。
実際は少々違うので、引用元の記事を読んで頂きたいのだが、オピオイド系の鎮痛薬は、芥子などの植物由来の物質の作用を研究して生み出された物質である。
そして、オピオイド系鎮痛薬として知られるのが「ヘロイン」、「オキシコドン」、「ペチジン」、「フェンタニル」などの薬剤なのだ。
なお、ヘロインは後有害性が強すぎて、医学的な使用を含めて一切禁止されている。一方、「オキシコドン」と「フェンタニル」は適切な使用をすれば、有用な医薬品として使うことができる。しかし、強い依存性を生じる問題を抱えている。
アヘンに似た薬剤、フェンタニルで再び戦争状態になっているのは、なかなか笑えない話である。もっとも、今のところ武器の使用はされていない。だが、アメリカ国内では2021年以降は10万人を超えるペースで死者が出ているのだから、
支那はフェンタニル原料に補助金
とまあ、こんな感じの薬剤が「フェンタニル」なのだが、これがお安く合成できるというのが問題なのである。
中国がフェンタニル原料に補助金、米国の中毒あおる=米下院委
2024年4月17日午前 10:26
米下院の中国共産党に関する特別委員会は16日、中国が麻薬鎮痛剤「オピオイド」の一種であるフェンタニルの生成につながる化学物質の製造に直接補助金を出し、米国のオピオイド中毒危機をあおっているとする報告書を出した。
ロイターより
こちらの記事は、過去にも取り上げている。
支那にとって、「フェンタニル原料」は売れる商品である。補助金が出ているかどうかはハッキリしないが、少なくとも大量に輸出している事実は間違いない。
合成麻薬フェンタニル密輸で制裁 米国、中国企業に
2023年10月5日 0:23
米財務省は3日、医療用麻薬フェンタニルなどの密造や密輸に関与し、仮想通貨口座で数百万ドル(数億円)を受け取っていたとして、中国本土と香港を拠点とする12企業と13個人を制裁対象に指定した。原料となる化学物質を密輸していたとして、カナダを拠点とする2企業と1個人も制裁対象に加えた。米国内の資産を凍結する。
日本経済新聞より
過去に何度も密造や密輸に関連して取り締まりを行っているが、イタチごっこになっているようだ。
中国から郵送で密輸されるドラッグ、次の標的は日本だ
2019年12月18日(水)17時45分
今年1月には国営新華社通信が、「メタンフェタミンのゴッドファーザー」とも呼ばれる蔡東家(ツァイ・トンチア)の死刑が執行されたことを報じている。蔡は広東省陸豊市博社村の共産党支部書記だったが、その村では中国国内で製造されるメタンフェタミンの実に3分の1が造られていたという。
2016年7月に発表された米中経済・安保検討委員会の報告書によれば、アメリカで消費されるメタンフェタミンのうち90%は、今もメキシコの麻薬カルテルが製造している。しかし、原料となる化学物質の80%は中国製だ。
今年11月7日には、河北省でフェンタニルを製造、密輸した罪で9人が有罪判決を受け、そのうち1人は死刑を宣告された。この摘発は米中当局の共同捜査の成果だった。
Newsweekより
一応、アメリカに協力して支那も取り締まりをするような動きはあるようだが、あくまで見せかけだけらしい。
ちなみに、前出の元DEA捜査官ヒギンスは中国側の対応を信用していない。中国の公式統計は信頼できないと指摘した上で、「中国が欧米のために一肌脱ぐと期待するのは見当違いだ」と一蹴する。「何年も前から、アメリカはオピオイドの蔓延に手を焼き、中国に協力を要請してきた。しかし中国政府には、初めから協力する気がないのだ」
Newsweek「中国から郵送で密輸されるドラッグ」より
昨今では、支那の製造業が軒並み苦しんでいるので、好調な輸出材料をむざむざ潰すはずもない。
大統領選挙の争点に
そして、このフェンタニル問題は、アメリカ大統領選挙の争点の1つでもあった。
米国むしばむフェンタニル禍、大統領選重要争点に-激戦州で高い関心
2024年3月23日 0:12 JST
2024年の米大統領選を理解するには、医療用麻薬「フェンタニル」を巡る問題を理解することが不可欠だ。
Bloombergより
TBSはそんなことも忘れて記事を書いたのだろうか??
フェンタニルの多くが隣国メキシコから密輸されていることから、トランプ次期大統領は解決を求め、メキシコに対する関税を引き上げると宣言しました。一方で、支援団体はすでに路上にあふれている中毒者に目を向けることを訴えています。
TBS NEWS DIG「“史上最悪の麻薬”フェンタニル」より
この話も随分と周回遅れである。
そもそも、メキシコとの国境に何故、壁を作ったのかといえば、一番の目的は不法移民の流入を止めることだが、副次的な理由として麻薬の密輸を防ぎたいというものがあった。
このメキシコとの国境問題はトランプ政権以前から問題視され、ゲートキーバー作戦と呼ばれる1994年9月に発表された作戦にあったように、国境警備隊を整備し、一部に壁の建設も行った。この作戦は成功したとは言い難い部分もあったようだが、今に始まった話ではないことは間違いない。
フェンタニル問題も、アメリカは随分長らく問題視している話。だが、麻薬の問題はなかなか解決し難い。実際に、バイデン政権時代はほぼ野放しだったようで、トランプ氏は改めてこの問題を解決するという決意を示したに過ぎない。
カナダとメキシコに対して追加関税を示唆
その決意が、追加関税という形で現れている。
【米政権交代】 中国とカナダ、メキシコに対する追加関税を示唆 就任初日からとトランプ次期大統領
2024年11月26日
ドナルド・トランプ次期米大統領は25日、アメリカへの不法移民や麻薬密輸を取り締まるため、大統領就任初日に中国とメキシコ、カナダに新たな関税を課すと発表した。
次期大統領は、1月20日の就任式の直後に、メキシコとカナダからのすべての輸入品に25%の関税を課す大統領令に署名するつもりだと述べた。
また、中国政府が合成オピオイド(麻薬性鎮痛剤)の一種、フェンタニルの密輸を食い止めるまで、中国製品に10%の追加関税を課すとも述べた。
BBCより
流石にメキシコもカナダもそんなことをされては困るし、アメリカも実際実行するとしたらかなり痛みを伴う。
だけど、「トランプ氏ならやりかねない」と思われているところがミソなのだ。
メキシコ大統領 フェンタニル“過去最多押収” 取締りアピール
2024年12月5日 13時19分
アメリカのトランプ次期大統領が隣国のメキシコから薬物のフェンタニルが国内に流入していることなどへの対応として関税を引き上げる意向を示す中、メキシコのシェインバウム大統領は4日、過去最も多いフェンタニルを押収したと発表し、薬物を取り締まる姿勢をアピールした形です。
NHKニュースより
さっそく、メキシコ大統領は「努力しているよ」というアピールをした。
カナダ財務相辞任、トランプ関税対応巡り首相と対立 後任に公安相
2024年12月17日午前 8:36
カナダのフリーランド副首相兼財務相が16日、辞任した。トランプ次期米大統領が掲げる関税への対処法などを巡りトルドー首相と意見が対立した。既に支持率低迷に苦しむ政権にとって想定外の打撃となった。
ロイターより
カナダもバタバタしているね。
しかし、メキシコもカナダも大きな勘違いをしているんだよね。この問題の発信源は支那であり、そこから原料を供給されたマフィア達がフェンタニルを合成している。
そして、カナダだってフェンタニル問題で苦しんでいるのだから、支那との対決を本気で考えるべきなのである。

支那からのフェンタニル原料の流入を遮断する、それがメキシコやカナダのとるべき道なのだ。
アメリカ国内だけで取り締まりは不可能
実際、アメリカはフェンタニル対策に手を焼いている。
娘は薬半錠で中毒死、パートナーは拳銃自殺──「フェンタニル危機は中国からの化学攻撃」
2024年10月30日(水)15時19分
脳のオピオイド受容体に作用するオピオイド系の化合物の一種であるフェンタニルが原因で死亡した女性の母親が本誌の取材に対し、アメリカは中国の「化学攻撃」を受けていると主張した。
この母親をはじめフェンタニルの犠牲となった人々の遺族が、この危機を煽っている中国に対する制裁を求めている。
Newsweekより
そして、アメリカ国民も支那からの攻撃だと認識するようになってきているので、アメリカ議会も支那への制裁を声高に主張している。
もちろん、アメリカ国内の麻薬汚染問題は、何もフェンタニルに限った話ではないのだが。それでも、2022年1年間で7万人もの死者を出してしまう事態になっているのだから、トランプ政権としても無視はできない。
むしろ、バイデン政権が問題視しなかった理由が良く分からないんだよね。バイデン政権だって、フェンタニルの取り締まりはやっていたのだけれど、「目立たないように活動」していたように感じる。問題意識が希薄であったと言われても仕方のない面があると思う。
もう放置できない、というのがアメリカの本音なのだろう。そこにトランプ氏は乗っかったに過ぎない。
コメント
北京より愛をこめて
中国政府が意図的に黒社会に麻薬密輸させるのは今に始まった事でないです。
黄金の三角地帯というと国民党残党というのは古い話で、ワ族の他…元紅衛兵の軍閥がケミカルドラッグとくに冷たいのを量産してタイやベトナム経由で流出してきた。
それベトナム戦争で北京が意図的にヘロインを流出して、米兵にジャンキーを量産した作戦から始まってる!
共産党はしらばくれてますが、実はハルピンの阿片窟を利用して、日本の特務機関、国民党、共産党いずれも商売してた。
中国の共産党はコミュニストと言うても!
何しろ乞食のボスが組合を名乗るて共産党のスパイ組織してた(上海。なので清掃やゴミ処理利権を握る青幇にも共産党シンパいた。上海グーテターで殺されなかったアカはそういうツテで蒋介石から逃れた)くらいですからね。
もともと毛沢東が逃げ込んだ初期アジトも、
元は匪賊山賊のアジールだったのを、紅匪として「同じお尋ね者だから」と「渡世の掟」を利用して潜り込み、幹部を皆殺しにして乗っ取ったのが始まり。
コミュニストだから黒社会と仲悪いというのは冷戦時代に日本の与党がヤクザを利用していたからの誤解。南米見りゃ解るでせう? なので北京は意図的にやってますよ。今に始まる事ではない!
ハルピン特務で通訳してた祖父が、実際に満洲国警務局の阿片窟調査を手伝っていて、
その時にバイヤーが国民党だけでなく、共産党の連中もいた(東北に共産党が浸透してない事を踏まえると凄い)事をノートに書き残しているもの。実際に祖父は張学良からモーゼル拳銃を貰ってますが、その直後に張学良は西安事件を起こしてますしね。
いちおうその阿片窟調査は満州では幾つか行われており、「魔窟大観園の解剖」というタイトルで原書房から出版されてます。
但し当時の満洲国警務総局保安局(後の関東軍情報部)資料原文のままで旧仮名遣いで読みにくい。現代語訳も出たはずですが
見たことがない。
それと、阿片について。
もともと芥子は薬品としてもちいられ、古代ギリシャ人も使ってました。
痛みの緩和によりストレッサーを排して体力を回復に全振りする作用があるため。
中国ではこの傾向が強く、そこをブリカスに付け込まれた。また嵩張らない割に高価である為、民国通貨が暴落してから、通貨代わりに使われていた。阿片を染み込ませた布の布銭とか。その辺りが連中が麻薬商売にあまり禁忌を持たない理由かも。
それと中国史では鉄と塩が朝廷の専売で、それ故に塩密売が盛んで、麻薬カルテルに似た組織が歴代王朝に存在しました。近代になり、それらが阿片に切り替わる。
古い所だと三国志時代の五石散がそうで、
散歩の語源になってる。記録される最古の中毒患者が魏の曹操の甥だかで、おそらく南方の産地(越)を攻めた諸葛孔明が塩密売人のルートを使い、魏に送り込んでいた疑惑があるす。孔明はヒーローだから誰も指摘しませんけどね。
麻薬を送り込んで敵国の内部を崩壊させる戦術は古代中世からの伝統なんですよ。
とはいえ麻薬・覚醒剤を根絶するのはムリでせうね。トランプさんでも。
人間の本質として向精神作用の薬物を求める傾向がある。コーヒーに酒にタバコに。いわゆる四大古代文明の興った地域って、いずれも幻覚性植物の原産地なんですね。中国文明だけ例外とされてましたが、五石散や煉丹術を見れば「そうではない」のわかります。
そもそも人類が文明を興した背景に、
これら幻覚植物があったのでないかと、ドパーミンの研究者が言ってますもの。何某かの向精神作用に耽溺するのがサピエンスの特徴ですし、それは知能があり、未来を予測できる故の性なのではないですかね。中国のネトゲ廃人のルポ読むとそう思いますよ。
横合いから失礼。
中華と阿片は切っても切れないですよねぇ……そこに正義は無い、あるのは勝ち負けだけ。
※今書いてるのと別の話で、関東軍にも奉天軍閥にも女や阿片を流した外道の道士、なんてのを出した事があって、阿片窟とかちょっとだけ調べました。ちょっとだけでお腹いっぱい(笑)
昔からの手管ですから、共産党としては慣れたモノですね。
孔明の話は初耳でしたが、なるほどやりかねない。逆に言えばソレだけ手段としては有効という意味でもあるのでしょう。
米国は麻薬大国なので、そう簡単に撲滅はできないのでしょうが……、ここ数年で数倍に増えているらしいですから、せめて被害者増加に歯止めを掛けたいところでしょうね。
フェンタニルは産業を破壊しますから。